起業したいれど「失敗が怖い」「できるか不安」という方は多いのではないでしょうか?
起業で成功するためには、成功する理由を知ることよりも、失敗する理由を知ることが重要です。
なぜなら、成功することは偶然にも起こり得ますが、『失敗することに偶然はない』からです。
この記事では、起業に失敗する人の特徴やその原因を、実例とともに解説していきます。
また、実際の失敗率や失敗しないためのポイント、失敗後の借金などの現実や再起の選択肢も含めて紹介していきますので、失敗を回避しながら起業準備したい!という方はぜひお役立てください。
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検索サイトでは「起業の9割が失敗する」というワードをよく目にしますが、実はこれには論拠がないといわれています。
実際の成功・失敗確率はどのくらいなのでしょうか?
中小企業白書によると、国内企業の廃業率はわずか3.3%(2022年調査)だそうです。
起業後の生存率に絞って見ても、5年後の生存率は81.7%(2017年調査)もあり、諸外国と比べても高い生存率であることがわかります。
国内全体の開業率、廃業率の推移は、2017年から2022年まで大きく変化していないため、近年においてもこの傾向は同等と推計されます。
つまり、起業を志す人が恐れる以上に、起業の失敗確率というのは、そこまで高くないのです。
ただし、「起業の失敗」というのは、倒産だけではなく、以前の仕事より稼げていない、赤字ギリギリで商売しているなどの状態ともいえます。
また、上記は帝国データバンクに載っている企業の失敗率なので、そこに載る以前に商売を畳んでしまった事業主はカウントされません。
もう少し詳しく、カテゴリ別の実態についてみてみましょう。
2021年の市場調査では、脱サラ起業の失敗確率は男性41%、女性42%でした。(出典※1)
また、フランチャイズ開業の2年後の廃業率は14.4%との調査もあり、個人開業の同廃業率7.8%の2倍も失敗しやすい結果となっています。(出典※2)
出典※1:ノマドマーケティング株式会社調査、出典※2:日本商業学会調査
これらの数値をみると、「9割が失敗」というほど恐れる必要はないにしても、十分な準備と対策を知らずに起業に挑んでしまうと、簡単に失敗のループにはまる危険性もあるといえます。
よくある失敗談、落とし穴にはまらないためにも、次の章から紹介する失敗する人の理由や傾向をよく見ておきましょう。
起業失敗の理由は、ただ単純に「向いていなかった」のではなく、いくつかの要素に分類できます。
ここでは、起業家領域に詳しい、現HAKOBUNEのファウンディングパートナー栗島祐介氏からヒアリングした成功・失敗例も参考に、よくある失敗理由4つを解説していきます。
いくらその商品やサービスに魅力があっても、お客さんに買ってもらえなければ利益は上がらず、失敗してしまいます。
起業家の中には、サービスの作り込みや商品力にばかり注力して、肝心の顧客の獲得、地道な営業を疎かにしがちな方もいます。
さらに、当たり前のことですが、広告・宣伝には費用もかかるため、いつまでも集客や営業に苦戦していたらあっという間に会社は潰れてしまいます。
スタートの時点で軌道に乗れるか心配な方は、起業前から、β版・試作版の頒布などで徐々に見込み顧客の獲得を進めたり、マーケティングの知識を身につけておきましょう。
資金管理不足による、運転資金のショートも失敗の理由の一つです。
売上・利益が立っているにも関わらず、手元の現金が足りなくなり黒字倒産してしまうのです。
よくあるのは「売掛金の回収が間に合わない」ケースで、売掛金を回収する前に、原材料などの買掛金支払い期日がきてしまい資金が底をついてしまいます。
黒字倒産・運転資金不足に陥る仕組みや対策については、以下記事もご参考にしてください。
運転資金不足に陥る失敗は「ネガティブ思考を持っていない起業家」が陥りやすい傾向にあります。
実際に起業を行うと、理想的に計画が進んで行くことはほとんどなく、むしろ実際は、悲観的に考えていた以上に悪くなっていくことが多いくらいです。
