採用力が高い企業には、優秀な人材が集まり、圧倒的な成長を遂げています。
本記事では、採用力の定義や、採用力が高い企業の特徴、そして具体的な施策・事例を交えながら、採用力を強化するためのヒントを紹介します。
優秀な人材の獲得に悩んでいる企業の担当者必見です。
このページの目次
採用力とは、組織や社会に貢献する人材を見極め、採用する力です。
たとえば、企業の魅力を正しく発信する力、応募者のスキルや人柄を適切に評価する力なども採用力の一部といえます。
また、採用力検定を実施する一般社団法人日本採用力検定協会では、採用力を「学習可能な力」と位置付け、「学習の必要性がある力」だと提唱しています。
採用力があれば、企業は優れた競争力を持ち、個人は自身の才能を最大限に発揮でき、社会全体の持続的な発展に貢献できると言われています。
採用力を構成する要素は、次の3つです。
このうちのどれが欠けても採用力は低下するため、全てを均等に鍛えておくことが大切です。それぞれについて詳しく紹介します。
企業力とは、企業が持つ総合的な魅力です。企業認知度、イメージ、資本力などを総合したものと考えれば良いでしょう。
企業力のある企業の元には、人が多く集まります。「有名企業に入りたい」「企業イメージが良いから入りたい」と考える人は少なくありません。
採用活動において母数を集めやすく、優秀な人材をピックアップしやすくなるのです。
労働条件は、企業の給与や雇用形態、福利厚生などです。近年は働き方改革や働き方の多様化などの影響から、労働条件に注目する人が増えています。
労働条件が良い企業は大きなアピールポイントとなりますし、そうでない場合は大きなマイナスです。
優秀な人材ほど、多種多様な選択肢があります。他の企業と比較して「労働条件が悪い」と見なされれば、自社を選んでもらうのは困難です。
採用活動は、「募集を周知させる広報」「採用に関する実務」です。
企業がどれほど良い労働条件を示しても、それが認知されなければ候補者は集まりません。積極的に広報を行い、人材を募集している旨を周知する必要があります。
また、応募があったとしても、その後の段取りが悪ければ、優秀な人材を見極められません。
採用活動は「募集、面接、採用」と適切な流れに則り、人材をふるいに欠けていく必要があります。
ここで採用活動が体系化されていなかったり採用基準が確立されていなかったりすると、優秀な人材を確保するのは困難となるでしょう。
採用力が高い企業にはどのような特徴があるのでしょうか?
ここでは、採用力が高い企業に見られる6つの特徴について解説します。
採用力の高い企業は、「なぜ採用を行うのか」「どのような成果を目指すのか」といった採用の目的や目標をしっかりと定めています。
たとえば、新規事業拡大のためにはどのような人材が必要かを具体的に考え、「1年以内に5名のエンジニアを採用する」といった明確な目標を設定しましょう。
目標が明確であれば、採用活動全体がブレることなく進行し、判断もスムーズになります。目的や目標を数字で示すことで、採用プロセス全体の優先順位を明らかにしましょう。
採用力が高い企業は、求職者に「この会社で働いてみたい」と思わせるための魅力発信を徹底しています。
自社サイトやSNSを活用して企業のストーリーや日常の風景を発信すれば、働く社員のリアルな姿を伝えることができ、親近感が湧きやすくなります。
また、採用イベントや業界セミナーに積極的に参加することも有効です。
特に、経営者が登壇し、自社のビジョンやミッションについて熱意を持って語ることで、求職者に強い印象を残せます。
採用力の高い企業は、スキルや経験だけでなく、会社の雰囲気やチームに合う人かどうかまで考えて、言語化し具体的な採用目標を設定しています。
さらに、実際に働く社員の意見も参考にしてターゲットを設定すると、入社後のミスマッチを防ぐことが可能です。
採用手法には、求人広告、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用など、さまざまな種類があります。
採用力が高い企業は、自社の課題や目標に合わせて最適な手法を選択し、柔軟に取り入れています。
たとえば、即戦力を求める場合にはダイレクトリクルーティングを活用し、新卒採用にはSNSや採用イベントを組み合わせるなど、それぞれの手法の特性を活かしたアプローチを行っています。
また、採用手法は、市場の動向や企業の成長に合わせて戦略を更新することで、常に最適な方法で人材を確保できます。
採用力の高い企業では、応募者のスキルや経験だけでなく、人柄や価値観をどのように評価するかを具体的に定めることで、面接の質を一定に保っています。
たとえば、評価シートを活用し、質問項目を統一することで、どの面接官が対応しても一貫性のある選考が可能になります。
このような取り組みによって、応募者への公平性が担保されるだけでなく、最終的な意思決定も迅速かつ合理的に行えるようになるのです。
採用力の高い企業は、入社後の定着率や社員の活躍を重要視しており、キャリアアップの機会を提供したり、働きやすい制度を整備したりしています。
