企業のブランディングやマーケティングにSNSが活用されるのが当たり前となった今、特にインスタグラムは企業にとって欠かせないツールとなっています。
しかし、インスタグラムで結果を出すためには、綿密な戦略を立てなくてはなりません。
そこで本記事では、多くのファンを獲得している人気企業アカウントの事例と共に、運用成功のためのポイントを詳しく解説します。
さらに、企業アカウントを運用するメリット・デメリットや、アカウントタイプの選び方についてもご紹介。
これから企業アカウントの運用を始めたい方はもちろん、既に運用中の方にとってもヒントが得られる内容になっています。
このページの目次
インスタグラムの企業アカウントとは、企業やブランド、店舗などが開設する公式アカウントのことです。
自社の商品やサービスに関する情報発信や、顧客とのコミュニケーションを目的としています。
インスタグラムを上手に活用している企業は、独自の工夫を凝らして、ブランディングやマーケティングに成功しています。
この章では、実際に評価の高い企業アカウントを、BtoC企業とBtoB企業に分けて、10社ご紹介します。
BtoC企業は、インスタグラムの強みである視覚的な訴求力と高いコミュニケーション性を活かして、一般消費者に自社の商品やサービスをアピールしています。
それでは、具体的な方法を見ていきましょう。
自動車メーカーであるトヨタ自動車のインスタグラム施策で高く評価されているのが「みんなのトヨタグラム」です。
トヨタ車のオーナーが「#トヨタグラム」のハッシュタグを付けて、愛車やドライブ風景の写真をインスタグラムに投稿。
その投稿から車種詳細、試乗予約、販売店検索などの購入アクションにつながるページへジャンプできる導線を設けています。
ユーザーが送った写真や動画は、公式HP内の「みんなのトヨタグラム」コーナーで紹介され、多くのユーザーから共感を得ています。
参考:toyota_jp
コーヒーストアとして広く知られているスターバックスは、「映え」を意識した投稿が特徴です。
季節限定のドリンクやオリジナルグッズを美しいビジュアルで紹介し、ユーザーの関心を引きつけています。
さらに、投稿から直接商品が購入できるショッピング機能も導入し、ユーザーにスムーズな購入体験を提供しています。
参考:starbucks_j
生活雑貨や食品を取り扱う無印良品のアカウントは、ブランドの世界観を反映した自然体の投稿で多くのユーザーから支持を受けています。
商品の紹介は、シンプルなコメントのみ。
ユーザーの想像力を刺激する「余白」を残し、自分なりの使い方や楽しみ方を発見したくなるような情報を発信しています。
一般ユーザーやインスタグラマーによる、無印良品の商品を使った収納術やアイデアの投稿も人気で、購入意欲を刺激しています。
参考:muji_global
A BATHING APE®は、独創的なデザインとオリジナルアイテムで知られるストリートファッションブランドです。
世界的に著名なアーティストやブランドとのコラボレーションも積極的に展開し、限定商品や新作をストーリーズなどで告知することで、ブランドの独自性を常にアピールしています。
投稿は、海外マーケットを意識して英語で構成されており、若年層を中心に、世界中から熱烈なファンを獲得しています。
参考:bape_japan
アパレル大手のユニクロのアカウントは、商品と共にコーディネートの提案や季節のトレンドを紹介する投稿が豊富です。
中でもオリジナルハッシュタグ「#uniqloginza」は、他のハッシュタグとは一線を画す洗練されたコーディネートを集約。
銀座という感度の高いエリアならではの世界観を反映した、よりトレンド感のあるスタイリングが集まるハッシュタグとしてブランドイメージを確立しています。
ユーザーにとっては、ハイセンスなコミュニティへの参加機会となるだけでなく、タグ付き投稿が公式アカウントにリポストされる可能性もあるため、ブランドへの親近感やエンゲージメントの向上にもつながっています。
参考:uniqlo_jp
BtoB企業は、インスタグラムの活用には不向きと思われがちですが、実際は多くの企業がブランディングや人材採用のために活用しています。
