働く女性のなかで、「もっと仕事がしたい」「自分の好きなことを仕事にできたら」と感じている方は多いと思います。
しかし、「育児が忙しいのでそんな時間はない」「今の仕事をやめるわけにはいかない」という理由で諦めてしまい、「もっと自由に働き方を選ぶことができれば」と多くの方が思っているのではないでしょうか?
最近では働き方改革などにより、フレックス制度の導入などが増えてきていますが、それでも自分の望んでいる仕事を出来ていない、自分のペースに合わせて仕事ができていない、と感じている方が多いのも事実です。
そのような悩みを解決できるのが起業という選択肢です。
起業をして自営業者となれば、時間に追われることもなく、自由なライフスタイルを確立することができます。
働き方を変えたいと思っている女性こそ、起業に向いていると言えるでしょう。
今回は女性の起業の実態、メリット・デメリット、具体的なおすすめビジネスなど、女性の起業について詳しく解説します!
このページの目次
まずは実際に起業をする前に、どれだけ女性起業家がいて、どの年齢で起業しているのかを知っておきましょう!
参考:日本政策金融金庫「2017年度新規開業実態調査」
グラフを見てもわかるように、起業家の割合は圧倒的に男性が多いのが現状です。
毎年行われているこの調査では2017年が今までの中で、最も女性起業家が多い年でした。
しかし、まだまだ女性で起業する人は少なく、起業家の勉強会や交流会は男女比9:1くらいの感覚です。数字では増加傾向にはありますが、実際に女性起業家が増えているとは思えないのが事実です。
参考:日本政策金融金庫「2017年度新規開業実態調査」
日本政策金融金庫の「2017年度新規開業実態調査」によると、起業時の年齢は30歳代と40歳代が最も多いことがわかり、平均起業年齢は42.6歳でした。
これを女性に当てはめると、主婦や仕事を続けてスキルを身につけた方が起業をしていると考えられます。
先ほども紹介しましたが、現在は女性よりも男性の起業家が多いです。しかし、起業をする男性の多くは40~60歳代で、彼らは自分のビジネスモデルに飽きている人が多いのも事実です。
そんな中、女性起業家は非常に数が少なく、様々なアドバイスをしてもらいやすいので、成功への道筋をしっかりと作りやすい環境に変わって来ています。
そのため、昔よりも女性が成功しやすい時代になっているのです。
では次に、そんな女性起業のメリット・デメリットを解説していきます。
最近では女性の社会進出に伴い購買市場が大きくなったことで、女性の気持ちを理解したサービスが求められています。
例えば、サラリーマンが主婦層をターゲットにして作ったサービスよりも、同じ経験を持っている主婦が考えたサービスの方が、顧客ニーズを満たすことができます。
なぜなら、女性ならではのニーズや主婦ならではのニーズを上手く捉え、顧客の1番の理解者になることができるからです。
さらに家庭のお財布の紐を握っているのは、主婦であることが多いので、その顧客(主婦)を狙ったビジネスをすることで、成功しやすくなるという側面もあります。
何も知らない状態からいきなり起業、といったプロセスを踏んでも、コミュニティもなければ同じ境遇の人に会うこともできません。
そんな方たちのために、最近では女性起業家だけのイベントや交流会なども行われています。
このような女性だけのネットワークを活用でき、横の繋がりを持つ機会は大きなメリットといえるでしょう。
例えば主婦であれば、子育てや料理、家の掃除や収納といった主婦が持つであろう課題をわかっています。
ビジネスのチャンスは顧客の課題を解決することから始まるので、主婦の課題を一番わかっている主婦にこそチャンスがあるのです。
「子供に習い事をさせたいが、月々の値段は高いし送り迎えがめんどう」という悩みをあなたが持っていたとします。
この悩みを解決するために「習い事をよそでやるのではなく、家に来てもらえるシェアリングサービスがあったら便利だな」という起業アイディアを出すことができます。
「こんな小さな悩みでビジネスとして成り立つのか?」と思われますが、多くの場合、あなたが主婦であるならば他の主婦も同じ悩みを持っている確率は高いです。
