個人事業主(フリーランス)に「屋号」は必要?意味と役割を徹底解説

個人事業主(フリーランス)に「屋号」は必要?意味と役割を徹底解説

記事更新日: 2020/08/12

執筆: 編集部

最近、フリーランスとして活躍する人が増えています。そこで悩むのが「屋号」をどうするかです。

これから付ける予定ではあるけど、「そもそも屋号ってなに?」「個人事業主だけど付ける意味ってあるの?」「ルールはあるの?」

などなど、疑問に思う方も少なくありません。

当記事では、屋号の生まれた歴史的な背景やネーミングの事例などを紹介して、個人事業主にとっての屋号の意義や役割を解説します。

これから屋号をつけようと考えていた方はぜひお役立て下さい。

個人事業主にとって「屋号」とは何か?

ワークライフバランスの定着化や、テレワークよる在宅勤務の普及・浸透を受け、自宅に居ながら仕事をしてプライベートも楽しみたいと考え、フリーランスを目指す人が増えています。

一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会によると、2018年のフリーランス人口は1,000万人を超え、日本の総労働人口の6分の1を占めるに至りました。

このように急増しているフリーランスですが、個人事業主として起業するにあたり、はたして屋号は必要なのでしょうか?

「屋号」の意味・定義

屋号とは、一般的な辞書では「家屋敷の各戸につける姓以外の通称」としています。

江戸時代、幕府によって「士農工商」という身分制度が定められ、最上位の武士階級のみが姓名を名乗ることが許されていましたが、町人社会で商業が活発になると、お店に名前をつける必要が生じ、これに伴い発展したのが屋号です。

国税庁のホームページによると、屋号のことを「個人事業者の方が使用する商業上の名のこと」と説明しておりますが、現在では、この使われ方が一般化しています。

「屋号」の必要性

屋号とは、個人事業者の方が使用する商業上の名のことですが、個人事業主として起業するにあたり、屋号はつけなくてはならないものなのでしょうか?

実は、法律上、個人事業主にとって屋号をつける義務はありません。

個人事業主として個人の名前がとても著名で、誰もが認識している名前であれば、特段、屋号を定める必要すらないでしょう。

コピーライターの糸井重里氏や建築家の安藤忠雄氏のような著名なクリエイターは、自分の名前をそのまま事務所の名前にしていたことでも有名ですね。

ですが、ネームバリューの無いほとんどの個人事業主にとって、商売をするうえで、お客様にわかりやすく、おぼえやすい名前として屋号をつけることは大切です。

つまり、個人事業主が屋号をつけることを義務つけられてはいないものの、商売をするうえでは、お客様に認知されるためにも屋号をつけることが重要になります。

確定申告書に屋号は必要?

確定申告書には屋号の記入欄があります。既に屋号を持っている人やこれからつける人は、屋号欄に屋号を記載してください。

また、確定申告書に屋号の記入欄があることから、「屋号がなければいけないのか?」と、多くの個人事業主が疑問を抱くと思います。

これは必須ではありません。あくまでも参考程度ということで、必ず必要というものではありませんので空欄のままでも大丈夫です。

個人事業主の「屋号」の使い方

個人事業主における屋号の使い方には、主に次のものがあります。

1. 税務署に提出する書類への記載

2. 商売上の文書・伝票類への記載

3. 銀行口座の口座名義人

 

「税務署に提出する書類への記載」

起業時に管轄の税務署に届出る開業届や、毎年一回作成する確定申告書には、任意ですが屋号を記載する欄があります。(前述した通り、必須ではありません。)

「商売上の文書・伝票類への記載」

お客様に渡す請求書や領収書や、仕入先などと交わす契約書などの商売上の文書・伝票類に記載するのが一般的です。

「銀行口座の口座名義人」

銀行口座の口座名義人を「屋号+個人名」とする屋号付き銀行口座を開設することができます。

屋号をこのような使い方をすることで、個人名ではわからない個人事業の内容を、周知することができ、社会的に認知させていく手段として有効になります。

屋号つきの銀行口座の開設やおすすめについては下記記事を参考にしてください。

 

個人事業主における「屋号」のつけ方

任意で個人事業主が屋号をつけるにあたって、決められたルールや留意すべき注意点などはあるのでしょうか。

「屋号」のつけ方にルールはあるか?

