誰しもが耳にしたことのある有名ツール「Salesforce」、一体何がそんなにすごいのでしょうか。
営業部門が使うものと何となく知っていても、実際何ができるサービスなのかよくわからないという方も多いかと思います。
この記事では、「Salesforceでできることが知りたい」「Salesforceを導入したほうが良いのかどうか考えてみたい」という方のために、わかりやすくその機能やメリットなどを紹介していきます。
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「Salesforce」とは、顧客・営業活動などの情報をまとめて管理できるクラウド型のサービスです。
世界、国内ともにシェアNo.1の有名サービスであり、大手向けの難しいものと思われがちですが、顧客の6割以上は中小企業といわれ、小規模な事業者にも活用をおすすめしたいツールです。
Salesforceを使えば、「まとめて管理できる」「効率化できる」などといわれますが、領域が広すぎて何なのかよくわからないという方も多いかと思います。
Salesforceは、一体何ができるツールなのでしょうか?まずはこのメインの4つがわかればOKです。
①Sales Cloud(セールスクラウド)
営業活動を支援します。見込み顧客が成約に至るまでの情報を一元管理することで、より成約率を上げたり、データ分析による売上予測を立てることができます。
②Service Cloud(サービスクラウド)
顧客対応を効率化します。過去履歴を活用した返答や自動返答などで、精度とスピードを上げることができます。
③Marketing Cloud(マーケティングクラウド)
toC(一般消費者・個人消費者)に向けての販売活動を支援します。メール配信やプッシュ通知のタイミングサジェストや自動配信で売上アップに繋げます。
④Account Engagement(アカウントエンゲージメント)
正式名はMarketing Cloud Account Engagement (旧: Pardot)です。
toBに特化したツールで、商談が必要なビジネス商材の販売活動を支援します。見込み顧客の中から成約率の高そうなリードを発見・育成することができます。
Salesforceとは、そもそも製品群の総称であり、その中には13種類ほどの製品がありますが、「導入を検討したい...」という1stステップでは、基幹となる4つからまず抑えましょう。
営業や顧客管理のシステムが多数ある中で、Salesforceはなぜここまで評価されるのでしょうか?
<Salesforceのすごさ>
① カバー範囲が抜群に広い
② 自社用にカスタマイズできる
③ 自動化・AIなどの最先端技術
顧客管理(CRM、SFA)、営業支援(MA)などに特化したツールは多数ありますが、Salesforceほど顧客とのあらゆる接点の情報を管理できるサービスは殆どありません。
顧客獲得から顧客育成まで、名刺情報や面談記録、帳票管理まで...と幅広い情報を一元管理できます。
また活用法によっては、採用・人事評価、労務管理など全社的な効率化に利用することも可能です。
Salesforce専門家 奥村直人
カバー範囲が広くカスタマイズ性の広さは随一です。初期設定でもSalesforceの思想に基づいたテンプレートになっており、スピーディーに導入することが可能です。
Salesforceは、自社にあわせて柔軟なカスタマイズが可能である点も魅力です。
Microsoft OfficeやSAPなどの重要基幹システムと連携したり、社内の既存システムと繋いでいる企業も多いです。
また画面デザインや項目の配置などを、ドラッグアンドドロップで誰でも簡単にカスタマイズできる機能もあります。
Salesforce専門家 奥村直人
基本的にはノーコードツールなのですが、Salesforce内でコードを書くこともでき、複雑な要件にも対応できます。
Salesforceには、業務負荷を軽減するための自動化機能が搭載されています。
自社で必要な機能を組み立てることができるので、〇〇日後にフォローメールを送信する、契約更新のアラート、レポートの自動作成など、活用の幅は無限大です。
また、Salesforceは早期からAIに着目し、AI機能「Einstein(アインシュタイン)」を実装しています。
過去データを元に成約率を高める商品パターンは何かを提案したり、顧客とのやり取りメールを分析して、提案文をサジェストしてくれたりと、既にAIと伴走した営業活動が可能になっています。
では、これらの機能群を使って、何ができるのかを具体的にみていきましょう。
Salesforceを使えば、顧客にまつわるあらゆる情報を、ひとまとめで管理、把握できます。
顧客管理が強化されることで、中間地点の無駄が省かれ、スピードや営業力の強化に繋がります。
■Salesforce 使用前の状況例
・取引先リスト、商談履歴、契約書ひな型などが別のファイルで管理
・最新情報を検索するのに時間と手間、手作業での連携が発生
■Salesforce 使用後の状況例
・ひとつの画面内で、顧客情報・商談履歴や必要ファイルが確認できる
・担当者変更や期日の変更などが自動連携で更新される
Salesforce専門家 奥村直人
従来では担当者ごとの情報管理になっていたものが顧客ごとの情報管理になることで、より営業効率の上昇を見込むことができます。また、営業効率が上がるのみならず、業務の属人化の抑制、営業教育にも効果を見込むことができます。
Salesforceを使うと、お客様からの問い合わせ対応のスピードアップと品質向上ができます。
