創業補助金とは?申請の流れや金額・対象経費なども解説!

創業補助金とは?申請の流れや金額・対象経費なども解説!

記事更新日: 2023/09/24

執筆: 大山直美

起業したばかりで、事業が安定するまでは多くの経営者は資金調達に悩まされます。

資金が必要だけれど、自己資金の活用や銀行融資は難しいという方におすすめしたいのが、通称「創業補助金」です。

今回は創業時に活用できる創業補助金についてご紹介します。

創業補助金とは?

創業補助金とは、創業者・起業家向けの補助金制度です。

各年度によって名称や管轄を変えていますが、国や地方公共団体から無利子・返済不要で、起業時に必要となる資金の一部を支援してもらうことができます。

ただし、受給には審査が必要で、書類・面接審査などを通過した場合のみもらうことができます。

創業補助金は名称変更されている

創業補助金の名称は毎年変わっています。

年度 名称
平成30年度 地域創造的起業補助金
令和元年度 創業支援等事業者補助金
令和2年度以降 創業助成事業(創業助成金):東京都
創業者向け補助金・給付金:都道府県別


令和元年度の創業補助金の名称は「創業支援等事業者補助金」で中小企業庁が管轄でした。

令和2年以降、国管轄のものは廃止となりコロナ禍対応の補助金などに形を変え、現在は全国の都道府県・市区町村管轄の独自の創業者向け補助金が主流となっています。

自社の創業予定地に補助金制度があるかどうかは、J-Net21から確認しましょう。

創業補助金の対象者

創業者向け補助金・創業助成金の対象となるには、いくつかの条件があります。

管轄の地方自治体によって条件は異なりますが、主に共通するのは次の3点です。

・これから創業する個人、創業半年~5年以内(管轄によって条件異なる)の法人であること
・税務申告義務を怠っていないこと
・認定市区町村や認定創業支援事業者から創業支援を受けること

市区町村や支援事業者などから「創業支援を受ける」とは、例えば商工会議などに相談を行い事業計画を策定して認可を受けたりすることをいいます。

創業補助金の申請~交付の流れ

創業者向け補助金・創業助成金が交付されるまでの全体の流れは以下の通りです。

こちらも管轄自治体によって詳細は異なりますが、"申請前"に指定機関に創業計画や事業計画を提出し、認定や証明書の発行を受ける必要があります。

2か月程度かかることが通例といわれていますので、スケジュール感を意識して取り組みましょう。

申請手順 目安期間
1. 指定機関を利用し「創業計画」等について認定や証明書を受ける 2か月程度
2. 申請書の提出、書類審査 申請から約1ヶ月で結果通知
3. 面接審査(無い場合も)、交付決定 面接から1ヶ月~3ヶ月で結果通知
4. 対象事業の創業・実施
5. 報告書の提出・検査 証拠書類のチェックに数ヶ月かかることも
6. 補助金の交付 交付決定から半年頃で中間払いがあることも

 

創業補助金の金額・難易度

創業者向け補助金・創業助成金はどのくらいのお金がもらえるのか、また、どのくらいの確率で需給が可能なのでしょうか。

東京都は最大300万円

創業予定地として一番人気のある東京都の創業助成金(創業助成事業)の補助金額は、最大300万円(下限100万円)です。

その他の地方自治体では50万円前後~、政令指定都市などの規模では、100万円台のところも多いようです。

時期により1,500万円の助成も!

東京都の助成事業は毎年2回、通例で行われるものですが、時期により、政府・自治体・関係機関の注力事業にあわせてさらに高額の助成事業が発表されることもあります。

例えば、令和5年「新製品・新技術開発助成事業」では、助成限度額が1,500万円(助成率は1/2)で、新製品開発を行う中小企業に試作開発の費用の助成がなされました。

