経営者なら知っておきたい11の資金調達の方法とメリット・デメリット

経営者なら知っておきたい11の資金調達の方法とメリット・デメリット

記事更新日: 2018/07/28

監修: 前川英麿

いざ事業を始めたり、拡大しようという時に、自己資金では足りない場合必要となってくる資金調達。本記事では資金調達の方法とそれぞれのメリット・デメリットについて解説します。

資金調達方法の種類

一般的な企業の資金調達方法、特に起業時に行うことができる資金調達の方法は大きく分けて以下2つに分けられます。

デット・ファイナンス

デット・ファイナンスとは、融資を受けたりや社債の発行を行ったりすることで銀行や個人などから「お金を借りる」ことで資金調達をすることを指します。

 

エクイティ・ファイナンス

エクイティ・ファイナンスとは、企業の株式や新株予約権などと引き換えに投資家や他の企業からお金をもらう資金調達の方法です。エクイティ(株主資本)の増加をもたらす資金調達とも言えます。

 

デット・ファイナンスの特徴と最低限検討したい方法5選

デット・ファイナンスの特徴

お金を借りるデッド・ファイナンスは「借入」ですので、もちろん資金調達を行うとお金を返済する義務が必ず発生します。したがって、起業後の比較的早い段階で黒字化が見込めて、ゆるやかに安定的な成長をするような、いわゆるスモールビジネスや中小企業と言われる企業に特に向いている資金調達方法です。

返済の義務は発生しますが、エクイティ・ファイナンスとは違い、株式の譲渡が発生しないため経営上の決定権を切り売りする必要がないというメリットもあります。つまり、資金調達後も経営者が行いたいように経営判断ができるため、株式を保有している外部の第三者によって、本来行いたかったビジネスの進め方や事業のミッションが実現できなくなるという最悪の事態が発生しません。

デット・ファイナンスの方法5選

デット・ファイナンスにも様々な方法や制度があります。

通常の銀行融資よりは日本政策金融公庫や信用保証協会の融資制度を活用して、より良い条件の融資を受けることをおすすめします。特に、起業後間もない場合は一般の銀行融資はまずできませんので、上記の2つの機関の融資制度を必ずチェックしましょう。

 

・日本政策金融公庫の融資

融資を検討する際に必ずチェックすべきなのが国が出資元となっている日本政策金融公庫の融資制度です。創業時、事業拡大時ともに通常の銀行融資よりも良い条件で借入を行うことができます。

特に、創業時は無担保・無保証人で最大3,000万円(うち運転資金1,500万円)を借りることができる「新創業融資制度」が便利です。経営者個人の資産状況や会社の事業内容が審査項目となり、実際の融資は500〜1,500万円ほどとなる場合が多いですが、無担保かつ無保証人というのが最大の魅力!日本で起業するなら必ず検討すべき最強の資金調達方法です。


融資制度は創業時のものだけでも複数ありますが、どれを利用したらいいかどうかは常設の相談窓口、または定期的に開催している外部の相談会で直接聞いてみることをおすすめします。時期によっては融資利率が低くなるようなキャンペーンを行っていることもあり、相談窓口でそういった案内を受けることもできます。

【一言アドバイス】

創業時に無担保・無保証人で借りられる制度は要チェック!相談窓口も多いのでまずは気軽に話を聞きに行こう。

 

・制度融資

制度融資とは、借入金を企業が返済できなかった時のリスクを信用保証協会という機関が代わりに保証してくれることにより、銀行や信用金庫から融資を受けることができる制度です。

通常の銀行融資よりも利率が低く借入できたり、融資枠(金額)が増えたり、より長期で借入できたりと良い条件で資金調達することができます。一般的に、制度融資は市区町村などの自治体が、各地方の信用保証協会、金融機関と協力して行っているものですので、詳細は登記場所の制度融資を確認してみてください。

・創業時の制度融資例(東京都)

http://www.tokyo-sogyo-net.jp/finance/seido_yuushi.html

【一言アドバイス】

日本政策金融公庫の融資と併せて、起業する地域の制度をチェックしておこう!