サポート力が上がることで、顧客満足度のアップにも繋がります。
■Salesforce 使用前の状況例
・過去の対応履歴を参照するのに時間がかかる
・社内の別部門への問い合わせないと回答できないため保留処理
■Salesforce 使用後の状況例
・対応履歴や社内SNSを同時並行で見られるのでリアルタイムで対応可
・長期化しやすいケースを管理したり、並行してサポート対応できる
Salesforce専門家 奥村直人
問い合わせ内容を顧客に紐付けることで、それまでに顧客とどのようなやり取りがあったかを見ながら対応することができます。また、担当者や通知を設定することで対応の漏れを防止することができ、お客様の満足度の向上につなげることができます。
Salesforceを使うと、個人の勘ではなくデータに基づいた分析と予測ができるようになります。
ミスやボトルネックがカバーできるようになり、予測に基づいて次のアクションへの精度が上がります。
■Salesforce 使用前の状況例
・営業担当個人の感覚による優先順位づけや対応戦略
・ボトルネックがどこか不明瞭、全体を俯瞰して把握できない
■Salesforce 使用後の状況例
・データ分析やAIの提案から、最適なタイミングやプランを選択
・データの見える化で原因把握、成功ケースを真似て成約率アップ
Salesforce専門家 奥村直人
リードや商談にステージを設定することができるのでステージごとの切り口での分析が可能です。また分析した結果に基づき予測を行うことで、マネージャーや経営者の方々が必要とするような長い時間間隔での情報も表すことができます。
これまで紹介したSalesforceの機能を用いると、時間のムダを削減して、より成果の上がる営業・顧客対応ができるようになり、結果的に業務全体の効率化と売上アップに繋がります。
またSalesforceはモバイルからもアクセス・更新できるので、より生産性を上げることが可能です。
■Salesforce 使用前の状況例
・報告書作成のために情報検索するだけで時間がかかり残業過多
・自チーム以外の動きが見えづらく、他部門のナレッジも生かせない
■Salesforce 使用前の状況例
・過去履歴やAIの活用で処理業務がスピードアップ
・課題や成果が見える化されることで営業担当の意識改革に
なお、これらの事例は代表例であり、そのほかにも、アプリ開発、ネットショップの管理、管理部門(経理など)が使える機能など全社的なあらゆる部門にとって"できること"が増えるサービスであるといえます。
更に深く知りたい方は、次章から紹介する各サービスをご覧ください。
Salesforceのサービス群にはどのようなものがあるのか紹介していきます。
各サービス名のリンクを押すと、より詳しい説明を見ることができます。無料資料がダウンロードできるサービスもありますのでぜひご活用ください。
サービス名・詳細リンク | できること | 最低料金 |
Sales Cloud(セールスクラウド) | 営業案件の管理や売上予測など | 月額 3,000円/ユーザー ~ |
Service Cloud(サービスクラウド) |
顧客対応履歴の管理・共有など | 月額 3,000円/ユーザー ~ |
Marketing Cloud(マーケティングクラウド) | toC顧客とのOne to Oneマーケティング | 要見積り |
Marketing Cloud Account Engagement(旧Pardot) |
リードの可視化、LPや入力フォームの作成 | 月額 150,000円~ |
Commerce Cloud(コマースクラウド) | ECサイトの構築、CV促進 | 要見積り |
Salesforce Lightning Platform(ライトニングプラットフォーム) | ビジネスアプリケーションの開発 | 月額 3,000円/ユーザー ~ |
Experience Cloud(エクスペリエンスクラウド) | FAQサイトの作成、顧客との情報共有 | 要見積り |
Salesforce Einstein(アインシュタイン) | AIによるデータ分析、将来予測、自動化 | 月額 3,000円/ユーザー ~ |
AppExchange(アップエクスチェンジ) | 外部開発者によるビジネスアプリマーケット | 無料~(アプリによる) |
最低料金の表示は、1ユーザーあたりの月額なので、利用人数で掛け算をする必要があります。
なお、上記で紹介した以外にも、Slack(スラック)や、Tableau アナリティクス(タブローアナリティクス)、MuleSoft(ミュールソフト)なども、買収によって加えられたSalesforceサービス群の中の一部です。
Salesforceは相乗効果のある有名ツールを積極的に買収・グループに加えており、今後も使いやすさが進化していくことが期待できます。
Salesforce専門家 奥村直人
これだけ複数領域にまたがったサービス群を擁することで、サービス間の連携を充実させ、それによる相乗効果を生み出せる点もSalesforceの強みです。
Salesforceを導入することで、具体的にどのような効果が期待できるのか見ていきましょう。
Salesforceのプラットフォームを活用すれば、顧客に関するあらゆるデータを部門の壁なく共有できます。
マーケティング・営業・サポート部門の間で顧客情報が共有されていない場合、最適なタイミングでのアプローチや適切なフォローが難しくなり、営業チャンスを逃すこともあります。
