TOP > 資金調達 > 融資 > 創業融資に失敗する原因とは?事例から成功法を伝授!
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起業を考えている人にとって創業融資は重要な資金調達方法の一つです。
しかし創業融資は誰でも受けられるわけではありません。創業融資を受けるためには審査をクリアしなければなりません。
では創業融資をスムーズに受けるにはどうしたらよいのでしょうか。また創業融資で成功する人と失敗する人にはどんな差があるのでしょうか。
今回は創業融資に失敗する原因を分析し、どうしたら成功するかについて解説します。
このページの目次
金融取引は約束した期日までにお金を支払うという「信用」に基づいて行われています。
信用情報とは、本人の属性、クレジットカードやキャッシングの利用状況、借入などの返済状況に関する情報のことです。
お金を貸そうとする金融機関にとっては、お金を借りようとする人が、きちんとお金を返済してくれる人か、信用してもいい人かを判断するために必要な情報が信用情報です。
銀行やカード会社は信用情報機関(JICC・CIC・全国銀行個人信用情報センター)に加盟しており、信用情報に関する情報が登録される仕組みとなっています。
クレジットカードなどの申込書類の裏面などにある利用規約には、信用情報機関への情報提供の文言が含まれています。
以前クレジットカードの返済が遅れて代位弁済となった。すぐに返済したので、創業融資には関係ないと思っていたが、この件が審査に影響したようだ。
信用情報機関には、過去の事故情報が登録されています。
事故とは、度重なる延滞や支払い拒否、代位弁済や自己破産、カードの不正使用などの場合です。1回や2回の返済の遅延では登録されることはありませんが繰り返し発生している場合は注意が必要です。
過去に事故があった場合、すぐに返済をしたとしても、その履歴は5~10年残ることになり、その間の金融機関からの融資審査は厳しくなります。
過去にカードなどで事故があるかもしれないという場合には、創業融資の申込前に信用情報機関に問い合わせておくといいでしょう。
審査資料として通帳のコピーを提出したが、公共料金の引落の遅れが何度かあった。うっかりして残高をよく見ていなかったためだが、ルーズな性格に見られたのではないか。
創業融資では1年分の通帳のコピーを求められることがあります。
クレジットカードの支払だけでなく、公共料金や携帯電話代の支払いなどで毎月の支払日に遅れがないかチェックされます。
預金残高を必要最低限しか入れていない場合はうっかり忘れてしまったということもあります。1回や2回の入金の遅れで審査が下りないということはありませんが、お金の管理がルーズな人、金融資産が少ない人というマイナスの印象を与える恐れがあります。
また自己資金はあるはずなのに口座残高は不足気味の場合、別途説明を求められることもあります。
創業融資を検討する場合には、日頃から残高管理もしっかりと行っておかなければなりません。
事業計画とは、ビジネスをどう展開していくかという計画です。誰に対して・何の商品サービスを・どの様な方法で提供していくか・ライバルは誰かなどというものです。
新たにビジネスを始めるには「これがしたい!」という思いや構想があります。また収入や支出などを考え、「これなら大丈夫!」と考える根拠があります。
ただしそれが経営者ひとりの頭の中にしかない場合が多くあります。ぼんやりとイメージはできているとしても、いざ誰かに説明するときには、曖昧な点も残ってしまうものです。
創業融資を受けようとする場合には、事業計画をさまざまな目線から検討してゆくことが重要となります。
アイディアはあったが、何のために創業するのか、どういう会社にしたいか、など自己分析ができていなかった。また競合先がどこか、差別化のポイントはどこかなど、事業内容の検討が不十分であった。
事業計画は創業前にじっくり時間をかけて練り上げなければなりません。
実際に事業がスタートすると、最初のうちは営業から経理や採用まで、一人で全部をしなければなりません。雑多な業務に流されて、本来するべきことが何だったのかが分からなくなってしまいます。
何のために創業するのか、どういう会社にしたいのかなど、じっくりと時間をかけてまとめ上げましょう。また「これがしたい」という売り手(提供側)の目線だけではなく、買い手(需要側)の目線に立ってサービス内容を検討することも大切です。
