起業したいという気持ちは大きいけど「起業するにはいくらぐらい必要なのか?」「現時点、あまり貯金はないけど起業することはできるか?」など、起業時の資金面について悩む人は非常に多いです。
もちろん、どんな業種であれ起業するからには、ある程度資金は必要です。
では「資金がない」もしくは「足りない」といった場合、どのようにしたら良いのでしょうか?
今回は、起業時に必要な資金の調達方法を中心に、起業資金について詳しく解説していきます。
このページの目次
起業すると決心し、動き出した時から様々な困難に直面することでしょう。
なかでも資金問題に関しては大きな悩みの種となるケースが多く、起業家のなかでも起業時の「資金繰りや資金調達」がもっとも悩ませられたことだと言われるほどです。
もちろん、これから始めようとしている事業形態や事業内容などによっても必要となる資金額は異なりますが、多かれ少なかれ起業するからにはある程度まとまったお金は必要です。
また、起業しようとする人の多くは、起業時の開業資金だけを注視してしまいがちです。しかし、起業には開業資金のほか、運転資金や当面の生活費なども準備しておく必要があります。
それはなぜか?
起業した直後に安定した売上(収入)が入ってくることは極めて稀なケースで、起業してから数か月間は利益が出ない状態が続いてしまう場合がほとんどだからです。
なお、日本政策金融公庫がおこなった「2019年度新規開業実態調査」によると、開業にかかった費用としてもっとも多かったのが500万円未満(40.1%)であるとしています。
次いで500万円~1,000万円(27.8%)となり、開業費用の平均値としては、およそ1,055万円としています。
ちなみに、日本政策金融公庫がこうした調査を開始したのが1991年。その当時は500万円未満が23.8%ともっとも少なく、もっとも多かったのは500万円~1,000万円で28.7%でした。
近年では、インターネットを使用したビジネスやシェアオフィスなどを利用してのビジネスなど、比較的少ない資金でもビジネスがおこなえるようになったということもあり、起業時の必要資金も減少してきたものだと言えるでしょう。
こうした統計から考えてみると、起業してビジネスを行っていくなら最低でも500万円以上、飲食やサロンなど店舗を構えるという場合は1,000万円以上の資金は、事前に準備しておきたいところです。
前述のとおり、起業して事業を展開していく場合は最低でも500万円以上の資金を準備しておきたいところです。それも自分で資金を賄えるという状態がもっとも理想的なカタチです。
しかし、多額な資金をひとりで準備するのが難しい場合もあるでしょう。そういった場合、起業するのに必要な開業資金を集めるには、どのような方法があるのでしょうか。
次に、一般的に起業家に多く使われている資金調達方法をご紹介します。
日本政策金融公庫は、政府が100%の出資をおこなっている政府金融機関で、創業支援や中小企業の事業支援などを重点的におこなっています。
なお、起業者向けには無担保・無保証人・低金利で利用できる「新創業融資制度」という融資制度が用意されており、最大3,000万円(うち、運転資金は1,500万円)までの融資を受けることが可能です。
ただし、融資を申し入れる際の要件として、創業資金総額の10分の1以上の自己資金が必要としています。
つまり、最大の3,000万円を融資してもらう場合、最低でも300万円の自己資金が必要になるということです。
そのため、現時点で自己資金が無い状態では、日本政策金融公庫を利用することは極めて難しいです。
日本政策金融公庫については下記の記事を参考にしてください。
金融機関とはいわゆる「銀行」です。
一般的に銀行から融資を受ける場合、信用保証協会に保証人になってもらう「保証付融資」と、保証協会の保証を受けず直接銀行から借入をおこなう「プロパー融資」の2パターンに分かれます。
起業時は実績や信用力が低いため、プロパー融資を受けることは極めて難しいです。
そのため、信用保証協会からのバックアップを得たうえで融資を受ける「保証付融資」を利用するのが一般的です。
保証付融資の場合、銀行への返済ができなくなってしまった場合、信用保証協会が借入金を銀行に代位弁済してくれます。
