起業するには?ビジネスを始める方法・仕方を解説!

起業するには?ビジネスを始める方法・仕方を解説!

記事更新日: 2024/10/02

執筆: 挾間章子

起業を考えるタイミングは、「現在の仕事に満足できない」「会社の経営に興味がある」「ゼロから何かを作りだしたい」など人それぞれ様々でしょう。

果たして、起業とは簡単にできることなのか、選ばれしものしか達成できないことなのか、なんとなく漠然とした不安に包まれてネット検索する方が多いのではないでしょうか。

今回は、起業するためのポイント、実際の方法、起業ログ独自取材でわかった起業の先輩方による成功しやすいビジネスと失敗しやすいビジネスをご紹介し、みなさんが起業をする際に役に立つ情報になればと思います。

起業をしようか迷っている方は、是非ご一読ください!


この記事の監修者

スタートアップ支援専門家 プロトスター株式会社 代表取締役

前川 英麿

早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、ベンチャーキャピタルのエヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(現大和企業投資)に入社。その後、常駐の経営再建支援に特化したフロンティア・ターンアラウンドに入社。15年2月よりスローガン株式会社に参画し投資事業責任者として、Slogan COENT LLPを設立。16年11月に起業家支援インフラを創るべくプロトスター株式会社を設立。その他、経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等。

起業するには?押さえておきたい5つのポイント!

起業を考える際に、まずは以下の5つのポイントがしっかり定まっている必要があります。

1.起業したい理由を明確に

  • なぜ起業したいのか
  • 起業することで、何を実現したいのか
  • 起業を通して、自分がどうなりたいのか

起業はあくまで手段の一つであり、起業そのものが目的になってはいけません。

ただ、お金儲けをしたい、現状を変えたいなどの抽象的で曖昧な理由では、起業は成功しません

「なぜ起業したいのか?」「起業をすることで、何を実現したいのか?」「起業を通して自分はどうなりたいのか?」をしっかり定め、今後起こりえる障壁に立ち向かうマインドを固めましょう。

2.事業内容を決める

起業したい理由を明確にしたら、次は実際にどんな事業を行うのかを考えましょう。

具体的には、まず「誰に」「何を」「どうやって」提供するのかというビジネスモデルを決定しましょう。

ここで重要なのが、「何を」の部分の徹底した市場調査(マーケティング)です。

これから提供していきたい商品・サービスが、既に市場にあるのかないのか、ある場合は、市場規模が大きいのか小さいのか、市場の成長は見込めるのか否か、などを精査していきます。

まずは、ブレストの一環として、上記のような簡単なチャートを使って、自身の考えている商品やサービスが事業化するべきものなのか否かを検討してみましょう。

3. 起業の方法を決める

起業には、個人事業主、会社設立、フランチャイズ、M&Aなどの方法があります。

起業するにあたり、どの方法が自身にあっているのか、または可能なのかをしっかり決めましょう。

個人事業主

個人事業主とは「法人を設立せずに、個人で事業を行っている人」のことです。

個人事業主として起業をする場合は、所轄の税務署に「開業届」を提出するだけで、登記などの手続きは不要です。

但し、累進課税制度が適用され、所得に応じて税金が課税されるため、所得が増えた場合は会社を設立した方が節税になるケースが多いでしょう。

また、最近では必要事項をフォームに入力するだけで開業届を自動で作成してくれる無料オンラインのサービスもあります。

例えば、統合型経営プラットフォームで人気のfreee株式会社が提供するfreee開業などもその一つです。

気になる方は、以下より一度チェックしてみてください。

 

会社設立

会社を設立する場合は、公証役場での定款の認証(株式会社の場合)、法務局での法人登記手続き、税務署での法人手続き届出書提出、社会保険事務所での健康保険・厚生年金保険加入手続き、労働基準監督署での労働保険加入などの手続きが必要です。

また会社設立の費用として、株式会社では20万円、合同会社では6万円程度かかります。

一方で、法人に課税される「法人税」は、個人事業主に課せられる「所得税」よりも利益に比例した増え幅が小さく、所得が多かったとしてもほぼ一定です。

ある程度の収益が見込まれる場合は、会社設立をした方がメリットが受けられます。

開業同様、会社設立においても、煩雑な会社設立の手続きを安価で代行してくれるサービスも多数存在しています。

上述のfreee株式会社を例にとると、freee会社設立というサービスがあり、手数料5,000円で会社設立の全ての手続きを代行してくれるものがあります。

こういったサービスを利用するのも、会社設立のハードルを下げる一つの方法になるでしょう。

フランチャイズ

飲食業界やコンビニ業界などでよく知られているフランチャイズという企業形態は、加盟金を支払いフランチャイズチェーンに加盟し、月額のロイヤリティを支払いながら業務を行うものです。

