会社の登記変更の注意点を項目別に解説!もし登記変更しないとどうなる?

会社の登記変更の注意点を項目別に解説!もし登記変更しないとどうなる?

記事更新日: 2023/09/02

執筆: 小石原誠

本社所在地が変わったり、事業の目的が変わったり、あるいは取締役などの役員に関して変更があった場合など、会社・法人の登記変更は様々な場面で必要となります。

特に会社の規模がどんどん大きくなっていくスタートアップ企業の場合は登記変更をしなければならない場面が多くおとずれることでしょう。

今回は、会社の登記変更について注意すべき点を具体的な項目別に解説していきます。

会社の登記変更が必要となるとき

会社の登記変更が必要となるのは、会社設立時に登記した情報=登記記録に変更が生じたときです。

特にスタートアップ企業が日々の仕事でバタバタしたりしていると、具体的にどのような情報を登記したのかを忘れたりしていることもあろうかと思いますので、ここで改めて確認しておきましょう。

これらの情報のうち「会社設立の年月日」と「登記記録に関する事項」以外の情報は会社を運営していく途中で変更が生じる可能性があります。

特にスタートアップ企業の場合には本店所在地や目的、資本金の額、あるいは役員に関する事項は変更する可能性が大いにあるので注意が必要です。

会社の登記変更全般の注意点

定款の変更も必要となる項目

登記変更でまず注意すべきは、定款の絶対的記載事項となっている項目については、登記変更の前に定款の変更が必要になるという点です。

定款を変更する際には株主総会を開催して定款変更の決議をし、その旨の議事録を作成します。そして登記変更の際にはこの議事録を添付する必要があります。

当然、先に登記変更をしてから定款を変更する、ということはできないことになります。

定款変更の方法については、こちらで詳しく解説しています。

登記変更は2週間以内

もう1点注意すべきこととして、登記事項の内容に変更が生じたら、その2週間以内に登記変更を行わなければならないことが会社法第915条で定められています。

つまり定款の変更が必要となる場合には、定款の変更(株主総会の開催)と登記変更の両方を2週間のスパンで行う必要があるということです。

後述するとおり会社登記の変更は内容によっては登記を変えるだけでは済まないものもありますから、登記変更はマンパワーやスケジュールに余裕をもって望むことが必要といえるでしょう。

登記変更には費用がかかる

登記変更の手続きは管轄する法務局で行うことになりますが、この際に「登録免許税」という費用がかかります。

それぞれ変更する内容によってかかる費用は異なるのですが、基本的には1つの変更で3万円がかかることをまずは覚えておいてください。

 

登記変更における項目別の注意点

「商号」の登記変更の注意点

起業家はだれしもが商号、すなわち会社の名前をつけるときには想いを込めて考えるものですが、会社を運営していく中で変更をしたくなる、あるいは変更しなくてはならない場合もあります。

例えば、社名が長すぎたり複雑すぎたりで取引先などから間違われることが多かったり、他の会社、特に競合他社の中に似たような名前の会社があったりなどの場合です。

まず、商号は定款の絶対的記載事項となっているので、登記変更の前に定款の変更が必要となる点に注意してください。

そして商号の登記変更を行う際には、新たにつけようとしている商号が他社の商標登録となっていないか、あるいは類似する商号の会社がないかなどの調査(商号調査)をしておくことで、再度変更を余儀なくされるリスクを排除しておきましょう。

登記変更手続きとは直接の関係はない話ですが、社名を変更すると取引先などに知らせなけばならない上に、場合によっては変に勘繰られたりもするので、また変更する必要のないよう綿密に検討して決定すべきといえます。

参考までに、社名の発想法・実例は以下の記事で紹介しています。

「本店所在地」の登記変更の注意点

本店所在地は、比較的頻繁に登記変更が行われる事項です。あのアマゾンを作ったジェフ・ベゾスがそうだったように、起業家の多くは最初は狭い一室からビジネスをスタートします。

その後会社の規模拡大によって大きくてキレイなオフィスを構えることになったり、あるいは会社運営の都合から別の場所に会社を移転することになったりします。

会社にとって本店所在地の変更はあまり珍しい話ではありません。

まず、本店所在地も定款の絶対的記載事項である点に注意が必要です。

定款における本店所在地の記載方法は、基本的に市区町村単位で十分です。そのため、近場の引越しで市区町村が変わらないのであれば定款変更は不要になります。

ただ、番地までの詳細な住所を本店所在地として記載している場合もあるので、念のため確認はするようにしましょう。

もう一つ、本店所在地の登記変更で注意すべきこととして、本店所在地が変わることで管轄する法務局も変わる場合には旧本店所在地と新本店所在地の両方の法務局で登記変更の手続きが必要になる、という点が挙げられます。

その分、費用も2倍かかるので、注意が必要です。

また、新たに支店を設置する場合にも登記変更及び支店登記が必要です。

新設する支店の管轄する法務局が本店所在地と同じであればその法務局での登記変更だけでよいですが、それ以外の場所に支店を設置する場合には、本店所在地の管轄法務局で登記変更を行うとともに、支店所在地の管轄法務局で支店登記を行うことになります。

