育児休暇は取りにくい!日本の男性のほとんどが思っていると言っても過言ではありません。
「男性が育児休暇なんて・・・」会社だけでなく友人や家族からも言われそうで、育休の取得をためらう男性がほとんでしょう。
本記事では「男性が育児休暇を堂々と取得するために必要な知識」を分かりやすく解説しています。
育児休暇を取得して子どもの成長を見守りたい方に必要な情報をしっかり紹介していますので、最後まで確認していきましょう。
このページの目次
「育児休暇」と共によく似た「育児休業」という言葉があります。言葉は似ていますが、実は、中身は大きく違うことをご存知でしょうか?
これから「育児休暇」と「育児休業」の違いについてまとめていきますが、両者の違いを理解しておくことはとても重要なポイントとなります。
しっかりと確認をしておきましょう。
そもそも「育児休暇」とは休暇中に育児をするという意味です。
育児を理由に仕事を休めば、それは「育児休暇」と考えることができます。
参観日や発表会で、有給や会社独自の子育てに関する制度を利用しての休暇はもちろん、子どもが病気で看病するために取った休暇も「育児休暇」となります。
例えば、ソフトバンクでは、こどもの急な発熱などの事情により、登園・通学ができない場合に取得できる「キッズ休暇」というものがあり、子供の小学校卒業時まで年間10日間取得することが可能です。
大企業などの福利厚生の厚い企業であれば、有給以外で「育児休暇」を取得することも可能です。
ですが、一般的には「育児休暇」のための会社独自の制度を作成している企業は数少ないのが現状です。
子どもに関する休暇であれば全て育児休暇といえるほどとても広い範囲ですので、位置づけ的にはカテゴライズの上位、「りんご」ではなく「果物」的な位置づけだと覚えておきましょう。
一方で、「育児休業」は法律で定められた制度です。
育児休業の大きな特徴は、「子どもが1歳になるまでの休業が法律で認められている」ことと「雇用保険から給付がある」こと。
後述の「男性が育児休暇を取得してもいいという法律や制度」で詳細を紹介していますが、正社員であればほぼ誰でも取得ができる制度です。
ですが、育児をするために休暇を取ることには変わらないので育児休暇とも言えます。
このようなことから、「育児休業」は「りんご」的なポジションですので、「育児休業」は「育児休暇」に含まれる休暇の一つとして考えましょう。
育児休暇を取得する、取得したという男性を身近で聞くことがほとんどありません。男性の育児休暇取得状況はどのようになっているのでしょうか?
現状について詳しく紹介していきます。
画像出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング厚生労働省委託調査(平成30年1月)「平成29年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業」
育児休暇を取る男性の休暇の日数は3日以内が「43.1%」、4日~7日以内が「25.8%」とほとんどの人が1週間も休暇を取れていないのです。
男性の育児休業取得率は6.16%で、100人のうち6人しか取れていないといった現状です。
この現状は国際的にみると非常に低水準な数値となっています。
スウェーデンやノルウェーといった北欧では、男性の育児休業取得率は70%を越え、ほかの先進国でも10%以上の場合がほとんどです。
そして、女性の育児休業取得率が82.2%といった実態を考えると、日本男性のほとんどが育児休業を取得できていないことが分かります。
画像出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング厚生労働省委託調査(平成30年1月)「平成29年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業」
上の図は育児休暇を取得した男性のうち、取得期間が希望通りではなかったと回答した男性のデータです。
4日以上の育児休暇を取得している人が9割以上、8日以上の休暇を取得している人では6割以上が希望通りでなかったと回答しています。
このことから、育児休暇の日数が長くなると希望通りに取得できないことが分かります。
多くの日本人男性が育児休暇を取得しにくい現状ですが、どのようなことが原因で育児休暇の取得をためらうのでしょうか?
