【2022年SaaSトレンドまとめ】市場規模・最新動向や、注目の成長企業をレポート

【2022年SaaSトレンドまとめ】市場規模・最新動向や、注目の成長企業をレポート

記事更新日: 2023/01/20

執筆: 大山直美

DX化の推進も追い風に、SaaSの市場規模は年々拡大しています

特に近年は、コロナ禍やリモートワークの広まりによる急成長で「SaaSバブル」が到来。

2022年も新規上場のニュースや、CMなどで存在感を増した注目のSaaS企業が幾つも出現しました。

そこで今回は、SaaS企業の動向に詳しい起業ログ編集部の視点から『SaaS業界の最新トレンド』を解説します。

起業ログ独自データも活用し、市場規模の推移や、IPO・成長率などの最新動向とともに紹介していきますので、ぜひご参考になさってください。

SaaSの市場動向

クラウド経由、サブスク型の手軽さも浸透し、SaaS市場は常に右肩上がりで成長しています。

では、一体どのくらい、どんな企業が伸びているのでしょうか?

市場調査データや起業ログへの掲載企業の動向から、その動きをみてみましょう。

SaaS市場は拡大中

ITRの市場調査によると、2022年の国内SaaSの市場規模は690億円*と推計されました。

パッケージ型の市場規模は790億円なので、その差100億円に迫る勢いまで成長しています。

前年度比の成長率でみた場合は、2018年以降、毎年、前年度比120%~130%*で伸び続けています

国内GDPの伸び率は1ケタ台ですし、情報通信業全体の売上高でも3%前後なので、この伸び率がいかに高いかということが分かるかと思います。(内閣府経済産業省

*出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2021」


なお、パッケージ(オンプレミス型)とSaaS(クラウド型)の違いは以下記事もご覧ください。

 

<起業ログ的>2022年トレンド動向

それでは具体的にどのようなSaaS企業が伸びているのでしょうか。

今勢いのあるSaaS企業が常時数千件掲載されている起業ログ(SaaSログ)のカテゴリごとの推移から、2022年のトレンド動向を分析してみます。


2022年、SaaS企業の掲載数Top3カテゴリは「営業・マーケティング」「バックオフィス」「人事・人材」で、2021年までと大きな変化はありませんでした。

どのカテゴリも膨大なデータを扱ったり、データ分析や効率化が重要となる領域なので、SaaSと相性が良いため、多数の企業が参入しているようです。

また、2021年までと2022年を比較すると、割合が減った/増えたカテゴリがあることがわかります。

割合が減ったカテゴリ
割合が増えたカテゴリ
人事・人材(-5.4%) 営業・マーケティング(+3.0%)
ナレッジ・共有(-2.8%) AI・オートメーション(+2.4%)
分析・リサーチ(-1.4%) 開発・デザイン(+1.5%)

 

■割合が減ったカテゴリ

「人事・人材」「ナレッジ・共有」のカテゴリは割合が減少しました。

これは、2020年からのコロナ禍の影響で、2020年~2021年にかけて、リモートワーク系SaaSを急速に導入する企業が増えた分の反動ではないかと推測されます。

ワークフローやチャット、勤怠管理、人事管理などのSaaSを必要とする企業が一気に導入を進め、それが一巡したため、今度は別領域のSaaS化へシフトしている傾向が見てとれるともいえるでしょう。

 

■割合が増えたカテゴリ

「営業・マーケティング」「AI・オートメーション」「開発・デザイン」のカテゴリは割合が増加しました。

これは、リモートワークの広まりによるクラウド活用の浸透で、今度は「データ活用」への理解や需要が増した結果ともいえるでしょう。

MAツールSFAツールなど、営業・マーケティング支援ツールの市場は2022年も活況でした。

また、AI技術の進歩により、AI活用が契約書管理翻訳など、多領域に広がったことや、開発やデザイン環境では「ノーコード」という、非エンジニアでも簡単に作成ができるツールの提供会社の存在感が増し、割合の増加に寄与しました。

