事業再構築補助金では、思い切った業態転換を行う事業者を支援しています。
2023年1月16日から第9回の公募が開始しているため、新たな事業転換に挑戦しようとしている事業者はぜひ活用を検討しましょう。
今回の記事では、第9回事業再構築補助金のスケジュールや申請の流れなどについて解説します。
このページの目次
事業再構築補助金とは、コロナ禍における中小企業の事業支援を行う制度のことです。
ウィズコロナ・ポストコロナにおける経済社会の変化に対応するため、思い切った事業転換や業態転換、事業再編などに挑戦する中小企業に対して補助金が支給されます。
これまで8回の公募が実施されており、今回の記事では「第9回公募」に関するポイントを解説いたします。
2023年1月時点における事業再構築補助金第9回スケジュールは以下の通りです。
ただし、第8回公募で申請している場合、第9回公募には申請できないためご注意ください。
理由としては、事業再構築補助金は「グリーン成長枠」を除き、一度交付決定を受けた事業者は再度申請することができず、第9回公募の応募締切が第8回公募の採択発表以前になるためとのことです。
参考までに、第8回事業再構築補助金までの採択スケジュールをご紹介します。
第9回の公募スケジュールを考えるうえでの参考にしてください。
公募開始日 | 申請締切日 | 採択結果発表日 | |
第1回 | 2021年3月26日 | 2021年5月7日 | 2021年6月16日 |
第2回 | 2021年5月20日 | 2021年7月2日 | 2021年9月2日 |
第3回 | 2021年7月30日 | 2021年9月21日 | 2021年11月30日 |
第4回 | 2021年10月28日 | 2021年12月21日 | 2022年3月3日 |
第5回 | 2022年1月20日 | 2022年3月24日 | 2022年6月9日 |
第6回 | 2022年3月28日 | 2022年6月30日 | 2022年9月15日 |
第7回 | 2022年7月1日 | 2022年10月5日 | 2022年12月15日 |
第8回 | 2022年10月3日 | 2023年1月13日 | 2023年3月下旬〜4月上旬予定 |
採択結果が出るまでには、申請締切から概ね2ヶ月程度かかっているようです。
第9回事業再構築補助金について、2023年1月時点で過去の公募と大きな変更点はありません。
ただし、第10回以降については、募集枠の新設などチェックすべき変更点がいくつかあります。
万が一、第9回の公募で不採択となった場合も想定して、第10回以降の変更点をチェックしておきましょう。
第10回以降の主な変更点は以下の通りです。
詳細は、中小企業庁|「事業再構築補助金令和4年度第二次補正予算の概要」を必ずチェックしましょう。
それぞれの変更点を解説していきます。
成長枠では、思い切った事業再構築に取り組む事業者に対する支援を実施します。
従来の通常枠では、申請要件として「指定期間内における売上の減少」が含まれていました。
第10回以降の成長枠では売上減少要件が撤廃されるため、より幅広い事業者が補助金を申請できるようになります。
グリーン成長枠では、グリーン分野における事業再構築を実施することで、高い成長を目指す事業者の支援が目的です。
従来よりも緩和されたエントリー枠の要件が追加されたことで、幅広い事業者に受給のチャンスが与えられます。
【エントリー】
①グリーン成長戦略「実行計画」の14分野に掲げられた課題の解決に必要な取り組みとして記載があるものに該当し、かつ、その取り組みに関連する1年以上の研究開発・技術開発、あるいは従業員の5%以上に対する年間20時間以上の人材育成を実施している
②事業終了後に、3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させる
【スタンダード】
①グリーン成長戦略「実行計画」の14分野に掲げられた課題の解決に必要な取り組みとして記載があるものに該当し、かつ、その取り組みに関連する2年以上の研究開発・技術開発、あるいは従業員の10%以上に対する年間20時間以上の人材育成を実施している
②事業終了後に、3〜5年で給与支給総額を年率平均2%以上増加させる
大幅賃上げ・規模拡大へのインセンティブでは、主に以下の2点を変更しています。
事業者内において、規定の水準まで賃上げを実施した事業者に対する支援が手厚くなっています。
事業者の資金負担を軽減できるため、賃金を含め労働環境の改善に乗り出したい企業にピッタリでしょう。
産業構造転換枠では、産業構造の変化等に対応するため事業再構築が強く求められる事業者への補助が目的です。