男性が育児休暇に踏み切れない理由についてまとめています。
上記の内容は育児休暇を取りたいと考えている男性に多い悩みです。
ほかにもありますが、データでは特に上記の内容が多いという結果となっています。
妊娠や出産、産休、育児休業などの取得を理由に、企業が社員に退職の強要や降格、異動を命じたりする不当な扱いを「育休切り」といいます。
リーマンショック以降に「派遣切り」をもじってできた言葉で、多くの女性が被害に会いました。
ですが、育休切りは男性の育児休暇取得時にも立ちはだかる大きな壁です。男性が育児休暇に踏み切れない大きな要因の一つとなっています。
パタハラは育児に関わる男性に「不当に解雇・降格」「必要な制度を取得させない」「低い評価を与える」などのいやがらせ行為です。
こちらも育休切りと同様に、男性が育児休暇の取得に踏み切ることのできない大きな要因の一つとなります。
男性の育児参加率の低さや、男性へのハラスメントは政府でも問題視されています。
そこで、政府は男性の育児参加を後押しするための法律や制度を創設しています。
どのような内容なのかそれぞれ確認していきましょう。
参考資料:厚生労働省リーフレット「育児休業 や介護休業 をする方を経済的に支援 します」
上記の制度をまとめると以下のようになります。
これらは法律に定められていることですので、育児休業や育児に関する休暇などは会社側に何を言われようと利用が可能です。
また、上記の制度を利用する人に対して嫌がらせした会社や個人は法律違反となります。
参考資料:厚生労働省リーフレット 「第11章 育児休業給付について」
育児休業給付(非課税、雇用保険料の負担なし)は、男性であっても受給が可能です。
受給額の割合も女性と同一となります。
休業開始から6か月間は給料の「約7割の保障」、6か月以降は給料の「5割が保障」されます。
参考資料:厚生労働省リーフレット「育児休業や介護休業 をする方を経済的に支援します」
育児休業中は「健康保険」「厚生年金保険」「国民年金」などの社会保険料が免除となります。
給付内容や将来の受給額への影響はありません。
その他に「育児休業終了後の社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の特例」や「3歳未満の子を養育する期間についての年金額計算の特例(厚生年金保険)」などがあります。
男性の取得できる育児休業は「出産後のみ」です。
産前産後休業は女性だけの適用となります。また、育児休業については取得期間の取り方に違いがあると考えてよいでしょう。
女性は産前休業から育児休業が終了するまで継続して休業となります。
一方、男性は継続して取得する方法以外に、2回に分けて取得することが可能です。
条件として、一回目の育児休業は産後8週(女性の産後休業中)以内に取得と終了をしている必要があります。
育児休暇を取ること自体に壁の多い男性ですが、生涯において数回あるかないか。我が子成長は家族で見守りたいものです。
そこで、男性が育児休暇を取るために気を付けておきたい3つのポイントについて紹介していきます。
法律で定められた制度が利用できないということはありません。また、取得に対するハラスメント禁じられています。しかし、本記事で紹介した制度は「最低限受けられる保障」です。
企業によっては国の制度にプラスして、男性の育児休暇を応援する規則がある場合も。一方で、国の制度を活用できないような就業規則にしている企業も存在しています。
国の制度だけでなく、自身の勤める企業の就業規則は必ず確認しておきましょう。
休業中や休業後まもない期間は収入が少なくなります。
出産は喜ばしいものですが、家計が苦しくなることに大きな不安を抱く配偶者は少なくありません。
加えて、産後は赤ちゃんの夜泣きなどで生活バランスも崩れやすく、精神的にも負担が大きくなりやすい時期です。
男性が育児休暇を取ることで家族に不安を与えないよう、しっかりと説明をして理解を得るようにしましょう。
自身が育児休暇を取得することで業務に影響がないよう、事前にしっかりと引継ぎを完了させておきましょう。
また、重要なポイントとして「育児休業中の自分に業務の責任がこないようにする」ことが大切です。
しっかりと引継ぎをしたつもりでも、あなたでないとできない業務や、最終責任者が知らないうちに自分になっていることもあります。
育児休暇を取得するにあたって、「業務の責任が自分に回ってこないようにする」ことを心掛けましょう。
男性の育児休暇は正当に取得できるものですが、取得しにくいものです。
周囲からの評価やハラスメント、日本独特の風潮などで世界的に見ても男性の育児休暇の取得率の低さが目立っています。
しかし、男性の育児参加へ対する支援制度は世界的に見てもトップクラスですので、堂々と制度を利用することが本来はできるはずなのです。
男性が育児休暇を取得することは悪いことではありません。男性が育児休暇をとりにくいのは、制度への取組みが遅れている企業に問題があると考えてよいでしょう。
育児休暇を取得する際は、本記事で紹介した対策を十分に行ったうえで自信をもって取得をしましょう。
画像出典元:Unsplash、Pexels、三菱UFJリサーチ&コンサルティング厚生労働省委託調査(平成30年1月)「平成29年度 仕事と育児の両立に関する実態把握のための調査研究事業」
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