会社設立に必須なのが会社名です。
会社の成功を左右する重要な名前なので、イメージやインパクトも大事に決めたいですよね。
この記事では、会社名を決める際に守るべきルール・注意点や、社名アイデアの発想法を解説。
また、アイデア別の実例や、成長企業の名前の由来も紹介していきますので、自社に合った社名の決め方にお悩みの方は、ぜひご参考になさってください。
<この記事でわかる8つのポイント>
■必須ルール4つ
・使用できる文字が決まっている
・「株式会社」の文字を入れること
・同じ住所に同じ会社名がないこと
・法令で禁止されている言葉は使わない
■注意すべきポイント4つ
・似た名前・類似商号はないか
・会社名のドメインを取得できるか
・会社HPが検索で表示されるか
・読みにくい名前や長い名前でないか
このページの目次
「会社名」とは会社の名前のことで、「商号」とも呼ばれます。
会社法の定めにより、法人の場合、会社名は必ず登記簿に記載する必要があります。
そのため、社名で使う文字、使ってよい言葉などに、従うべきルールが存在するのです。
なお、個人事業主が名乗る社名は屋号と呼ばれ、法的扱いも異なります。詳細は以下をご覧下さい。
それでは、会社名を決めるときに守るべきルールを説明していきます。
せっかく決めた後で困った事にならないよう、しっかり把握しておきましょう。
使用できる文字や記号は、以下のとおり決まっています。
<使用できる文字>
・ 漢字
・ ひらがな
・ カタカナ
・ アルファベット
・ アラビア数字
※アルファベットは大文字・小文字の両方利用可能です。
<使用できる記号>
・ 「 , 」カンマ
・ 「・」中黒
・ 「 . 」ピリオド
・ 「 - 」ハイフン
・ 「 & 」アンド
・ 「 ‘ 」アポストロフィ
※ 記号では「@」「!」「?」は使用できません
設立する企業が株式会社であれば「株式会社」という文字をどこかに入れる必要があります。
このことは株式会社に限った話ではなく、持分会社であってもそれぞれ「合名会社」「合資会社」「合同会社」の文字が必要になってきます。
会社名の中でどの部分に入れるかは自由となっていますが、一番前か後ろにつけるのが一般的です。
使おうと思った会社名が、別の企業によってすでに登記され、さらにその所在地まで同じであれば登記することができません。
これは現実的にはほぼ起こりえないことですが、念のため頭には入れておきましょう。
「銀行」「保険」「学校」などは、営業にあたって官公庁の許認可が必要なので、認可を受けていない会社がその名称を使うことは禁じられています。
「支店」「支社」「支部」という会社の一部門を示す文言も、社名としては使えません。
また、公序良俗に反する文言、例えば "詐欺" "犯罪"などを入れた社名も禁止なので注意しましょう。
会社名はのちに変えることもできますが、変更時には費用や様々な手続きが必要になります。
会社設立時の会社名を継続して使い続けられることが、一番理想的です。
急に会社名を変えることにならないよう、注意すべきチェックポイントを紹介します。
一番注意したいのがここです。
会社法上、不正の目的を持って誤認される商号を使用すれば100万円以下の罰金が科せられます。
また、類似商号を使用することで営業上の利益侵害を受けた会社から、侵害の停止のために会社名の変更を要求されることもあります。
想定外のトラブルに巻き込まれないためにも、類似の会社名がないかをあらかじめ確認しましょう。
<よくある会社名ランキング>
重複社名を避けるためにも、良く使われる社名の傾向を知っておくのもよいでしょう。
2021年新設法人ランキング:
1位「LINK」、2位「アシスト」、3位「RISE」
2021年国内法人全体ランキング:
1位「アシスト」、2位「ライズ」、3位「トラスト」
コロナ禍も影響してか、絆や繋がりを表すLINKが上位となっています。また、支えるという意味のアシストは毎年上位にランクしており、多数の業種で良く使われる名称のようです。
自社のホームページを作る場合、ドメインを取得しなければなりません。
ドメインは世界で唯一である必要があり、起業後に会社名のドメインを取得しようとしてもすでに取られている可能性があります。
会社名とドメイン名が一致していないとやはり不自然ですので、会社名のドメインが取得可能かの確認は会社名を決める前に必ず行いましょう。
また、このとき注意したいのは「co.jp」のドメインを取得可能かです。「co.jp.」であるべき理由は以下の記事で詳しく解説しています。
会社名で検索したときに、自社のホームページが上位表示されないのは大きな損失です。
一般的によく使われる単語の会社名にすると、別サイトが上位に表示される可能性が高くなります。
会社名を決める前に、一度その名前でネット検索してみましょう。アニメのキャラクター名など、意外とすでに使われている言葉である場合があります。
例えば、起業ログを運営する「プロトスター」も、当初は同名の競走馬のページが検索1位でした。
会社名が浸透すれば問題は解消されていくこともありますが、有名な一般名詞のみを社名にすることは避けた方が良いでしょう。