1番の当事者であるからこそ、女性の悩みをダイレクトに解決することができます。これは男性にはない大きなメリットです。
特にこの問題は、お子さんがいる女性の方が重要視しなくてはいけない問題です。
起業をすると、今まで使っていた家事や育児の時間が必然的に減ってしまいます。そのため、起業をするには家族のサポートが必要不可欠です。
起業をする前には家族との相談をしっかりして、プライベートと仕事のバランスを考えた上で起業することをおすすめします。
とはいえ、どれだけプランを立ててもイレギュラーなことは起こるものです。
例えば、衛生用アンテナのシェアリング事業を手掛ける「インフォステラ」の代表を務める倉原直美さんは8億円の資金調達中に妊娠が発覚しました。
倉原さん自身も、妊娠がきっかけに投資が取りやめになるのではと不安だったそうですが、結果的に無事に資金調達を完了。妊娠中に出張などもこなし、産後1ヶ月に仕事復帰。今も事業を拡大させ続けています。
肉体的にも精神的にもきつい中、乗り越えられたのは「宇宙事業をやりたい」という強い気持ちがあったから。
起業をするのであればプライベートを犠牲にすることや、きつい思いをすることになるのは男女に関わらず覚悟する必要があります。
両立を目指すことも大切ですが、そもそも自分が起業する覚悟を固めることが重要です。
働き方改革などに伴い、最近では女性の社会進出や活躍などが叫ばれています。
企業に勤める女性であれば、出産や育児に関する公的なサポートを受けることができ、育休や産休中にお金をもらうこともできます。
しかし、起業をしてしまうとそれらのサポートを受けられなくなってしまいます。
男性に比べ、会社経営や財務に関する知識にうとい女性は多いと言われています。そのためお金周りのことが曖昧になり、思わぬことで経営が苦しくなることがあります。
起業をするならば、経営ノウハウやスキルについて勉強する必要があり、難しいならば人を雇うことも視野に入れておく必要があります。
女性起業家は男性が思いつかないような、アイディアを考え成功することもありますが、多くの女性起業家は共通した失敗をしがちです。
ここでは男性とは異なる、女性特有の陥りやすい失敗を紹介していきます。
起業に成功してキラキラしている女性に憧れて、何となく起業をするなど、ふわふわした気持ちで起業をすることはお勧めしません。
女性起業家といえど、通常の起業となんら変わりはなく、しっかりと収益を出さなくてはならないですし、そのためのビジネスモデルを作っていく必要もあります。
勘違いしてはいけないのが、成功している女性起業家はビジネスに真剣に向き合っている方達ばかりだということです。
キラキラ・ゆるくなど、起業を簡単なイメージで捉えていると、何もできずにお金と時間を浪費してしまう、といった事態に陥ってしまうので気をつけましょう。
この問題は、自分が「これはいいものだ!」と商品(サービス)を思い込んでしまい、お客さんが求めているニーズに答えられていない状態でスタートしてしまうケースです。
起業は自己満足ではなく顧客のニーズを満たせるか、顧客の問題を解決できるかが最も重要なことです。
自己満足で終わらず、しっかりと顧客のニーズを理解した上で起業しましょう。
女性に人気のある美容系サービスは、起業しやすいビジネスのひとつで、小さな規模であればサロンとして自宅からでも始められるのも大きな魅力です。
美容系で起業するのは資格や技術が必要になりますが、その中でも起業しやすいサービスもあります。
ネイルサロンの開業に必要な資格は、法律上は特にありません。学歴や資格などが必要なしに開業できることは、ネイルサロンを開業する際のメリットといえるでしょう。
そうは言っても、ネイリストとして最低限の資格は「ネイリスト検定」や「ジェルネイル検定」などを持っておくことで、事業を始める際の集客力に差が出るため、一定の検定資格を持っておくことはマストになります。
また、現在では通信講座を受けるだけで簡単に検定資格を取得できるので、ネイルサロン開業に興味がある方は一度、無料資料請求をしてみてはいかがでしょうか?