それにも関わらず、事業の見積もりを軽く捉えて計画を楽観視してしまう起業家が多いのも事実です。
楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する。
この言葉は、京セラ・第二電電(現:KDDI)創業者の稲盛和夫さんの経営哲学の1つです。起業をして経営を進めて行くときは、この考え方を覚えておくと良いでしょう。
事業そのものが順調でも、経営陣の内部トラブルによって、起業が失敗してしまうこともあります。
よくあるのは、気の合う友人同士で起業した後、会社における「責任の所在」「収益の分配」などで揉めてしまい解散となるケースです。
また、急に事業が拡大し大金が手に入ったりすると、創業メンバーや経営陣の中で不正や裏切りをする人が出て来てしまうこともあります。
信頼関係のある仲間と起業したとしても、会社としてのルール・セキュリティの仕組みはなるべく早期に組み立てるようにしましょう。
稼いだお金の使い道を誤ってしまったことで、結果的に起業そのものが失敗することもあります。
これは起業にある程度成功し、利益が上がってきた会社で起こる失敗です。
起業に初めて成功する人は大金を得たことがない人が多く、多くの大金を手にした途端に、無駄な方向にお金を使い始めてしまうことが多々あります。
お金の使途を誤ったことによる有名な失敗例は次のとおりです。
■お金の使い道の失敗例①:ワイキューブ
・ 人材採用業などで、2007年には売上高46億円をあげていた注目企業
・ リーマンショック後に売上が1/3に落ち込んでいたのに、従業員の給与を2年間で2倍の額に
・ 新幹線はグリーン車、高級ホテルなどの待遇も止めなかった
・ それらの支払いを銀行からの借入で賄っていたため、借金が増大し倒産
■お金の使い道の失敗例②:フリーエージェントスタイル
・ "秒速で1億稼ぐ男"で有名な実業家・与沢翼氏によるアフィリエイト業を営む会社
・ 経費で落とせると思っていたお金が経費で落とせず、税金が思っていた以上に高額に
・ 豪遊しすぎた結果、また海外FXへの投資で失敗したことも影響し税金が払えず資金ショート
・ 高級車3台を売却し、住宅も全て解約したが返済額には足りず、本社ビルも売却し倒産
2社とも外からは「うまくいっている」と見えていたのに、あっという間に倒産してしまいました。
いくら利益をあげたとしても、会社のサイズや成長ステージにあわせた使い方をしなければ、同じ失敗を辿ってしまうので、堅実な資金計画を立てるようにしましょう。
起業の失敗の原因さえ分かっていれば安心かというとそうではありません。
そのような結果を引き起こす『起業に失敗しやすい人』には一定の傾向があるのも事実です。
ここでは栗島氏が触れてきた失敗談も参考に編集部が分析・ピックアップした、失敗しやすい人の特徴を紹介しますので、自分が当てはまるな...と感じる方は、今から意識づけて改善を試みましょう。
アイデアマン型の起業家によくあることですが、ビジネスモデルや販売計画は立てられても、資金計画が立てられないという方は当然ながら失敗しやすいです。
会社が日々活動していくためには、家賃や給料、材料費など一定の運営資金がかかるので、たとえ商品が売れない間も、それを支払う余力を持っていないといけないのです。
特に会社を立ち上げるときは初期投資にかかる費用の調達にばかり目がいってしまい、その後の事業運営資金まで見据えられない方も多く見られます。
自己資金をある程度確保しておくか、当面の運営資金をまかなえる資金計画を立てましょう。
「マーケティング視点が必要」と書くと、とても高尚な難しい知識を持っていなければ失敗すると言われているように感じてしまいますが、決してそうではありません。
マーケティング視点とは、「ビジネスにおいて何が大切かを理解しているかどうか」なのです。
まずはじめにマーケティングとは何かを分解して説明しておきましょう。