個性的な会社名にすることは大切です。
しかし、電話対応や面と向かってコミュニケーションを取るような場面で、読みにくい会社名であることは大きなデメリットになります。
例えば会社名が長く、すべてひらがなやカタカナである場合には読みにくくなってしまうので注意が必要です。
守るべきルールやポイントが理解できたら、いよいよ社名のアイデア出しです。
実は、世間に浸透している、有名企業や成長企業の会社名の発想法にはいくつかの法則があります。
成功例を参考にすれば良い名前も思いつきやすいので、以下に紹介する発想法と実例アイデアをぜひ参考にしてみてください。
「この会社を作りたい!」と起業した、創業者の理念やイメージを由来にする方法です。
お客様へのアピールにもなりますし、従業員にもビジョンが浸透しやすい点でもおすすめです。
<理念・イメージ由来の社名例>
■日清食品
「日々清らかに豊かな味をつくる」という創業者・安藤百福の願いに由来。
■壱番屋
「毎週食べても飽きのこない、カレーならココが一番や!」という意味から名づけられた。
■任天堂
「人事を尽くして天命を待つ」からきているという説が有名。
■キヤノン
「標準」「規範」の意味のある英単語Canonに、世界の標準となり、業界の規範となるという企業精神を込めた。また、初代カメラの名称カンノン=観音様の御慈悲にあやかるという意味も。
なお、キヤノンの"ヤ"が大きい理由は、"ャ"だと上に空白が空いたように見えてしまうためです。
同様の理由等で、国内老舗企業には、キユーピー、シヤチハタ、富士フイルムなど、拗音を使用しない企業も多くありますので、カタカナ名をつける際にはバランスも良くみてみましょう。
創業者・創業地など、会社に由来する人や場所、モノの名前を由来にする方法です。
前述のイメージと組み合わせて縁起のいい人物・モノの名前を使うもの良いでしょう。
<人名・場所の名前由来の社名例>
■マツモトキヨシ
創業者の「松本清」氏の名前をカタカナに。
■ブリヂストン
創業者「石橋正二郎」氏の苗字を「stone」「bridge」に英訳し、逆さにしてブリヂストンに。
■アドビ
創業者の自宅裏に流れていた「アドビ川」が由来。
■オリンパス
ギリシャ神話で神々が住む「オリンポス山」に由来。世界に通用する製品を作るという思いが込められている。
既にある単語を使うのではなく、叶えたいイメージ元に新しく言葉を作るのも手です。
広く浸透すれば、自社だけが使えるキャッチコピー、パワーワードとして活用できます。
<言葉の組み合わせ由来の社名例>
■サイボウズ
「サイバー」+「坊主」で、電脳社会の未来を担う者たちという意味が込められている。
■カルビー
「カルシウム」+「ビタミンB1(のビー)」、代表的な栄養素を造語にすることで、健康に役に立つ商品づくりを目指す理念を表現。
■セコム
「セキュリティ」+「コミュニケーション」で、"人と科学の協力による新しいセキュリティ"の構築というコンセプトを表現。
■ミクシィ
「mix(交流する)」+「i(人)」で、利用者同士の友情を深め、新しい友人を見つけてほしいという願いが込められている。
事業内容をあらわす単語などを入れるのも、シンプルで良いでしょう。
その会社が何をしているのか、対外的にもわかりやすい点がメリットです。
<事業に関連する言葉由来の社名例>
■リクルート
「募集」「就職活動」などを表すrecruitから命名。当時はなじみの薄い用語だったが後に"リクルート活動"などとして一般にも定着。
■ほけんのぜんぶ
保険代理店事業のベンチャーアソシエイツが、企業イメージを明確にするため現名称に変更。
■おやつカンパニー
もともと松田食品という名称だったが、より事業内容をシンプルに表す名称に変更。
会社の命運を左右する社名なので、大きく成長した企業の例も参考にするとよいでしょう。
ここでは、東証マザーズ上場の企業の中でも、時価総額が高い企業を中心にその由来を紹介します。
『マーケット』という言葉の起源であり、ラテン語で「商いする(mercari)」という意味。
「個人間で、あんしん・あんぜんに取引を行えるマーケットに」という思いが込められています。
自動家計簿サービス、会計ソフトなどを提供するマネーフォワード。その会社名は「お金を前へ。人生をもっと前へ。」というコンセプトに由来したものです。
「money(お金)」と「forward(前へ)」の組み合わせです。
NewsPicksの運営などを行うユーザベースの社名由来も2つの言葉の組み合わせパターンで、「USER」と「BASE」の組み合わせです。
画像出典元:ユーザベース公式HP
経費精算システム「楽楽精算」を提供するラクスの社名の由来はシンプルに「楽」。楽に導入できて楽に使えるITシステムを提供するという考えが社名に表れています。
貸し会議室などを運営するTKPの由来は創業者の名前。創業者である河野貴輝氏のイニシャル 「Takateru Kawano Partners」 に由来しています。
教育メディアを展開するイトクロの会社名は創業者二人の名前がもとになっています。
創業者の伊藤弘和氏と黒岩剛史氏の二人の名字の一部をとって「イトクロ」です。「コブクロ」と一緒ですね!