成功のコツは「固定費を抑えること」です。
固定費とは人件費、家賃、美容機器や広告費などです。固定費が大きいといくら売り上げがあってもプラスにはならないので、かかる固定費をできるだけ抑えましょう。
失敗パターンは「価格競争をしてしまうこと」です。
集客をするために価格競争に参入してしまい、最終的に利益にならないパターンがあります。
ショップ経営は一般的に、店舗を構えて起業をすると考えられていますが、実際は店舗を持たずにショップを経営することができます。
店舗を持たないショップ経営とは、オンラインショッピングのことです。
さらに今では、「BASE」という便利なサービスがあり、このサービスを使うことで、誰でも簡単に無料でオンラインショッピングを開業することもできます。
セレクトショップとは洋服や雑貨、化粧品などのさまざまな商品を集めて販売することです。
セレクトショップの特徴は自分がいいなと思うものや、流行りそうだと思うものを集めて販売できるところです。
商品を一から作る必要がなく、選んでくるだけなので手作りが苦手な方でも始めることができます。
ハンドメイドショップとは、雑貨やアクセサリーなどのハンドメイド作品を販売することです。
趣味でやっていた手作りのものを商品化できるので、趣味から起業できる方法の一つでもあります。
自らデザインしたものを、専門の工場などに依頼してプリントシャツを作り、そのシャツを商品化することです。今ではインターネットでデザインを依頼したり、生地や価格帯を設定できるので始めやすいです。
成功のコツは「安心感を持ってもらうこと」です。
素人が一からショップ経営をする場合、顧客は自分たちのお店がどんなお店か知らないので、信頼度が低い顧客ばかりです。売り込むより先に、顧客に「このお店は安心だ」と思ってもらう努力をしましょう。
失敗パターンは「顧客分析をしていないこと」です。
女性起業家が陥りやすい失敗でも記述しましたが、「顧客が何を求めているのか」を理解しないで自己満足で商品を作ると絶対に売れません。どの顧客層に向けた、どんな商品なのかを明確にしてから、商品を売るようにしましょう!
自宅教室とは、新たに場所を借りる費用が掛からず自宅で開業できる起業法です。自宅教室の大きな特徴は「始める費用を抑えられる」ことにあります。
今まで趣味でやっていたことを活かすことができ、好きなことを仕事にできます。
自宅のリビングやキッチンなどを利用して、おしゃれな料理やかわいいお菓子作りなどを教えます。
健康に特化した料理や、おしゃれに特化した料理をメインにすると需要も高く、成功しやすいです。
さらに主婦の方や料理好きの方などは、普段の料理がビジネスになるので、モチベーションを保ちながら続けることができます。
InstagramやTwitterなどで写真を投稿する人が多くなったことから、おしゃれな写真を撮りたいと思う人が増え、写真の撮り方に需要が高まっています。
自身のInstagramやTwitterなどにおしゃれな写真を投稿することで、顧客を増やすことができるのでSNSを活用して集客をすることも可能なビジネスです。
成功のコツは「集客方法を工夫すること」です。
自宅教室は集客方法が限られているので、SNSアカウントだけでは認知が難しいです。初めの頃はチラシなどを作成してお店などにチラシを置いてもらうなどをする必要があります。
上手くアプローチをかけて、集客を工夫する必要があります。
失敗パターンは「教える内容の充実度」です。
素人とはいえお金を頂いているので、顧客が満足する内容でなくてはなりません。内容が薄くてネットでも知れる情報であれば、リピーターが付かずに収益が上がらないので、内容の充実度は整える必要があります。
山口さんが経営するマザーハウスは、バングラディシュでジュートを材料にしたカバンを製造し販売している会社です。
起業から10年で現在では日本・台湾・香港で29店舗を構えています。
山口さんは学生時代にインターネットで「アジア 最貧国」と検索してバングラディッシュに興味を持ち、実際にバングラディシュを訪問。その際に貧困や汚職といった現状を目の当たりにします。
その後22歳で現地の大学院に頼み込んで入試を受けさせてもらい、なんとか合格。現地では昼間はインターン、夜は大学院といった生活を過ごし、24歳で起業をします。
それが現在の「株式会社マザーハウス」です。