できるだけよく見せたいと思うあまり、開業後すぐに黒字が出るような計画にしてしまった。販売先も実際は固まっていなかったため、実際に計画を詰めていくと、売上も増えずまた必要な支出も多くなってしまった。
事業計画はよく見せようと考えすぎると、実際の事業の姿が見えなくなり、開業後に苦労することになります。
売上については、根拠もなく楽観的な数字で事業計画を作ると、実際の売上が大きく変わり、計画と実績のギャップが大きくなってしまいます。売上は堅めに、根拠となる販売先や数量・単価をもとに積み上げていきましょう。また売上の柱となる取引先はしっかり抑える必要があります。
支出は、想定外を少なくし、可能性のある支出を幅広く網羅しなければなりません。収支を合わせるために、金額を抑えた数字を入れても、結局は後で修正しなければならなくなります。
良く見せることにはこだわらずに現実的な数字を作成し、本当に必要な資金がどのくらいかを把握したうえで、資金の手当てを行いましょう。
開業場所や設備内容が決まっておらず、具体的な見積もりも作成していないなど、事業計画全体が未確定のまま融資の相談を進めていた。開業場所の候補地が変わるたびに、競合環境も変わってしまうことがあり、結局時間ばかりかかってしまった。
事業計画に未確定の項目が多すぎると結局は時間ばかりがかかってしまいます。
融資審査ではヒト・モノ・カネという物差しで融資先を分析します
ヒト | 経営者の人物・経歴・実績・経営理念 |
モノ | 商品・サービス・設備内容・立地条件 |
カネ | 返済能力・資金計画・資産内容 |
そのため、開業地が確定しない、設備内容が確定していないという状態では当然審査もできません。計画には変更はつきものですが、主だったポイントは固めておくようにしなければなりません。
改装・設備資金が予定以上に膨らんでしまった。また工事開始から家賃や諸経費が発生する一方で、実際に売上が振り込まれるまでにも時間がかかり、運転資金が不足した。
開業時の運転資金は十分に検討しなければなりません。
そもそも経費の支払と売上の回収との間にはタイムラグがあります。また開業時は売上が軌道に乗るまでは、支払が先行してゆきます。その他設備資金が膨らみ運転資金に食い込むケースや、工事や許認可に時間がかかるケースもあります。
運転資金を考える際には、支払条件・回収条件を踏まえながら、支払いは大きめに・回収は堅めに見積もり、運転資金の不足が発生しにくくしなければなりません。
借りられるだけ借りたいと考えて、目一杯の金額で創業融資を申し込んだ。そのため必要資金の根拠が曖昧で、返済計画も十分に検討しておらず、結局は必要な金額すら認可が出なかった。
創業融資で借りられるだけ借りたい、できるだけ多く資金を調達したいと考える人もいますが、根拠のない金額での申し込みは逆効果です。
必要資金の説明には十分な根拠が必要です。また借入額が増えれば返済額も増えることになります。これらを考慮せずに大きな金額で申込をしても計画の妥当性なく、審査は上手くいきません。
資金計画を立てる際には、その根拠を明確にして、必要な金額を算出しましょう。またそれを踏まえて、返済可能な返済額になるように返済期間を設定しましょう。
自己資金が無く、開業に必要な資金のほとんどを借入で調達する計画で創業融資を申し込んだが、上手くいかなかった。
創業融資では自己資金の有無は重要なポイントです。
自己資金が無い場合、変事対応力が弱く、返済が滞る可能性が高いからです。また開業にあたっての準備を計画的に進めていない、努力不足と判断されることもあります。
もちろん自己資金が少なくても、ビジネスモデルが優れている場合や、事業計画が緻密に練られている場合で、資金負担が少なければ審査に通ることもありますが、一般的には自己資金額は多い方が、融資額も多く認められます。
創業計画書とは、創業融資を申し込む際に金融機関に提出する書類です。
経営者の略歴、創業動機、取扱商品サービス、取引先、事業見通し、資金計画など融資審査に必要な項目が記載されております。創業計画書も一種の事業計画をまとめた書類であり、これをまとめ上げることで、ビジネスを始める上で必要な項目をカバーすることができます。
あえて事業計画との違いで言うと、経営者の略歴や創業動機の項目に重点が置かれている点です。
創業融資の審査では、経営者の資質の見極めも大切なポイントであり、これまでの経歴等を創業計画書に沿って確認していくことで、判断しようとするものです。