固定費はかかるものの、起業当初から宣伝するまでもなく有名店ののれんを下げ、経営や販売のノウハウを享受できる点はメリットが高いです。

M&A

M&Aで起業というのは、既にある企業・事業を買収して起業を行うという形態です。

大企業だけの話ではなく、後継者のいない中小企業などでも行われる方法です。

既にあるビジネスを引き継ぐ形になるため、初期投資が少ないのに人材やノウハウがすでにあるというメリットがあります。

4. 資金調達を行う

起業するにあたり、次に大事なのは資金です。

起業に必要な資金を全て自己資金でまかなえない場合は、不足分を確保しなければなりません

資金調達には、

  • 融資を受ける:日本政策金融公庫、制度融資など
  • 補助金・助成金を活用する:厚労省など国や地方自治体が募集している支援制度など
  • クラウドファンディング
  • ベンチャーキャピタル
  • エンジェル投資家

など様々な方法があります。

自己資金を貯金する間に、時間はどんどん経ってしまい、ビジネスチャンスを逃してしまってはもったいないので、自身の状況に応じて資金調達の方法を選び活用すると良いでしょう。

 

自社に合ったVC・投資家を効率的に見つけませんか?

起業ログを運営するプロトスター会社は、起業家が最適な投資家探しをしたいというニーズに応え、国内最大級の起業家・投資家検索サービスStartupList(スタートアップリスト)を提供しています。

StartupListでは、投資家の投資レンジや評価基準、過去の経歴等から自社に合った投資家を検索可能。StartupList上で、見つけた投資家とそのままコンタクトをとることもできます。

現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。

 

 

5. 手続きを行い事業を開始!

資金調達の目途がたてば、後は必要な手続きを取って事業を開始するのみです!

3でも説明した通り、起業の方法によって、申請・提出する書類や機関が異なります

抜け漏れがないように、専門家に確認してもらうなどして、確実に必要な手続きを取りましょう。

独自取材でわかった成功しやすいビジネス・失敗しやすいビジネス

この章では成功しやすい・失敗しやすいビジネスの特徴を実際の起業家へのインタビューを踏まえてご紹介していきます。

成功しやすいビジネス

1. 少人数で始められるリスクの低いビジネス

起業をする人の中には「起業をするにはリスクをとって当たり前だ!」と考える人もいますが、リスクや費用は少ないに越したことはありません。

特に費用に関しては、「初期費用」と「固定費」をなるべく安く済ませられるビジネスはリスクが低いといえます。

自社サービスのWebチャットツール「sinclo」などを提供するメディアリンク株式会社を起業した松本淳志氏へのインタビューでは、こんな起業時の工夫を伺えました。

メディアリンク株式会社
代表松本淳志氏

設立当初から自社開発を意識していたのですが、「資金調達をせずに自社開発をしていきたい」という想いがありました
そのため、2011年までは受託開発のみを行い、そこから自社開発にも取り組むようになりました。
「地に足をつけて自分ができる所を積み重ねて行って、雪だるまみたいに事業を大きくしていく」というのが、私が覚悟を持てる経営スタイルでした。


起業してすぐに開発費のかかる自社開発を行うのではなく、起業2年間は受託開発をして資金を貯めてから自社開発に取り組む動きをしています。

資金調達はいわゆる借金ですので、起業時にはできるだけ今あるリソース内で小さく始めるというのがキーポイントの1つと言えます。

 

2. ニッチなビジネスを狙う

ニッチなビジネスを狙うことで、競合他社を避けることができ、市場を独占することができます。

例えば、現役医学部学生である中村恒星氏が起業した完全食チョコレートメーカーの株式会社SpinLifeという会社もまさにニッチな起業です。

株式会社SpinLife代表
中村恒星氏

表皮水疱症という皮膚難病の患者会に出会いました。 表皮水疱症とは、先天性の皮膚難病で皮膚がボロボロとめくれてしまう皮膚難病のことで、特に、口腔内が荒れていることにより、食事に障害がある患者さんは、慢性的に栄養不足になることが多い点に着目しました。 そして「食べることに障害がある患者さん」に新しい栄養摂取の形を提供するために、完全栄養チョコレート「andew」を開発し、起業しました。

クラウドファンディングを利用して資金調達をしつつ、世界初の完全食チョコレートの製造を行っています。

中村氏の注目すべきところは、ニッチ市場でとどまらず、一般消費者にも広く受け入れてもらえるようなブランディングを大事にしている点です。

ニッチ市場を狙うだけでなく、その小さい市場からいかにビジネスとして広く展開していくかということも視野に入れておくことが重要だと言えるでしょう。

 

3. 既存ビジネスの真似をする

一個人が考えたビジネスは多くの場合、既に誰かが失敗したビジネスか成功しているビジネスであることが多いです。

既存ビジネスを徹底的に分析して、うまくいっているビジネスを見つけることも起業を成功させる1つのポイントです。

月間3万食突破するボディメイク食が話題の株式会社Muscle Deli代表の西川真梨子氏も欧米のサービスを参考に起業しました。

株式会社MuscleDeli
代表
西川真梨子氏

30歳手前から、ずっときれいでいるためにジムに通い始めました。 その中で、食事を意識することが本当に大変で。  もともと食べることが好きだったのもあり、トレーニングというのはわざわざ大好きなことを削ってまですることなんだろうか、と思い悩んだりして、食事の面で挫折しそうになったんです。 そんな時に欧米ではマッスルミールというサービスがあることを知りました。 このようなサービスが日本にもあれば、自分の課題が解決すると思い立ったのが最初です。

