【融資担当者に取材】わかりやすい事業計画書の書き方と注意点

【融資担当者に取材】わかりやすい事業計画書の書き方と注意点

記事更新日: 2019/04/19

執筆: 編集部

事業を進めていくと「運転資金」「設備投資」など、様々な場面で資金が必要になってきます。その資金を調達するために、多くの中小企業は銀行などの金融機関から融資を受けます。

融資を申し込む時に利用する書類として「事業計画書」がありますが、事業計画書を融資目的だけで作成していてはもったいないです。

今回は「事業計画書」について解説します。事業計画書を融資の目的のためだけに作成すると気が乗らなくても、事業発展のために作成すると考えたら積極的に作成したくなりませんか?

事業計画書は事業を具体的にする


「事業計画書=融資を申し込むための書類」ではありません。事業計画書は、事業を具体的にどう実行していくかを書面にしたものです。

事業を書面で具体的にすることによって、事業を円滑に実行したり、第三者に説明をすることができます。

事業計画書と創業計画書の違い

事業計画書に似た書類で創業計画書があります。事業計画書と創業計画書は基本的には同じです。

創業計画書は、日本政策金融公庫で創業融資を受ける際の所定書式であり、創業計画書は事業計画書の簡易版だとイメージするとわかりやすいです。

創業計画書は今後1年間の予想損益計算書を作成しますが、事業計画書は今後3〜5年間の予想損益計算書の作成することが一般的です。

事業計画書の2つの目的

事業計画書を作成する前に「事業計画書の目的」を知っておきましょう。目的を知らずに作成するよりも、目的を理解して作成した方が有効な事業計画書の作成ができます。

それでは、融資担当者の方に伺ったアドバイスと共に確認してみましょう。

融資担当者

事業計画書が融資を受けるためだけの計画書になってしまっては、せっかく作成した事業計画書を融資後に見直すことがなくなってしまいます。

運転資金で融資を受けても、事業計画書の通りに実行できなかったり、業務の改善が実施されなければ数年後には再融資を申し込むことになってしまいます。

融資担当者

そもそも事業計画書って何で作成すると思いますか?  

編集部

融資を受けるため!...じゃないのですか?

融資担当者

融資を受けるためだけの事業計画書ってなんか寂しいですね。事業計画書は自分が考えた事業を具体的にした書類なんですよね。

少しでも、その事業を成功するために事業計画書を作成しているので、融資を受けた後も活用するべきです。

編集部

たしかに!

事業計画書を作成しても、その計画を見直すことなく無視したら計画通りにいかないですね。

融資担当者

そうなんです!

編集部の方も、事前に記事構成を考えたりしますよね?その記事構成を無視して記事を作成したら、想定していた記事ができあがりますか?

編集部

記事構成を無視していたら想定していた記事ができないですね...納得しました。

融資担当者

計画通りにいかなかったら、予想もしていない時に資金が足りなくなることもありますからね。

その時にまた事業計画書の作成するの?最初の事業計画書は何だったの?って思っちゃいますよ。

融資担当者

ということで、私が考える事業計画書の目的は2つあります。

 

1. 自分自身の事業を理解するため

事業計画書の1つ目の目的は「自分自身の事業を理解するため」です。

多くの経営者は事業を頭の中でまとめています。せっかくいいアイデアを思いついたとしても、頭の中のみでまとめてしまっているので忘れてしまい、せっかくのビジネスチャンスを逃すこともあります。

せっかくのビジネスチャンスを逃さないためにも、書面で明らかにしておきましょう。自分の頭の中を書面で明らかにすることによって、その考えを客観的に判断し整理することができます。

2. 事業を第三者に詳細に説明するため

事業計画書の2つ目の目的は「事業を第三者に詳細に説明するため」です。ここでいう第三者は金融機関、出資者、従業員などのことです。

事業計画書はあなたの頭の中の事業を具体的にしたものです。第三者に言葉で説明してもなかなか上手く伝えることができません。そんな時に事業計画書があれば、事業計画書を利用して説明することによって、協力者からより理解を得てもらいやすくなります。

5W1Hで事業計画書をわかりやすく

 

 

編集部

事業計画書ってそんな目的があったのですね。

ところで、事業計画書ってどう書いたらいいのですか?

融資担当者

事業計画書はわかりやすく書くことが大事です!

私達も、全ての業種に精通しているわけじゃないですからね。

事業計画書は「わかりやすく」がポイントになります。事業に対して情熱があり沢山の情報を詰め込んでしまうと、結局何が言いたいのかがわからなくなってしまいます。

事業計画書を見るのは作成したあなただけではありません。その事業・分野に関して詳しくない方がみることもあるため、できるだけ「誰が見てもわかりやすい書類」を意識して作成をしましょう。

「ではどうしたらいいのか?」となるので「5W1H」に基づいて考えてみましょう。

5W1Hは「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように」という6つの要素をまとめたものです。

5W1H 内容
いつ(When) いつ事業を実施するのか?
どこで(Where) 商品・サービスを提供するのはどこか?
だれが(Who) ターゲットにしているのはだれか?
なにを(What) 商品やサービスはなにか?
なぜ(Why) この事業をするのはなぜか?
どのように(How) どんな方法で事業を実現するのか?


