ブラック企業という言葉は曖昧に用いられることが多く「どのような企業がブラック企業にあたるのかがわからない」という方も少なくないでしょう。
しかしながら、ブラック企業にはいくつかの共通した特徴があることはご存知でしょうか。
ブラック企業の特徴を知ることで、今後の立ち回り方を考えたり、ブラックな会社に就職することを回避できます。
この記事では、ブラック企業の定義・特徴や見分け方、入社してしまった場合にうまく抜け出す方法について解説します。
このページの目次
ブラック企業は、法律によって定義が明確にされているわけではありませんが「労働者を酷使して劣悪な労働環境で働かせる企業」の意味で用いられることが一般的です。
厚生労働省においても、ブラック企業について定義していませんが、以下のような特徴を上げています。
引用元:厚生労働省「ブラック企業」ってどんな会社なの?
本記事では、上記3項目をブラック企業の定義とし、解説を進めていきます。
ブラック企業の定義といえば、やはり極端な長時間労働でしょう。
残業時間が月80時間を超えることが恒常化している場合、その会社はブラック企業である可能性が極めて高いといえます。
なぜなら、厚生労働省では、月に80時間以上の時間外労働が2ヶ月以上続くことを「過労死ライン」と認定しているからです。
長時間労働が続くと、心身ともに大きなダメージを負う可能性があるため、注意が必要です。
働かせた分の残業代を支払わない会社も、ブラック企業の指標となります。
労働基準法第37条では、労働者が残業をした場合には、通常の賃金よりも割り増しして支払わなければならないと定められています。
しかし、「裁量労働制」や「みなし残業制」などといって、多くの会社では十分な残業代が支払われていないのが現状です。
いわゆるサービス残業が横行しているような会社は、コンプライアンス意識が希薄ですので、注意しましょう。
ブラック企業の定義として、時期を問わず離職率が高いことが挙げられます。
ブラック企業は、労働者を過度なノルマと長時間労働で酷使し、人員を使い捨てる傾向にあります。
そのような劣悪な労働環境では、当然ながら従業員は離れていき、離職率も高くなることは想像に容易いでしょう。
「人の入れ替わりが激しい」「人員の定着率が低い」といった会社は、社員を使い捨てにするブラック企業の可能性が高いといえます。
ブラック企業には、以下3つの共通した特徴があります。
それぞれの特徴をみていきましょう。
ブラック企業の特徴として、年間休日が少ないという点が挙げられます。
もしカレンダーどおりに仕事を休んだとすると、年間120日前後の休日があります。
年間所定休日が100日を下回る場合は、休日の少ない会社だと考えられ、さらに80日を下回る場合はブラック企業である可能性が非常に高いです。
また、有給休暇が自由に使えないのもブラック企業の大きな特徴です。
有給休暇は法律によって定められた休暇であり、会社側が理由なく有給取得を阻むことは違法とされています。
「ウチには有給制度がない」などと説明する会社は、ブラック企業であると言わざるを得ません。
ブラック企業では「やる気」「やりがい」「熱意」などといった、抽象的な言葉が多く使われます。
不条理な精神論がまかりとおっており「もっと根性を出せ」「気合いを入れろ」「感謝して働け」といった言葉で従業員のモチベーションを上げようとします。
これらは言い換えると、金銭的な見返りの少ない長時間労働を強いていることに対して、精神論でしか従業員のモチベーションを上げる手段がないことの表れです。
精神論を振りかざすような会社は、迷わず回避すべきでしょう。
パワハラやセクハラが行われているにも関わらず、見て見ぬふりをしたり、正しい事かのようにしてしまうこともブラック企業の特徴です。
会社は法律によってハラスメントの対策を講じる義務があります。
しかし、ブラック企業ではコンプライアンスへの意識が低く、是正する措置を講じられないことがあるのです。
さらには、気に入らない従業員に嫌がらせやストレスをかけ続けることで、自己都合退職につなげるといった悪質なハラスメントも存在します。
ホワイト企業とは、労働者にとって「働きやすい企業」を指す言葉として用いられています。
特徴としては、以下のとおりです。
上記の特徴から、会社の利益しか考えず、人員を使い捨てるブラック企業とは対局的であることがわかります。
また、ホワイト企業は外部からも高く評価されている傾向にあり、社会的信用を得ている点も大きな特徴です。