 

・銀行融資

起業時には上で説明した制度融資を受けなければ民間の銀行融資を受けることは非常に困難です。ではいつ頃から借入できるのかというと、起業から3期程度と言われています。決算書などの経営指標の実績、事業方針などを元に審査が行われます。

起業後にある程度安定してきた段階で、会計士や税理士に相談しながら検討するといいでしょう。

【一言アドバイス】

起業後3年目以降になれば、信用保証協会経由でなくとも直接融資を受けられる可能性があるので検討を!

 

・資本性ローン
資本性ローンとは、融資とVCからの出資の間のような融資制度です。1番のポイントは借入金が負債ではなく自己資本として認められるところです。つまり借入をしたのに自己資本比率が上がるため、他の金融機関からの追加融資も受けやすくなると言われています。

借入の金額は平均で2,000〜3,000万円程度、無担保、無保証人で借りることができます。日本政策金融公庫の創業融資よりは審査が厳しいですが、成長性があるかという部分も評価されるため起業間もない時期でも活用可能です。また、まだビジネスとしては黒字化していないような企業への融資も行う制度であるので、「どのくらいの人が応援・支援しているのか」という点も評価対象となります。そのため、VCやエンジェル投資家からの投資をすでに受けていると審査に通りやすいようです。

返済は最後に一括返済、その間は業績に連動した利子のみの支払いとなります。デメリットは、この利子の利率が他の融資に比べると高い点、そして返済を早めるようと繰越返済をしてしまいたくてもできないという点です。
とはいえ黒字化まで時間がかかりそうな場合にはメリットも多い融資制度ですので、一度検討してみることをおすすめします。資本性ローンの中では日本政策金融公庫の「挑戦支援資本強化特例制度」が1番有名ですので、まずはその制度内容を確認してみてください。

【一言アドバイス】

すでにVC・エンジェルからの資金調達ができているスタートアップは必ず検討したい!

 

・親や友人など、個人からの借入

親や親戚など、周囲の人からお金を借りるというのは起業時の常套手段で、特に若いうちの起業であればこのパターンで事業をはじめる起業家も多くいます。銀行などからの借入と比べて、金利や返済の期限などに関して自由に条件を決めることができる上に融通も効くというメリットがあるからです。

ただ、万一お金が返せなかった時や予想外のタイミングで返済を求められた時などに、ビジネスの問題以上の取り返しのつかない人間関係の問題に発展する可能性もあります。本当にその親戚や友人から借入して後悔しないかどうかを慎重に検討すべきでしょう。

【一言アドバイス】

若いうちの起業であれば常套手段。ただ、会社の問題ではない、あなた個人の信頼の問題に発展する可能性もあるため慎重に!

 

・ビジネスローン

どこも融資をしてくれないという場合に選択肢として出てくるビジネスローンですが、できるだけ活用は避けなければいけません。融資利率が高いという理由もありますが、1番の理由としてはビジネスローンから借入していた履歴がのある会社に対して銀行もVCも融資や出資をしたがらないからです。つまり、その後の資金調達に影響が出てきてしまいます。どうしても金融機関や親などからお金を借りられない場合の、本当は避けたい最終手段と捉えておいてください。

【一言アドバイス】

利率が非常に高いだけでなく、法人の信用に傷がつく可能性も!できるだけ避けたい最終手段。

 

エクイティ・ファイナンスの特徴と必ず知っておきたい方法3選

エクイティ・ファイナンスの特徴

エクイティ・ファイナンスはVCやCVC、個人のエンジェル投資家と呼ばれる投資家などから会社の株と引き換えに、返済義務無しで資金提供をうける資金調達方法です。

一定期間の赤字から一気に何十倍、何百倍もの成長をするようなベンチャー企業、スタートアップ企業と呼ばれる企業に向いていると言われる調達方法です。

融資であれば返済義務が発生するため、黒字化を早めに行わなければなりませんが、返済義務の無いエクイティ・ファイナンスでは黒字化までの期間を年単位で設ける成長戦略を取ることができます。

返済義務無しというメリットもある一方、黒字化までは資金が尽きないようタイミングよく資金調達をし続ける必要があり、経営陣がリソースを割きすぎて本来の事業拡大が疎かになってしまうという本末転倒な事態に陥ってしまうリスクもあります。