創業計画書はコンサルタントにお任せしていた。しかし話が進むにつれイメージとは全然違う方向に話が進んでおり、頭が混乱してしまった。
創業計画書の作成については、税理士やコンサルタントの力を借りることもありますが、忙しいから・難しそうだからといって丸投げすることは避けなければなりません。
なぜ創業しようと思ったのか、どんな思いがあるのか、どんなビジネスにしたいのかは、やはり自分自身の言葉で語れるようにしましょう。
表面上きれいな計画書は見栄えこそしますが、中身は薄くなってしまいます。創業計画書はあくまでも計画ですので、きれいな計画にこだわり過ぎることはありません。
多少見栄えは悪くても、経営者自身の考えや思いが反映されたものでなければ、計画の実効性がありません。
開業準備のため忙しく、創業計画書はごく形式的に作ってしまった。空欄も多くあり、あとで説明すればいいと思っていた。
創業計画書は創業融資において、融資の成否を決める重要な書類です。
内容をしっかり練り上げて記載しましょう。
創業計画書に空欄があるということは、事業の姿が見えなくなるということです。そのため審査を進めることができなくなります。また分からないからといって空欄で出してしまうと、あまり真剣に考えていないと捉えられる恐れがあります。
分からない点は事前に質問をして、丁寧に作成しましょう。
創業計画書は空欄を作らないように全部埋めたが、補足資料を作っていなかったため自社の強みやアピールしたい点が伝えられなかった。
事業計画書は空欄がなければ合格というものではありません
自社の強みやアピールしたいポイントについては、必要に応じて別紙を作成し、具体的なデータや資料を添えて提出すると、理解しやすく好印象です。
創業融資は金融機関内で稟議書を作成し決裁されるものですので、あとで説明すればいいというものではなく、誰かが後から見ても、どんなビジネスで、何がポイントなのかが伝わるようにしなければなりません。
創業融資では融資担当者による面談が必ず行われます。創業計画書などによる書類での審査とあわせて、面談は重要なポイントです。
融資担当者は面談で以下の3点の見極めをします。
①経営者としての資質
②事業計画の妥当性
③収支および自己資金の確認
これらの項目は融資申込時に提出する創業計画書にも書かれていますが、その妥当性を面談で確認してゆきます。そのため経営者は創業計画書の内容に沿って、融資担当者からの質問に答えられるようにしておかなければなりません。
事業のことは頭に入っているから大丈夫と思って臨んだが、こちらがアピールしたいことは言えたが、融資担当者からの質問に対しては的確に答えられずグダグダになってしまった。
経営者であれば、これからのビジネスについては誰よりも自信を持ってアピールできると考えています。
一方で、そのためにこちらが話したいことを長々とアピールしてしまい、相手が聞きたいということについては、ポイントがずれてしまうことがときどきあります。
創業融資の面談は、基本的には創業計画書に書かれた項目に沿って進んでゆきます。また確認したい事項も上記の3点がポイントであり、経営者がアピールしたいポイントとは異なっています。
面談に失敗しないようにするためには、事前に説明する内容を整理しておき、融資担当者からの質問について「結論から」「コンパクトに」「数字を交えて」話せるようにしておきましょう。
面談日時を忘れていて当日慌てて窓口に行った。バタバタで行っため必要な書類を忘れて取りに戻ったりして、服装や身だしなみにも気を配る暇がなかった。
面談は事前準備で決まります。
日時場所、必要書類や当日の服装など予め整理しておかなければなりません。不明な点については前日までに、担当者に連絡して確認しておくと安心です。時間的にも精神的にも余裕を持って臨まなければ相手に対してマイナスの印象を与えることに繋がります。
また身だしなみも重要です。必ずしもスーツ・ネクタイにこだわる必要はありませんが、露出の高いものや威圧感のあるものは避け清潔感のある服装を心がけましょう。相手に不快感や違和感の残る服装や髪型は、マイナスの効果はあっても、プラスの効果はありません。
創業融資に失敗する原因についてまとめてみましたが、どれも特別に難しいことではありません。事前にやるべきことを理解し、じっくりと準備してゆけば対応できる事柄がほとんどです。
これから創業融資を検討する人は是非参考にしてください。
画像出典元:Burst
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