いざ事業を始めたり、拡大しようという際に必要となってくる「資金調達」。
特に、中小企業やスタートアップ・ベンチャーなどにとっては、運転資金の確保や事業成長のためにも非常に重要な問題です。
しかし、その企業の状況や目的によって、適切な調達方法が異なるため「何を選んだらよいのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
この記事では、資金調達の種類や選び方を、わかりやすく解説します。
気になる着金までの期間、調達できる金額の違いや、メリット・デメリット、企業規模やステージごとのおすすめ調達方法なども紹介していきますので、ぜひご参考になさってください。
この記事の監修者
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資金調達とは、会社運営に必要な資金を「外部から調達する」ことを指します。
調達の目的は、「起業・開業」「運転資金」「事業拡大のための資金」など様々です。
もちろん自己資金で全て賄えれば問題ないのですが、特に中小企業やベンチャー経営者にとっては、そうもいかないのが現実であり、会社を安定的に大きくするためには非常に有効な手段です。
資金調達を考えると「お金を集めること」ばかりに集中してしまいがちですが、本当に大事なのは「何のために?」「なぜ?」資金が必要なのかです。
資金調達はあくまで「手段」なので、まずは「目的」を明確にしましょう。
■まず初めにすべきこと
・何のために必要なのか?
・何のために起業・経営しているのか?
・いくら必要なのか?
・資金がある場合とない場合で数年後の結果にどのくらい差が出るのか?
⇒これらを自分のことばで言語化する!
スタートアップ支援専門家
前川英麿
目的や将来的に目指したい会社の在り方によって、資金調達の方法は変わるので、これらを先に明確にしてから、調達方法を選び始めましょう。
資金調達には多数の方法があり混乱しがちですが、その手法は大きく分けると「負債を増やす」「出資を受ける」の2つです。
「負債を増やす」方法では、借りたお金を返さなければならないので、元本の返済と利子の支払負担が発生することを理解しておきましょう。
一方「出資を受ける」方法では、お金は返済不要ですが、出資者が経営に参画してくる場合もあるため、自由な経営が難しくなる可能性もあります。
それぞれメリット・デメリットのある各資金調達方法ですが、どれを選べばよいのでしょうか?
会社の形態や、行いたい事業によって最適なものが変わり、ざっくりいうと、大きく分けて2パターンあります。
自社がどちらに当てはまるかを把握してから、資金調達の方法を検討しましょう。
お金を返す計画が立てやすい、堅実なビジネスモデルの場合、銀行などからの融資(借金)が相性がいいです。
上場や事業の売却をめざして、会社を急成長させることを目的にしているようなベンチャーやスタートアップは、投資家との相性が良いです。
また、融資を受ける場合は、はじめから銀行融資は審査通過が難しいので、政府系金融機関の創業融資などが適しているでしょう。
資金調達方法を選ぶ際には、以下のポイントが要チェックです。
特に、資金調達のアクションを起こす場合、「いくら」、「いつまでに」集められるのかが切実な問題となると思いますので、自分が欲しい額・時期に適した方法を選ぶようにしましょう。
資金調達方法を「調達額」と「必要な期間」を軸に並べると、次のとおりです。
当たり前の話ですが世の中にうまい話はありません。
すぐお金が手に入るものは調達額が小さかったりそれなりに費用がかかりますし、大きな額を得る分には、その分時間と手間がかかります。
次の章から、一つ一つの資金調達手段について、さらに詳しく「調達額の相場」や「必要な期間」、メリット・デメリットなどを解説していきますので、選定の参考にしてください。
自分が何を優先するのかを考えて、資金調達方法を選びましょう。
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現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。
手法の1つ目は「負債を増やす」、つまりお金を借りるという方法です。
他人からお金を貸してもらう訳なので、それなりの手間やコストがかかります。利用する際は、
に注意したうえで選択しましょう。それでは詳しい手段を5つ紹介していきます。
出典元:「日本政策金融公庫」公式HP
300〜3,000万円程度
0.9%~3%前後
1~2ヶ月程度
政府系金融機関からの融資は、起業して間もない人におすすめの資金調達方法です。
一番有名なものは、政府100%出資の「日本政策金融公庫」が行う新創業融資です。