 

2022年の主な法改正

2022年に施行された主な法改正は次のとおりです。

施行年月 内容 何が変わった? 影響を受けるシステム
2022年1月 「電子帳簿保存法」の改正 電子帳簿保存をする場合の、事前の税務署長の承認が不要に。タイムスタンプや検索要件の緩和なども。 電子契約システム
2022年5月 「宅建業法」の改正 重要事項説明書や不動産契約の電子交付が可能に。 電子契約システム
2022年10月 「年金制度改正法」の社会保険の適用拡大 パート・アルバイトの社会保険加入義務が、従業員数100人超の企業から適用に。 労務管理システム
勤怠管理システム

 

電帳法改正で電子契約化が加速!

2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、電子契約を行う際のハードル要件が緩和されたことで、電子契約化がさらに加速しました。

それまで、国税書類の電子帳簿やスキャナ保存の導入を希望する場合、開始日の3ヶ月前までに税務署へ申請書を提出する必要があったのですが、これが不要となりました。

3ヶ月のタイムラグがなくなり、申請書の手間も省けたので、導入を迷う企業への負担が減りました。

また、有効とされるタイムスタンプの期間が大幅に延びたことや、検索必須の項目の数が減ったことで、現場担当者の負担も減り、現状のフローからの切り替えに踏み切る判断がしやすくなりました。

 

宅建業法改正で不動産業界もDX化!

2022年5月の宅建業法の改正により、不動産業界における完全オンライン契約がやっと実現することとなりました。

これまで、重要事項説明書のみとして、段階的に改正が進められてきましたが、ついに契約時の押印廃止と電子書面交付が全面解禁となったのです。

これにより、電子契約サービスの導入が、不動産業界において一気に加速しました。

不動産業界特化のサービスや、業界用のメニューを設けたサービスも登場してきており、2023年も引き続き伸びていく領域となると見込まれます。

社保の適用拡大による労務対応!

2022年10月から、社会保険の対象となるパート・アルバイトの定義と、加入義務の対象となる会社の定義が一部変更になりました。

具体的には、従業員数500人超→100人超の会社が対象となり、雇用期間が2ヶ月を超えることが見込まれるパート・アルバイトが対象となり、特にこのバーにかかりやすい中小企業では対応を迫られることとなりました。

手続きを効率化するためには、勤怠管理システムを用いた労働時間の把握や、労務管理システムを用いた申請書の提出も有効ですので、以下記事などを参考に検討してみてください。

 

2022年にIPO・資金調達したSaaS企業

それでは2022年、市場のニーズの変化や法改正の追い風などで勢いを増した注目企業はどんな企業だったのでしょうか。

企業の成長度や事業拡大度が現れる、IPO・資金調達の動きから、その動向を見てみましょう。

注目IPOの3社

トリドリ

 画像出典元:トリドリマーケティング公式HP


1社めは、インフルエンサーマーケティングサービス「トリドリマーケティング」などを提供する株式会社トリドリです。

同社は、2022年11月14日に東京証券取引所グロース市場への新規上場が承認されました(上場日は2022年12月19日を予定)。

YoutubeやInstagramにおける広告戦略支援を担う同社は、同SNSの拡大とともに、2016年の創業以来、右肩上がりに成長。

元インフルエンサーが代表を務める、時代の先端領域の注目企業の躍進として話題となっています。

 