また、最大のリスクは経営の決定権である株式を譲渡する必要があるという点です。つまり、投資をしてくれたVCや個人投資家に会社の経営権を一部委ねなければいけないということです。同じ船に乗ってサバイバルをしていくパートナーを探すようなイメージで、誰から、どういった条件で投資を受けるかという点については慎重に判断しましょう。

また、デメリットとなりうることとしては、IPOやM&Aといったエグジット(出口)戦略を求められるということがあります。VCや個人投資家などは、投資先がIPOしたりM&Aしたりした際に株を売ります。株の売価益、いわゆるキャピタルゲインの獲得を目的に投資を行っているのです。つまりエクイティ・ファイナンスを行う場合は、事業成長はもちろん、IPOやM&Aをめざして動かなければいけません。そのため、株式上場や事業売却は想定していないという場合、基本的にはエクイティ・ファイナンスを選択することができません。

また融資とは違い、調達金額と株式の譲渡割合などで判断を間違えると後戻りできないため、エクイティ・ファイナンスについての勉強や出資元の評判の把握など、事前情報をしっかりと集めて慎重に資金調達を行うようにしてください。

出資元の選定や情報の検討については、起業LOGの運営会社が行っているStartup Listなどのサービスを活用すると便利です。

エクイティ・ファイナンスの方法3選

・VCからの調達

資金調達と聞くと思い浮かぶものの多くがVC(ベンチャーキャピタル)からの調達ではないでしょうか。日本では10年ほど前は数も多くなかったVCですが、現在はCVCも含めて500を超えるVCが乱立しており、自社の事業領域や成長段階に合わせてVCを選ぶことが可能です。

次の項目で紹介するCVCも同様ですが、大手であれば事業の相談に乗るメンタリングを無料で実施していたりイベント開催を行っていたりすることも多いので、そういう場に行って投資方針やどんな投資担当者がいるのかといったことを実際に聞きにいってみることをおすすめします。とにかく多くのVCを回って、自社に合っているかどうか検討しましょう。

【一言アドバイス】

とにかく多くのVC担当者に会って、あなたの事業の相談をしてみよう!

 

・CVCからの調達

CVCとは、コーポレートベンチャーキャピタルの略で、事業会社がその事業会社自身とシナジーがありそうなベンチャー企業に投資するために設立されたVCです。

KDDIやNTTドコモ、Yahooなどの通信系のCVCや、トヨタ、パナソニックといったメーカー系のCVC、三井不動産やJR西日本といった都市開発に強いCVC、メルカリやコロプラなどのベンチャー企業が立ち上げたCVCと、様々な業界の企業がCVCを立ち上げています。

VCとの違いは、出資の目的がIPOやM&Aといったエグジットによる収益そのものというよりは、自社のビジネスと掛け合わせた時にプラスとなるような技術やサービスを持ったベンチャーを育てて自社事業と組み合わせることであることがあげられます。

出資元の事業会社の意向が強く反映されることが多い一方、自分の事業とその事業会社の方向性がうまく噛み合うようであれば非常に良い出資元と言えるでしょう。

【一言アドバイス】

そのCVCの担当者との相性はもちろん、CVCの立ち上げ元の事業会社との相性も考えて検討しよう!

 

・個人投資家、エンジェルからの調達

起業時の比較的早い段階から実施できるエクイティ・ファイナンスのうちのひとつが、個人投資家やいわゆるエンジェル投資家と呼ばれる人たちから投資を受けることです。

VCやCVCから投資を受ける時と同様に、投資をしてくれる個人投資家の意見や意向によっては自分が行いたいように事業を進めることが困難になるという問題が発生する可能性があります。本当にあなたの事業のビジョンやミッション、そしてあなた自身をサポートする意志がある人かどうかを見極めてから出資を受けるようにしましょう。いい人そうだからなどの感覚だけで投資を受ける判断を安易にするのは絶対に避け、エンジェルの評判については業界歴の長いVCの人などからしっかりと確認しましょう。

慎重に検討すべき一方、良いエンジェル投資家と巡り会えたなら、資金の援助のみならずそのエンジェルの持つノウハウを教えてもらえたり、営業のチャネルなどを紹介してもらえたりもします。自社事業に巻き込みたい先輩の起業家や投資家、その業界での一流のビジネスプレイヤーなどに積極的に自社に関わってもらうための手段として投資を受ける(株を持ってもらう)と考えることもできます。

【一言アドバイス】

選定は慎重に!あなたの事業を一緒に育ててくれるメンターを獲得するという観点を意識しよう!

