富裕層と聞けば、「お金持ちなんだろう」と想像することはできるでしょう。
しかしながら、どの程度のお金があれば富裕層と呼ばれるのか、その基準がわからないという人も少なくありません。
富裕層に関して、公的な定義はないものの、一般的に定義とされている基準は存在します。
この記事では、富裕層について、その定義や存在数の割合、職業、資産家との違いなどを詳しく解説していきます。
このページの目次
富裕層といえば「お金持ち」というイメージがとても強いですが、ではどのくらいお金を持っていれば、富裕層と呼ばれるのでしょうか。
まず、富裕層に関して、国が定めた明確な定義はありません。
そこで、富裕層の定義として、多く用いられているのが「株式会社野村総合研究所」の調査データです。
野村総合研究所では、富裕層の定義を次のようにしています。
超富裕層 | 純金融資産保有額が、5億円以上の世帯 |
富裕層 | 純金融資産保有額が、1億円以上5億円未満の世帯 |
準富裕層 | 純金融資産保有額が、5,000万円以上1億円未満の世帯 |
参照元:野村総合研究所「日本の富裕層は133万世帯、純金融資産総額は333兆円と推計」
【純金融資産とは】
金融資産(預貯金・株式・債券・投資信託・生命保険・年金保険など)から、負債を差し引いたもの
富裕層の定義がそれぞれ分かったところで、次に日本国内における富裕層世帯の割合を見てみましょう。
野村総合研究所がおこなった、2019年における資産調査の推計結果による、富裕層の世帯数と割合は、以下のとおりです。
超富裕層 | 87,000世帯で全体の約0.1% / 純金融資産保有総額97兆円 |
富裕層 | 1,240,000世帯で全体の約2.4% / 純金融資産保有総額236兆円 |
準富裕層 | 3,418,000世帯で全体の約6.3% / 純金融資産保有総額255兆円 |
※日本の総世帯数は約5,000万世帯として計算
上記のように、約135万世帯が富裕層と超富裕層で、その純金融資産総額は約333兆円であると推計されています。
いずれの階層も増加傾向にあり、とくにアベノミクスが始まった翌年の2013年以降からは、その割合も一貫して増え続けている状況です。
富裕層以外にも「資産家」や「高所得者」といった似たような言葉があります。
いずれも「お金持ち」というワードの括りとしては同じですが、資産の内容などによって、それぞれ呼び方に違いがあるのです。
ここでは、「資産家」と「高所得者」の特徴などを解説していきます。
富裕層と同様に、資産家を示す明確な基準や定義はありません。
資産家は、金融資産や実物資産を問わず、自己資産を多く保有している人、あるいはその一族のことを指します。
保有する金融資産の目安は1億円以上で、実物資産では「不動産・自動車・貴金属」を保有しているケースが多いです。
資産家は、不動産経営をメインとしている人もいれば、先祖代々からの土地を引き継ぎ、普段は会社員として働いている人もいます。
いずれせよ、資産家は資産を増やすためにお金を使うため、お金にシビアな倹約家タイプがとても多いです。
高所得者とは、労働によって得ている収入や所得が多い人のことをいいます。
高所得者に関して明確な定義はありませんが、年収にして850万円以上得ている人は、高所得者として該当するでしょう。
なお高所得者は、富裕層や資産家などのように資産は一切関係なく、あくまで年収額が目安です。
そのため、たとえ支出が多くて手元に資産が残っていないとしても、年収が850万円以上ある時点で高所得者となります。
【富裕層・資産家・高所得者の違い】
富裕層 | 純金融資産保有額が1億円以上ある人 |
資産家 | 金融資産・実物資産を問わず、自己資産を多く保有している人(資産では1億円以上) |
高所得者 | 労働による収入や所得が多く、年収850万円以上ある人 |
前述のとおり、日本における富裕層数は、全国で約135万世帯です。
日本の総世帯は、約5,000万世帯とされているので、40世帯のうち1世帯は富裕層、もしくは超富裕層であることがわかります。
では、富裕層が多く存在している地域は、どこなのでしょうか。
以下は、総務省「2019年全国会計構造調査」に基づき作成した、都道府県別で見た平均家計資産総額の上位10地域までを示した表です。
順位 | 都道府県 | 平均家計資産総額 |
1 | 東京 | 47,010,000円 |
2 | 神奈川 | 37,877,000円 |
3 | 愛知 | 34,898,000円 |
4 | 埼玉 | 32,202,000円 |
5 | 奈良 | 32,042,000円 |
6 | 京都 | 30,139,000円 |
7 | 千葉 | 29,896,000円 |
8 | 兵庫 | 29,760,000円 |
9 | 静岡 | 29,330,000円 |
10 | 大阪 | 26,884,000円 |
参照元:総務省「2019年全国会計構造調査」
平均家計資産総額を都道府県別で見てみると、保有資産がもっとも多いのは東京です。
次いで神奈川県、愛知県、埼玉県と続き、もっとも少ないのは北海道(1431.6万円)となっています。
こうした調査結果から、日本の富裕層は三大都市圏に集中しているといえるでしょう。
なお東京23区のなかでも、「港区・千代田区・中央区・目黒区・渋谷区・大田区」などの地域は、とくに富裕層が多いと推定されます。