ただし、代わりに弁済された後は、信用保証協会に返済していくことになります。決して信用保証協会が借入金を肩代わりしてくれるわけではないので、間違えないようにしてください。
信用保証協会に関しての詳しい内容は下記の記事を参考にしてください。
信用金庫も個人事業主や中小企業を対象とした融資など経営支援をおこなっており、起業家の資金調達手段のひとつとして挙げられます。
信用金庫は、地域密着型の金融機関であるため、大手銀行などと比べて融資のハードルが低く審査も比較的通りやすいといった特徴を持ちます。
そのため、起業家や個人事業主でも利用しやすく、おすすめする資金調達方法です。
また、融資の他にも、信用金庫では起業家向けのセミナーや相談会など定期的に創業支援活動も開催しているので、起業家にとってメリットが大きいと言えるでしょう。
親・親戚・知人など身内から借りる場合や消費者金融などから資金を借りるケースですが、個人での借り入れは、できるだけ避けたいところではあります。
まず消費者金融ですが、申し込みが容易で無担保無保証で借りることができ、審査スピードも速いため最短でその日に借入が可能ですが、返済時の利息が高いので注意が必要です。
次に身内からお金を借りる場合ですが、資金調達方法のなかではもっとも融通が利きますが、のちのトラブルに発展することも非常に多い資金調達方法でもあります。
また、親などから「事業が軌道に乗ったら返す」といった名目でも、借入れた額が110万円を超える場合、定期的に返済してないと贈与税として見なされる可能性があります。
事業が軌道に乗り、お金に余裕ができたら返すという約束であっても、110万円を超える場合は継続的に返済するよう心がけるようにしてください。
起業するにはある程度まとまったお金が必要です。
ただ、普段の生活から、まとまった資金を準備することは難しく、多くは融資などで資金を調達することになります。
しかし、融資は当然ながら返済していかなければなりません。そのため、返済に追われて事業が上手くいかなくなってしまうということも考えられます。
「起業したいけど貯金が少ない」「融資が受けられても返済していけるか心配」などといった場合、「補助金」や「助成金」の活用を検討するものひとつの方法です。
なぜなら、この補助金や助成金は融資とは違い、国や地方自治体からもらえるお金となるため、原則的に返済する必要がありません。
やはり返済する必要がないというのは、起業家にとっては非常にありがたい制度であると言えるでしょう。
では、そんな補助金・助成金とは、一体どのような制度なのでしょうか?
補助金というは、主に経済産業省や自治体が管轄している制度で「社会のために貢献する事業者を補助(サポート)する」いわば起業家や中小企業を支援するための公的資金です。
この補助金を受給するには、補助金ごとに定められている募集要件を満たしていることを前提とし、事業計画書などの書類審査と面接がおこなわれたのち決定されます。
そのため、補助金は要件を満たしていれば必ずもらえるというわけではありません。
ちなみに、面接では「社会に対してどのように役立ち、どのような影響を与えるのか」など上手くアピールする必要があります。
助成金というのは、主に厚生労働省が管掌している制度で「働きやすい職場環境への整備」や「国や自治体が推奨している政策と合った活動をする」など、いわゆる雇用に関係することに対しての支援金のことです。
助成金は、定められた要件を満たしていれば基本的に給付金を受け取ることができます。
しかし、申請してから受給されるまで1年~1年半程度かかるケースが多いなど、受給待機期間が長いというところが少々ネックになるところです。
経済産業省や自治体が管轄し、申請に対して審査を経たのち受給が決まるのが補助金。
厚生労働省が管轄し、あらかじめ定められた条件を満たしていれば受給できるのが助成金。
補助金と助成金は、このような違いがあるということが分かりました。では、起業家を対象とした補助金と助成金は、どのようなものがあるのでしょうか。
主な補助金・助成金をご紹介します。
創業補助金は、新たに起業する人を対象に、必要な経費の一部を経済産業省が補助してくれる制度で、多くの起業家に利用されています。
小規模事業者持続化補助金は、常時使用する従業員が20人以下の小規模事業者などを対象に、最高50万円まで補助してくれる国の補助金制度です。※小規模事業者