営利を求める民間の銀行などとは異なり、国の政策として中小企業などの成長・安定を支える金融支援を行ってくれます。
創業したての企業でも融資を受けることができ、通過率も約50%程度と高く、「無担保・無保証」で最大3,000万円程度を借りることが可能です。
また、本来は、創業資金総額の10分の1以上の自己資金を用意することが必要なのですが、
・5年以上勤めた企業と同じ業種で創業する
・創業セミナーなどを受けて起業する
・技術・ノウハウ等に新規性がある
などの条件を満たせば自己資金も不要で融資を申し込むことができる点も嬉しいポイントです。
限度額なし(企業規模や審査結果による)
2%~9%前後
1〜3ヶ月程度
次の方法は、事業者が民間銀行から直接借入する方法で、プロパー融資とも呼ばれます。
限度額がないのがメリットですが、その分審査が厳しく、案件によっては時間がかかります。
大きな額を調達する場合はぜひ利用したいですが、起業したばかりの時は、実はみなさんが知っているような普通の銀行はお金を貸してくれないことが多いです。
決算書などの数字、事業方針などを元に審査が行われるため、一般的に、起業から3年程度経った企業でないと審査通過が難しいといわれています。
また、必要書類の準備などが初心者には難しいため、ある程度事業が安定してきたタイミングで、会計士や税理士に相談しながら検討するのがおすすめです。
起業後すぐに銀行融資を利用したい場合は、次の章で紹介する「信用保証付きの銀行融資」を利用するようにしましょう。
300〜2,500万円程度
1%~3%前後
(自治体などの利子補給がある場合は1%未満となることも)
3ヶ月程度
制度融資とは、借りたお金を返せなかった時のリスクを「信用保証協会」という機関が肩代わりしてくれる制度です。
それによって、起業したての会社でも銀行や信用金庫からお金を借りることができます。
万一返済不能になっても、信用保証協会が8割を返済(代位弁済)してくれることになりますが、その分、信用保証料という手数料が発生します。
起業したばかりで借りられるという以外にも、プロパー融資よりも低い金利で利用できたり、7~10年の長期で借りられるなどのメリットがあります。
また、制度保証は、信用保証協会の支援に加え、市区町村などの自治体が協力して行っていることが多く、自治体からの利子補給を利用すれば、1%未満の低金利で借りられる場合もあります。
具体的な手続きを進めたい場合は、会社所在地・設立予定地の制度融資情報を確認してみましょう。
・東京都
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/chushou/kinyu/yuushi/yuushi/list/
・神奈川県
http://www.pref.kanagawa.jp/docs/m6c/cnt/f5782/p845602.html
〜1,000万円程度
1%~15%前後
即日〜2週間
ビジネスローンは、銀行や消費者金融が扱う、無担保・少額の事業用ローンです。
保証人や担保も不要な上に、審査の難易度も低く、最短即日ですぐに資金調達できる点が魅力です。
ただしその分、金利も高く設定されているので、事業に必要な資金をビジネスローンに頼るのはおすすめしません。
直近でお金が必要な場合、少額だけ借りたい場合で、返せる見込みが立っているときだけ利用するようにしましょう。
スタートアップ支援専門家
前川英麿
ビジネスローンの利用履歴があると、将来VCなどからの出資を受ける際に苦労する可能性があるので、あくまで最終手段と考えるほうがよいでしょう。
私募債の場合:〜1億円
2%~5%前後
1~2ヶ月程度
社債は、企業が資金調達するために発行する「債券」のことです。
投資家などが債券を購入する=「債券を発行した会社にお金を貸し付けた(負債)」とみなされるので、株式とは異なり、返済の義務と金利が発生します。
上場会社の場合は、証券会社を通しての公募債の発行も可能ですが難易度が高く時間もかかります。
中小・ベンチャー企業が利用する場合は、「少人数私募債」がおすすめです。
50人未満の人に募集をかけて、合計1億円未満のお金を借りることができます。
募集をかける相手が50人未満である必要があるので、会社に関係がある人からお金を借りることになる場合がほとんどです。
なお、Siibo(シーボ)という私募債発行のためのプラットフォームサービスもありますので、活用してみましょう。
2つめの方法は、「出資を受ける」つまり、株式による資金調達です。
発行済みの株式を売却したり、新たに株式を発行して資金を得るのです。
注意すべきは、株式とは「会社のオーナー権」なので、保有する株式の割合によって経営への参画と利益の分配が行われるという点です。利用する際には、
なども考慮するようにしましょう。
1,000万円程度
1ヶ月程度、早ければ1週間