三大都市圏以外の地方にも富裕層は存在していますが、首都圏に比べるとボリュームが少なくなるのが現状です。
日本において、富裕層がもっとも多く存在している地域は東京です。
では、世界的に見ると、富裕層が多く存在するのは、どの国なのでしょうか。
仏のコンサルティングファーム「キャップジェミニ」の調査によると、富裕層は全世界で約2,000万人いるとしています。
このうち、富裕層がもっとも多い国は北米(約750万人)で、ここ数年、全世界でトップに立っている状況です。
ちなみに、日本は北米に続き、全世界で2番目に富裕層が多い国とされています。
日本の平均年収は、およそ400万円前後とされているので、実感できるという人はそう多くないでしょう。
前述のとおり、世界から見ても、日本は富裕層が多く存在している国です。
富裕層が多く存在する日本では、いったいどのような職業が多いのでしょうか。
富裕層の職業については、以下3つの職種が圧倒的に多いです。
それぞれ解説していきます。
企業のオーナーは、富裕層のなかでもっとも多い職業で、日本における富裕層のうち過半数を占めています。
フォーブスジャパンが発表している「日本長者番付2022」でも、トップ10入りしているのは、いずれも企業オーナーです。
なお「日本長者番付2022」における、1位から3位は次のようになっています。
順位 | 名前 | 保有資産総額 |
1 | 柳井 正(ファーストリテイリング会長兼社長) | 3兆500億円 |
2 | 滝崎 武光(キーエンス創業者) | 2兆7920億円 |
3 | 孫 正義(ソフトバンクグループ創業者) | 2兆7270億円 |
参照元:Forbes「日本長者番付 2022」
企業オーナーの次に富裕層が多い職業は、医者です。
医者といっても勤務医ではなく、あくまで開業医が多くなるでしょう。
2021年に実施された、厚生労働省の「医療経済実態調査」によると、勤務医の平均年収は約1,500万円、開業医の平均年収は約2,800万円となっています。
つまり、開業医は勤務医よりも約1.8倍の年収を得ていることになるのです。
開業医は全国で約8万人弱いるとされているので、開業医の富裕層も多いと推測できます。
富裕層として、地主も一定数は存在しています。
この場合、先代から引き継いだ土地を所有しているというケースがほとんどです。
しかしながら、ただ更地の土地を保有しているだけでは、何の収入にもなりません。
富裕層が地主の場合、自身が保有する土地を他人に貸す「賃貸経営」をおこない、不労所得を得ているケースが大半です。
いずれせよ、地主は所有する土地をどう活かすかで、収入が大きく変わります。
そのため、たとえ複数の土地を所有していても、実際には一般のサラリーマンと変わらないという地主が多いのも現状です。
いつかは「富裕層の仲間に入りたい」「少しでも近づきたい」そのように考える人も少なくないでしょう。
富裕層を目指すには、これからどのようなことをすべきかを紹介します。
富裕層とは、1億円以上の純金融資産を保有している人のこと。
つまり、富裕層になるには、今よりも「資産を大きく増やす」ということが大前提になります。
資産を大きく増やすには、「貯蓄」だけではなく「増やすための資産運用」を積極的に行うことが重要になります。
貯蓄によりある程度お金が貯まれば、その資金を株式や債券・FXなどの金融商品や不動産に投資することができるでしょう。
ただし、投資は資産を大きく増やす手段として有効ですが、資産を減らすリスクも伴います。
そのため、投資に関する知識を身につけ、慎重な投資判断のもとにおこないましょう。
一攫千金のような、無謀な投資は絶対に避けるべきです。
起業するというのも、選択肢の1つとして有効です。
一般のサラリーマンが普通に働いたとしても、富裕層の仲間入りをするのは難しいでしょう。
なぜなら、サラリーマンが一生をかけて稼ぐ生涯年収は、約3億円程度と言われているからです。
たとえ毎月30万円貯金したとしても、1億円貯まるには27年と10ヵ月かかり、とても現実的とはいえません。
一方、起業することによって、大きな資産を得る可能性が生まれます。
前述のとおり、富裕層がもっとも多いのも起業家です。
近年では、会社設立における要件も大きく緩和されているなど、より起業しやすい環境が整っているといえます。
もちろん、起業して富裕層入りすることは、決して簡単ではありませんが、サラリーマンとして働くより可能性は高いでしょう。
以下のページでは、起業に関するヒントを分かりやすく解説しているので、あわせてご参照ください。
富裕層は、純金融資産保有額によって「準富裕層」「富裕層」「超富裕層」の3種に分けられます。
日本は、総世帯数(約5,000万世帯)のうち約135万世帯が富裕層となり、北米に続き、世界でも2番目に富裕層の多い国とされています。
富裕層という枠組みに入るのは、決して容易なことではありませんが、目指すことは十分に可能です。
この先、富裕層を目指すのであれば、早い段階で資産形成をおこない、「お金を増やす」ことに時間や労力、そしてコストを積極的に費やしましょう。
画像出典元:O-DAN
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