上記の5W1Hを明らかにすることで、事業計画書が客観的にみてわかりやすくなります。逆にどれか1つでも欠けてしまうとわかりにくくなりませんか?

例えば「だれが」が抜けていて、赤ちゃんのミルクを大人に販売...なんてことになったら実現不可能な計画でしょう。

極端な例ですが、5W1Hはどれが欠けても具体性や実現性が薄れてしまいます。最初に意識をするようにしましょう。

事業計画書に書く内容

事業計画書は目的によって様々なため基本的に雛形はありません。

事業計画書は融資を申し込む金融機関によって書式は違うのですが、一般的に事業計画書に盛り込んでおいた方がいい内容を以下にまとめてみます。

事業の概要 商品、サービス、業種、業態など事業を実現するための具体案
会社の概要(経営理念) 会社の経営方針
市場分析 市場調査資料などを活用し、市場の規模・動向・成長性など
競合優位性 自社の強み。競合他社に比べて自社が優れている点、事業内容が将来性が高い点など
資金計画 資金繰り表、必要資金の調達方法など
財務計画 中長期的な損益計算書(3〜5ヶ年計画)

 

財務計画は資金繰りを意識する

事業計画書に書く内容の中の「財務計画」ですが、創業計画書の作成とは違い一般的には3〜5ヶ年の中長期的な損益計算書の作成が必要になります。

融資担当者

少し難しいのですが、財務計画は資金繰りを意識して下さい。

編集部

…もっとわかりやすくお願いします。

融資担当者

資金の流れを管理することです。利益が出ていても資金が足りないことありますからね。

編集部

利益が出ているのに資金が足りない?利益が出ていたら大丈夫そうですけど、実際は違うんですね。

融資担当者

借入の返済ってお金の支払いはするけど、経費にならないですからね。

編集部

借入の返済って経費にならないんですか?お金を支払っているのに経費にならないなんて...

融資担当者

経営者の方も同じように言いますよ。

でも、逆に聞いてみてもいいですか?お金を借りた時って、借入金が収入になりますか?

借入金を支払った時は経費、借入金が入金した時は収入にならなかったら、みんな借入しますよ(笑)

編集部

ほんとですね!

…利益で借入金の支払い…つまり借入の返済額が利益よりも少なかったらいいんですね!

融資担当者

正解です!

利益よりも借入の返済額が多かったら資金が不足していますからね。もう一度計画を見直した方がいいですね。

 

事業計画書の作成時の注意点


事業計画書の作成は時間がかかります。そのため忙しい経営者の方は事業計画書の作成に時間を割くことが困難になってきますが、事業計画書の作成で注意点が2つあります。

税理士に丸投げしない

事業計画書を丸投げしないようにしましょう。

事業計画書はあなたが考えた事業を書面に具体的にするものです。しかし外部の方に丸投げした事業計画書は本当にあなたが求めている事業計画書ですか?

編集部

経営者の方って忙しいから事業計画書を作成するのにまとまった時間を捻出するのって難しそうです。

融資担当者

たしかに事業計画書の作成は時間がかかります。事業計画書を全部自分で作成しようとすると、時間がかかって本業に支障をきたすこともあります。

だからと言って外部の方に事業計画書を丸投げしてはダメですね。

編集部

税理士の先生に全部丸投げしてもダメなのですか?

融資担当者

うーん、オススメはしないですね。

私達は何件も事業計画書みてます。仮に、事業計画書に書いてあることを聞いても経営者の方が答えられなかったら「あれ?」って思いますよ(笑)

編集部

丸投げしていたら、事業計画書に書いてあること全部に答えるって難しいそうですね。

何かいい方法ないのですか?

融資担当者

税理士の先生にサポートしてもらうといいですよ。

税理士の先生は様々な会社の事例を知っていますからね。事業計画書の丸投げではなく、強力な味方として事業計画書の作成を協力してもらうのがオススメの方法です。

編集部

強力と協力をかけたのですか?(笑)

税理士の先生だったら沢山の事例を知ってそうですし、いいパートナーになりますね。

 

実現不可能な計画にしない

財務計画の作成で利益が借入の元本返済額を下回ってしまうからといって、計画を見直すことをしないで、安易に売上を伸ばしたり、経費を削減し実現不可能な事業計画書を作成しないようにしましょう。

融資担当者は何社もの事業計画書を見ている融資のプロです。実現不可能なウソの事業計画書だとバレた場合、印象が悪くなります。

まとめ

事業計画書は融資を受ける際に金融機関に提出する重要な書類です。そのため中小企業の多くの経営者が、融資を受けるための書類と思っていますがそれだけではありません。

事業計画書の作成には時間がかかります。貴重な時間を使って作成した事業計画書、有効に活用しましょう。税理士などの専門家を活用して事業計画書を一緒に作成すると、時間の短縮、事業計画書の質の向上に繋がります。

事業計画書の目的を理解し、頭の中に思い描いている事業を具体的にしていきましょう。

なお先ほどもお伝えしたように、事業計画書の作成にあたっては税理士のアドバイスをもらうのが望ましいです。

今後、事業計画書に限らずさまざまな場面で専門家に相談したい場合がでてくるので、創業初期にすぐ相談できる税理士を見つけておくことは非常に重要です。

税理士の探し方・選び方については以下の記事で詳しく解説しているので、こちらもぜひ参考にしてみてください。

画像出典元:写真AC 、O-DAN

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