再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は事業を失敗したことがある方のための融資制度です。
廃業歴のある方でも融資を受けられる制度になっていますので、一度失敗している方でも新たな事業に再チャレンジすることができます。廃業を経験すると二度と融資を受けられないと考えている方も多いため、知名度の低い融資制度となっています。
ここでは、再チャレンジを目指している方に向けて、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)について詳しく紹介していきます。
このページの目次
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は、日本政策金融金庫が行う融資の1つです。
再挑戦・再チャレンジと言う名前から分かるように、一度事業に失敗した経営者を対象に創業支援を行うための融資となります。創業を支援する融資は数多くありますが、廃業経験がある場合では融資リスクが高くなりますので融資を受けることは難しくなります。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は、やむを得ない理由により廃業を余儀なくされた経験を持つ経営者の再挑戦を支援してくれる融資制度です。
対象者が新たに事業を始めるため、事業開始後に必要とする事業資金や運転資金として利用することはできます。
融資条件は3つあり、すべてを満たしている必要があります。いずれか1つに該当していれば良いわけではありませんので注意しましょう。
条件1は廃業歴の有無を問われていますので、廃業歴のある経営者であれば条件をクリアしていることが分かりやすいです。
条件2では、「負債が新たな事業に影響を与えない程度」に整理される見込みとあり、条件3では「廃業の理由・事情」がやむを得ないものであるとされています。
「負債が新たな事業に影響を与えない程度」に整理される見込みとは具体的にどういったものなのか気になりますね。
整理される見込みと表現されていることから負債額ではなく、負債を返済していくことのできる返済計画がたてられているかどうかがチェックポイントになると考えられます。
負債額に関する定めや詳細な条件等は公開されていません。
また条件3では「廃業の理由・事情」がやむを得ないものとありますが、特別〇〇の理由であれば融資できないなどの情報は公開されていません。
そのためやむを得ない条件が具体的にどのようなものであるかは推測するに留まりますが、災害や震災等により廃業をした場合ではやむを得ない事情と言えるでしょう。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は廃業したことのある経営者を対象にしています。
利用条件でも廃業している経営者に向けていることが示されていますが、では自己破産をした経営者は利用できるのでしょうか。
結論から言えば、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は自己破産後にも受けられます。
そもそも自己破産後には融資を受けることが難しいものの、融資を受けること自体に制約はありません。そのため自己破産後も融資を申し込むことができるのです。
しかし自己破産してしまうと融資申し込み条件を満たすことができず、結果的に融資が受けられないということも珍しくありません。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)では、廃業歴がある経営者に向けた再起を目指す支援となっていますので、自己破産したことがある方でも融資申し込み条件を満たすことができ、融資を受けることができる可能性があるのです。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)には「国民生活事業」と「中小企業事業」の2つに分類されています。「国民生活事業」と「中小企業事業」では対象者から融資限度額、利率、担保の有無等条件が異なりますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。
国民生活事業は再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の中でも、個人事業主や小規模事業者を対象にしているものとなります。
再挑戦資金(再チャレンジ支援融資)の国民生活事業の融資限度額は7,200万円以内(うち運転資金4,800万円)と定められています。
設備資金と運転資金とどちらも融資を受けることができますが、運転資金としての融資限度額は4,800万円となりますので注意しましょう。
金利は担保の有無にもより基準金利が異なります。
担保不要で融資を受ける場合の金利は次の通りです。
担保不要の場合の基準利率は2.16%から2.45%です。
利率は金融情勢により変動するものですので、実際に融資を受ける際には必ず最新の利率情報を確認してください。
また担保有りで融資を受ける場合の金利は次の通りです。
担保ありの場合の基準利率は1.21%から2.10%です。
利率は金融情勢により変動するものですので、実際に融資を受ける際には必ず最新の利率情報を確認してください。
また、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)では特別利率が適用されるケースが2つあります。
・女性または35歳未満または55歳以上の方【特別金利A】
・技術やノウハウ等に新規性が見られる方【特別金利B】
条件に該当している方の場合では【特別金利A】または【特別金利B】の金利が適用されます。
例えば担保なしで技術やノウハウ等に新規性が見られる方の場合では、担保不要で融資を受ける方の基準利率説明画像の中の【特別金利B】の利率が適用されることになりますので、利率は1.51%から1.80%となります。
返済期間は設備資金と運転資金で異なります。
■設備資金
20年以内(据置期間2年以内)
■運転資金
7年以内(据置期間2年以内)
据置期間とは返済額の負担を一時的に減らすことができるよう設けられている期間のことで、金利のみの返済を行うことができる期間です。