また、若手・女性リーダー応援プログラム助成事業では、都内の商店街で新規開業する場合、工事費・設備購入費などが最大400万円助成されると発表されました。

受給に取り組む際は、見逃した助成金・補助金がないか常に最新情報を確認したうえで申請するようにしましょう。

難易度は10割~と厳しいものも

返済不要の資金であるため、どの創業補助金も人気が高いです。

東京都の創業助成金は、例えば令和4年度の申込は1,210件に対し、採択者数(実際にもらえた事業者の数)は162件で、採択率13.4%でした。

書類の不備で落ちてしまった方も含まれてはいますが、人気の助成金は一定の対策を練ったうえで申し込まないと難しい面があるかもしれません。

申請書類の作成に自信がない場合は、外部の診断サービスや、専門家のコンサルティングなども活用してみましょう。

創業補助金の対象となる経費、ならない経費

創業者向け補助金・創業助成金の対象となる経費は、「事業の遂行に直接必要な経費」「事業成果の取りまとめに必要な経費」です。

また、補助金の交付決定日以前に支払った経費は原則対象外となります。

対象になる、ならない経費の主な例は以下のとおりです。

補助金の対象となる経費 人件費、旅費、地代家賃、広告宣伝費、外注費、委託費
補助金対象外の経費 水道光熱費、通信費、交際接待費、会議費


固定資産に計上されるような設備費については、対象となる場合と対象とならない場合があります。

1年以上継続して使用でき、今回の事業のみに使用される設備の購入については対象となることが多いです。

しかし、机、椅子、事務機器などのように事業内容によって当然準備しておくべき備品などに関しては対象外と判断されることがありますので要綱をよく確認しましょう。

消費税の取り扱いに注意

助成金・補助金自体は課税対象外ですが、経費の補填で使用した助成金等については「消費税の返還」が必要となるケースがありますので注意しましょう。

例えば、110万円の設備を購入して助成金の申請を行い、1/2の55万円が助成対象になった場合、消費税相当分は残りの55万円の10%の5万円です。

事業者には二重の消費税支払いがないように「仕入税額控除」の手続きができるため、本来であれば110万円の10%の10万円を控除することが可能ですが、半分は助成金で賄われているため5万円でないと適正ではありません

そのため仕入税額控除の手続きに際し、過大分の5万円を報告・返還する必要があります。

ただし、免税事業者や簡易課税制度を選択している事業者はこちらの手続きは対象外です。

助成金と補助金の違い

助成金も補助金も国や地方公共団体などから支給され、どちらも返還不要なお金です。

とてもよく似ていますが、その詳細は異なりますので、ここで今一度確認してみましょう。

 

助成金とは

助成金は主に厚生労働省が雇用の増加、人材の育成のために行われています。

助成金は条件があり、その条件を満たせば受給されるので、補助金に比べて受給の難易度が低いです。

助成金は公募期間が長かったり、随時行われているため補助金に比べて申請しやすいです。

人気のある助成金は、受付が終了することがあるので、早めに申請をしましょう。

補助金とは

補助金は国が企業、創業などを促進するための手段の一つです。

国の政策目的に合致した取り組みに必要な資金の一部を、提供し支援しています。補助金は予算や件数が決まっていることが多いです。

そのため条件にあっている企業でも、抽選などで申請しても受給にならないことがあります。

補助金は助成金に比べて支給額が大きく、種類が豊富ですが、公募期間が短く、支給されるまでに時間がかかるといった特徴があります。

助成金と補助金の違いについてさらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。

 

創業補助金のメリット

返済不要で資金調達できる

創業補助金の最大のメリットは、原則返還不要なお金を受給できることです。

創業補助金の対象となる経費は決められており、使い道には制限があります。

しかし、地代家賃・人件費・設備費といった金額が大きい経費に対して補助金が支給されるのは魅力的です。

信用力が上がる

補助金や助成金の受給に成功した場合、国や地方公共団体などの厳しい審査基準をクリアしたということで、信用力がアップします。

取引先からの信用や、さらに大きな資金調達をしたい場合に金融機関や投資家からの評価に繋がることもあります。

金融機関からの融資に難航している場合は、まずは少額の補助金・助成金の採択を受けることからスタートしてみるのもよいでしょう。

創業補助金のデメリット

書類作成・申請の手間がかかる

創業補助金のデメリットは書類作成・申請にある程度の時間と手間がかかることです。

創業補助金を受給するには、補助対象期間中に報告書の提出、さらには補助金受給後も事務局に報告義務があります。

その他にも、50万円以上の資産の処分には事務局の許可が必要などと、さまざまな決まりがあります。

受給までに時間がかかる

創業補助金は審査を通過したからといって、すぐに受給されるものではありません。

原則後払いのため、補助金の受給よりも先に支出があります。

創業補助金をあてにして、資金繰りを計画すると資金難に落ち入る可能性があるので注意しましょう。

まとめ

創業補助金は受給前、受給後も報告が必要であったりと手間暇がかかります。

さらに申し込んだからといって、必ず補助金を受給できるわけではありません。

しかし、返還不要なため、資金が必要な創業時には魅力的な制度です。

創業補助金は支給までに時間がかかり、後払いとなるため資金繰りに気をつけましょう。

画像出典元:写真AC 、O-DAN

最新の記事

ページトップへ