それでは、インスタグラムで成功しているBtoB企業は、どのように活用しているのか見ていきましょう。
住宅設備機器メーカーのTOTOは、一般消費者向けの情報発信が活発です。
本来の主要顧客は工務店や建設会社ですが、家づくりを検討しているエンドユーザーを意識し、自社商品の施工例や実用的な情報を投稿しています。
洗練されたバスルームやキッチン空間の写真を用いて機能性とデザイン性の高さをアピールし、ブランドの認知拡大に成功しています。
オフィス用品の通販サービスを展開するアスクルの投稿は、色合いやレイアウトに統一感を持たせています。
調和の取れた美しいフィードは、スクロールしても心地よく、多くの投稿を見たくなる魅力があります。
「#夏」「#寒さ対策」など、時事をからめたハッシュタグを活用し、季節に合わせたオフィス用品の情報を発信。
BtoB企業でありながら、親しみやすさを感じさせる内容が特徴です。
総合建材メーカーの大建工業は、自社商品の写真に加え、施工事例やカラーコーディネートなど、住まいづくりに役立つアイデアを発信中です。
ハッシュタグ「#daiken」で、素材活用の実例投稿を呼びかけるほか、コメントやDMにも前向きに対応する姿勢を見せています。
こうした取り組みは、建築関係者だけではなく、リフォームや新築を検討するエンドユーザーからの関心も集めています。
業務用ソフトウェア開発などを手掛けるSkyは、社員の働く姿や社内イベントなど、人物にフォーカスした投稿が中心です。
複雑な技術の話を避け、柔らかなトーンで発信される投稿は、親しみやすいブランドイメージを構築し、好感度の向上に寄与しています。
同社のアカウントは、テキストだけでは伝わりにくい企業の雰囲気や魅力が分かるため、人材採用の面でも効果を発揮しています。
総合商社の伊藤忠商事は、目的に応じて複数のアカウントを運用しています。
特にSDGs専用アカウントでは、関連イベントの告知や、食育・子どもの環境など、社会的関心が高いテーマの投稿が多くの支持を得ています。
また、企業の社会貢献活動やサステナビリティへの取り組みも紹介しており、一般ユーザーとの距離を縮める一助となっています。
企業がインスタグラムの特性を活かしてアカウントを運営すると、さまざまな効果が期待できます。
ここでは、企業アカウントを運営することで得られるメリットについて、分かりやすく解説します。
インスタグラムは写真や動画を中心とした投稿形式のため、他のSNSに比べて視覚的な訴求力に優れています。
テキストでは表現しにくい魅力もビジュアルで伝えられるため、広告戦略に活用可能です。
例えば、完成前の新商品・新サービスの一部をあえて公開し、ユーザーの期待を高めることで、ローンチ前からファンを得ることができます。
インスタグラムでは、投稿やプロフィールに企業名・アカウント名が常時表示されます。
ユーザーはコンテンツを見るたびに企業名を自然と認識するため、企業の存在が浸透し、知名度の向上が期待できます。
人は見聞きしたことのある企業やブランドに対し、無意識のうちに安心感や信頼感を抱きやすいものです。
そのため、新規顧客の獲得や採用活動において大きな強みとなります。
インスタグラムは、コメントやリアクション、DMを通じて、ユーザーと直接コミュニケーションが取れるツールです。
丁寧にやり取りを行うことで、ユーザーに親近感やファン意識が芽生えやすくなります。
時には、不満や否定的な意見が寄せられることもあるでしょう。
しかし、実際の体験に基づいた生の声は、商品やサービスの改善のヒントとなるため、非常に貴重な情報源といえます。
インスタグラムはハッシュタグの利用が浸透しており、多くのユーザーがハッシュタグ検索を活用して情報を収集しています。
加えて地図検索機能が備わったことで、検索ツールとしての活用がますます広まっています。
地図検索機能は現在地やエリアを指定すると、周辺の情報をビジュアルで探せる機能です。
ハッシュタグ検索と地図検索を組み合わせることで、ユーザーは自分の興味に合った場所や店舗を直感的に見つけられるようになりました。
企業側はこれらを踏まえて、適切なハッシュタグを付けることで露出が高まり、新たな顧客層の開拓につなげることができるでしょう。
