従来は紙でのやりとりが当たり前だったFAXの送受信。
わざわざ複合機を使ったり、印刷したりするのは何かと不便ですよね。
現在では、パソコンでFAXの送受信を完結させる方法があることをご存知ですか?
パソコンでFAXをすることで、業務効率化やペーパーレス化にもつながります。
この記事では、パソコンでFAXを送受信する3つの方法とそれぞれの使い方・メリット・デメリットついて解説します。
さらに、選ぶポイントや実際に使えるサービスもご紹介しますので参考にしてください。
このページの目次
パソコンでFAXを送受信する方法は、大きく分けて3種類あります。
▶︎インターネット回線を使って、クラウド上で送受信する方法。
▶︎ネット環境とパソコンが必要。
2. FAXソフト
▶︎パソコンに標準搭載されているソフトや有料ソフトを利用して、固定電話回線経由で送受信する方法。
▶︎固定電話回線、専用ソフト、パソコン、モデムが必要。
3. パソコンと複合機をつなげる
▶︎パソコンと複合機を有線/無線で接続して、固定電話回線で送受信する方法。
▶︎複合機と固定電話回線、パソコンが必要。
それぞれ特徴や必要なものが異なるため、環境にあった方法を選ぶことが重要です。
各々の違いを詳しく見ていきましょう
インターネットFAXは、パソコンでFAXする際にもっともおすすめな方法です。
1. 専用のオンラインサービスを契約(無料サービスもあり)
2. Webブラウザ/アプリからサービスのページにアクセス
3. インターネット経由でデータをアップロード/ダウンロード
インターネットFAXの最大のメリットは、必要なものが少ないこと。
インターネット回線とパソコン、スマホ、タブレットなどの端末さえあれば、いつでもどこでもFAXができます。
また、サービスの選択肢が多く、どのサービスもWebブラウザやアプリ上で利用できて操作が簡単なのも魅力的。
さらに、電話回線を使う他の方法と比べて通信費用が安く済むのも大きなメリットです。
サービスによって料金体系が異なり、初期費用、月額利用量、送受信費用がかかるケースもあり、場合によっては他の方法よりも高くなってしまうことがあります。
また、もとから備わっている電話回線を利用するわけではないため、FAX番号が変わってしまう場合があります。
複合機を使わない方法としては、パソコンにFAXソフトをインストールして使うというのも一つの選択肢です。
1. モデム経由でパソコンと電話回線を接続
2. 標準搭載ソフトを起動/専用のソフトをインストール
3. ソフトを起動して、電話回線経由でデータをアップロード/ダウンロード
インターネットFAXと同様に、複合機やFAX機なしでFAXが送受信できます。
また、送受信に使うソフトはWindows、Macともに標準搭載されているため、通信環境さえ整っていれば電話回線費用のみでFAXができます。
加えて、もともと備わっている電話回線を利用するため番号の変更は必要ありません。
電話回線を持っていない場合は、新規契約とパソコンを回線と接続するためのモデムが必要になります。
また、FAXを送受信する時間帯は常にパソコンを起動し、回線につないでおかないと利用できないのも不便なポイントです。
加えて、インターネットFAXと比べて通信費用は高くなる傾向にあります。
すでに複合機がある環境なら、パソコンと複合機を接続してFAXすると効率的です。
1. パソコンと複合機を接続(有線/無線)
2. パソコンからデータを複合機にアップロード
3. 複合機から電話回線経由でFAXを送信
すでにオフィスで複合機を利用しているなら、パソコンと接続するだけで簡単にFAXが利用できます。
また、専用ソフトのインストールやサービスの契約などは必要ないため、利用量によっては他の方法よりも安くなる可能性があります。
複合機がないと利用できず、また電話回線の契約も必要になるため、もともと環境が整っている企業以外はコスト面で負担が大きくなります。
また、複合機の機種、パソコンのOSの組み合わせによっては上手く動作しないこともあり、使い勝手が良いとは言えません。