従来よりも補助率が引き上げられたことで、新しい取り組みに挑戦する事業者への支援が手厚くなりました。
さらに、補助対象経費に「廃業費」がある場合は補助上限額が上乗せされます。
サプライチェーン強靱化枠では、国内サプライチェーンの強靱化や地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)を手厚く支援します。
補助上限額として「最大5億円まで」の引き上げを予定していることからも、力の入れ具合がわかるでしょう。
2023年1月時点で制度の詳細は検討中であるため、申請予定の事業者は最新情報のチェックが必須です。
物価高騰対策・回復再生応援枠は、従来の「回復・再生応援枠」「緊急対策枠」を統合した制度です。
長引くコロナや物価高等により、経営状況が厳しい事業者に対して支援を行います。
従来よりも売上減少要件が緩和(30%以上減少→10%以上減少)されることで、幅広い事業者への支援が実施できるようになるでしょう。
従来の事業再構築補助金では「グリーン成長枠」を除き、1事業者につき採択は1回までと限定されていました。
しかし第10回以降は、「グリーン成長枠」に加え「産業構造転換枠」及び「サプライチェーン強靭化枠」についても一定の条件下で2度目の申請・採択が認められます。
具体的には以下の2パターンで2度目の申請が可能となります。
最高で2回まで再申請できるため、事業状況や内容に応じ、より手厚い支援を受けたい事業者は積極的に活用しましょう。
事業再構築補助金は以下の流れで申請しましょう。
Step1:電子システムで申請する
Step2:審査結果が通知される
Step3:採択された場合は補助金の申請手続きを行う
Step4:補助事業実施後に実施報告を行う
事業再構築補助金の申請は、「gBizID」という電子システムでのみ受け付けています。
gBizIDは採択後の手続きでも利用するため、忘れずにアカウントを発行しておきましょう。
アカウントの取得には1週間程度の時間を要するため、余裕を持ったスケジューリングが大切です。
申請内容をもとに審査が実施され、後日採択結果が通知されます。
採択された事業者名は公式サイト上でも公表されるため、気になる方はチェックしましょう。
万が一、申請内容に不備があった場合は、事務局から通知が送られます。
無事に採択された事業者は、補助金の申請手続きを行いましょう。
申請時は細かく提出書類が定められています。
公式サイトの「補助事業の手引き」をチェックして間違いなく申請しましょう。
ただし、申請時に計上した経費が対象外であった場合、補助金が減額される可能性もあります。
補助金の交付にあたっては、事業の実績報告書の提出が必要です。
実績報告書をもとに事業内容を精査し、問題なければ補助金額が確定されます。
申請内容に沿って適切な事業を行い、しっかり補助金を受け取りましょう。
事業再構築補助金は、新たな取り組みに挑戦する事業者にとっては心強い制度です。
ただし、実際に活用する際は以下の点に注意しましょう。
事業再構築補助金では、細かく申請要件が定められています。
定められた要件としては、例えば「売上高の減少額」「従業員の最低賃金額」などです。
特に事業再構築補助金は申請類型が多岐に渡るため、自社がどの要件に当てはまるかをしっかりチェックしておきましょう。
事業再構築補助金の申請には、gBizIDアカウントが必須です。
アカウント作成には1週間程度の時間が必要なため、早めにチェックしておきましょう。
申請締め切りギリギリで作成すると、手間取って期日を過ぎてしまうかもしれません。
事業再構築補助金は、確かに新たな分野へ挑戦する事業者をサポートする心強い制度です。
ただし、原則として「補助金は後払いになる」という点には気をつけましょう。
事業に経費を使い、内容を精査してから補助金が支払われるため、事前にある程度は資金の確保が必要です。
事業再構築補助金も含めて、補助金は審査が厳しいケースが多いです。
要件に該当するかも重要ですが、書類に不備があると採択されません。
申請を通す自信がない事業者は、税理士にチェックを依頼するなどして、書類に不備がないよう細心の注意を払いましょう。
事業再構築補助金は、業態転換を含め思い切った挑戦をする事業者に対して、手厚い支援を行っています。
申請時は細かい書類や要件のチェックが必要であるため、最新情報は必ず公式サイトでチェックしておきましょう。
画像出典元:oudan
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