通年採用とは、年間を通して採用活動を行うことです。
2018年に、経団連が新卒一括採用から通年採用への移行を示したことで注目され、近年は大手企業をはじめとする多くの企業で導入が進んでいます。
本記事では、通年採用の導入を検討している方向けに、通年採用とはなにか、そのメリット・デメリット、実際の導入ステップなどについてわかりやすく解説します。
目次

通年採用とは、新卒採用の一形態で、年間を通して採用活動を行うことです。
従来の一括採用と異なり、学生は自分のペースで就職活動を進めることができます。
企業は採用活動が長期化し、コストが増加する可能性がありますが、一方で多様な人材を確保できるため、柔軟な採用活動が可能となりミスマッチを防ぐ効果も期待できます。
まずは通年採用と一括採用の違いについて確認しましょう。
大きな違いとしては「採用時期」と「対象人材」が挙げられます。
一括採用は募集期間に制限をかけ、特定の期間のみ採用活動を行う方法です。
新卒一括採用の一般的なスケジュールは、3月頃から説明会が始まり、5~6月に面接が集中します。
一方で通年採用は、募集期間の制限はなく、年間を通して採用を行います。
そのため、企業が人員を必要としているタイミングで採用活動ができ、人員補充がしやすいことが特徴の一つです。
新卒一括採用は3月に大学を卒業する学生を対象にしています。
自社で長期的に育てる前提の採用なので、入社時点では専門スキルや知識を求めません。
一方、通年採用は新卒者だけでなく、第二新卒や中途、海外大学卒業生、外国人留学生など対象者は幅広く、多様性に富んでいます。
中途人材を対象に含むことで、即戦力人材、特定の専門知識を持った人材を確保できます。
通年採用が増えている背景として、新卒一括採用による人材確保が厳しいことが挙げられます。
少子高齢化によって労働人口が減っていく中、人材を確保することは多くの企業にとって、今後の課題です。
通年採用は、幅広い層を対象に採用活動ができるため、有効な解決手段だと言われています。
近年では、ファーストリテイリングやリクルートなどの大手企業が通年採用を導入しており、その認知度も上がってきました。
通年採用が注目されたきっかけとして、2018年、春の新卒一括採用への偏重を見直すため、通年採用を拡大することを経団連と大学側が合意したことが挙げられます。
就職活動が勉学の妨げにならないよう、企業側に就活ルールの遵守を要請していましたが、実際は就職活動の早期化が進み、就活ルールが形骸化していたことが理由です。
また、グローバル市場での競争力を高めるために、能力を重視した採用の動きが強まってきたことも関係しています。
期限を設けないことで、幅広い人材との接触機会が増え、優秀な人材の取りこぼしを防ぐという狙いもあります。

通年採用についてなんとなくわかってきたところで、メリット、デメリットを整理したいと思います。
通年採用では、新卒一括採用に応募できない学生とも接触機会を持つことができます。
例えば、グローバル人材を求める企業にとって、海外大学卒業生はしっかりと接点を持ちたいターゲットの一つです。
しかし、海外大学は夏場に学期末を迎えるところが多いため、春季の新卒一括採用に間に合いません。
募集期間に制限を設けないことで、そういった学生たちからの応募が増える可能性があります。
限られた期間で、大量の人数を採用する必要がなくなるため、一人ひとりの学生をじっくり見極め、慎重に選考を進めることが可能です。
選考の進め方としては、面接の回数や時間を増やしたり、本選考が開始される前にカジュアル面談を設けることが挙げられます。
求職者をじっくり吟味することは、入社後のミスマッチを事前に防ぐことに繋がります。
新卒一括採用は募集期間が限られているため、内定辞退が出た場合、その補完をすることはできません。
通年採用の場合は年間を通して採用しており、また別の学生が応募してくれる可能性も高いため、人材を補完することができます。
また、一度の採用における内定者の数が少ないため、内定者をフォローしやすく、辞退者を出しにくいことも特徴の一つです。
次にデメリットについて確認しましょう。
年間で採用活用を行っているため、新卒一括採用と比べると採用担当者の負担が増えます。
具体的には面接、選考、イベント、入社後のフォローの頻度が増えることが挙げられます。
また、求職者の活動ピークも予測しづらいため、担当者の業務量やスケジュール管理には注意する必要があります。
採用の広告掲載期間やイベント出展回数が増えるため、新卒一括採用と比べて、採用コストが高くなります。
また入社時期が分散してしまうと、新入社員が入社する都度、研修する必要が出てくるなど、研修コストの増加も想定されます。
通年採用が徐々に広がりをみせていますが、まだまだ新卒一括採用がメインであることが実状です。
そのため、学生側に「いつでも応募できる」と思われ、滑り止めの位置づけになってしまう恐れがあります。
また、求人情報が掲載され続けることで、常に人員不足=ブラック企業なのではという誤解が生じるリスクも。
求人情報など情報の発信の仕方や掲載期間などを配慮する必要があるでしょう。