「エンジェル投資家」や「個人投資家」というのを聞いたことがあるでしょうか。彼らは文字通り、事業に投資を行う「個人」です。自分の会社の株を彼らに渡すことで、お金を出資してもらいます。
起業家・経営者にとっては、まだ実績がない会社の将来に期待して投資をしてくれる天使のような存在であるため「エンジェル投資家」と呼ばれています。
個人で投資をするため、後述するVCのような審査を必要としない点が特徴です。
また、良いエンジェル投資家と巡り会えたなら、資金の援助だけではなく、そのエンジェルの持つノウハウを教えてもらえたり、営業先を紹介してもらえる可能性もある点がメリットです。
一方、エンジェル投資家からの出資には注意したいポイントもあります。
前述のとおり、株式を渡すというのは、会社の経営権の一部を渡すのと同じことなので、
・相性のあわないエンジェル投資家の意見によって、事業を思い通りに進めることが難しくなる
・エンジェル投資家個人がトラブルを起こした影響で、自分の会社の評判も下がってしまう
などの可能性もあります。
本当にあなたの事業の方向性に共感してくれているのか、そしてあなたの会社と苦楽をともにしてくれる覚悟がある人かどうかを見極めてから出資を受けるようにしましょう。
スタートアップ支援専門家
前川英麿
エンジェル選びには、自己判断だけでなく第三者の視点も有用なので、候補者の評判などを、業界に詳しいVCや専門家などから聞いてみるのも得策です。
1,000万円〜数億円
3ヶ月〜
個人以外から出資を受けるメジャーな方法には、ベンチャーキャピタル(VC)からの投資があります。
VCとは、投資家・事業会社、金融機関などから出資を募り、成長拡大を目指すベンチャー企業などに投資をする会社です。
そのベンチャーが「株式上場(IPO)」や「事業売却(M&A)」するタイミングで株を売却することで利益(キャピタルゲイン)を獲得するのです。
多数の出資者を集めて投資してくれるので、エンジェル投資家からの調達よりも、大きい金額を調達することが可能になります。
銀行融資などと同じような多額の資金調達ができるにも関わらず、借り入れではなく、代わりに自分の会社の株を渡すので、原則お金を返す必要がないという点もメリットです。
お金を返す義務がないのであれば、融資よりも良いのではと思う方もいるかもしれません。
しかし、株を他の企業に渡すというのは、会社にとってはリスクとなる可能性もあります。
リスク項目 | 概要 |
1) 経営が思う通りに進められない | あなたが会社を創業した社長であっても、他の株主から反対されたりした場合に会社の方針を自分で決められない可能性があります。 |
2) 何かあった際に株の買い取りが必要に | 投資契約の縛りによっては、自社の事業の方向転換が自由にできなくなったり、何かあったときにVCに渡した株を自分で買い取る必要(実質的なお金の返済)が出てくることもあります。 |
3) EXIT戦略立てと交渉が必要 | VCは特に、IPO・M&AなどのEXITを視野に入れているため、出資にあたっては、EXITへの計画などに関する「説明や交渉」が必要となります。 |
スタートアップ支援専門家
前川英麿
EXIT戦略に関してしっかり考えておかないと、株式をいくらで買い取ってもらうかの金額を決める(バリュエーション)の際に、投資家側にとって有利な交渉が進んでいってしまうことも多いので注意しましょう。
これらリスクを踏まえたVCとの交渉の難しさに課題を感じる場合は、業界事情に詳しい専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。
<資金調達に関する相談ならスタートアップリスト(StartupList)>
VCによってどういった企業に投資をするのかといったことや、投資をした後どのくらいサポートしてくれるのか(逆に言うとどのくらい口を出してくるのか)などが変わってきます。
【VC選びのポイント】
特に、一つめのEXITの方向性については、自社の方針や想定する期限(いつIPOするかなど)と一致しているかどうかが重要です。
逆にそれが一致していないVCと組んでしまうと、あとでVCからの要求やプレッシャーに苦しむこととなりますので注意してください。
事業の相談に乗るメンタリングを無料で実施していたりイベント開催を行っていたりするVCも多いので、そういった場に行って情報収集をすることがおすすめです。
とにかくできるだけ多くのVCと話してみて、自社に合っているかどうか検討しましょう。
なお、たくさんのVCと話してみたい方、最適な投資家探しをしたい方にはスタートアップリスト(Startup List)もおすすめです。
スタートアップリスト(Startup List)は国内最大級の起業家・投資家のマッチングサービスです。