Salesforceで顧客管理を一元化すれば、あらゆるフェーズに最適な提案・サポートを行うことができ、営業やサポートの精度が上がり、顧客満足度の上昇につながります。
Salesforce専門家 奥村直人
顧客情報は部門ごと、担当者ごとに分かれてしまうことも多いでしょう。しかし、縦割りの情報では適切なサービス提供は難しくなってしまいます。顧客に紐づけされた横断型のシステムを導入することで、顧客が満足できるサービスを提供することができるようになります。
Salesforceを導入すれば、案件情報や進捗情報を全てデータ化して管理できます。
もともと日本の営業スタイルは「個人活動」という意識が強く、個々に与えられる裁量が大きいため、営業にまつわるデータ・進捗管理が属人化しやすいといわれます。
しかし営業スタイルが変化している昨今、この属人的な方法では効果が上がりにくいのが現状です。
Salesforceを用れば、正確な予測数値を立てやすく、データに基づく合理的な判断が可能となります。
Salesforce専門家 奥村直人
判断を行うためには根拠が必要になります。Salesforceに情報を集約させることで根拠となるレポートを作成することができます。また、Salesforceに情報が集約されているのでレポート内容更新のための作業は必要なく、リアルタイムに最新レポートを確認することができます。
十分なデータや資料がそろっていない場合、事業の将来予測には「希望」「勘」「思い込み」などが入ってしまいます。
Salesforceを導入すれば、顧客情報から営業の進捗状況まで、膨大なデータが集約され、それを分析するツールも備えているため、あらゆる確度からの事業予測・売上予測などが可能です。
経営陣は大きな判断を迫られたとき、極めて精度の高い予測を元に適切かつ現実的な判断を下せるようになります。
企業全体の業務を効率化できるSalesforceですが、企業によっては「使いにくい」と感じることもあるようです。
Salesforceを導入して軌道に乗るまでは、慣れない入力作業に苦労する社員が散見されます。
特に営業担当で自己流にデータ管理や進捗管理を行なってきた社員は、Salesforce導入後に業務負担が大きくなったと感じてしまうかもしれません。
計画的な研修やフォロー体制が構築されていないと、できないまま、疑問や不満が残ったままで時間が経過してしまい、いつまで経っても定着フェーズに至らないという結果にも陥りがちです。
起業ログの独自アンケートでも、定着までの難しさに悩む声が聞かれました。
保険
1,001人以上
組織全体に周知するのに非常に時間がかかる
これまで自社では、こういった大きなクラウドシステムの導入がなかったので、組織内全体に利用方法を周知徹底することに非常に時間がかかりました。全員に定着するまでに半年から一年ほどかかってしまいました。
メーカー/製造業
101~250人
3年経っても浸透していない
導入して3年ほど経過するが、未だに使い方が社内に浸透しておらず、専門の派遣社員を雇っている。
Salesforceの入力そのものは、設定を整えてしまえば、直観的な操作で使いやすくなります。
しかしながら、導入時にマニュアルを作ったり操作のレクチャーをする担当、また、課題に感じている点の改修を行う担当などには、ある程度の専門知識がある人が配置されないと難しい現状があるようです。
IT/インターネット/通信業
501人〜1000人
知見がある人がいなく利用の浸透が難しかった
利用の浸透が難しいところ、なかなか営業がデータを入力してくれない、入力してくれないのでデータの分析ができないなどの問題が多発しがちでした。Salesforceに知見がある人がいないと導入するのは厳しいのではないかと思います。
建設業
101人〜250人
改善できるのはわかるが人材がいない
今不満に感じている点も、システムを社内で変えていけるそうなので、タイムリーに改善をしていけます。ただ、その改善をするまでの知識がある人材があまりいないところが問題です。
また、導入の初期設定の際には、データベースの設計が必要になりますが、初心者にはどのように配置・取捨選択すればよいのか難易度が高いといわれます。
導入時の開発設計のコンサルティングが得意な導入支援サービスもありますので、自信がない場合には活用してみるのもよいでしょう。
Salesforce専門家 奥村直人
導入する際に、現場作業者と経営者が、いかに共にに進むかが鍵になります。
トップダウン的に導入すると経営者がほしい情報は見えるようになりますが、現場作業は増える可能性があります。また、現場作業者の意見ばかり取り入れるとシステムとして情報の統一性が保てず、経営者粒度に集計できなかったりメンテナンス性が下がるシステムになる可能性があります。全体最適なシステム設計、プロジェクト進行を心がけることが必要です。
この記事では、「Salesforceでできること」について、機能や料金、メリット・デメリットも含めて解説しました。
シェア1位の実績が示しているとおり、使いこなすことさえできれば、その集約力や分析力は必ずや自社のビジネスを大きく前進させてくれるでしょう。
一方で、途中でつまづいてしまった企業の口コミが表すように、難しいときは「専門家やプロの力」を借りることも、成功への近道です。
自社内のナレッジを勘案し、総合的な費用対効果を考えたうえで、自前導入なのか、外部の力を借りるのかよく検討しましょう。
※画像出典元:Salesforce公式HP、photoAC、イラストAC、o-dan
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