マーケティングとは 「顧客が真に求める商品やサービスを作り、その情報を作り・届け、顧客がその価値を効果的に得られるようにする」ための概念である。
(Wikipedia参照)
少し難しいので言い換えると、マーケティングとは「顧客の求めるものを提供(課題を解決)し、その対価としてお金をいただく」ことです。
ビジネスにおいて最も重要なことは「顧客の課題を解決すること」です。
HAKOBUNE株式会社 栗島祐介
顧客の課題の理解でわかりやすい比喩に『ドリルと穴』という話があります。ドリルを買いにきた人はモノ(ドリル)を買いたいのではなく、課題解決(穴をあけること)をしたいのです。
ここを見誤ってしまうと、自意識過剰になって商品を売りこむことが中心になり、顧客が本当に求めているものを提供することができなくなります。
課題を解決するからニーズがあるのであって、それを考えずに作られたサービスや商品はただの自己満足になってしまいます。
顧客の声に耳を傾け、顧客の課題を明確にした上でビジネスをしましょう。
次は性格面でのよくある特徴です。「頑固な人・素直じゃない人」は失敗しがちです。
素直じゃない、は少しわかりづらいので、言い換えると「自分の都合のいいようにしか解釈しない人」のことです。
自分のビジネスプランが正しいと思い込み、投資家や周りの人たちの意見を聞こうとしない人は、一部の天才ではない限り必ず失敗します。
主観的に自分のビジネスを見てしまうと、顧客が求めているものと提供するものにズレが生じてしまうので、周りの人に意見をもらい、自分を達観できるようにしましょう。
性格面の他の特徴としては、「人やツールに頼れない人」また逆に「他人を信じやすい人」も失敗傾向にあります。
起業当初は自分の見える範囲でビジネスを動かせますが、規模が大きくなるとそうもいきません。
そんな中、何でも自分でやらないと気が済まない、他人に頼れない人は、経営をハンドリングできなくなり失敗してしまうでしょう。
また、起業間もない頃には、早く売上を立てて安定したいという焦りから、うまい話しや少しのチャンスに飛びつきがちです。
しかしながら、世の中にはそういった隙を狙った詐欺もあったり、不確定要素の高いビジネス話は失敗確率も高いので、安易に他人を信じて突き進みやすい人は注意したほうが良いです。
HAKOBUNE株式会社 栗島祐介
さらに、「投資家が~億円出資してくれれば〜できる!」や「優秀なあの人がうちの会社に入ってくれたら」などといった、他人をキーポイントにしたタラレバ思考に陥る人も、事業を拡大・継続させることは難しいでしょう。
事業計画書とは融資やVCから資金調達を得る際に、会社の戦略や将来を説明する目的で使われる有益なものです。
しかし、この事業計画書自体を信じすぎてしまう人がいます。これは特に大企業出身の方が陥りやすい失敗パターンです。
もし、用意周到に3カ年計画を立てたとしても、起業したばかりのスタートアップやベンチャーでは1週間単位で状況が変化することがザラなのであまり意味はありません。
それよりも重要なことは、行動をし続け検証を重ねていくことです。
HAKOBUNE株式会社 栗島祐介
イーロンマスクやマークザッカーバーグなども、計画を意識せずに状況に合わせて事業を進めてきました。起業をしたばかりの頃は、事業計画書なんて形だけのものだと思い、目の前のことに集中して行動し、検証を繰り返し行っていきましょう。
起業自体が目的となっている方も、起業しただけで満足してしまうので、失敗してしまいがちです。
成功している起業家は「起業によって何をなしとげたいか」そのビジョンが明確で、そこに強い意志をもっています。
その心づもりがない方は、起業することそのものに労力を費やした後に力尽きてしまい、苦しい事業成長の時期を乗り越えることができません。
また、『会社を辞めたくて脱サラ起業した人』も要注意です。
脱サラ起業そのものが悪いわけではないですが、「今の会社を辞めたい」がために起業を選んだ場合、辞められたことで気持ちが満たされ、起業後のモチベーションを保つことができず、事業を成功させることは難しいでしょう。
