キャリアアップ助成金の7つのコースとは?どんな事業主がもらえるの?

キャリアアップ助成金の7つのコースとは?どんな事業主がもらえるの?

記事更新日: 2019/07/26

執筆: 編集部

「人手不足なので従業員を雇用したい、従業員のスキルアップのために研修などを実施したいがその資金がない」という悩みを抱えている経営者は少なくありません。

会社の規模が大きくなるにつれて必要な従業員の数は増えますし、必要なスキルも変化してきます。資金不足に悩まされて従業員の雇用、育成ができなくては、せっかく受注できる仕事も断らないといけない状況になります。そうならないために「キャリアアップ助成金」を活用しましょう。今回はキャリアップ助成金についてご紹介します。

キャリアアップ助成金とは

キャリアアップ助成金とは厚生労働省が力を入れている助成金で、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化・処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度のことです。

助成金を活用することで従業員の士気、スキルの向上、事業の効率化、優秀な人材の確保を実施することができます。

キャリアアップ助成金の7つのコース

キャリアアップ助成金には7つのコースがあります。7つのコースの詳細については後述します。

・正社員化コース
・賃金規定等改定コース
・健康診断制度コース
・賃金規定等共通化コース
・諸手当制度共通化コース
・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
・短時間労働者労働時間延長コース

 

支給対象事業主(全コース共通)

・雇用保険適用事業所の事業主
・雇用保険適用事業所ごとに、キャリアアップ管理者を置いている事業主
・雇用保険適用事業所ごとに、対象労働者に対し、キャリアアップ計画を作成し、管轄労働 局長の受給資格の認定を受けた事業主
・該当するコースの措置に係る対象労働者に対する賃金の支払い状況等を明らかにする書類を整備している事業主
・キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主

 

中小企業事業主の範囲

キャリアアップ助成金は中小企業事業主と、中小企業事業主以外では金額が違います。

中小企業事業主の範囲については下記を参考にして下さい。

  資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

中小企業事業主は「資本金の額・出資の総額」または「常時雇用する労働者の数」で判定することになります。

キャリアアップ助成金の注意点

キャリアアップ助成金を活用するには、事前に「キャリアアップ計画書」などを作成し、提出することが必要です。

キャリアアップ計画書などの作成に約1年かかります。

キャリアアップ助成金を活用しようとしても、すぐに助成金が支給されるわけではありません。

キャリアアップ助成金を受給できない事業主

キャリアアップ助成金は、下記のいずれかに該当する事業主は受給することができません。

1. 支給申請した年度の前年度より前のいずれかの保険年度の労働保険料を納入していない事業主
2. 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令の違反を行った事業主
3. 性風俗関連営業、接待を伴う飲食等営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行う事業主
4. 暴力団と関わりのある事業主
5. 暴力主義的破壊活動を行ったまたは行う恐れがある団体等に属している事業主
6. 支給申請日、または支給決定日の時点で倒産している事業主
7. 支給決定時に、雇用保険適用事業所の事業主でない事業主

 

正社員化コース

有期契約労働者等(アルバイトや契約社員、派遣社員インターンなど)を正規雇用労働者等に転換または直接雇用した場合に支給されます。

転換の内容によって支給金額が異なります。

全コース共通の要件とは別に、「正規雇用労働者等として雇用することを約束して雇い入れられた有期契約労働者等でない」「転換後6か月間の賃金を、転換前6か月間の賃金より5%以上増額させている事業主」などが要件となっています。

支給額

転換内容 支給額
(1)有期 → 正規 1人当たり570,000円(427,500円)
(2)有期 → 無期 1人当たり285,000円(213,750円)
(3)無期 → 正規 1人当たり285,000円(213,750円)

※( )内は中小企業事業主以外

(1)〜(3)合計して、1年度1事業年度当たりの支給申請上限人数は20人までです。また、上記の支給額とは別に一定の場合には加算があります。

内容 転換内容 加算額
労働派遣者を派遣先で正規雇用労働者または多様な正社員として直接雇用した場合

(1)
(3)

1人当たり285,000円(大企業も同額)
母子家庭の母等または父子家庭の父を転換等した場合

(1)
(2)
(3)

①1人当たり95,000円(大企業も同額)
②③47,500円(大企業も同額)

若者雇用促進法に基づく認定事業主が35歳未満の者を転換等した場合

(1)
(2)
(3)

①1人当たり95,000円(大企業も同額)
②③47,500円(大企業も同額)

勤務地・職務限定正社員制度を新たに規定し、有期契約労働者等を当該雇用区分に転換または直接雇用した場合

(1)
(3)

1事業所当たり95,000円(90,000円)

※( )内は中小企業事業主以外

賃金規定等改定コース

すべてまたは一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定等を増額改定し、昇給した場合に支給されます。

賃金規定等を2%以上増額、昇給することがポイントです。

全コース共通の要件とは別に、「増額改定した賃金規定等を適用され、かつ、増額改定前の基本給に比べて2%以上昇給している者」などが要件となっています。

支給額

すべての有期契約労働者等の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

対象労働者数 支給額
1人〜3人 1事業所当たり95,000円(90,000円)
4人〜6人 1事業所当たり190,000円(180,000円)
7人〜10人 1事業所当たり285,000円(240,000円)
11人〜100人 1人当たり28,500円(24,000円)

