家計の助けになる育児休業給付金。いつ・いくら受け取れるのかどうか、心配ですよね。
この記事では、給付金の支払条件、給付金の目安をご紹介します。
また、転職後1年未満の方、アルバイト・パートの方、育休中に次のお子さんを妊娠した方など、支払われるか微妙なラインの対処方法もお伝えします。
このページの目次
育児休業給付金とは、育児のために仕事を休業する間の家計の負担軽減のために設けられている制度です。
雇用保険に加入している労働者が育児休業中に雇用保険から給付される給付金で、子どもが1歳(パパママ育休プラスの場合は1歳2ヶ月まで、その他期間延長が認められる場合は1歳6カ月 または 2歳)まで受給できます。
育児休業給付金を定めている「育児・介護休業法」は、令和3年1月1日から一部改正となります。
けれども育児休業給付金の支給条件・金額などに変更はありません。
育児休業から復帰した後、子どもの看護のために取ることのできる「看護休暇」変わります、というものです。(親等の介護の場合も同じ)
<取得単位>
以前:半日 または 終日
令和3年1月1日以降:希望の1時間単位
<取得可能な人>
以前:1⽇の所定労働時間が4時間以下の人は取得できない
令和3年1月1日以降:労働者なら誰でも
本当に育児休業給付金がもらえるのか、正社員の場合と、アルバイト・パートの場合で、受給条件を説明します。また、グレーゾーンな方の対処方法もご紹介します。
正社員の方は、以下の条件を満たしていれば育児休業給付金を受給することができます。
育児休業中であることが前提です。以下の場合は、育児休業期間の延長ができます。
1年以上今の企業に在籍している方は、問題なく受給できるでしょう。
仕事によっては、育児休業中にリモートを含め、急遽出勤を求められることがあるかもしれません。給料の金額によっては、給付が止まったり、減額される場合があります。
出典:厚生労働省パンフレット
こちらも、急遽の出勤などの際には注意が必要です。
育児休業明けに退職を決めている場合は、受け取れません。
育児休業のあと復帰しようと思っていても、本人・子どもの体調が思わしくない、保育所が確保できない、育児休業中に家族が転勤して遠方に引っ越したなどで、退職しなければならなくなることがあります。
この場合、退職日で育児休業給付金の支給も打ち切られます。
支給額は毎月15日から翌月14日を1カ月として計算されますが、この期間の途中で退職しても、日割りされません。
例)7月13日に退職:最終は5月15日から6月14日 分
7月14日に退職:最終は6月15日から7月14日 分
※退職日が末日の14日の場合は、全日が対象になります
7月15日に退職:最終は6月15日から7月14日 分
なお、すでに受給した育児休業給付を返金する必要はありません。
給付条件には、厳密には、育児休業開始以前の過去2年間に、基礎日数が11日以上ある月が12ヶ月以上あること、とされています。
転職して1年未満の方でも、以下の4つの条件をすべて満たしていれば、受け取れます。
一方、上記の条件のうち、1つでもNGになると受け取ることはできません。
育児休業を延長している間に、2人目のお子さんを妊娠するケースもありますね。こうなると、「雇用保険に12カ月以上加入していること」を満たすのか不安になると思います。
この場合は、「過去2年の間に12ヶ月」というルールが「過去4年間」に延長されますので、通常は問題なく受取ることができます。
一方で、3人目以上となると、過去4年間に12ヶ月勤務できた人は現実的にほぼいないと思いますので、育児休業給付金は受給できないでしょう。
アルバイトやパートなど、雇用期間が限定されている方でも、以下条件が揃っていれば、育児休業が取れますので、育児休業給付金を受け取れます。一見受給できないかも、という場合にも、解釈によって受給可能となることがあります。
ただし、産後休業から入社1年までの間を「欠勤」扱いとするなどして、実際には入社1年未満でも育児休業を取得可能とする解釈があります。
以下のような事例があることを、雇用主と相談してみてください。
出典:グルメキャリー
アルバイト・パートで、12ヶ月以上の契約は珍しいと思いますので、条件外になるのでは、と諦めてしまう方もおられるかと思います。
けれども、必ずしも「契約期間が続いている」必要はありません。実態として雇用関係が継続していれば、受給できます。
具体的には、その職場で育児休業を取得し復帰した前例があったり、雇用主が取得・復帰を前提としている、というような場合は、問題ないと判断されます。心配であれば、雇用主に相談し、契約書を変更してもらうといいでしょう。
一方で、このような配慮がなく、書面や口頭で更新回数の上限が決められている場合や、「契約を更新しない」ことが明らかにされている場合は、育児休業を取得できません。
では実際にいくら受け取れるのか、試算方法を解説します。
給付金は、育児休業開始から6ヶ月は、休業開始前賃金の67%、以降は50%で計算されます。賃金ですので、手取りではなく額面です。