脱サラ起業の失敗とそれを防ぐ対策については、以下記事もご参考にしてください。
それでは、起業に失敗しないためには、どのような点に気を付ければよいのでしょうか。
ここでは、起業を志す人が知っておくべき、失敗を防ぐためのポイントを紹介します。
失敗しないためには、「失敗しやすい=儲からない」市場を避けるほうが得策です。
もちろん、これらの市場でも、既に顧客がいる、商機があるなどの場合には勝ち筋がありますが、これからどの領域でビジネスするかを考える!という方は、以下3つの市場はなるべく避けましょう。
競合が多すぎる市場とは「人気な起業パターン」のことです。
■人気起業パターン 具体例
・ 飲食
・ 人材
・ Webメディア
・ アプリ開発
飲食で最もわかりやすい例は「ラーメン屋」でしょう。
ラーメン屋と聞いて「あー確かに多いな。」と感じるのではないでしょうか。ラーメン屋はまとまったお金がある人なら初心者でも開業しやすく、飲食の中でも始めやすい分野に入ります。
Webメディアも、特に学生起業家がよくやる起業パターンです。自身のWebサイトをローンチし、メディアとして収益をあげますが、この分野も初期費用があまりかからないので人気です。
しかし、これらの市場は競合が多く、認知すらされず埋もれてしまったり、差別化が最も困難です。
これらの市場に挑戦するのであれば、徹底的に市場分析した上で参入するようにしましょう。
そもそもが小さな市場を選んでしまうと、利益が上がらず、事業が成り立たなくなってしまいます。
小さな市場とは言い換えると「ニッチな市場」とも言えます。
ニッチな市場は、場合によっては市場を独占することができ、成功しやすい起業パターンの1つです。
HAKOBUNE株式会社 栗島祐介
しかし、理解しておかなければならないのは、ニッチな市場でも「スケールアップしない市場」と「スケールアップでき、将来性がある市場」の2つがあるということです。ニッチな市場で失敗する人の多くは、「スケールアップしない市場」を選んで失敗します。
また、過去は大きかった市場であっても、右肩下がりの傾向にある市場は避けた方がいいでしょう。なぜなら、市場が縮小傾向なのは、顧客のニーズがなくなっている証拠だからです。
ニーズがなくなってくると自然と市場は縮小され、参入しても将来性は低くなっていく一方です。挑戦する前に現在需要・将来需要があるのかどうかを、数字や事実を元に分析しましょう。
特別な技術や許認可が必要な市場は、参入障壁が高いので難しいです。
わかりやすい具体例は「電気通信市場」です。電気通信とは固定電話や携帯電話等の電気通信サービスを提供する会社のことで、KDDIやau、softbankなどが該当します。
これらの市場は参入障壁が高い上に費用もかかるので、参加したところで勝ち目が薄いです。
また、すでにブランド力の強い大手企業が独占している市場、例えばマクドナルドがいるバーガーチェーンなどは新規参入しづらいです。
例え大手でなかったとしても、「このあたりで中華といえばA軒」といった認知度が既にある地域で同じ事業を始めると、相手が中小であっても参入障壁は高くなりますので注意しましょう。
起業するにあたっては、初めから風呂敷を広げすぎず、小規模・低リスクで始める方がよいです。
特に起業する気持ちが盛り上がっているときは、すぐにカッコイイ、大きなビジネスをやりたくなりますが、大規模な投資はその分リスクも大きいです。
低リスクから始めて、経営・ビジネスが安定してきてから徐々に規模を拡大するようにしましょう。
例えば、はじめからオフィスを借りるのではなく自宅兼事務所から始める、Web業界など、大規模な設備が不要で在庫も不要なビジネスから始めるなどもおすすめです。
収入面での心配回避やリスクヘッジとして、副業や週末起業から始めるのも良いでしょう。
扶養家族がいる人などは急に収入ゼロで起業に挑戦するのも難しいので、起業収入以外に会社員としての一定の給与が保証されていると安心です。
また、スタートしてみたものの「やはり向いてない」「大規模損失になる前に撤退したい」となった時に、戻れる場所があることもメリットです。