※( )内は中小企業事業主以外

一部の賃金規定等を2%以上増額改定した場合

対象労働者数 支給額
1人〜3人 1事業所当たり47,500円(42,000円)
4人〜6人 1事業所当たり95,000円(90,000円)
7人〜10人 1事業所当たり142,500円(120,000円)
11人〜100人 1人当たり18,000円(12,000円)

※( )内は中小企業事業主以外

1年度1事業当たり100人まで、申請回数は1年度1回のみです。

また、上記の支給額とは別に一定の場合には加算があります。

内容 加算額
中小企業において3%以上増額改定した場合に支給額を加算

すべての賃金規定等改定:1人当たり14,250円
一部の賃金規定等改定:1人当たり7,600円

職務評価の手法の活用により賃金規定等を増額改定した場合 1事業所当たり190,000円(142,500円)

※( )内は中小企業事業主以外

健康診断制度コース

有期契約労働者等を対象とする「法定外の健康診断制度」を新たに規定し、4人以上実施した場合に支給されます。

全コース共通の要件とは別に、「キャリアアップ計画期間中に、事業主に実施が義務付けられていない有期契約労働者等を対象に、人間ドック等の健康診断制度を労働協約または就業規則に規定した事業主」などが要件となっています。

支給額

1事業所当たり380,000円(285,000円)

※( )内は中小企業事業主以外

1事業所当たり1回のみです。

賃金規定等共通化コース

有期労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定を新たに作成し、適用した場合に支給されます。

全コース共通の要件とは別に、「賃金等の区分を有期契約労働者等と正規雇用労働者に各々3区分以上設定し、かつ、有期契約労働者等と正規雇用労働者の同一の区分を2以上設定し適用している事業主」などが要件となっています。

支給額

1事業所当たり570,000円(427,500円)

※( )内は中小企業事業主以外

1事業所当たり1回のみです。

また、上記の支給額とは別に一定の場合には加算があります。加算は20人が上限です。

内容 加算額
共通化した対象労働者(2人目以降)について支給額を加算 対象労働者1人当たり20,000円(15,000円)

 

諸手当制度共通化コース

有期契約労働者等に対して正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設定し、適用した場合に支給されます。

全コース共通の要件とは別に、「労働協役または就業規則の定めるところにより、雇用する有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の賞与・役職手当・精皆勤手当などの諸手当制度を新たに設定した事業主」などが要件となっています。

支給額

1事業所当たり380,000円(285,000円)

※( )内は中小企業事業主以外

1事業所当たり1回のみです。

上記の支給額とは別に一定の場合には加算があります。

内容 加算額
共通化した対象労働者(2人目以降)について支給額を加算 共通化した対象労働者(2人目以降)について支給額を加算
同時に共通化した諸手当(2つ目以降)について支給額を加算 諸手当の数1つ当たり160,000円(14,400円) 上限10手当まで

 

選択的適用拡大導入時処遇改善コース

労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置により、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給を増額した場合に支給されます。

全コース共通の要件とは別に、「労使合意に基づき社会保険の適用拡大の措置を実施した事業主」などが要件で、令和2年3月31日までの暫定措置となっています。

支給額

基本給の増額割合 支給額
3%以上5%未満 1人当たり29,000円(22,000円)
5%以上7%未満 1人当たり47,000円(36,000円)
7%以上10%未満 1人当たり66,000円(50,000円)
10%以上14%未満 1人当たり94,000円(71,000円)
14%以上 1人当たり132,000円(99,000円)

※( )内は中小企業事業主以外

1事業所当たり1回のみ、支給申請上限人数は45人までです。

短時間労働者労働時間延長コース

短時間労働者の週所定労働時間を延長し、新たに社会保険を適用した場合に支給されます。

全コース共通の要件とは別に、「雇用する有期契約労働者等について、週所定労働時間を5時間延長等し、新たに社会保険に適用させることに加えて、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した事業主」などが要件となっています。

支給額

内容 時間 支給額
短時間労働者の週所定労働時間を5時間延長し新たに社会保険に加入した場合   1人当たり225,000円(169,000円)
労働者の手取り収入が減少しないように週所定労働時間を延長、新たに社会保険に適用、賃金規定等改定コースまたは選択的適用拡大導入時処遇改善コースを実施した場合 1時間以上2時間未満 1人当たり45,000円(34,000円)
  2時間以上3時間未満 1人当たり90,000円(68,000円)
  3時間以上4時間未満 1人当たり135,000円(101,000円)
  4時間以上5時間未満 1人当たり180,000円(170,000円)

※( )内は中小企業事業主以外

まとめ

キャリアアップ助成金は7つのコースがあり各コースによって金額、要件等が異なります。

キャリアアップ助成金はキャリアアップ計画書の作成など、支給申請までに時間がかかるので、緊急性を要する資金調達として考えている場合にはオススメしません。

しかし、助成金は不正受給などではない限り原則返還の必要がないため、要件を満たすのであれば積極的に活用することをオススメします。

キャリアアップ助成金を活用する場合には、厚生労働省のHPなどで要件などを事前に確認しましょう。

画像出典元:写真AC 、O-DAN

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