SNSの運用には避けて通れないデメリットがいくつかありますが、インスタグラムにはプラットフォーム特有のデメリットも存在します。
ここでは、インスタグラムの運用に取り組む前に、知っておきたい注意点について詳しく解説します。
インスタグラムには、XのリポストやFacebookのシェアのように、不特定多数のフォロワーのフィードへワンタップで投稿を再表示させるような、強力な拡散機能はありません。
投稿を広めるには、ハッシュタグを活用するなど間接的な方法しかなく、拡散のスピードや範囲は限定されます。
多くの人に情報を届けるには時間がかかるため、継続的に運用し、少しずつフォロワーを増やしていく必要があります。
イベント告知など、短期間で情報を拡散したい場合は、他のSNSとの併用も検討するとよいでしょう。
インスタグラムはビジュアル中心のSNSです。
ファッション・コスメ・旅行・グルメなど若年層に人気のあるジャンルとの相性が良いため、ユーザーは10〜30代が中心となる傾向にあります。
特に60代以上では利用率が急激に下がっており、シニア層向けのプロモーションや情報発信には不向きです。
自社のターゲット層がどのSNSを主に利用しているのかをしっかりと分析し、必要に応じて他のSNSと組み合わせた施策を行うことが重要です。
インスタグラムで企業アカウントを効果的に運用するには、質の高いコンテンツを継続的に投稿しなければなりません。
撮影・編集の知識が必要なうえ、制作にかける時間と労力は大きな負担となるため、将来的に更新できなくなる可能性もあります。
また、アカウントを成長させるためには、投稿内容の分析が必要不可欠です。
思いつきだけで投稿を続けていても、フォロワー数やエンゲージメントは伸び悩むでしょう。
定期的にデータを分析し戦略を練り直すなど、地道で丁寧な運用が求められます。
SNS全般に言えることですが、炎上のリスクは常に伴います。
インスタグラムは視覚的な要素が強いがゆえに、画像や動画が思わぬ受け取られ方をして、批判の対象になるケースがあります。
また、「映え」を意識した画像加工が「実物と違う」と感じられると、炎上の火種になりかねません。
インスタグラムは拡散力が比較的弱いため、他のSNSと比べて炎上リスクは相対的に低いといえます。
しかし、問題のある投稿がスクリーンショットなどで拡散力の高いSNSに転載されると、大炎上に発展する恐れがあります。
炎上リスクを軽減するためには、多様な視点からコンテンツを精査し、発信することが重要です。
インスタグラムの企業アカウントで成果を得るには、基本的なポイントや注意点をおさえておくことが大事です。
この章では、企業アカウントを成功に導くために必要な知識について詳しくお伝えします。
インスタグラムの運用を成功させるには、「何のためにインスタグラムを活用するのか」を明確に定めることが肝心です。
例えば、新しい商品やサービスの認知拡大・ECサイトへの誘導・ブランドイメージの向上・採用活動の強化など、具体的な目的を決めましょう。
目的を明確にすることで、投稿内容や運用方針に一貫性が生まれ、成果につながりやすくなります。
インスタグラムの企業アカウント運用には、継続的な努力が必要です。
投稿頻度が低下したり、ユーザー対応が疎かになったりと、中途半端な対応が続けば、フォロワーが離れるばかりでなく、企業イメージを損なう結果になってしまいます。
社内での運用に限界を感じる場合は、外部の専門家のサポートを検討することも有効な手段の一つです。
ユーザーに企業やブランドの存在を覚えてもらうためには、投稿のデザインやトーン、雰囲気に統一性を持たせることが大切です。
テイストが揃ったフィードはユーザーの印象に残りやすく、同じ特徴を繰り返し目にすることで、ブランドイメージが自然と記憶に定着していきます。
カラーパレットや写真加工の方法、フォント、ハッシュタグの使い方など、投稿スタイルを決めてガイドライン化しておくと、アカウントの一貫性が保てるでしょう。
フォロワー数の増加目的で、やみくもにフォローやフォローバックを繰り返す行為は、逆効果になる可能性があります。
関係のないジャンルのアカウントを大量にフォローすると、アルゴリズムからスパム的な行動とみなされ、信用を落とす原因となります。
