昨今即戦力となるジョブ型採用が、効果的な採用活動を行うための手法として注目されています。
本記事では、ジョブ型雇用とは何か、企業・求職者それぞれのメリット・デメリットについて解説します。
ジョブ型採用が向いている企業の特徴、導入した実際の企業についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
目次

ジョブ型雇用とは、職務内容(ジョブ)を基準に雇用契約を結ぶ働き方を指します。
企業が予め具体的な職務内容や責任範囲を決め、その条件にあったスキルや経験のある人材を採用します。
従業員は採用された時点で、職務内容や責任が明確化されているため、何をどの程度達成すべきかがクリアになり、企業への高い成果や貢献を期待できるのです。
メンバーシップ型雇用とは、職種や勤務地を限定せず、人数に重きをおいて採用する雇用システムのことです。、
雇用後に必要な職務内容や責任範囲を割り当て、計画的人事異動を繰り返しながら人材育成をしていきます。
終身雇用制度が一般的であった日本では、多くの企業でメンバーシップ型雇用が導入されていました。
内閣府が2022年6月に発表した「経済財政運営と改革の基本方針2022」によると、ジョブ型採用が普及し始めた背景には、個々のニーズに応じた働き方改革の推進があるとされています。
コロナ禍を機にテレワークが普及したことで、多様なライフスタイルや職業意識が広がり、従来のメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用への移行が求められるようになりました。
生産性向上と専門人材の有効活用がより重要視されるようになったため、具体的な職務内容に基づく採用・雇用形態である「ジョブ型雇用」の普及が加速しているのです。
ジョブ型雇用を導入することで、企業側にはメリットが多くある一方でデメリットもあります。
ここでは、企業におけるジョブ型雇用のメリット・デメリットを紹介します。
【企業側のメリット】
ジョブ型雇用は、即戦力となる人材を確実に採用できるという点で企業にとって大きなメリットがあります。
職務内容や求められるスキルが具体的に提示されるため、該当スキルを備えた人材が集まりやすく、採用後にすぐ成果を出すことが期待できます。
さらに、即戦力として業務に取り組める人材が集まることで、企業の生産性向上にも繋げることが可能です。
ジョブ型雇用では、特定の専門分野やスキルを持つ人材を明確に求めて採用するため、企業は高度な専門性が求められる分野での人材を安定して確保できます。
各職務に特化したスキル育成が進むため、企業全体としても専門知識の向上を期待できます。
各職務に応じた目標や基準が明確に設定されているため、成果を測定しやすく正当な評価が可能になります。
業務成果に応じて適切な評価をされることにより、従業員のモチベーション向上も期待できるでしょう。
【企業側のデメリット】
ジョブ型雇用では、会社の都合での人事異動や配置換えが難しくなるというデメリットがあります。
各従業員の職務が明確に定められているため、急な部署変更や組織改変には適していません。
幅広いスキルを持つゼネラリストを育てることが難しいという点には注意が必要です。
ジョブ型雇用では、専門性が重視され、職務内容が限定的であるため、複数の分野を経験してスキルを広げる機会が少なくなります。
多角的で横断的な視点が求められるマネージャーなどの場合には、ジョブローテーションを一定期間で実施するといった対策が必要です。
ジョブ型雇用では、優秀な人材がより良い条件を求めて流出するリスクがあります。
職務内容が明確であるため、入社した後でも給与や勤務条件などが優れた他社へ早期転職してしまう可能性があるのです。