スポーツでも、初めから自己流でやる必要はなく、上手い人の真似から入った方が上達しやすいとよく言われますが、起業でもまずは成功している既存ビジネスを真似する方が成功しやすい傾向があると言えるようです。

 

失敗しやすいビジネス

1. 市場における競争が激しすぎる

競合他社の多い人気ビジネスは、競争率が激しく、他社との差別化を図ることが困難で、参入しても成功することが難しいです。

例えば、競争の激しい飲食業界の中でも特に競合の多いラーメン屋もその1つです。

ラーメン屋は初期投資にある程度まとまったお金は必要ですが、飲食の中でも比較的参入しやすい分類に入ります。

素人でも参入しやすいがゆえに他社との差別化が難しく、脱サラ・未経験者による飲食店は3年以内に90%が潰れるとも言われています。

人気があるから儲かりそうと安易に考えず、競合他社や市場の成長性など徹底的に分析した上で参入することをおすすめします。

2. 自己満足でビジネスをしてしまう

ビジネスにおいて最も重要なことは『顧客のニーズに応えること』です。

起業は自己満足ではなく顧客のニーズを満たせるか、顧客の問題を解決できるかが最も重要なことになります。

主観的に自身の商品(サービス)を作るのではなく、その商品が本当に顧客にとってニーズのあるものなのかを客観的に考えることが重要になるのです。

3. マネタイズ(収益化)できていない

事業内容がアイディア重視で、マネタイズ(収益化)を疎かにしてしまうと起業は失敗してしまいます。

例えば、無料アプリはマネタイズするのが難しいビジネスの1つと言われています。

無料アプリの収益源は、アプリ利用時に掲載される広告料や課金による収益ですが、多くのアプリは課金をしてもらえずマネタイズが難しい状況です。

顧客のニーズに応えて人気のあるアプリになったとしても、マネタイズが出来なければ継続は不可能になります。

事業内容を考える際には、常に顧客のニーズに応えることとマネタイズできることの両軸を考えていくことが非常に重要です。

起業の失敗パターンはここまで紹介した以外にもあります。以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

 

起業のやり方・流れ

会社設立(法人)は、個人事業主より、社会的信用を得られる、社会保険への加入ができる、節税ができるなどのメリットがあります。

起業をするにあたり、一度は検討した方が良い会社設立について、もう少し詳しくみていきましょう。

会社(法人)と一口でいっても、株式会社や合同会社、NPO法人、一般社団法人など様々あります。

今回は、最も一般的な株式会社の流れを「設立前・設立時・設立後」の3段階に分けてご説明していきます。


画像出典元:『freee会社設立』公式HP

会社設立前にやること

<設立前>
①会社の基本情報を決定する(発起人、商号、資本金額、所在地などを決める)
②会社用の印鑑を作成する

会社の基本情報は、定款に必ず記載しなければならない情報ですので、まず一番に決定しましょう。

また、会社印は登記する際に印鑑登録をする必要があるため、登記申請までに作成しておきましょう。

会社設立時にやること

<設立時>
③資本金の準備
④定款の作成と認証手続き
⑤資本金の払込
⑥登記書類の作成
⑦法務局で登記申請

株式会社を設立する際、必ず作成した定款は公証役場で認証を受ける必要があります。

認証を受ける前に、予めFAXや郵送などで定款の内容を確認してもらった上で認証を受けると間違いがなくスムーズです。

会社設立後にやること

<設立後>
⑧法務局で登記事項証明書を取得
⑨印鑑カードの取得
⑩税務署への届出
各地方自治体への開業届
⑫社会保険への加入
⑬法人用口座の作成

登記が完了すれば、無事に会社設立は完了ですが、実際に事業を開始するまでには、⑧~⑬もの手続きがあります。

提出書類の期限は、各機関異なるため、必ずホームページなどで詳細を確認の上、期日内に手続きを終えましょう。

会社設立の流れについては以下の記事でも詳しく解説しているので、一度ご確認ください。

 

会社設立にかかる費用

株式会社で最もコストがかからない場合、設立手続きを自分で行うと合計で20.2万円の設立費用がかかります

項目 金額
定款印紙代 0円(電子定款にした場合)
定款認証手数料 5万円
定款の印紙代 約2,000円
登録免許税 15万円
合計 20.2万円

ただ合同会社の場合は合計で6万円の設立費用で済みます。

設立費用を抑えたい方は合同会社を検討してみても良いでしょう。

まとめ

起業するには、ビジョンや熱い情熱はもちろん大切ですが、事前のマーケティングや起業のやり方などをしっかりと見極めた上で行うことが最も重要であるということがわかりました。

起業を成功させるには、「顧客のニーズに応える」ことと「マネタイズができるか」の両軸が実現することがキーポイントです。

あなたの心に沸き上がる熱い思いを、冷静かつ戦略的に形にしていけば、起業は人生における大冒険の始まりになるでしょう!

 
画像出典元:pixabay

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