中小規模の会社にブラック企業が多いと言われる要因として「オーナーのワンマン経営」「多重下請け構造」が関連しています。
それぞれの要因をみていきましょう。
日本の中小企業の場合、経営者がすべてを決めるいわゆる「ワンマン経営」であるケースが非常に多いです。
小規模会社は従業員の数が少ない分、従業員の意見が直接経営者へ届きやすい反面、経営者から目をつけられやすいものです。
そのため、経営者に間違った部分があっても誰も指摘することができず、経営者からの理不尽な要求に従わざるを得ない空気が生まれてしまいます。
中小企業の多くは、大企業からの「下請け」として仕事を得ています。
大企業から直接依頼を受けるだけでなく、中間業者を挟んで仕事を請ける「多重下請け構造」のなかで仕事をしていることもあります。
こうしたピラミッド構造の下層にいくほど、無茶な納期や要求を求められることが多く、社員を酷使しなければ達成できないケースがめずらしくありません。
ブラック企業を見分ける方法として、以下の3点に注目しましょう。
上から順に解説していきます。
転職時に求人票を見る際、うまい言葉に騙されないよう注意しましょう。
特に未経者歓迎で給料が高い場合や、業務内容が曖昧で抽象的な場合は、ブラック企業の傾向があるので注意が必要です。
またブラック企業のほとんどが長時間労働を強いていますが、求人情報に残業が多いことを自ら記載するような会社はほとんどありません。
求人に掲載されている労働時間はあまりあてになりませんので、ネット上で従業員の口コミを見てみたり、面接時にしっかりと労働時間について聞きましょう。
時期に関係なく求人募集を行なっている場合、その会社はブラック企業である可能性が高いです。
通年を通して採用を繰り返しているのであれば、それだけ辞める従業員も多いということが推測できます。
可能であれば、求人を行なっているサイトに「掲載期間」「募集頻度」などを問い合わせてみるとよいでしょう。
面接時や職場見学時に、ある程度は社内の雰囲気もうかがえることでしょう。
その際に、怒鳴り声やパワハラが頻繁に見受けられたり、社員の表情が疲れ切っているようであれば入社を見送ったほうが賢明といえます。
なかにはそういった職場環境を見られないよう、面接を外部で行うこともあります。
雰囲気に違和感を感じたのであれば、ブラック企業であると警戒して損はありません。
入社してしまったブラック企業をうまく抜け出すには、以下の3つの対処法があります。
それぞれの詳細をみていきましょう。
未来を見据えて、まずは転職活動をはじめることからスタートしましょう。
ブラック企業とはいえ、次の転職先が決まればなにも言えることはありません。
「退職して一息つきたい」といった場合は、退職してから転職活動を始めても問題はありません。
しかし転職先が決まっている状態での退職であれば、無収入の期間が発生せず、経済的な負担を抑えることができます。
ブラック企業に勤めながらの転職活動は大変ですが、プライベートな時間を確保して、しっかりと転職活動をされることをおすすめします。
ブラック企業を退職する際は、ブラック企業である証拠を集めておくとよいでしょう。
未払いの残業代を取り戻したり、会社都合退職として有利に退職したい時に役立ちます。
証拠には以下のようなものが挙げられます。
もしも未払いの残業代を請求する場合、最終的には法的措置をとる可能性も考えられるため、証拠は多いに越したことはありません。
未払いの残業代を払ってくれなかったり、自分ではどうにもならないような場合は、労働基準監督署などの外部に頼りましょう。
労働基準監督署が会社へ勧告・是正を行うことで、問題が解決できる場合があります。
もしも「退職を認めない」「未払いの残業代は払わない」「有給は消化させない」など会社が強硬な姿勢を示すようであれば、弁護士に頼るのも一案です。
法律のプロである弁護士のサポートを受けることで、円満な退社へとつながるでしょう。
ブラック企業の定義・特徴や見分け方、入社してしまった場合にうまく抜け出す方法について解説しました。
ブラック企業は、労働者を酷使させて過重労働を強いる傾向にあるため、肉体的にも精神的にも消耗しがちです。
もし勤め先がブラックな会社だとわかったら、退職の手続きを進めるなど、うまく立ち回れるように今後の対策を講じる必要があります。
ブラック企業に人生を翻弄されないよう、ブラック企業を見分ける知識を身につけておきましょう。
画像出典元:pixabay
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