続いて、求職者側の視点からジョブ型雇用のメリット・デメリットについて解説します。
【求職者側のメリット】
ジョブ型雇用では、職務内容が明確に定義されているため、成果を上げやすいというメリットがあります。
自分に合った職務で採用されていることから、自身の専門スキルを最大限に活かして仕事に取り組めるのです。
求職者は、職務内容が具体的に定義されているので、一貫して経験を積み重ねることができます。
特定の分野に特化したスキルや知識が蓄積され、専門性を自然に高められるでしょう。
専門的な知識やスキルを集中して習得・強化すれば、自分の市場価値を高められます。
その結果、同じ職務内容の中から昇進・転職・独立といった多様なキャリアパスが広がり、求職者が柔軟に自分の将来を選択できるようになります。
【求職者側のデメリット】
特定の職務に依存するため、業務がなくなった場合に失職のリスクがあります。
ジョブ型雇用は、特定の職務内容に基づいて雇用契約が結ばれることから、その職務が企業内で不要となったり、事業縮小が発生すると雇用継続が難しくなる可能性があるのです。
ジョブ型雇用は、成果が出せなかった場合に解雇のリスクが高まるという点に注意が必要です。
職務内容が明確に定義されており、即戦力となる人材を期待して採用しているため、期待される業務成果を出せない場合は契約の更新が難しくなったり、解雇の対象となる可能性があります。
自己研鑽を常に続けなければならない点は、求職者にとって負担でありデメリットといえます。
ジョブ型雇用では、専門スキルが重視されるため、特定分野のトレンド把握や知識のアップデートが求められます。
意欲を持って努力を続けられる人材でなければ、成長がストップすると共に成果を出しにくくなってしまうでしょう。
企業・従業員の両方にとってメリットのあるジョブ型雇用ですが、どのような企業であれば導入が向いているのでしょうか。
ここでは、ジョブ型雇用が向いている企業の特徴について解説します。
ジョブ型雇用は、専門的な知識やスキルの必要な業務が多い企業に向いています。
例えば、IT・エンジニア・医療・デザインなどのクリエイティブ系といった分野は、スキルと高い専門性が求められている職種です。
業務の専門性が高いほど、即戦力が期待されるため、ジョブ型雇用の方がメンバーシップ型よりも適切であり、企業にとって効率的な採用を実現できます。
時短勤務や在宅勤務など、多様な働き方を提供できる企業にはジョブ型雇用が効果的です。
職務内容や評価基準が明確なため、勤務時間や場所にとらわれず、業務成果だけを重視して評価できます。
働き方の柔軟性を高めて従業員の満足度を向上させながら、企業は業務成果を管理しやすくなり、生産性の向上も期待できるのです。

実際にジョブ型雇用を導入し、成功している企業を3社ご紹介します。
みんなのマーケット株式会社は、オンラインマーケットプレイス事業を展開する従業員150名ほどの企業です。
入社後はカルチャーフィットしているか判断できないためジョブ型雇用を採用し、入社3ヶ月後に評価基準をクリアした従業員がメンバーシップ型雇用へ変更できる仕組みを導入しました。
ジョブ型雇用の評価では、四半期ごとに同僚同士で評価しあうチーム間評価・個人間評価のみであり、メンバーシップ型の場合のみ上長との評価があります。
ジョブ型雇用にあった評価精度を取り入れたことにより、個人が業務にコミットできる環境を作ることができ、成果と成長を正しく促すことができるようになったのです。
参考:「馴れ合い」はご法度。同僚と評価し合う「ジョブ型」雇用で、組織の連携を生む秘訣
株式会社ニトリは、家具やインテリア用品の企画・販売事業を展開しており、従業員3,662名ほどの企業です。
3〜5年で配置転換を実施するため、ジョブ型を適用する職種としない職種を明確に分けて導入しています。
1つのジョブに絞ってしまうと社員の可能性を狭めてしまうため、情報システム・財務経理・法務などの職種以外はジョブ型雇用を導入していません。
ジョブ型雇用はあくまで手段であり、会社としては社員の自律成長を目的としていることからジョブ型・メンバーシップ型を使い分けているのです。
参考:ニトリ、三菱ケミカルーー “ジョブ型”の成否はキャリア自律にあり
株式会社カウシェは、シェア買いアプリを運営している、従業員41名ほどの企業です。
正社員よりも副業メンバーが多い雇用形態で構成されているため、ジョブ型雇用の比率が高く、成長機会の少なさが課題となっていました。
そのため、副業メンバーにおいても「KAUCHE de WORK」という新しい人事制度を導入し、目標設定・評価振り返り・昇格・ジョブローテーションなどの仕組みを取り入れています。
結果、対象者23名のうち5名が3%〜67%の昇給を達成し、新たな知識やスキルを獲得する機会の提供まで実現しているのです。
参考:シェア買いアプリ「カウシェ」、人事制度「KAUCHE de WORK」に副業メンバー向けジョブローテーション制度を追加
ジョブ型雇用とは何か、企業・求職者それぞれのメリット・デメリットについて解説してきました。
専門的な知識やスキルが必要な業務が多く、柔軟な働き方を提供できる企業に向いており、効率的な採用や生産性の向上が期待できます。
即戦力になる人材を採用し、自社の成長へ繋げるためにジョブ型雇用の導入を検討してみてください。
画像出典元:O-DAN
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