起業家は投資家の比較・検討・連絡に使うことができます。また、事業会社も多く登録されているので、連携・営業先の開拓にも利用することができます。
なお、国内にあるVCは以下の記事でまとめています。
また、気になるVCの選び方やVCからの資金調達前後に起きる失敗パターンについては、以下記事もぜひ参考にしてください。
1,000万円〜数億円
3ヶ月〜
CVCとは、コーポレートベンチャーキャピタルの略で、事業会社がその事業会社自身とシナジーがありそうな企業に投資するために設立したVCです。
NTTドコモ、Yahooなどの通信系のCVCや、トヨタ、パナソニックといったメーカー系のCVCに加え、サイバーエージェントやGMOなど様々な業界の企業がCVCを立ち上げています。
また、事業会社がCVCやVCを経由せず、直接出資を行うこともあります。
VC投資との違いは、
などです。
IPOやM&AといったEXITによる収益そのものに着眼点があるVCとは異なり、出資元の事業会社の意向が強く反映されることが多いですが、自分の事業とその事業会社の方向性がうまく噛み合うようであれば非常に良い出資元と言えるでしょう。
出資を受ける場合にも選択肢が複数あるため、どの相手が自社にとって最適かよく検討するようにしましょう。
なお、「どんな視点で選択すればよいのかわからない」といった方には、国内最大級の起業家・投資家のマッチングサービス「スタートアップリスト(StartupList)」もご活用ください。
総合的な相談から、VCだけに限らない最適な選択肢をご提案しています。
50万円〜500万円程度
最短即日〜2週間
ファクタリングとは、販売取引後にまだ入金されていない売上代金=「売上債権」を、ファクタリング事業者に売ることで現金を得る資金調達方法です。
簡単に言うと、”バイトの給料前払い”のようなもので、本来手に入るお金を、早めに手に入れることができるサービスです。
つまり、お金を早めに手に入れたとしても、あなたの会社の資産が増えたわけではないで、新規事業や事業拡大のための資金調達としては不向きです。
しかも1%~20%程の手数料も取られてしまうため、本来手にできたはずの金額よりも少ないお金が手元に残ることになります。
運転資金が足りず倒産してしまいそうな時など、会社経営を持続する「つなぎのお金」がどうしても必要な際に利用するようにしましょう。
なお、ファクタリング業者を利用する場合には、その業者が信頼できるかが重要なので、以下の記事も参考に、自社にあった信用度の高い業者を選ぶようにしましょう。
数十万円〜3,000万円程度
1年以上
助成金や補助金は、国や自治公共団体からもらえるお金で、一定の基準を満たしたり、審査に通ることで支払われます。
使った後に一部や全額が戻ってくる後払い式で、手続きも時間のかかるものが多いですが、返済は不要で、うまく使えばかなりお得です。
助成金は主に厚生労働省が行っている制度で、雇用・労働環境の改善に関わるもの、また、補助金は経済産業省が経済・地域の活性化を目的に行っているものなどの違いがあります。
助成金 | 補助金 | |
交付元 | 厚生労働省 | 経済産業省 |
支援内容 | 人件費 | 設備投資費 |
予算 | 比較的潤沢 | 予算が決まっている |
受けられる金額 | 数十万〜数百万 | 数十万〜数千万 |
申請期間 | 随時、または数週間 | 数週間から一ヶ月 |
再申請の可否 | 可能 | 不可能 |
採択基準 | 要件を満たして入れば原則受けられる | 申請しても審査に通らなければ受けられない |
難易度 | 補助金に比べて簡単 | 助成金に比べて難しい |
起業したばかりの方や中小企業でも使い勝手がいい、おすすめの助成金・補助金は、以下の記事で紹介していますので、ご参考になさってください。
数十万円〜3,000万円程度
2ヶ月程度
クラウドファンディングのサイトで資金調達をするのも一つの手段です。
クラウドファンディングとは、多くの人から少しずつ資金を調達する方法です。ウェブ上のプラットフォームを使って自分が実現したい事業やアイデアを応援してくれる人に広く働きかけます。
支援してもらった人には、あなたのやりたい事業が実現した時に交換できるようなものなどを、お返しとして用意するのが一般的です。
金銭的なコストがあまりかからないのが一番のメリットであり、事業開始後のファンを作ることにもつながります。
ウェブサービスやアプリなどの事業の立ち上げだけでなく、カバンや財布といった小物の制作費から飲食店の立ち上げ、映画の制作など、さまざまな事業の資金調達に使われています。
なお、クラウドファンディングには複数の種類があり、それぞれメリット、デメリットがあります。詳しくは以下の記事もご参考ください。
タダでお金が得られるわけではないので、資金調達にはそれぞれコストがかかります。
