ポテンシャル採用とは、求職者の伸びしろや熱意など潜在能力に期待して採用する採用手法です。
スキルが高く経験豊富で優秀な人材は即戦力になり得ますが、なかなか応募が集まらないという声も少なくありません。
今回は大手企業が注目し始めているポテンシャル採用の手法や導入のメリット、導入事例について紹介します。
このページの目次
ポテンシャル採用とは、これまで導入されてきた新卒採用・中途採用とは異なる採用手法です。
専門的な知識や経験、スキルを問わず、求職者の人柄や資質、可能性を含めた潜在能力を重視した採用活動を行います。
近年、大手企業がポテンシャル採用の導入を始めたこともあり、若手人材の獲得に積極的な多くの企業が導入しました。
特にIT業界やエンジニアなどの採用枠を増やしたい企業が多く導入していて、素質のある人材確保のために採用の間口を広げています。
ポテンシャル採用は主に新卒や第二新卒など、20代半ばの求職者を対象に行われていますが、厳密に何歳までという決まりはありません。
ポテンシャル採用は、採用手法として長く取り入れられてきた新卒採用や中途採用と採用基準が異なります。
ポテンシャル採用と新卒採用は、広い意味では「求職者の潜在能力を重視した採用」活動になるため、本質的には変わりません。
新卒採用は卒業見込みがある、もしくは卒業後3年以内の求職者を年1〜2度にわけて採用する手法です。
一方でポテンシャル採用は、時期を問わず採用できるため、海外留学などの理由で新卒採用の時期には見つけられなかった人材を発掘できます。
ポテンシャル採用と中途採用の違いは、「即戦力となるスキルや経験を保有しているかどうか」です。
中途採用は、主に欠員の補充や新規部署の立ち上げなど、特定の場所で活躍できる人材を確保したいときに導入されます。
そうした背景から、未経験者よりも経験者が優遇されていましたが、近頃はポテンシャル採用枠を設けている企業も増えてきました。
ポテンシャル採用を行うメリットは、これまでの採用手法では得られなかった優秀な人材の確保や企業の発展が見込まれることです。
ここでは企業が得られるメリットの中でも、特に大きなメリットを5つ紹介します。
ポテンシャル採用では中途採用と同じく、基本的なビジネスマナーを習得している人材が採用できる可能性が高いです。
新卒の場合、業務を覚えてもらうよりもまず電話の受け方や名刺の渡し方など、基本的なビジネスマナーを身につける必要があります。
その点、一度就職した経験のある若い人材を採用できれば、ビジネスマナー研修の費用や時間が削減でき、いち早く即戦力としての育成ができるでしょう。
本人の考え方や人柄を重視して採用するポテンシャル採用は、幹部候補生となり得る人材を採用できる可能性があります。
企業に就職したことのある若手人材は、基本的なビジネスマナーやセルフマネジメントスキルが高い傾向も。
まだ前職での凝り固まった考え等もないため、柔軟性と吸収力を持ち合わせている可能性も高いです。
スキルを重視した中途採用よりも、ポテンシャル採用のほうが企業の理念を素直に吸収できる幹部候補生を見つけやすいといえます。
企業のタイミングで採用活動ができるポテンシャル採用では、新卒採用の時期とはひと味違った若手人材を採用しやすい傾向です。
万一、新卒採用者から早期離職者がでてしまっても、ポテンシャル採用を導入すれば第二新卒などでの人材を採用できます。
特に必要なスキルや経験の条件が高くなければ、新卒とはまた異なる視野をもった若手人材からの応募が増加する可能性も。
ポテンシャル採用を導入することで、社内の年齢構成が高いといった課題も解消できるでしょう。
ポテンシャル採用は、明確なキャリアプランを持っていたり、スキルを磨いてさらに成長したいといった高い意欲を持った人材を採用しやすいです。
モチベーションの高い若手人材は、自分の目標や適正に合った企業で働きたいと考えています。
新卒で大手企業に就職後、自分の積極性を生かすためにベンチャー企業へ転職する若手人材も少なくありません。
第二新卒や中途採用と同じく、ポテンシャル採用は他業界・他職種の経験を持った人材を採用できるため、ダイバーシティ化が期待できます。
全く違う業界経験や考え方を持っている人材を採用できれば、これまでの経験を生かして斬新なアイデアやイノベーションが生まれるかもしれません。
ポテンシャル採用は組織の柔軟性を保つためにも、企業の発展を勢いづけるためにも有力な採用方法といえます。
企業の若返りや幹部候補生の採用など、企業にとって多くのメリットがあるポテンシャル採用ですが、デメリットももちろん存在します。
ここでポテンシャル採用を行うことで発生するデメリットを3つ確認していきましょう。
スキルを重視した中途採用に比べ、ポテンシャル採用で獲得した人材は育成コストがかかります。
基本的なビジネスマナーが身についていても、即戦力となってもらうためには、専門知識やスキルを少なからず補足する必要があるでしょう。
スキルの高い人材をポテンシャル採用できる可能性もありますが、可能性としてはそう高くありません。
自社の状況に合わせて、スキル重視の採用をするのか、将来性の高い人材を育成するのか検討する必要があります。
ポテンシャル採用の場合、早期離職のリスクも見逃せません。