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学習塾向けSaaS「Comiru」

画像出典元:「Comiru」公式HP

塾業務の効率化SaaS「Comiru」を提供する株式会社POPERは、2022年11月15日、東証グロース市場に上場しました。

先生が、生徒や保護者と向き合うことに心と時間の余裕を持てるよう、手間のかかる塾業務をSaaSの力で効率化することをミッションに事業を拡大しています。

全国4,000 教室以上が利用中で、オンライン授業や自宅学習支援サービスなど、教える環境に関する様々なツールも提供中です。

訪問看護支援SaaS「eWeLL

画像出典元:「iBow」公式HP

訪問看護専用の電子カルテサービス「iBow」を提供する株式会社eWeLLは、2022年9月16日に東証グロース市場に上場しました。

カルテのデジタル管理・ノウハウの情報共有や訪問介護者の勤怠管理など、単なる電子化だけにとどまらない、包括的なDXで医療現場を支援しています。

医療現場の基幹システムを長期的に安定提供していくべく経営の安定性を図るためIPOを目指したそうです。

 

注目IPOの2社め、3社めの「Comiru」「eWeLL(iBow)」は、業界を跨いで汎用的に使えるバーティカルSaaSに対し、業界特化型として注目されるバーティカルSaaSの企業です。

SaaS導入企業が日本全国、様々な業界に広がってきたからこそ、このようにこれまでは特化型の産まれづらかった領域においても、十分収益性を得られる強い企業が出てきたことも、昨今の特徴でしょう。

資金調達で勢いづく3社

IPOよりもさらに顕著に、事業拡大傾向を示すともいえる資金調達動向。

法改正の注目領域、電子契約や勤怠管理などのサービスを有する企業も何社か、2022年内に大規模な額の資金調達を実施しています。

LegalForce 137億円


画像出典元:「LegalForce」公式HP

「株式会社LegalOn Technologies」が運営するLegalForce(リーガルフォース)は、大手企業をはじめ法律事務所など2,500社を超える導入実績を持つAI契約審査プラットフォームです。

同サービスは、独自開発のAIと弁護士の知見を組み合わせた、精度と信頼性の高いサービスで導入企業を増やしています。

また、今後の更なる躍進へ、採用、開発、営業の強化に投資するため、シリーズDラウンドにおいて、SoftBank Vision Fund 2をリード投資家に総額約137億円を調達しました。

AI活用や法務部門のDXという、トレンドキーワードの領域で、着実に実績を延ばしている同社に今後も注目が集まります。

 

LegalForce 含むAI契約書レビューサービスの資料をDL

 

 

アンドパッド 122億円

 画像出典元:「ANDPAD」公式HP

建設業界向けSaaS「ANDPAD」などを運営する株式会社アンドパッドは、2022年に、海外投資家を中心に総額約122億円の資金調達を実施しました。

主力のANDPADは、施工管理クラウドとしてシェア1位を獲得しており、導入社数も14万社を超えています。

また、建設業界はその市場規模が約62兆円と大きく、今後も導入社数の伸びやオプション、周辺サービスでの売上拡大も見込める点にも期待が寄せられます。

こちらも、近年注目の業界特化型のバーティカルSaaSですし、今後もDX化が未開拓の市場でこのような急成長企業が出てくる可能性があるといえるでしょう。

 

 

jinjer 51億円 

画像出典元:「ジンジャー勤怠」公式HP
 


バックオフィス向けSaaS「ジンジャーシリーズ」を提供する、jinjer株式会社も、2022年に大型の資金調達を行いました。

管理部門全般の効率化に役立ち、勤怠人事労務給与経費サイン(契約)などの領域を幅広くカバーする同シリーズは、リモートワーク普及も追い風に順調に導入件数を伸ばしています。

今回の調達資金は、「ジンジャーシリーズ」のプロダクト開発とマーケティング投資、エンジニア・セールスなどの採用活動の強化等へ投資していくそうです。

 

ジンジャー勤怠 含む勤怠管理システムの資料を一括DL

 

 