 

その他の資金調達方法

・クラウドファンディング

ここ最近、新たな資金調達方法として一般的に活用され始めているのが、クラウドファンディングです。うまくいけば広報としての効果も高く、今までに無いような話題性のあるサービスや製品との相性が非常に良いです。

最近では映画などのエンタメ系のプロジェクトに特化したクラウドファンディング、ECサイト上での販売まで一貫して実現できるクラウドファンディングなど、様々なプラットフォームができていますので、自社の事業に合わせて選ぶことができます。

デメリットとしては、手数料がかかるというのと、プロジェクト終了後最低でも1ヶ月以上は着金までに時間がかかるというのがあげられます。成功させるにはそれなりに広報期間も必要ですので、すぐにまとまった金額が必要な場合には向いていません。

【一言アドバイス】

広報活動の一環として活用するのがおすすめ。実際にお金が手元に来るまでに多少時間がかかることに注意!

 

・助成金や補助金

特定の事業内容や人材の採用などの事業活動に対して、国や自治体、財団法人などが一部または全額資金を提供するのが助成金や補助金です。

事前の申請書類や実施後の報告書などの手間がある一方で、返済義務はありませんので、ちょうどいいものがあれば賢く活用することをおすすめします。

気をつけるポイントとしては、助成や補助の対象となるものが限られているため、その資金の活用範囲にも制限があることが多いことです。例えば、人件費には使えないといった制限があることも多いので、必ず適用範囲を確認することをおすすめします。

実際に起業家がよく活用するのは「新ものづくり補助金」、「キャリアアップ助成金」などの制度です。他には起業して数年以内であれば活用できる「創業助成金」もおすすめです。助成金・補助金の申請には煩雑なものが多く、制度の変更なども頻繁にありますので、助成金・補助金に詳しい税理士や中小企業診断士などの専門家に相談しながら活用を検討しましょう。

【一言アドバイス】

使えそうなものがあれば税理士や中小企業診断士などの専門家へ相談しながら賢く活用しよう!

 

・ビジコン

各地で開催されているビジネスコンテストの中には、賞金が出るものもあります。基本的には10万円、高くても100万円程度の賞金額となりますが、中には普段会えない海外などの投資家に直接繋がることができるなど、賞金以外のメリットがあるものもあります。

広報としても活用できますので、起業後比較的早い段階であれば出場してみてもいいかもしれません。

【一言アドバイス】

あまり高額の資金獲得は見込めないので、広報活動として、または他のメリットがあれば出場してもいいかも。

 

まとめ

めざす事業規模や黒字化のタイミングなどによって、デット・ファイナンスとエクイティ・ファイナンスをうまく使い分けましょう。もちろん併用している企業も多く存在するので、必要な資金調達の額やタイミングに合わせて柔軟に資金調達の方法を選ぶことも重要です。

また、最後になりますがエクイティ・ファイナンスによる資金調達は一般的に後戻りができません。事前に勉強をするのはもちろん、先輩の起業家や第三者から情報収集をしっかりと行うことをおすすめします。

なお以下の記事では、これまで紹介したような資金調達方法それぞれのリスクと具体的な事例を紹介しています。実際に資金調達方法がある程度絞れたら、ぜひ読んでみてください。

 

監修者プロフィール

前川英麿

プロトスター株式会社代表取締役CEO。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、ベンチャーキャピタルのエヌ・アイ・エフSMBCベンチャーズ(現大和企業投資)に入社。その後、常駐の経営再建支援に特化したフロンティア・ターンアラウンドに入社。15年2月よりスローガン株式会社に参画し投資事業責任者として、Slogan COENT LLPを設立。16年11月に起業家支援インフラを創るべく当社を設立。その他、経済産業省 先進的IoTプロジェクト選考会議 審査委員・支援機関代表等。

画像出典元:Unsplash

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