近年では副業OKの会社も増えており「副業起業」「週末起業」の形で挑戦している方も多いです。
詳しくは以下記事もご参考にしてください。
起業時には、資金を十分に確保しておくようにしましょう。
起業後に黒字経営になるには一般的に6ヶ月~1年かかると言われており、その間利益が出なくても事業を継続できるぐらいの運転資金が準備できていることが望ましいです。
また、経営者本人の生活費が枯渇しては意味がないので、自己資金もきちんと確保しておきましょう。
本人の貯金で全てが賄えれば良いですが、そこまでの財力・余力がある方は稀なので、政府金融機関や銀行の支援を利用するなどの手段も検討しましょう。
資金調達方法の詳しい種類については、以下もご覧ください。
いざ起業した後は、営業、請求・支払い、従業員管理など日々やるべきことに追われてしまいます。
そんな中で、足りない知識を補っていくのはかなり難しいので、起業準備にはしっかりと時間をかけ、自信のない領域については事前によく学んでおきましょう。
一番重要といわれるのは『事業計画書』です。作りながらビジネスに必要な要素を熟考し、整理することができるのでしっかり作成しましょう。
また、机上の空論とならないよう、また予期せぬ外部要因にも耐えれるよう、計画を立てたら様々なケースを想定してシミュレーションを行いましょう。
さらに、マーケティングやコーチングなどの知識もあると強いかもしれませんが、自分で極めるのが難しいと感じた場合は、得意なメンバーを仲間に入れることも重要な事前準備となるでしょう。
下記の記事では、起業のメリット・デメリットや起業を成功させるポイントを紹介していますので、こちらもぜひ参考にしてください。
実際に起業に失敗してしまった場合はどうなるのでしょうか?
「借金地獄で悲惨な末路になるのではないか...」と怖く感じてしまう方もいるでしょう。
この章では、具体的なケースや失敗談を紹介するので、まずは客観的に傾向や情報を把握して、悪いケースのシミュレーションをすることで、起業準備に役立てましょう。
真っ先に思いつくケースは、借金を抱えること、そして最悪は自己破産してしまうことでしょう。
経営状態が悪化すると、会社として外部からお金が借りられなくなり、自己資金に手をつけたり、個人名義で知り合いや金融機関から借金をしてしまうこともあります。
また、そもそも特に起業したばかりの会社は信用力が乏しいため、創業時から法人名義ではなく、個人名義で借金をするケースも多々あります。
そうすると、会社が倒産しても、個人名義の借金が残ってしまうため、返済しきれず自己破産に陥ってしまうこともあるのです。
自己破産すると、破産者の氏名・住所などが官報に掲載されます。
公のものとなる精神的ダメージ以外にも、信用情報が下がるため、クレジットカードが作りづらくなったり、もしもう一度起業したいと思った際の融資の受けづらさに影響することもあります。
他に気になることといえば、周りに「あの人は起業で失敗したんだ」と思われることでしょう。
有名起業家も失敗を繰り返しながら成功しているので一度の失敗を気にする必要はないのですが、プライドの高い方、世間体を気にする方にはダメージが大きいでしょう。
また、家族を養う立場の方は、倒産で収入ゼロとなることで家族に迷惑がかかる可能性もあります。
さらに、自己破産の結果となった場合、住居などが差し押さえになるので、転居・転校などを余儀なくされることもあります。
起業に失敗すると、再就職しようとしても、なかなか就職先が見つからないこともあります。
もちろん、一人でビジネスを立ち上げ、経営をハンドリングしようとした手腕を評価してくれる会社も中にはありますが、難色を示す会社もあるようです。
なお、倒産・自己破産をした場合は、信用情報に傷がついているため、公務員・金融機関など一部の業種には就職できなくなりますので注意しましょう。
会社形態が株式会社・合同会社である場合、債務については有限責任となります。
有限責任とはどういうことかというと、会社が倒産した場合、出資金の範囲内で、債務者に責任を負う、ということです。