小規模事業者に関して常時使用する従業員が5人以下、もしくは20人以下となっているのは、下記のとおり業種によって従業員数が定められているからです。小規模事業者持続化補助金は、申請条件などが比較的緩いため、多くの起業家が対象となるはずです。
しかし、あらかじめ使用目的が決められており、広報費や開発費など販路開拓のために使用しなければなりません。
補助金を受給したあと、くれぐれも決められた使用目的以外で使わないようにしましょう。
厚生労働省が実施するキャリアパップ助成金は、「有期契約労働者・短時間労働者・派遣労働者」といった、いわゆる非正規雇用労働者を対象にキャリアアップさせるための助成金制度です。
このキャリアアップ助成金は、人材育成など雇用促進を目的としている制度であるため、起業資金というよりは、起業家が雇用する従業員のキャリアアップを考えたときに受給する助成金です。
なお、キャリアアップ助成金には、「正社員化コース」「賃金規定等改定コース」「健康診断制度コース」「賃金規定等共通化コース」「諸手当制度共通化コース」「選択的適用拡大導入時処遇改善コース」「短時間労働者労働時間延長コース」といったように、7つのコースに分けられており、それぞれ助成金の額が異なります。
詳しくは「厚生労働省」キャリアアップ助成金のご案内をご確認ください。
このように、国では様々な補助金・助成金というカタチで起業家に対するサポートがおこなわれています。
もちろん、今後の国家予算などによって新しく誕生する補助金・助成金があるかと思われますので、起業家は定期的にチェックしておくと良いでしょう。
0円でも起業することは可能か?と聞かれれば、0円で起業することは可能です。
ご存知のとおり、今は0円で会社を設立することができる時代ですし、個人事業主であれば税務署に開業届を提出するさえすれば起業することができます。
事業内容もインターネットを利用したネットビジネスなら、基本的にパソコンとインターネット環境さえ整っていれば成り立します。
そのため、自宅をオフィスとし、もともと使用していた自分のパソコンを利用すれば、実質0円でビジネスは始められます。
しかし、0円で起業するということは、基本的にホームページ作成や集客(チラシ作成)などもすべて自分でおこなう必要があります。
起業時というのは、やるべきことが非常に多く、大抵時間がいくらあっても足りない状況です。
そうした状況のなか、ホームページの作成などに時間を費やすのは、はっきり言って時間の無駄です。ホームページは外注に依頼し、本来やるべきことに時間を費やすべきです。
また、外注に依頼した方が、自分で作成するよりもクオリティの高いホームページが出来上がるので非常に効率的です。
繰り返しになりますが、0円で起業すること自体可能であり簡単です。
ただし、起業して事業を継続的におこなっていくには、他にはない柔軟な発想やアイディア、強み、コンセプトなど、しっかりとしたビジネスモデルの構築が求められます。
これは0円起業に限らず、起業しようとするすべての起業家に言えることです。
起業して自らビジネスをおこなっていくということは、道なき道を自らの手で切り開いていくようなものです。
お金をかけず0円で簡単に起業できるからといって、安易な気持ちで起業すべきではありません。
どのような事業をおこなうかによって必要な資金額に開きはあります。しかし、いずれにしても起業するということは、ある程度まとまった資金が必要です。
たとえば、これから飲食店を開こうと考えている場合は、約1,000万円程度の資金は必要となりますし、ネットショップを運営する場合でも、最低30万円程度の資金は必要です。
さらに、法人を設立するとなれば、合同会社で約10万円、株式会社で約25万円の設立費用として必要になってきます。
繰り返しになりましが、起業にはある程度の資金が必要です。それも自己資金が理想です。
補助金や助成金は、あくまで足りない分を補うためのものだと認識しておくこと。
資金面をはじめ、様々な知識をつけるなど、起業する際はしっかりと準備を整えたうえで、動き出すべきです。
画像出典元:o-dan
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