実例アイデアなどをみても、なかなか思いつかないという場合は、外部の便利ツールやサービスを利用するのも良いでしょう。
実は、会社名だけでなく、様々な名づけに活用できる、自動ネーミングツールやアプリが数多く存在しています。
無料提供しているものも多いので、アイデア出しの一助としてぜひ活用してみましょう。
クラウドソーシングで名前を募集するのも、近年では有用な方法です。
クラウドワークスや、ランサーズなどを利用すれば、相場1万円~4万円程で、数十~数百件の案が集めれられることもあるそうです。
納期も1週間ほどとすぐに収集できるので、会社名だけでなくサービス名やキャッチコピーに悩んだ際にも活用してみましょう。
今は誰しもが知る有名企業でも、創業当時につけた名前と、その後の事業展開の兼ね合いで社名変更を行った会社が幾つもあります。
会社名の変更手続きは面倒ではありますが、変えるメリットのほうが大きく上回る場合は、より良い名前のほうに変更するべきでしょう。
<会社名を変更した有名企業例>
・ハンゲームジャパン → NHN Japan → LINE
・スタートトゥデイ → ZOZO
・鈴木製薬所 → 鈴木商店 → 鈴木食料工業 → 大日本化学工業 →味の素
注:現在のLINE株式会社は初代法人の中間持株会社化に伴って設立された2代目であり、元LINE株式会社はAホールディングス株式会社と名称変更
慎重に考えた会社名でも、どうしても変更したい場合は起こりえます。その場合はどうすれば良いのでしょうか。
これには「定款の変更」と「登記内容の変更」が必要です。
株式会社であれば定款の変更をするために株主総会を開く必要がありますが、起業して間もない会社であれば、創業者が株式を保有している場合がほとんどなのであまり問題は生じないでしょう。
定款の変更が決定すれば、次に登記内容の変更をしなければなりません。
株主総会で決定されたことを証明する株主総会議事録と株主リストなどを用意し、登録免許税3万円を支払って登記することになります。
具体的な手続きについては、以下もご参考にしてください。
この記事では、会社名を決めるときのルールや注意点と発想法を解説しました。
誰にでも覚えてもらいやすく、おしゃれでかっこいい会社名をつけたいとついつい頭を悩ませてしまいますが、会社名を決めるのは、はじめの一歩のとても楽しいステップです。
記事で紹介した実例アイデアをヒントを元に、自由に発想を広げ、自分が愛着が持てる唯一無二の社名を決めていきましょう!
なお、会社名以外にも会社設立時に決めておくべきことはいくつかあります。
会社設立の全体の流れは以下の記事で解説していますので、是非参考にしてください。
登記変更申請の方法としては
基本的にこの2つになります。
登記変更は煩雑で時間がかかります。場合によっては法務局に都度、出向かなくてはいけません。
自分で書類作成〜申請を行う場合は、本業にかける時間と、手続きにかけられる労力の兼ね合いをはかる必要があります。
そのような方におすすめしたいのが、オンライン登記書類作成サービスです。
例えばこの「GVA法人登記」であれば最短15分で書類を作成することも可能、商号変更書類にも対応しており、司法書士に依頼する場合より安く・早く・簡単に登記書類を作成できます。
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画像出典元:o-dan、Pexels
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