信用保証協会|融資を受けるなら知っておくべき!その仕組みと制度を解説

信用保証協会|融資を受けるなら知っておくべき!その仕組みと制度を解説

記事更新日: 2021/04/07

執筆: 小石原誠

ベンチャー企業や中小企業は、大企業と比較して社会的な信用度が低いために、資金調達の面では不利な状況に置かれています。そこで国は中小企業等に対して様々なサポートの取り組みを行っています。

今回はそれらの中から、信用保証協会による信用保証の取り組みについてご紹介するとともに、信用保証協会が地方自治体と連携して運営している制度融資という仕組みについても解説していきます。

信用保証協会とは

信用保証協会の概要

信用保証協会とは、中小企業が金融機関から融資を受ける際に、その債務を「信用保証」することで資金調達をサポートしてくれる公的機関です。

一般論として、中小企業が金融機関から融資を受ける際には、企業としての成長性に疑問を持たれやすかったり経営破綻のリスクが大きいと見られやすいために、融資を受けられなかったり希望をする条件にならなかったりすることがあります。

そこで、公的機関である信用保証協会が融資に際して「信用保証」をすることで、中小企業ができるだけスムーズに、かつ希望に近づける融資を受けられるようにしてくれます。

信用保証協会の利用の仕組み

信用保証機関を利用できる企業

まず、信用保証協会は、次のとおり中小企業基本法に定められている中小企業者及び小規模企業者のみが利用できます。

信用保証協会は、全国47の都道府県と4市(横浜市、川崎市、名古屋市、岐阜市)にそれぞれ所在しており、各地域に密着して業務を行っています。

企業が金融機関から融資を受けるにあたって信用保証協会を利用する場合は、会社の事業所が所在する地域の信用保証協会に話をしに行くことになります。

信用保証協会の利用の流れ

まずは、信用保証協会あるいは金融機関の窓口に、信用保証協会の利用について相談を持ちかけます。

信用保証協会は企業の事業内容や経営計画などを検証し、信用保証の諾否を決め、金融機関に連絡します。

信用保証協会が保証を承諾してくれたら、協会より信用保証書が金融機関に交付され、晴れて金融機関からの融資が決定します。

このようにして信用保証協会による信用保証がかけられた融資を「保証付融資」と呼びます。

信用保証協会による保証の限度額は、無担保保証の場合で8,000万円となっています。

信用保証料の支払い

信用保証協会の利用にあたっては、企業は金融機関への返済とは別に、信用保証協会に「信用保証料」という手数料のようなお金を支払う必要があります。

信用保証料は、融資金額に対して、貸付金額や保証期間、中小企業の決算内容などを元に計算された信用保証率を掛け合わせて算出されます。

信用保証率については協会によって違いがありますが、基本的には0.3%~2%となっています。

信用保証料の支払いは融資を受ける際に一括で支払うか、協会によっては分割支払いを受け付けているところもあります。

信用保証協会による融資の代表格「制度融資」

制度融資の概要

制度融資とは、各地方自治体が信用保証協会及び金融機関と連携して運用している融資制度のことです。

一言で「制度融資」といっても、後述するとおり各地方自治体がそれぞれ制度を設計しているため、その内容はそれぞれ異なりますが、基本的にはベンチャー企業や中小企業のサポートを対象とした融資制度となっています。

制度融資の利用条件

制度融資の利用条件は、まず大前提として、先述のとおり中小企業基本法に定められている中小企業者及び小規模企業者であることが必須です。

その上で、さらに地方自治体ごとに利用条件が設定されています。

例えば東京都の場合、利用条件は次のとおりになっています。

1. 都内に事業所(住居)があり、保証協会の保証対象となる業種を営んでいること。

2. 事業税その他租税の未申告、滞納がないこと。

3. 許可、認可、登録、届出等が必要な業種にあっては、当該許認可等を受けている(又は、受ける)こと。

4. 現在かつ将来にわたって、暴力団員等に該当しないこと、暴力団員等が経営を支配していると認められる関係等を有しないこと及び暴力的は要求行為等を行わないこと。

 

制度融資の種類

制度融資の種類もまた地方自治体ごとに内容が異なりますが、例えば東京都の場合は、大別して以下の6種類の制度融資が運営されています。

  • 小規模企業向け融資
  • 一般事業資金融資
  • 創業融資
  • 産業力強化融資
  • 経営支援融資
  • 企業再生支援融資

これら6種類の中でさらに複数の細目に分かれており、合計30種類もの制度融資が存在します。

それぞれ、細かく融資対象となる企業や事業が設定されており、融資期間や融資利率、融資限度額も異なっているので、制度融資を利用する際にはよく確認する必要があります。

制度融資を利用することのメリット

融資のハードルが低い

制度融資を利用することのメリットとして、まず融資のハードルが低いことが挙げられます。

そもそも、信用保証協会及びその制度融資制度の目的自体が、企業としての信用度がまだ低い中小企業等をサポートすることですから、特に起業して間もない企業などは積極的に利用を検討すると良いでしょう。

金利が低い

金利が低いことも制度融資の大きなメリットです。

先述のとおり制度融資は種類によって利率が異なりますが、おおむね1%から2%台に設定されています。

これは、プロパー融資(信用保証協会などからの保証を受けない融資)やビジネスローンなどと比べて低い利率です。

制度融資を利用することのデメリット

審査期間が長い傾向にある

制度融資にはいくつかのデメリットもあります。

例えば、同じく公的な機関である日本政策金融公庫による融資と比較して、審査期間が長い傾向にあります(公庫の場合は1か月未満、制度融資の場合は1~3か月ほど)。

必ず融資を受けられるとは限らない

これはデメリットとまでは言いがたいですが、制度融資では信用保証協会及び金融機関がそれぞれ審査を行います。

先述のとおり中小企業にとってハードルが低いとはいえ、100%の確率で通るというわけでもありません。

「必ず融資を受けられるとは限らない」ことは、制度融資を利用するにあたっても意識しておいた方が良いでしょう。

まとめ

今回は、中小企業の資金調達をサポートしてくれる機関である信用保証協会について、その概要と利用の仕組みなどを解説してきました。

さらに合わせて、信用保証協会が地方自治体と連携して運用している「制度融資」についても紹介してきました。

一般的に、ベンチャー企業や中小企業は、大企業と比較して社会的な信用度が低いために、資金調達の面では不利な状況に置かれています。

しかし、実のところ日本にある企業のうち99%が中小企業であることから、国は中小企業等に対して様々なサポートの取り組みを行っており、今回ご紹介した制度融資の話も、そのうちの一つです。

今回ご紹介した制度融資以外にも、例えば同じく公的な機関である日本政策金融公庫も中小企業が利用できる融資制度を準備していますし、地方自治体も様々な支援策を提供しています。

重要なことは、これらの情報をしっかりと収集し、必要に応じて適切な支援策を検討することです。

画像出典元:写真AC、Unsplash、Pixavay、O-DAN

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