加えて、こちらもインターネットFAXよりも通信費用が高くなる傾向にあります。
パソコンでFAXをするうえで自社に合った方法を選ぶために考えるべきポイントを解説します。
まずはじめに考えたいのがやはりコスト面。
基本的に、パソコンでFAXをするうえでかかる費用は「サービス/ソフト費用+送受信費用+設備費用」です。
インターネットFAX、FAXソフト、複合機との接続、それぞれ費用面を簡単に比較すると以下のようになります。
サービス/ソフト費用 | 送受信費用 | 設備費用 | |
インターネットFAX | △ 月額1,000円程度 |
◯ 規定枚数までは0円 |
◯ 無料 |
FAXソフト | △ 0円〜1万円程度 |
△ 数円〜数十円/1枚 |
△ 数千円〜数万円 (回線、モデム) |
複合機との接続 | ◯ 無料 |
△ 数円〜数十円/1枚 |
× 数万円〜数十万円 (回線、複合機) |
多くの企業にとっては、送受信費用と設備費用が安いインターネットFAXが検討候補になり得るのではないでしょうか。
一方で、すでに設備や通信環境が整っており、あまりたくさんFAXをしないのであれば、無料FAXソフトや複合機との接続の方が安くなる可能性もあります。
インターネットFAX、FAXソフト、複合機との接続は、使い勝手の面でもそれぞれ一長一短があります。
インターネットFAX:
◯ スマホやタブレットでも使用可能!
× 使用のたびにサービスサイトにアクセスする必要あり!
FAXソフト:
◯ ソフトをインストールしてあれば電話回線のみで使用可能!
× 常時受信可能にするためには、24時間パソコンの電源をつけたままにする必要あり!
複合機と接続:
◯ すでに複合機を使用している場合は、パソコンと接続するだけで使用可能!
× 複合機が近くにないと利用できない!
リモートワークが多い企業をはじめ、様々な場所やタイミングで利用する企業にとってはインターネットFAXが最も使い勝手が良いと言えるでしょう。
インターネットFAXの場合、それまで利用していたFAX番号をそのまま使えないケースがあります。
番号が変わると取引先への周知をはじめ何かと手間もかかることを考えると、これは気になるポイントです。
番号を変えたくない場合はFAXソフトや複合機との接続、変えても問題ない場合はインターネットFAXを検討すると良いでしょう。
パソコンでFAXするうえで主要な選択肢となるのは、やはりインターネットFAXです。
たくさんのサービスがあり、なかには無料のものもありますが、どう選べば良いのでしょうか。
インターネットFAXサービスを選ぶうえで基準になるのが、初期費用、ランニングコスト、機能です。
初期費用は無料から1,000円程度が一般的で、ランニングコストは1,000円程度の月額料金に加えて、送信/受信費用がかかります。
サービスによって、「初期費用が安いもの」「月額が安いもの」「1件あたりの送受信料が安いもの」などの特徴があるため、利用量に合わせて検討しましょう。
また、機能面についても、アプリの有無や選択できるFAX番号に違いがあるため、その点も加味して比較してみてください。
海外のサービスをはじめ、なかには無料で利用できるインターネットFAXサービスもありますが、快適に使えるのでしょうか。
これらの無料サービスは確かに魅力的ですが、送受信できる量や無料で使える期間が限られていて、FAXを頻繁に使う企業にはあまり適していません。
また、海外サービスはサポートの品質に不安がある場合も多く、情報漏洩のリスクもあるため、その点も注意が必要です。
コスト面を重視するなら、どちらかといえば国内サービスで初期費用や受信費用が無料のものを選ぶ方が良いでしょう。
手軽に試せるインターネットFAXサービスをピックアップして紹介します。
画像出典元:「秒速FAX」公式HP
▶︎初期費用:1,100円(税込)
▶︎月額費用:520円(税込)〜
▶︎送信費用:7円〜/1ページ
▶︎受信費用:無料〜/1ページ