担保・保証人は必須ではありません。
担保・保証人の有無は必ずしも希望通りの条件となるとは限らないものの、相談しながら決めていくことができる仕組みです。
担保がある場合では利率が低くなりますので、相談の上で担保の有無等を決めるべきでしょう。
中小企業事業は再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の中でも、中小企業を対象にしているものとなります。
融資限度額は直接貸付で7億2千万円(うち運転資金2億5千万円)です。
融資利率の基準金利は次の通りです。
利率は貸付期間により異なることになります。
5年以内に返済する場合基準利率は1.11%となり14年を超え15年以内に返済する場合の基準金利は1.13%です。
では基準利率の右に記載されている特別利率とはどんなものか見ていきましょう。
基本的には基準利率が適用されますが、特別利率が適用されるケースが2つあります。
1. 女性、または35歳未満あるいは55歳以上の方が必要とする資金(土地にかかる資金を除く)については、2億7千万円まで特別金利1を適用
2. 技術・ノウハウ等に新規性がみられる資金(土地に係る資金は除く)であり、一定の製品化及び売上が見込めるものは、2億7千万円まで特別金利2を適用
これにより女性で5年以内返済で1億円を借り入れた場合では特別金利1が適用されますので、利率は0.71%となります。
特別金利の適用に該当する場合には基準金利ではなく特別金利1あるいは特別金利2にて利率を確認してください。
返済期間は設備資金と運転資金で異なります。
■設備資金
20年以内(据置期間2年以内)
■運転資金
7年以内(据置期間2年以内)
据置期間とは返済額の負担を一時的に減らすことができるよう設けられている期間のことで、金利のみの返済を行うことができる期間です。
担保設定の有無や担保の種類は相談の上で決定されますので、担保必須ではありません。
保証人に関しては一定の要件に該当する場合、経営責任者の個人保証が必要となります。一定の要件については窓口で確認する必要がありますので、利用を検討している方は必ず確認しておきましょう。
中小企業事業では挑戦支援資本強化特例制度という制度があります。
これは、新規事業や企業再建などに取り組む中小企業の財務体質強化を図るために資本性資金を供給する制度のことです。
資本性ローンと呼ばれることもあり、最大の特徴は金融監査上は融資を借入金ではなく自己資本として考えることができるというものです。
資本性の高い融資と考えて間違いありません。
中小企業事業の再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)を検討している方の本資金では、利用条件を満たしている場合利用できる制度です。利用できる制度ではありますが、再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の利用条件とは異なり、利用できる方は限定されるものとなります。
そのためまずは利用条件を満たしているかどうか確認する必要がありますので注意してください。
長期的な借入を業績に応じた利率で返済していくことができるため、魅力的な制度だと言えます。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)を成功させるためのポイントは大きく2つあります。ここではそれぞれのポイントを詳しく説明していきます。
自己破産を行っている場合、必ず免責後に申し込みを行うようにしてください。再起を急ぐあまり、免責を受けていないとなると、返済能力に問題があると判断されてしまう恐れが高いです。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は、自己破産後にも融資を受けることができる可能性のある数少ない選択肢の1つです。
そのため返済計画を自分自身で立てられる状況を見極めた上で申し込みを行いましょう。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は、自己破産した方でも利用することができる融資ではありますが、自己破産していても必ず利用できる融資ではありません。
融資を受けるチャンスを逃さないためにも、免責を受けるという基本的なステップを飛ばしての申し込みには注意してください。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は、一度失敗した人が利用できる融資であることから負債があっても融資を受けることができるものとの認識が強すぎるため、返済計画が立てられない状態で申し込みをし、融資を受けることができない方が一定数いるようです。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)を利用する場合、現在ある負債の返済計画を立てることは必須です。収支計画また事業計画書の作成など、融資を受けるために必要な書類作成はしっかり行うようにしてください。
準備さえしっかり行えば、融資を受けられる可能性はそれだけ高くなります。
廃業歴があることや負債の有無を問わないこと、さらに自己破産した方でも受けられる融資として準備不足のまま申請してしまう方が多いと言われていますので、準備を整えることで融資を受けられる可能性が高くなるというわけです。
単純なことのように思えて事前準備は重要ですので、徹底した返済計画を行って置きましょう。
ここまで再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)の利用を検討している方に向けて必要な情報をまとめてきました。
再挑戦支援資金(再チャレンジ支援融資)は、廃業歴のある方こそが利用できる数ある融資の中でも珍しい融資であると言えるでしょう。
これから再起を目指す方におすすめできる融資方法ですので、ぜひ準備を整えた上で利用されてはいかがでしょうか。
画像出典元:日本政策金融金庫、写真AC、Pixabay
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