仕事にやりがいを持つ社員が多い企業は、自然とその雰囲気が採用活動にも表れ、優秀な人材が集まりやすくなるのです。
「内定を出すこと」をゴールにせず、入社後に活躍し続けられる環境づくりに目を向けましょう。
採用力を高めて優秀な人材を確保するには、採用を戦略的に進めていく必要があります。
企業が採用力を高める上で、積極的に行いたい取組を紹介します。
まず、自社にとってどのような人材が必要なのかを明確にします。ミスマッチを避けるため、なるべく詳細な条件を挙げておくことがおすすめです。
例えば、以下のようなポイントを明確にしてくと良いでしょう。
ただし、あまりにも細かい条件を設定すると、「該当者がいない」という事態もあり得ます。
絶対に譲れないポイントと「あればなお良い」というポイントとに分けて設定するのがおすすめです。
自社にマッチした人材を集めるためには、自社の情報を適切に開示しなければなりません。
中でも仕事内容、給与、雇用条件、福利厚生などは、求職者がまずチェックするポイントです。抜け漏れがないよう、正しい情報を用意しておきましょう。
また、自社の情報を伝えるときはアピールポイントも伝えられると好印象です。
「自社に入ればこんなメリットがある」「働きがいがある」「社風が良い」など、求職者に好印象を持ってもらえるようなポイントをまとめておきましょう。
求人から採用までの選択肢はさまざまあります。
「どのような媒体で求人を出すのか」「いつ頃面談を行うのか」「候補者の絞り込みはどうするのか」などについて、細かくスケジュールを設定しましょう。
具体的な日にちや日数を設定することで、行動目標が明確になります。すべきことを取りこぼしにくく、これが効率的な採用活動につながるのです。
採用活動がうまくいくか否かは面接者にかかっているといえます。面接者を選定する際は客観的な判断を下せる対人スキルの高い人を選びましょう。
ただし、どんなに良い面接者でも、事前の研修は必須です。資料等をそろえて「自社がどのような人材を求めているか」をすりあわせておいてください。
このとき面接者のスキルが足りないと感じれば、別途面接者を研修する必要があります。
また、面接者が求職者を見るのと同様に、面接者も求職者からチェックされています。
「この人がいる会社には入りたくない…」と思われないよう、面接者の振る舞いや言動には十分な配慮が必要です。
良い人が見つかって内定を出しても、途中で辞退されてしまうリスクがあります。
採用した人が確実に入社してくれるよう、採用後もフォローを怠らないようにしましょう。
内定後も密に連絡を取ることが、中途辞退の回避につながります。
ここでは、採用力が高い企業の具体的な取り組み事例を紹介します。
事例を参考に、自社の採用活動をより効果的に改善しましょう。
ゲームやスポーツ、ヘルスケアなど多岐にわたる事業を展開する株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)は、働く魅力を視覚的・具体的に伝え、多くの求職者の関心を引きつけています。
社員のバックグラウンドや最新事業への取り組み、新卒採用責任者のインタビューなど、企業研究や面接準備に役立つ情報をYouTubeで幅広く公開。
創業者である南場智子氏が登場する動画では、経営者の想いや理念にも触れることができ、企業文化を深く理解できます。
ショート動画や丁寧な視聴導線の設計により、求職者が興味を持ちやすい仕組みを構築している点も特徴です。
LINEヤフーが展開するサービスの運営・カスタマーサポートなどを行うLINEヤフーコミュニケーションズ株式会社は、リファラル採用に独自の工夫を加えた「ポジションサーチ」制度を導入しています。
この制度では、紹介者がポジションを特定する必要はなく、候補者の履歴書や職務経歴書をもとに採用チームが適切なポジションを提案します。
「紹介したい人はいるけれど、どのポジションが合うかわからない」という社員の声に応えた仕組みで、紹介のハードルを下げることに成功しています。
制度の浸透には、オフィス内のポスター掲示やメルマガ配信といった認知活動を実施。
多くの社員に活用され、企業文化に合った人材を効率よく確保するだけでなく、社員が採用に積極的に関与できる環境が整いました。
参考:リファラル採用で社員自ら理想の組織をつくる。「この人と働きたい」を後押しする採用手法の実際|LINEヤフーコミュニケーションズ Press
採用力を高めるには、企業力・採用活動力のアップや労働条件の改善が有益です。
とはいえ企業力はすぐに向上できるものではありません。今現在採用力の不足を感じているのなら、採用活動や労働条件の見直しがおすすめです。
また、採用活動が非効率的になってしまっている場合、早急な改善が求められます。人的リソースが不足している場合は、採用管理システムの導入も検討してください。
採用力が高まれば、優秀な人材を得やすくなります。10年後、20年後を見据えて、自社に必要な人材を確保しましょう。
画像出典元:Pixabay、Unsplash
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