秒速FAXは、機能面とコストのバランスの良いサービスです。
PDFへの自動変換、メールでの通知、充実したセキュリティなど必要十分な機能が備わっています。
送信費用が1ページあたり7円かかるものの、受信費用は無料、月額費用は520円〜と安く、パソコンでFAXできる環境は欲しいけど頻繁には使わないという企業に適しています。
画像出典元:「HelloFax」公式HP
▶︎初期費用:無料〜
▶︎月額費用:無料〜
▶︎送信費用:無料〜/1ページ
▶︎受信費用(有料プランのみ):無料〜/1ページ
利用量に制限はあるものの、完全無料で利用できるのが魅力的な海外製のサービス。
フリープランは月に5ページまで送信でき、海外への送信にも対応しています。
一方で、受信や6ページ以上の送信には有料プランの契約が必要なため、FAXは送信しか使わず、かつ利用頻度が低い企業が導入するのに適しています。
画像出典元:「eFax」公式HP
▶︎初期費用:1,100円(税込)
▶︎月額費用:1,980円(税込)
▶︎送信費用:無料〜/1ページ
▶︎受信費用:無料〜/1ページ
eFaxは国内での実績ナンバーワンの人気サービス。
月額費用は他サービスと比べてやや割高なものの、送受信は月に150ページまで無料なため、ある程度頻繁にFAXを使うとお得になります。
FAX番号は全国の市外局番をカバーしており、各種機能やサポート体制も充実しているため、幅広い企業に適したサービスと言えます。
自社での送受信枚数などを考慮し、一番お得に使えるサービスを選ぶとよいでしょう。
▼ もっとインターネットFAXサービスを知りたい方はこちらもご覧ください▼
実際にパソコンでFAXを送る時に失敗しないよう、マナーもおさらいしておきましょう。
ビジネスシーンでFAXを送る際には、送付状の添付が不可欠です。
メールで宛名や題名、挨拶を必ず記載するのと同じようなイメージです。
送信日、宛名、差出人、送信枚数、挨拶、要件などを記載しましょう。
テンプレートはインターネット上で公開されている一般的なものを利用すれば十分です。
FAXは、相手側が印刷してから担当者に渡す可能性があったり、複数人が閲覧できる環境に送信されたりするため、セキュリティレベルは必ずしも高くありません。
よって、機密情報や個人情報などを送るのには適していません。
そうした情報をやりとりするなら、手渡しや個人間のメールでやりとりする方が良いでしょう。
意外と見通しがちですが、送信する枚数は少なめにするのもマナーです。
10枚を超えるような量を送ると、相手側の受信費用がかさんでしまうほか、印刷中に複合機が使えなくなってしまうというデメリットもあります。
目安としては、送付状も含めて5ページ程度に収めると良いでしょう。
FAXが確実に相手に届くように、送信する前後にはできるだけ電話をしましょう。
電話をしないと、相手企業内できちんと受け渡しされなかったり、送信エラーに気づけなかったりします。
一方で、頻繁にFAXを送る場合は、都度電話するとかえって相手の負担になる可能性もあるため、関係性によってはメールで済ませても問題ありません。
FAXは相手が受け取れる時間帯、つまり営業時間内に送るのがマナーです。
すでに解説したとおり、相手の環境によっては、一部の時間帯はそもそも受信できない可能性があります。
また、営業時間外のプライベートな時間に通知されると不快に感じる担当者もいます。
効率化やペーパーレスが進むなか、紙を消費し、電話回線や複合機がないと利用できないFAXは、パソコン上で完結する方法への移行が求められています。
パソコンでFAXする方法は、おもにインターネットFAX、FAXソフトの利用、複合機との接続の3種類で、それぞれにメリット・デメリットがあります。
また、メインの選択肢となるインターネットFAXはサービスの選択肢も多く、特徴がそれぞれ異なるため、その点も検討が必要です。
自社の環境を踏まえて、最適な方法やサービスを選びましょう。
画像出典元:Pixabay、Unsplash