一度転職した経験がある人材は転職への抵抗がないことも多く、入社後にミスマッチを感じると離職してしまう可能性も。
特に同期のいないポテンシャル採用は、新卒採用と比べて孤独感を感じやすくなる懸念もあります。
若手人材を定着させるためにも、志望動機や前職の退職理由については詳しく確認しておきましょう。
将来性を感じてポテンシャル採用をしても、思っていたより伸びが感じられない可能性もあります。
中途採用ならスキルや実績でパフォーマンスレベルがわかりますが、ポテンシャル採用は手厚いサポートや教育体制を整えても、活躍できる保障はないのです。
ポテンシャル採用は見極めが難しい可能性も含め、リファレンスチェックなど書類選考や面談以外の判断材料を増やすといいでしょう。
ポテンシャル採用を成功させるためには、応募者のポテンシャルを正しく見極めなくてはなりません。
明確な採用基準の設定など、ポテンシャルを成功させるためのポイントを3つ紹介します。
ポテンシャル採用を成功させるために欠かせないポイントとして、採用基準を明確にすることが重要です。
人柄や素質、自社に必要な価値観など、自社にとってのポテンシャルは明確にしておかなければなりません。
曖昧な判断でポテンシャル採用をしてしまうと、企業も応募者もミスマッチを感じやすいです。
ポテンシャル採用の導入前に社内でどういった人材を欲しているのか、確認してみることをおすすめします。
応募者のポテンシャルを見極めるためには、前職の退職理由の確認は欠かせません。
退職理由によっては、採用した後に同じ理由で早期離職してしまう恐れもあります。
採用担当者が退職理由に納得できないときは、もし同じことが起きた場合どう行動するのか確認しておくと安心です。
基本的なビジネスマナーを身につけている人材が多いポテンシャル採用ですが、自社の戦力となってもらうためには教育体制を整えることが大切です。
新卒採用ほどの教育は不要ですが、ポテンシャルを生かすためにしっかりとした教育は欠かせません。
ポテンシャル採用を行うときは、社内で教育できる人材・余力があるのか、研修や教育を代行してくれる業者に代行するのか事前に検討しておきましょう。
ポテンシャル採用を導入する際は、自社と応募者のキャリアビジョンをすり合わせて置く必要があります。
お互いのキャリアビジョンが異なると、ミスマッチを感じて早期離職につながりかねません。
応募者が考えているキャリアビジョンをヒアリングし、自社で得られるスキルや築けるキャリア、どう成長して欲しいか提示しておきましょう。
ポテンシャルを見極める質問として、自社で成し遂げたいことはなんなのか、5年後、10年後の展望など具体的な質問をするのもおすすめです。
ここでポテンシャル採用を導入している企業を4社紹介します。
ヤフー株式会社は2016年10月から新卒一括採用を廃止し、30歳以下の通年ポテンシャル採用を導入しました。
新卒や既卒、第二新卒など経歴を問わず選考時期も通年です。
海外留学や博士号取得などで4月入社の選考には間に合わない学生も、選考チャンスが得られます。
エイベックス株式会社は社会人歴4年未満であれば、学歴問わず選考を行うポテンシャル採用を導入しています。
何度でもチャレンジ可能なオープンポジション採用なので、経歴やスキルに変化があれば再度応募でき、夢を諦めたくない人にはもってこいです。
株式会社コロプラも2021年4月より、新卒一括採用から通年ポテンシャル採用に切り替えています。
28歳以下ならいつでも応募が可能で、入社時期も応募者の希望に合わせて調整できる自由度の高い採用が特徴です。
※3年以上の就業経験がある場合はポテンシャル採用ではなく、キャリア(中途)採用での募集になります。
株式会社サイボウズは、「新卒」「キャリア(中途)」「ポテンシャル採用」の3つの採用方法を導入しています。
ポテンシャル採用では、キャリア採用の要件を満たしていない、IT業界に興味がある・チャレンジしてみたい方が対象です。
年齢制限がないので、30代の方でもIT業界やサイボウズに興味があれば選考チャンスが得られる体制になっています。
ポテンシャル採用は、若手を積極的に採用したい企業に適した手法です。
すぐに即戦力とはいかなくても、将来の自社を担う多種多様な人材を採用できるメリットがあります。
時期を特定しないポテンシャル採用により、企業の採用活動が分散される効果も。
大手企業も導入しているポテンシャル採用は、今後さらに多くの企業に浸透していくでしょう。
画像出典元:写真AC、O-DAN
オンライン採用のメリットとデメリットを解説!採用システムは必要?
採用力とは?優秀な人材を確保するために必要なポイントや課題を紹介
採用コストとは?計算方法とコストを削減して適正化する方法を解説!
採用フローの作成方法をやさしく解説|意味・メリット・パターン例
採用担当者必読!内定辞退率を改善する対処法とは?取り組み事例も紹介
採用・不採用メールの文例|応募対応から採用通知がこれで完結
【不採用通知の文例集】自社イメージを守るマナーと書き方
採用通知書とは?【文例つき】記載事項や書き方のキホン
内定者フォローで辞退者を減らせ!重要性や注意点、企業がすべきことは?
リモート採用で優秀な人材を確保!解決策や成功のポイントを徹底紹介