育児休業給付の1支給単位期間ごとの給付額は、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%(ただし、育児休業の開始から6か月経過後は50%)」により、算出します。
引用元:厚生労働省Q&A
育児休業中は、育児休業給付金が付与されるだけでなく、次のような支援もされます。
例えば、月額給与が230,000円の人の場合は、次のようなイメージになります。
手取り額にすれば75%くらいになると考えておくとよいです。
出典:厚生労働省パンフレット
両親ともに育児休業を取得する場合は「パパママ育休プラス」という制度があり、家族単位でみたときに、育休期間を延長できます。
延長期間中ご主人の給与が減りますので家計的には悩ましいですが、保育園に入ったばかりの「慣らし保育」や、洗礼的に発生する「お子さんの急な発熱」などの対策に助かります。また、ご主人に、復帰後の家事イメージをもってもらうのにも有効かもしれませんね。
育児休業給付金はパートナーがとった時期には関係なく、労働者単位で、当初の6ヶ月は67%・以降%の支給額で計算されます。
例えば、女性が6ヶ月取得したあとに男性が6ヶ月取得した場合も、男性・女性それぞれで、期間中は67%が支給されます。
出典:厚生労働省
実際に銀行口座に振り込みされるのが、いつなのかも気になりますね。
企業のお給料のように、毎月○日、といった明確な日付はありません。企業の人事を経由してハーワークから送られてくる「育児休業給付金支給決定通知書」に記載されている「支給決定日」から1週間程度、とされています。
具体的には以下を目安にしてください。
・初回
育児休業開始から2ヶ月+資格の審査 約2週間 + 約1週間 = 育児休業開始から3ヶ月弱
・2回目以降
2回目以降の手当支給日は、きちんと手続きをしたことを前提に、前回の支給日から約2ヶ月後になります。支給漏れを防ぐためにも、2ヶ月ごとに必要となる資料は、確実に提出しましょう。
育児休業給付金は、いつからいつまで受け取れるのでしょうか。実は、育児休業を取得する人の性別により受け取れる期間が異なります。
<開始>
女性は、産後休暇のあとが育児休業の開始になります。つまり、生後58日目日が開始日になります。
<終了>
子どもの1歳の誕生日の前日よりも前に職場復帰した場合は、「復帰日の前日までになります。
「子どもが1歳の誕生日の前日」まで育児休業を取得する場合は、育児休業給付金はその前日、つまり「子どもが1歳の誕生日の前々日」まで支払われます。
出典:厚生労働省パンフレット
ただし、保育所に入れなかったなどで育児休業が延期になった場合は、その延長期限の前日まで(1歳6ヶ月の前々日/2歳の前々日)となります。
<開始>
男性の場合は、出産当日から育児休業が取れますので、その日を開始日とすることができます。実際には、勤務先と調整した「育児休業の開始日」=「支給対象開始日」となります。
ただし、男性は1人の子どもに対し、1歳までの間にもう1回、計2回の育児休業を取得できますので、開始日が2回になることがあります。詳しくはこちらの記事をあわせて御覧ください。
<終了>
女性と同様です。
ただし、2回の育児休業を取得した場合は、終了も2回発生します。
〈開始〉
男女ともに、上記項目と同様です。
〈終了〉
「1歳2ヶ月の誕生日の前々日」となります。
育児休業給付金の申請に必要な書類は2種類です。いずれも、2ヶ月ごとに提出する必要があります。
用紙は、お勤め先か、ハローワークから入手します。ハローワークインターネットサービスからダウンロードすることもできます。
提出方法には2種類があります。
通常は、勤務先の人事担当者に依頼することで、申請手続きを一括で実施してもらえます。
人事担当者は、依頼者から受け取った書類のほか、出勤簿など実態がわかる資料を添付して、所在地管轄のハローワークに提出します。
勤務先での前例がなく、思うように動いてくれないなどの場合は、自分自身で申請することも可能です。
育児休業基本給付金申請書と育児休業給付受給資格確認票を記載します。申請書の記載例はハローワークによるパンフレットを参照します。
人事に持参して、事業主による証明欄に捺印をしてもらうなど、企業側で埋める項目を記載してもらいます。その後、勤務先所在地管轄のハローワークに持参します。
ただし、同じタイミングで社会保険料免除の手続きなど、企業側で実施してもらう内容は他にもあります。もちろん前例がなく不慣れな場合があるなど、企業担当者も万能ではありませんが、原則は勤務先を通じて提出としましょう。
育児に伴う家計の負担を軽減してくれる育児休業給付金。一見、受給条件を満たさないと思われる場合にも、受け取れるケースがあります。
まずは2ヶ月ごとの申請を忘れずに、人事担当者やハローワークと上手に連携しながら、着実に受給しましょう。
画像出典元:Pixabay 、Unsplash
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