つまり、会社がつぶれたとき、出資したお金は消えてしまいますが、それ以上は責任を負わなくて良く、代表者の個人資産を返済にあてる必要もありません。
ただし、会社名義の借金に、代表者本人が連帯保証人になっている場合は個人としての返済義務が残りますので注意しましょう。
返済が難しくなったら、そのまま一人でもがくのではなく、早めの段階で融資元へ相談することが重要です。
事後報告となってしまうとそこで終了となりますが、滞納の前に相談をすれば、計画の変更、返済の猶予など柔軟な対応を取ってくれることもあります。
返済計画に関して融資元を納得させることができれば、一定期間「利息のみ」の返済とさせてくれる場合もあり、その間に経営を立て直して再起することもできます。
まずは、状況悪化の前に、一緒に改善策を考えてもらえるよう相談をしましょう。
諸刃の剣ではありますが、追加の資金さえあれば経営の改善が見込まれる場合は、追加融資を受けることも選択肢の一つです。
ただし、それが失敗した場合、さらに多くの負債を抱えることになりますので、慎重に判断しましょう。
また、追加融資の場合は、融資元の事業計画書のチェックもさらに厳しくなりますので、相手を納得させられる計画をしっかり練りましょう。
起業に一度失敗したら、再起は難しいと思われている方も多いかもしれません。
しかしながら、起業家の再チャレンジを支援してくれる政府系の制度もあり、再起業・再就職は手段を選べばそこまで難しいことではありません。
以下に何点か再起方法をご紹介しますので、挑戦前の失敗後の不安が軽減できればと思います。
現在は成功している起業家の多くも、実は起業1社目で成功した方ばかりはなく、過去に失敗・倒産経験がある方もいます。
一度目の失敗で得た教訓を生かして、二度目以降は、起業準備や経営のハンドリングに慣れてくるので、おのずと成功確率も上がるでしょう。
有名な連続起業家、家入一真氏も1社目の起業を成功させ数十億円手にした後に、飲食業で失敗してそのほとんどを失うという経験をし、その後またCAMPFIREなど成功企業を複数生み出しました。
次に起業を試したい領域が決まっているのであれば、以下に紹介する再挑戦制度などを活用して、再チャレンジしてみましょう。
日本政策金融公庫には、倒産歴があり、創業に再チャレンジする方向けの支援金制度があります。
失敗した前事業で抱えてしまった債務の返済に必要な資金も含め借りることができるため、失敗を全て清算しきれていなくてもチャレンジ可能です。
また、15年~20年と通常よりも長期で返済ができるので余裕をもって挑戦することができます。
詳細は、日本政策金融公庫のHPをご参照ください。
例え失敗したとしても、経営者として事業を立ち上げ、幅広い視点で会社を運営していたスキル・経験は、転職で役立つこともあります。
特に、ベンチャー企業などでは、個々のメンバーが経営者に近い目線で事業に係わっているため、起業経験をプラスに捉えてくれる所も多いようです。
また、再起業を考えている場合でも、一旦就職し直して資金を貯めたり、次のビジネスへの人脈づくりをするのも有効な手段です。
ひろゆき氏も、『採用面接で「会社を立ち上げたんですけど、失敗して潰しました」とか言ってきた人には、珍しがっていろいろ話を聞きました』と語っています。
もし失敗しても、このように自分を評価してくれる業種や企業は存在しますので、失敗前から心配しすぎずチャレンジしてみましょう!
この記事では、起業に失敗しやすい人の理由や特徴について解説しました。
起業に失敗した後の末路についても触れましたが、記事で紹介したような傾向を知っておき、十分に対策することで、失敗の確率は十分減らすことができます。
チャレンジする前からネガティブ思考となりすぎないよう、失敗ポイントへの注意を覚えておきながら、前向きに起業準備していけると良いでしょう。
画像出典元:o-dan
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