2022年の注目成長SaaS企業

これまでも触れたとおり、近年のSaaS業界には、リモートワーク、データ分析、AI技術など様々なトレンドがありました。

また、それに加え、市場・景況には、相変わらずの人材不足・少子高齢化問題、そして物価高も加わり、「SaaSが解決すべき課題」はどんどん増えています。

この章では、この時流などを上手く味方につけて、売上高拡大している企業や、成長領域で起業した有力スタートアップなどを紹介していきます。

売上高伸び率の高い注目企業

企業の成長率を見る指標は、MRR・ARRなど様々にありますが、本章では一番わかりやすい売上高前年比(YoY)を軸に、成長著しい企業をピックアップして紹介していきます。

マネーフォワード(+35.4%)

 画像出典元:「マネーフォワードクラウド会計」公式HP

バックオフィス業務の効率化SaaSなどを提供する株式会社マネーフォワードは、近年、継続的に、年率30%以上の伸び率を維持している成長企業です。

経理・人事・労務などの面倒な作業を効率化・自動化してくれる「マネーフォワードクラウド」シリーズが好評で、FY22第三四半期の売上高は15,296百万円(YoY 135.4%)でした。

会計クラウド領域に強く、法人決算の基本SaaS「マネーフォワードクラウド会計」だけでなく、IPO準備を控える企業向けに内部統制強化に特化した「マネーフォワード クラウド会計Plus」や、2022年冬には、連結会計システム「マネーフォワード クラウド連結会計」のリリースも予定しています。

 

 

カオナビ(+35.9%)

 画像出典元:「カオナビ」公式HP


タレントマネジメントシステムで7年連続シェアNo.1
を誇る「カオナビ」を提供する株式会社カオナビも、FY23第二四半期の売上高は2,813百万円(YoY 135.9%)と大きく成長している企業です。

メガバンクや大企業にも導入され、直観的に使えるインターフェースと万全のセキュリティ対策も高く評価されています。

人事・労務の手続き面のDX化がある程度一巡したところで、近年トレンドとなっている「データ分析」領域のSaaSであり、今後の躍進もさらに期待されるでしょう。

 

ヤプリ(+30.1%)

 
画像出典元:「yappli」公式HP

ノーコードでスマホアプリを簡単作成できる「yappli」を提供する株式会社ヤプリも、ノーコードツールのトレンドを牽引する高成長企業です。

FY2022第三四半期の売上高は3,011百万円(YoY 130.1%)で、導入社数600社以上、継続率も99%と好評です。

稲垣吾郎さんのCM出演(2022年冬時点)でも注目を集め、「ノーコードって何?」といった顧客層への認知度UPにも繋がったようです。

 

海外進出のoVice

画像出典元:「oVice」公式HP

テレワーク環境でのコミュニケーションに役立つバーチャルオフィスツールで国内トップシェアを誇る「oVice」

テレビCMや電車・タクシー広告などでも認知度を上げ、導入社数も順調に拡大しているようです。

その地盤をベースに、同社は2022年8月にシリーズBで45億円の資金調達を行い、米国への本格進出を計画しているそうです。

実は、アメリカのリモートワーク率は日本よりも低いため(ワクチン接種のスピードなどによる)、メタバースやバーチャル空間への注目も集まる今後、米国進出での伸びしろも期待されています。

 

医療系も伸びている

2022年、そして今後のトレンドキーワードとして、少子高齢化社会で活きる「医療分野」でのSaaS活用も盛り上がっています。

国民の3~4人に1人が後期高齢者となるともいわれる社会を支え、医療・介護現場の労働力不足や、生きづらい社会の課題解決に繋げようと、様々なスタートアップがサービスを提供しはじめています。

ここでは、起業ログで取材した医療分野の有名サービスを幾つか紹介していきます。

 

 

 

 

 

まとめ

この記事では、2022年SaaSトレンドまとめを起業ログ編集部の視点から調査・解説しました。

コロナ禍も次の局面に少しずつ移行している昨今、リモートワークバブルだけでなく、市場のニーズにも変化が生まれているようです。

今後も、新領域で成長企業が出てくると思いますので、引き続き注視していきましょう。

画像出典元:o-dan

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