企業が通年採用を導入する前にやるべきことを、4つのステップに分けて解説します。
採用時期に制限がないからこそ、まずは採用計画を部署ごとにしっかりと立案することが大切です。
採用計画では、どのようなスキル・知識・情報を持った人材を、いつまでに、何人採用するかを明確にします。
採用計画は一度立案したら固定ではなく、状況に応じて更新していきましょう。
採用ペルソナとは会社が採用したい架空の人物像です。
年齢・性別・居住地などの基本情報だけでなく、性格・趣味・目標など、その人柄も明確にします。
採用ペルソナを設定した後、現場・人事間でのすり合わせをしっかり行います。
社内で共通認識を持つことは、会社が適切な人材を採用するにあたって重要です。
共通認識が持てない場合、本来採用したい人物を不採用にしてしまったり、採用後のミスマッチに繋がります。
採用ペルソナにリーチするためには、どの求人媒体に広告を掲載すべきか、説明会やインターンシップの企画、自社Webサイト内に採用ページ作成など、費用対効果を踏まえ検討します。
選考方法においては、エントリーシートの形式、適性試験の有無、面接の回数などを明確にします。
通年採用では、入社時期がバラつくため、入社後のフォロー体制を整えておく必要があります。
新卒一括採用の場合は同期が身近ですが、通年採用の場合、入社のタイミングによっては同期がいないこともあります。
新しい職場で心細かったり、慣れないことも多いため、人事と現場の担当者が協力しながら新入社員をフォローすることが大切です。
受け入れ業務フローやToDoリストを整備し、受け入れ側の負荷も軽くしていきましょう。
最後に、通年採用を成功させるために押さえたい4つのポイントについてご紹介します。
通年採用という新しい採用方法を導入することで、これまでとは異なる業界や企業と競合する可能性が出てきます。
競合や採用市場の状況を分析し、自社の立ち位置を理解することは、的確な採用計画を立てるために欠かせません。
またターゲットである学生の理解を深めることも必須です。
学生側のスケジュール(卒論時期や授業、学校行事など)、就職先に重視するポイント、転職への意識など、学生側の価値観をしっかりと押さえましょう。
例えば、近頃はやりがいや給料の良さより、ワークライフバランスを重視する学生が多い傾向にあります。
求人情報が年間を通して掲載され続けると、時間が経つにつれて広告の効果が薄れます。
一定の応募数を確保したい場合、求人広告を出すだけでなく、以下のような採用チャネルを複数組み合わせることで、応募数の目減りを防げます。
メインターゲットが学生の場合は、SNSを活用して認知度を上げることも必須です。
限られたエリアで採用活動を行っても、応募数や人材の幅になかなか広がりが持てないことがあります。
対面だけでなく、オンラインで説明会や面接を行うことで、間口を広げましょう。
距離の関係でエントリーが難しかった学生も採用活動の対象となり得ます。
自社ブランディングは採用において欠かせないポイントです。
特に知名度が低い中小企業は必ず取り組みたい項目です。
企業理念や事業内容、企業の方向性など企業の価値観を求職者に伝えることで、ミスマッチの少ない人材確保ができます。
通年採用は年間を通して採用活動を行うことで、労働力確保という課題に有効な手段として注目されています。
キャリアのあり方も多様化する中、新卒一括採用だけでは、今後、優秀な人材を確保することが難しくなると考えられます。
通年採用を導入することで、留学生や既卒者など幅広い人材と接触機会を持ち、自社とマッチする人材を慎重に選考することができます。
今後の採用に備えるという意味でも、ぜひ通年採用の挿入を検討してみてください。
画像出典元:Unsplush, photoAC
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