10年続いているマザーハウスですが、今もなお「途上国から世界に通用するブランドを作る」という理念を掲げ、自らバングラディシュやネパールなどの現地に赴き、バックやストールのデザイン・生産を手がけており、今もなおとてもエネルギッシュな方です。
1人でできない家具の組み立てや、旅行の間のペットの世話などを誰かに頼みたい時があると思います。
そんな悩みをCtoCで解決することができるのがエニタイムズです。
具体的には「料理を教えます」と自分の得意なことを売ったり、逆に「洗濯できる人を探しています」と募集をしたりと、個人と個人間のビジネス(CtoC)を可能にするプラットフォームを提供しています。
角田さんは大学を卒業して証券会社に就職し、その後IT関連会社でPRプランナーの仕事をしていました。
しかし、直接社会に役に立つ仕事をしたいと思い、友人の誘いでベンチャー企業の立ち上げに参加するために転職し、ゼロから会社作りを学びます。その後2013年に現在の株式会社エニタイムズを創設しました。
そんなエニタイムズは現在、登録者は3万人を超え、さまざまな地域で活用されています。
2011年に第一子を出産し、わずか4ヶ月後に母とお菓子ブランド「BROWN SUGAR 1ST」を立ち上げ。
この会社は「自分の子に食べさせたいかどうか」を基準に、食材を厳選したお菓子屋さんです。
その後、当時日本ではほとんど知られていなかったココナッツオイルに出会い、2013年に「有機エキストラバー人ココナッツオイル」を発売。そのココナッツオイルが美容や健康に良いと大ブレーク。
ココナッツオイルブームを巻き起こし、創業から4年ほどで年商7億円を売り上げるほどに成長しました。
荻野さんは現在お子さんが1人おり、一児の母であり経営者でもあります。
時には親子3人で商品の輸入元の東南アジアに出向き、現地の人々とコミュニケーションなどをすることで関係性を大切にしています。
小林さんは高校1年生で学校を辞め、その後カナダの全寮制イターナショナルスクールに留学し、そこで感じたカルチャーショックを感じました。
その後は紆余曲折がありユニセフに勤め、ストリートチルドレンという世界の状況を目の当たりにして「貧困層の教育を変えたい」と思ったことから、2007年に学校設立を決意。2008年に帰国をして、プロジェクトを開始しました。
ISAKは生徒の約7割が留学生、教員の9割が外国人です。さらに、日本の高卒資格を得られるだけではなく、国際バカロレアを履修できる日本初の全寮制のインターナショナル高校です。
小林さんは結婚もしてお子さんもおり、現在は家庭と仕事を両立しています。
そして、「変革を起こせるチェンジメーカーを育てる」という教育理念をもとに、ISAKを成長させるため今も奮闘しています。
倉原さんは女性起業家には珍しい、宇宙に関わる分野で起業をした方です。
彼女は2010年に九州大学大学院で人工衛星の研究に従事し、その後は大手衛生運用システムメーカーで勤務。そして2016年にインフォステラを共同設立し、2017年には8億円もの資金調達で話題になりました。
インフォステラの事業内容は「衛生アンテナをシェアする」という宇宙版のAirBnBを作ろうとしています。
小型衛星が取得するビックデータを用いた宇宙ビジネスは、この先とても可能性があります。しかし、衛生が一つのアンテナにデータを送れる時間は1日でわずか40分程度と短く、この「データ」の受信という課題を解決しようとしているのがインフォステラ です。
日本の中でも、子供を育てながら、宇宙という大きな分野に挑んでいる数少ない女性起業家の一人です。
起業ログ編集部でも倉原直美氏に一度取材をしています。こちらの記事で取材内容を紹介しているので、興味がある方はご覧ください。
今では起業という選択肢はあまり珍しくなくなり、女性でも起業しやすい時代になりました。
しかし、好きなことを仕事にできるのが起業であるのも事実ですが、起業をするにはしっかりとしたターゲットを意識して、「誰のためにサービス(商品)を提供するのか」を明確にしなければ必ず失敗します。
起業をするなと言っているのではなく、この記事を見ている方には失敗してほしくないので、起業をする際にはしっかりとプランを考えて、家族と相談をした上で起業することをおすすめします。
画像出典元:O-dan
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