優秀な人材を欲しがるのは、どの企業も同じです。「自社にマッチした人材がほしい」「即戦力がほしい」などという場合でも、そのような人が来てくれるとは限りません。
優秀な人材を確保したいとき、成否を握るのが企業の「採用力」です。
現在採用活動が思うようにいかないと感じている担当者は、自社の採用力について今一度考えてみてはいかがでしょうか。
本記事では、人材確保に必須といわれる「採用力」の概要や構成要素、さらには採用力のない企業の課題や、採用力を上げるコツなどを紹介します。
このページの目次
優秀な社員が多く集まり、企業に活気がある…、このような企業は「採用力の高い企業」です。
採用力とは、具体的にはどのようなものなのでしょうか。
採用力の概要や重要性、チェックポイントを紹介します。
「一般社団法人 日本採用力検定協会」では、採用力を「組織および社会に有益な採用活動を設計・実行する力」と定義しています。
採用活動とは、新しく社員を雇い入れるための活動です。つまり採用力とは、企業が「組織や社会に貢献できる優秀な人材を採用する力」と言い換えて良いでしょう。
採用力の高い企業ほど、企業のビジョンにマッチした人材を確保しやすくなります。
企業の重要な経営資源としてよく挙げられるのが、ヒト・カネ・モノ・情報です。
採用力は、このうちのヒトに関わる力です。企業が発展していく上で、ヒトの力は欠かせません。企業のために働ける優秀な社員を雇い入れることは、企業の将来的な安定に直結します。
このように考えれば、採用力は企業にとって最も重要な資質の一つと言えるでしょう。
企業にとって優秀な社員は、市場で戦う上での心強い武器となります。
個々の能力が高く多様性があるほど戦い方の選択肢が増え、業績は安定するでしょう。時として、優秀な社員はそうでない社員の何倍もの価値があります。
例えば、事業が順調に展開していっても、適材適所に人材を配置できなければ展開を止めざるを得ません。優秀な社員が不足していることが、ビジネスチャンスの喪失につながります。
企業の採用力は、経営のあり方に大きく影響する問題です。
採用力を構成する要素は、次の3つです。
このうちのどれが欠けても採用力は低下するため、全てを均等に鍛えておくことが大切です。それぞれについて詳しく紹介します。
企業力とは、企業が持つ総合的な魅力です。企業認知度、イメージ、資本力などを総合したものと考えれば良いでしょう。
企業力のある企業の元には、人が多く集まります。「有名企業に入りたい」「企業イメージが良いから入りたい」と考える人は少なくありません。
採用活動において母数を集めやすく、優秀な人材をピックアップしやすくなるのです。
労働条件は、企業の給与や雇用形態、福利厚生などです。近年は働き方改革や働き方の多様化などの影響から、労働条件に注目する人が増えています。
労働条件が良い企業は大きなアピールポイントとなりますし、そうでない場合は大きなマイナスです。
優秀な人材ほど、多種多様な選択肢があります。他の企業と比較して「労働条件が悪い」と見なされれば、自社を選んでもらうのは困難です。
採用活動は、「募集を知らしめる広報」「採用に関する実務」です。
企業がどれほど良い労働条件を示しても、それが認知されなければ候補者は集まりません。積極的に広報を行い、人材を募集している旨を周知する必要があります。
また、応募があったとしても、その後の段取りが悪ければ、優秀な人材を見極められません。
採用活動は「募集、面接、採用」と適切な流れに則り、人材をふるいに欠けていく必要があります。
ここで採用活動が体系化されていなかったり採用基準が確立されていなかったりすると、優秀な人材を確保するのは困難となるでしょう。
採用力を表わす方法としては、以下の式が使われます。
採用力=企業力×労働条件×採用活動力
大企業や人気企業は企業力が高めです。労働条件や採用活動に力を入れれば、優秀な人材をそろえるのは難しくないはずです。企業力が圧倒的であるほど、よりアピール力は高くなります。
一方、中小企業の場合は、どうしても企業力が弱くなります。とはいえ企業力は一朝一夕で高められるものではありません。
この対策として、中小企業は補助制度やインセンティブを充実させるのがおすすめです。労働条件や採用活動力を底上げして、企業力の不足分を補います。
採用力のある企業とは、誰もが「働きたい」と思う企業です。
ここでは、企業の魅力を構成する3つの要素から「誰もが働きたいと思う企業とはどのようなものか」を考察します。
企業の雰囲気が良いことは、「この企業で働きたい」と思わせる重要なポイントの一つといえます。
そもそも魅力ある企業では、オープンな社風や社員が居心地良く感じる職場環境があるものです。
社員同士がフランクに語り合え、斬新なアイディアも次々と生まれます。生き生きと働く社員を見れば、「働きやすそう」と感じる人が多いでしょう。
また、公正で公平な人事評価制度があったり、成果を上げた社員への報償制度が整っていたりすることも大切です。
社員と企業との間に信頼関係が築かれやすく、社員は高いモチベーションで働けます。求職者に「この会社なら自分の能力を正当にしてくれる」と思わせられれば、多くの人が集まるでしょう。
優秀な人ほど、自身のキャリアプランや将来的なビジョンを明確に持っています。このような人にとって、先行きの分からない企業は不安しかありません。
企業として目指すところが明確で、成長戦略までしっかりと説明できる企業が好まれます。
また、企業のビジョンという意味では、経営トップがどのような未来を描いているかも重要です。
トップが語る企業の将来が共感を呼ぶものなら、企業規模に関係なく「この人の下で働いてみたい」と思う人が出てきます。
独創的だったり革新的だったりする商品・サービスを生み出している企業は、それだけで魅力的です。商品・サービスに惹かれた人たちが、おのずと集まってくれます。
とはいえ、魅力的な商品・サービスを生み出せる企業というのは、奇抜なアイディアを許容する懐の深さがあるものです。
突き詰めれば、「職場環境が良い」「会社の風通しが良い」ということと同義と言えるかもしれません。