まず、融資であれば利子、出資であれば配当金の支払いが発生します。
見えづらいコストとして、融資の審査のための書類準備や、出資を受ける場合の株主名簿管理、株主総会などの事務手続きもあります。
さらに、それらを自社内だけで対応できないのであれば、法務・会計などの専門家への報酬支払なども発生するでしょう。
また、同じ融資・出資でも、仲介業者をどこに頼むかによって手数料やトータルコストが変わってくるので、自社にとって一番有利でスムーズに進められる調達方法を選びましょう。
企業の資金調達は、ただお金を受け取るだけではなく、付随するプラスの価値も得ることができます。
例えば、投資家からの出資の場合、経営のアドバイスがもらえたり、専門人材の紹介を受けられるなどの可能性もあります。
事業会社からの出資なら、業務提携や協業、技術支援を受けることができるかもしれません。
また、金融機関からの融資の過程でも、経営の数字面への助言などがもらえることもあります。
「お金が足りない」課題だけでなく、会社の課題解決・成長に繋がる要素なので、プラスアルファの価値としても何を得たいかを考えながら、調達方法を選びましょう。
資金調達方法は、企業の成長段階によっても、適する相手が異なってきます。
融資・投資をする側も、想定されるリターンへのリスク、リターンの大きさなどをみて資金を提供するかを判断するからです。
成長ステージ別に適した資金調達方法の目安は以下のとおりです。
まだ実績がないシードの段階では、事業計画や将来性を重視する「日本政策金融公庫からの融資」や「エンジェル投資家からの出資」が適していることが多いです。
一方で黒字化が見えてきて以降は、安定的な返済が求められる「民間金融機関からの融資」と親和性が高くなります。
やみくもに選ぶのではなく段階に合った方法を選択し、スムーズに交渉を進めましょう。
金融機関や投資家にとって、資金調達を希望してきているのは、自分たち1社だけではありません。
数ある候補の中から「この会社に融資・出資するのは得か?」というのを判断しているのです。
そのため、競合他社との差別化、自社の魅力をわかりやすく伝え、利益がでる事業・会社であることをしっかり説明することが大切です。
事業計画書や企業概要書などが、そのアピールになりますので、必要に応じて仲介会社などの力を借りながら魅力的な提案書を作成しましょう。
資金調達の交渉段階まで進むことができると、将来のことも想定して「なるべく多い金額」を得られればと考えてしまいがちです。
しかしながら、当たり前ですが、多く手に入れた分だけ返済や配当の支払いの負担は重くなります。
また、中小企業やスタートアップなどは、そもそも審査に通りづらいので、大きな金額を要求しても結果的に不利になってしまいます。
現実的な事業計画をしっかり立て、そこから逆算した必要十分額を調達するようにしましょう。
資金調達には、金融知識や、投資家との交渉力など、高度で専門的なやり取りが必要となります。
また、金融機関に何度も呼ばれたり、投資家を納得させる資料づくりや面談など、準備と対応に、非常に労力がかかります。
そのため、社長本人と社内のリソースだけで対応するのは難しいことも多々あるようです。
そのような際は、仲介業者や、資金調達市場を熟知したVCなどに相談して力を借り、肝心の本業への集中が疎かにならないよう進めるのが得策でしょう。
自社に合ったVC・投資家を効率的に見つけませんか?
起業ログを運営するプロトスター会社は、起業家が最適な投資家探しをしたいというニーズに応え、国内最大級の起業家・投資家検索サービスStartupList(スタートアップリスト)を提供しています。
StartupListでは、投資家の投資レンジや評価基準、過去の経歴等から自社に合った投資家を検索可能。StartupList上で、見つけた投資家とそのままコンタクトをとることもできます。
現在、登録済のベンチャー企業は2,600社以上、投資家数は900名以上にのぼります。
めざす会社の規模や黒字化のタイミングなどによって、資金調達方法はうまく使い分けたいです。
もちろんいろいろな方法を併用している企業も多く存在するので、必要な資金調達の金額やタイミングに合わせて柔軟に選択することも重要です。
また、最後になりますが自分の会社の株式を他人に渡す資金調達は後戻りができません。投資を受ける際は事前に勉強をするのはもちろん、先輩の起業家や第三者から情報収集をしっかりと行うことをおすすめします。
なお以下の記事では、これまで紹介したような資金調達方法それぞれのリスクと具体的な事例を紹介しています。実際に資金調達方法がある程度絞れたら、ぜひ読んでみてください。
画像出典元:Unsplash、O-dan
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