フォローやフォローバックは量より質を重視し、関係性のあるアカウントだけに絞りましょう。
インスタグラムをはじめとするSNSは、手軽に情報発信が行える便利なツールですが、扱い方を誤ると企業の信頼を一瞬で失う危険性があります。
ユーザーからのクレームや批判的なコメントに対し、適切なリテラシーを持って対処しないと、状況が急速に悪化する可能性も否めません。
また、日常の投稿においても、不適切な表現や著作権侵害がないかなど、細心の注意が必要です。
アカウント運用者には、SNSの基本ルールやマナー、トラブル時の対応方法などについて十分な教育を行い、リスクを最小限に抑えることが重要です。
企業がインスタグラムの運用を始める際には、アカウントの種類について理解し、適切に選択しなくてはなりません。
企業が活用すべきアカウントタイプは「プロアカウント」ですが、プロアカウントも2種類に分かれており、それぞれ機能や利用目的に若干の違いがあります。
インスタグラムのアカウントは、大きく「個人アカウント」と「プロアカウント」に分けられます。
個人アカウントは、プライベートでの利用を想定しており、主に趣味や日常のシェアに使われています。
一方、プロアカウントは企業や事業者向けで、インサイト機能による投稿分析や、ショッピング機能など、ビジネスに役立つ機能が利用可能です。
なお、個人アカウントからプロアカウントへの切り替えは無料で簡単に行えます。
プロアカウントはさらに「クリエイターアカウント」と「ビジネスアカウント」に分かれています。
以前は機能に明確な違いがありましたが、現在では多くの機能が共通化され、両アカウントで利用できる機能が増えています。
主な共通機能は以下の通りです。
このように共通機能は多いものの、いくつかの違いも残っています。
ただし、機能は頻繁にアップデートされるため、以下は2025年6月現在の主な違いとして参考にしてください。
クリエイターアカウント | ビジネスアカウント | |
主な対象 | インフルエンサー・クリエイター・アーティスト | 企業・ブランド・店舗 |
カテゴリ | 「ブロガー」「アーティスト」など、職業や活動内容に基づくカテゴリ | 「ショッピング・小売り」などビジネスに関連するカテゴリが中心 |
設置できるアクションボタン | 電話・メール | 電話・メール・道順・予約 |
住所の掲載 | 不可 | 可能 |
アカウントタイプを検討する際には、自社の目的やターゲットに応じて選ぶようにしましょう。
インスタグラムの企業アカウントで成果を出すには、戦略的な計画と日々の丁寧な運用が不可欠です。
しかし、社内リソースや専門知識の不足に悩む企業も少なくありません。
そんな時に心強い味方となるのが、SNS運用代行サービスです。
経験豊富なプロに運用を任せることで、効率的かつ効果的なアカウント運用が可能になります。
SNS運用代行サービスでは、企画立案から実行、効果測定、改善提案まで包括的にサポートしてくれます。
さらに、広告の運用やキャンペーンの実施も依頼できるので、自社だけでは難しいレベルの運用も実現可能です。
万が一炎上が発生しても、専門知識と経験を持つスタッフが的確に対応し、リスクを最小限に抑えます。
SNS運用代行サービスを活用すると、SNS運用にかかる手間や時間を大幅に削減できるため、社内の担当者は本来のコア業務に専念できます。
また、プロのノウハウを活かした高品質なコンテンツ制作や、安定した定期投稿により、自社で運用するよりも高い成果が期待できるでしょう。
成果を挙げているインスタグラムの企業アカウントに共通しているのは、ビジュアルが持つ訴求力とユーザーとの高い親和性を最大限に活用している点です。
目的やターゲットに合わせて、計画的に運用を続けていくことも、企業アカウント成功の秘訣と言えるでしょう。
もし社内での運用に不安がある場合は、専門の代行サービスを利用するのも有効な選択肢です。
本記事を参考に、自社の魅力が伝わるアカウント作りに取り組んでください。
画像出典元:Pixabay、Unsplash
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