採用活動では人を集め、評価し、選別しなければなりません。しかし、採用力の低い企業ほど個々のフェーズをうまく回せず、良い人材を取りこぼしてしまいます。
採用力の低い企業は、どのような課題に直面しやすいのでしょうか、具体的に見ていきましょう。
優秀な人材を採用するには、ある程度大きめの母集団が必要です。しかし、そもそもの応募数が少ない場合、選択肢がありません。
採用したくても「該当する人物が見当たらない」ということがあるでしょう。
企業が十分な応募数を確保できない原因はさまざまです。
「求職者を集める手法は適切か」「求人内容は読まれやすいか」など、今一度基本的なところから確認してみる必要があるでしょう。
採用力の低い企業ほど、採用コストが高額になります。
『2019年卒マイナビ企業新卒内定状況調査』によると、大企業の採用単価が45.6万円だったのに対し、中小企業は48.4万円だったことが分かりました。
中小企業の方が採用コストは高く、採用活動が非効率になっているのです。
採用活動には、広告費用がかかったり採用活動に従事する社員の人件費がかかったりします。
短期間で良い求職者と巡り会えれば良いですが、そうでない場合はさらに資金を投入せねばなりません。採用活動にかかる負担が増加し、採用コストがより一層高くなってしまいます。
採用力の低い企業には特定の採用担当者が選定されていないケースがあります。
特に中小企業の場合、本来別の業務を受け持つ社員が採用担当を兼務することが珍しくありません。採用業務に専念できないため、どうしても採用活動の質が低くなります。
一般に、採用活動では以下のような工数が必要です。
これに加えて、状況に応じて求職者からの質問に答えたり資料を作成したりも必要です。
担当者が他にやるべき業務がある場合、対応がおざなりになるのは仕方ないことです。わずかな対応のミスが、優秀な人材との縁を切ってしまうかもしれません。
採用力を高めて優秀な人材を確保するには、採用を戦略的に進めていく必要があります。
企業が採用力を高める上で、積極的に行いたい取組を紹介します。
まず、自社にとってどのような人材が必要なのかを明確にします。ミスマッチを避けるため、なるべく詳細な条件を挙げておくことがおすすめです。
例えば、以下のようなポイントを明確にしてくと良いでしょう。
ただし、あまりにも細かい条件を設定すると、「該当者がいない」という事態もあり得ます。
絶対に譲れないポイントと「あればなお良い」というポイントとに分けて設定するのがおすすめです。
自社にマッチした人材を集めるためには、自社の情報を適切に開示しなければなりません。
中でも仕事内容、給与、雇用条件、福利厚生などは、求職者がまずチェックするポイントです。抜け漏れがないよう、正しい情報を用意しておきましょう。
また、自社の情報を伝えるときはアピールポイントも伝えられると好印象です。
「自社に入ればこんなメリットがある」「働きがいがある」「社風が良い」など、求職者に好印象を持ってもらえるようなポイントをまとめておきましょう。
求人から採用までの選択肢はさまざまあります。
「どのような媒体で求人を出すのか」「いつ頃面談を行うのか」「候補者の絞り込みはどうするのか」などについて、細かくスケジュールを設定しましょう。
具体的な日にちや日数を設定することで、行動目標が明確になります。すべきことを取りこぼしにくく、これが効率的な採用活動につながるのです。
採用活動がうまくいくか否かは面接者にかかっているといえます。面接者を選定する際は客観的な判断を下せる、対人スキルの高い人を選びましょう。
ただし、どんなに良い面接者でも、事前の研修は必須です。資料等をそろえて「自社がどのような人材を求めているか」をすりあわせておいてください。
このとき面接者のスキルが足りないと感じれば、別途面接者を研修する必要があります。
また、面接者が求職者を見るのと同様に、面接者も求職者からチェックされています。
「この人がいる会社には入りたくない…」と思われないよう、面接者の振る舞いや言動には十分な配慮が必要です。
良い人が見つかって内定を出しても、途中で辞退されてしまうリスクがあります。
採用した人が確実に入社してくれるよう、採用後もフォローを怠らないようにしましょう。
内定後も密に連絡を取ることが、中途辞退の回避につながります。
採用活動のリソースが不足している場合は、採用管理システムの導入を検討しましょう。
採用管理システムとは、採用活動のあらゆるフェーズの情報を一元的に管理するシステムです。
個々の応募者のプロフィールはもちろん、面談内容や評価などもまとめて管理できます。情報は社内で共有できるため、採用活動を全社的に行うことが可能です。
ここからは、おすすめの採用管理システムを紹介します。
新卒・中途・アルバイト・パート、また求人媒体やエージェントからの紹介等、あらゆる採用に活用できる採用管理システムです。
業種・従業員規模関わらず導入されているので、初めて採用管理システムを導入する場合におすすめです。
応募者の進捗状況が一目で確認でき、ユーザ間での情報共有ができるので、選考の管理や状況把握といった、採用活動全体の一元管理が可能となるのが大きな特徴です。
また、30人までなら無料プランで利用でき、有料プランも年間ではなく月契約で利用できるという料金体系やコストメリットが採用管理の定番となっている理由です。
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~50名/月 | 8,500円/月 | 30,000円/月 |
51~150名/月 | 30,000円/月 | |
151~300名/月 | 70,000円/月 | |
301名~1,000名/月 | 120,000円/月 |
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画像出典元:Pixabay、Unsplash
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