「目的」の登記変更の注意点

「目的」もまた変更の必要が生じやすい事項のひとつです。こちらも定款の絶対的記載事項となっているので、登記変更に先立って定款を変更しておく必要があります。

特に行政の許認可が必要な事業を行う場合には定款の変更が必須となるのですが、許認可を通すためには定款における目的の書き方のルールを守らなければいけません

ですから、目的を変更する場合には特に書き方に注意が必要だということを覚えておきましょう。

事業目的の定め方については、以下の記事で解説しています。

「発行可能株式数」の登記変更の注意点

会社登記には発行可能株式数も記載されています。

もし会社の事業規模を拡大したいなどの理由で新たに株を発行して増資する場合には、発行済株式の総数及び発行可能株式数を確認した上で必要であれば発行可能株式数についての登記変更をすることになります。

発行可能株式数もまた定款の絶対的記載事項ですから、登記変更の前に定款変更を行ってください。

また、新たに株を発行するなどして増資をした場合には「資本金の額」についても定款変更及び登記変更が必要になることも注意が必要です。

増資については以下の記事でより詳細に解説しています。

「役員に関する事項」の登記変更の注意点

取締役や監査役などの役員について、役員の選任・解任、辞任・死亡、あるいは任期満了などといったことがあった場合には、登記変更が必要になります。

役員の選任と解任は株主総会で決議される事項であるため、株主総会で決議された2週間以内に登記変更を行う必要が生じます。役員の辞任や死亡はいつでも起こりうるものですが、これらもその事由が発生した2週間以内に登記変更が必要です。

任期満了については起業したばかりのスタートアップにはあまり関係がない話でしょうが、任期満了は時間が経つことにより自動的に迎えてしまうものだという点は注意しておいたほうがよいでしょう。

「気づいたら役員の任期が満了してしまっていた」ということも稀に起こります。

他にも、特にスタートアップの場合には取締役の人数を増やす、あるいは監査役を新たに設置するなどといった変更をする可能性も大いにあるでしょう。こういった場合も定款及び登記変更が必要になります。

もう一つ、株式会社の場合には代表取締役の住所を登記しているはずです。となると代表取締役が引っ越しをして住所が変更になったら、その旨も登記変更が必要になります。

代表取締役の住所は、今回ご説明している登記変更の申請はもとより行政機関での手続きなど様々な場面で記載する重要な事項なので、変更が生じたら速やかに登記変更をしておくことをオススメします。

 

もし登記変更をしないとどうなる?

ここまで、登記変更を行う際の注意点などについて説明してきました。では、もし登記変更をしないとどうなるのでしょうか?

まず、会社登記の内容に変更が生じた時には

二週間以内に、その本店の所在地において、変更の登記をしなければならない。(会社法第915条1項)

と定められています。

万が一、2週間以内の期限を守らずに登記変更を行ったとしても問題なく受理はされますが、会社の代表者に対して100万円以下の過料(会社法第976条)に処される可能性があります。

ただ実際は、この過料が科されることはあまりないようです。多少の遅れは許されるといえます。

登記変更が遅れた、あるいは登記変更をしない場合の法的な罰則はこの100万円以下の過料だけですが、法的な罰則よりも、登記変更をしないことで社会的な信用が損なわれることを覚えておくべきでしょう。

なぜならば法人の登記情報は誰でも見られるものだからです。新たに取引を行うことになった取引先が情報を確かめるために会社登記を閲覧することも考えられますから、登記の内容は常に正しくかつ最新のものであることはマストといえます。

特に上場を目指す会社は、登記変更も期限通りきちんとすべきです。なぜなら、上場時の審査でチェックされるからです。

上場を目指す会社は、本業以外の部分で足をすくわれないよう、法律・制度に対してもシビアに経営を行っていくことがとても重要です。

登記変更をスムーズに行うならオンラインサービスも利用可能!

登記変更は信用問題にも関わるためスピーディに行う必要があります。

登記変更申請の方法としては

  • 司法書士に依頼する
  • 自ら書類を作成して申請をする

基本的にこの2つになります。

しかし、登記変更は煩雑で時間のかかる手続きです。

そのため、司法書士に外注する方法がもっとも簡単ではありますが、「外注できる知り合いがいない」「今は余裕がない」など様々な理由で外注が難しい場合もあると思います。

そのような方におすすめしたいのが、オンライン登記書類作成サービスです。

例えばこちらの「GVA法人登記(旧AI-CON登記)」であれば最短7分程で書類を作成することも可能です

本店移転や役員変更、商号変更など9種類の登記に対応しており、費用も司法書士に依頼する場合の1/4と、安く・早く・簡単に登記書類を作成できます

アカウント作成・登記情報の取得代行サービスを無料で利用できるため、ご興味のある方はご確認ください。

起業ログ 限定キャンペーン 実施中!!

限定クーポンを利用すると通常価格から1000円引きで書類作成が行えます!

起業ログ限定コード 【 3A9Hq8Ymrq 】

 

 

まとめ

今回は会社の登記変更の際に注意すべき点について解説してきました。

会社の登記変更を行う前に定款の変更を行う必要があることが多いこと、そして項目別ごとに見ても様々な注意点があることをご理解いただけたかと思います。

しかし、商号などを変更する際に行うべきことは、定款の変更や登記変更だけではありません。

会社で使用しているパンフレットやリーフレット等の配布物、社員の名刺、あるいはホームページに至るまで「社名」が入っているものをすべて変更したり、あるいは取引先などに通知したりといった作業も必要になります。

特にマンパワーに限りがあるスタートアップの場合には、これらの作業スケジュールも鑑みて定款の変更及び登記変更を行うと良いでしょう。もし不安があれば、行政書士や税理士などの士業に依頼するのも手です。

 

画像出典元:pixabay

 

 

最新の記事

ページトップへ