運転資金が不足して黒字倒産!そのからくりと対策を徹底解説

運転資金が不足して黒字倒産!そのからくりと対策を徹底解説

記事更新日: 2020/04/13

執筆: 編集部

経営不振が続けば運転資金がショートしてくるのは仕方ありません。

必死に資金繰りをしても、売上げを増やさないことにはやがて行き詰ります。

しかし、もったいないのは経営が順調なのに運転資金が不足して黒字倒産してしまうことです。

この記事では、どうしてそんなことが起きるのか、その対策はどうしたら良いかを分かりやすく解説します。

運転資金とは

運転資金とは、会社が事業をしていく上で必要な資金の事をいいます。

回転資金とも言われ、字の通り、事業を回して(回転)いくために必要な資金ということです。

会社には今どの位の資金があって、「いつまでに」「どれだけの」資金が必要なのかといった資金状況は、経営者ならきちんと把握しておくべき大切な事です。

運転資金が不足するからくり

「からくり」というと何か悪だくみのようですが、その反対にビジネスを活発するための取引習慣が、ときに運転資金の不足を生む原因になります。

締め日支払いや約束手形の「掛取引」で生じるタイムラグ

「月末締めの翌末払い」や「90日サイトの約束手形」など、日本のビジネスでは「掛取引」が普通です。

信用取引の一種である掛取引は、手元に現金がないときでも取引が進められるビジネスにはなくてはならない仕組みです。

その一方で掛取引には、原材料を買ってもすぐにはお金を払わない(買掛金)、製品を売ってもすぐにはお金が入らない(売掛金)、という「タイムラグ」があります。

運転資金が必要になるのは、売掛金を回収する前に買掛金を支払わなければいけない時です。

例えば、ある製品の注文が急に増えてその材料を大量に仕入れる必要が生じたときに、いつもの仕入れ先(手形決済)だけでは間に合わず、他所から現金仕入れをしなければならいときに必要になるのが運転資金です。

そんな場合に、手形の決済資金を運転資金に回して、売上金の回収が予定より遅れて不渡り手形を出したりすると、商売が順調なのに倒産する黒字倒産になってしまいます。

「運転資金」の意味を誤解していませんか?

資金繰りに困ったときに「運転資金が不足している」と言う経営者がいますが、資金繰り=運転資金の調達ではありません。

例えば、「今月払う従業員の給料のお金が足りない」のは、厳密な意味での運転資金(正常運転資金)の不足ではありません。

従業員の給与は、すでに回収した売上から仕入代金を引いた利益から支払うのが本来で、これから回収する売掛金を給与に当てようと考えて「運転資金を借りたい」と銀行に頼んでも、断られる可能性が大です。

広い意味では給料の支払資金も運転資金と言われていますが、あまり拡大解釈すると運転資金の本来の意味を誤解することになります。

商売がうまくいっているときに必要になるの(本来の)運転資金は銀行も貸してくれますが、商売の下降局面で必要になる(拡大解釈された)運転資金は、銀行はなかなか貸してくれません。

運転資金の種類

銀行が貸してくれる運転資金

下記のような運転資金は、それを示す帳簿を揃えることで銀行が融資してくれる可能性が高いものです。

経常運転資金(正常運転資金)

掛取引をしている際に、売掛金の回収前にその分の買掛金を支払うときの資金。

増加運転資金

注文が増えたことによって仕入れ代金や人件費が増えて、売上金回収前に払う必要が生じた資金

季節性運転資金

バレンタインデー前にいつもよりチョコレートをたくさん仕入れるお菓子屋問屋は、支払いサイトが回収サイトよりも短いと運転資金が必要になります。

秋に1年分の新米を仕入れる米問屋や春に新茶を仕入れるお茶問屋も、同様です。

このように、特定の時期に必要になる運転資金を季節性運転資金または季節資金といいます。

銀行がなかなか貸してくれない運転資金

減少運転資金

売上が減ることで買掛金や給与の支払の資金が足りなり、その不足を補うための資金が「減少運転資金」で、赤字補てん資金とほぼ同じ意味になります。

売上の減少が続けば、運転資金を工面してもやがて経営は行き詰ることになります。

しかし実際には、売上が平行線をたどっているときに運転資金のショートが生じるというケースが多く、それを防ぐためには運転資金の計算・管理が大切です。

必要な運転資金の計算方法

「経常運転資金」の計算法

 運転資金は「売上債権+棚卸在庫-買入債務=経常運転資金」の式で計算できます。

上表の左側の売上債権と棚卸在庫は将来お金になる資産です。その資産から支払うお金である買入債務を引くと、必要な運転資金の額が出ます。

「売上債権回転率」の計算法

上記の式で出た経常運転資金には「売上債権がいつ現金になるか」という時間の概念が含まれていません。それを示すのが売上債権回転率で、次の式で求められます。

売上債権回転率 = 売上高 ÷ 売上債権高(売掛金・手形)

売上高は「損益計算書」から、売上債権高は「貸借対照表」の数値を使って計算します。

分母となる売上債権高(売掛金・手形)の数値が小さいほど、回転率の数字が大きくなり「売上げが早く現金になる」ことを示しています。

「売上債権回転期間」の計算法

売上債権回転期間とは、売上債権が売上高の何ヶ月分あるのかを示すもので、次の式で求められます。

売上債権回転期間= 売上債権 ÷ (売上高 ÷ 12)

この数値が小さいほど「売上が現金になるまでの期間(月数)が短い」ことを示しています。

産業別の平均の回転率と回転期間は次のようになっています。

データ引用元:「売上債権回転率と回転期間:計算式と目安となる産業別平均値」

運転資金を増やす方法

回収サイトを短くして支払いサイトを長くする

売掛金の回収サイトを短くし、買掛金の支払サイトを長くする…つまり早くお金をもらってそれで支払うようにすれば運転資金は少なくてすみます。

しかし、どちらも相手があることで相互の力関係もあるので、交渉してみるのは良いことですが思うようにはいきません。

むしろ長期的には長いサイトの手形などを振り出さなくて済むようにするのが、運転資金の心配を減らすことにつながります。

棚卸資産を減らす

原材料、仕掛品、在庫商品などの棚卸資産の回転を良くすることで、仕入れに要した資金が早く売り上げにつながるようになり、必要な運転資金が少なくなります。

固定費を削減する

従業員の給与をカットしたりしては勤労意欲に関わるのでNGですが、家賃や光熱費などの固定費をできるだけ減らすことで、売上に対する利益が増大して資金繰りが楽になります。

金融機関から借りる

確実に回収が見込める売上債権がある場合の運転資金、つまり経常運転資金なら、日本政策金融公庫や銀行などの金融機関から融資を受けることができます。

金融機関から融資を受けるときは、会計帳簿で正常な運転資金であることを示せるようにしておくことが重要です。決算書の内容が良好かどうかも審査の対象になります。

金融機関に赤字補てんの資金だと思われると、運転資金として融資が通る可能性は非常に低くなります。

まとめ

運転資金の不足は、開業間もない時期や売り上げが急に増えたときに起こりやすいので、注意が必要です。

また、赤字と黒字のギリギリの経営のときも資金繰りが大変ですが、それを「運転資金」という言葉で十把一からげにすると、経営判断を誤ったり、銀行に冷たくあしらわれることになります。

画像出典元:pixabay

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