個人事業主が屋号をつけるという行為そのものが任意でもあるので、ネーミングする際に拘束されるルールが存在する訳ではありません。

ただし、次の場合には、関連する法令の拘束を受け、屋号のネーミングには一定の拘束を受けることになります。

1. 「屋号」を商業登記する場合

2. 「屋号」を商標登録する場合

 

「屋号」を商号登記する場合

個人事業主は法人ではないので、商業登記法に基づく法人登記は不要です。ですが、屋号を商号として登記をすることができます。

これによって、屋号付きの銀行口座を作りやすくなったり、社会的な信用を得やすくなったり、屋号を保護したりするメリットを得られます。

また、商号として登録するにあたっての制約として、同一の住所地に同じ商号がある場合は登録ができないことに注意が必要です。

なお、屋号の商号登記は最寄りの法務局でおこなうことができます。屋号の商号登記のためには、個人の実印と印鑑証明、商号として登録する屋号の印鑑、印鑑届出書、登録免許税(30,000円)の納付が必要になります。

「屋号」を商標登録する場合

個人事業主の屋号について、これを商標法に基づいて商標登録する必要はありません。

商標登録とは、商標法に基づく法的手続きであり、商標を他者による侵害から守り、同時に、自分の商標が他者の商標を侵害することを防いでくれます。

ですから、個人事業として成功して地域内で著名となった名称をつけた店舗であったり、複数の店舗を経営していたりする場合には、屋号を商標登録して、さまざまな権利侵害から守る必要があります。

屋号を商標登録するには、まず、商標登録したい屋号が既に特許庁に登録されていないか調査します。

そのためには、特許庁のホームページから「特許情報プラットフォーム J-PlatPAT」を使って登録済みの商標を調査できますので活用しましょう。

屋号を商標登録できることになれば、必要書類を揃えて、特許庁に出願し、特許庁による審査を経て問題がなければ商標登録ができることになります。

商標登録するには、商標の出願時に支払う出願費用、審査が通って商標登録するために支払う登録費用があります。

なお、商標登録により保護される期間は10年間となりますので、この保護期間中、登録費用が発生することになります。

「屋号」の付け方・選び方

個人事業主にとっても、屋号がとても重要であることがわかってきました。では、屋号をどのように付けるのか、その名称をどのように選べばいいのでしょうか。

さまざまな「屋号」の事例

冒頭にお話ししたとおり、そもそも屋号とは、武士以外の姓名をもっていない人たちが営むお店に、名前をつけることに伴い発展してきたという歴史があります。

ですので、直接消費者に商品を販売する小売業にとって、昔から屋号は重要な意味と役割を持っていた訳で、現在も百貨店や専門店の名称として屋号が活用されているのがわかります。

全国的な百貨店の「高島屋」、「松坂屋」は、創業者の出身地が屋号となります。また、地方を代表する百貨店の「鶴屋」、「井筒屋」は、家紋などのお店のシンボルに由来した屋号であるそうです。

このほか、「鍛冶屋」、「油屋」などは、その名の通り職業に由来しています。

このように屋号のつけ方はさまざまですが、そこには「商売をするうえで最も大切にしたいもの」がつけられている点では共通しているようですね。

歌舞伎役者にもつけられている「屋号」

ユニークなところでは、歌舞伎役者にも屋号があることです。

江戸時代、歌舞伎役者などの役者は、士農工商という身分制度にも含まれず、家もなく日本中を流れるような暮らしをする、低い身分にありました。

それが、町人文化が花開き、庶民が芝居を楽しめるようになると、役者は庶民にとって憧れの存在となり、富と名声を得ることができるようになりました。

こうして裕福となった役者たちが、家を構えるために化粧屋、小間物屋、薬屋などの商売をはじめ、そのお店に屋号をつけたのが始まりだそうです。

これが、成田屋(市川海老蔵など)、高麗屋(松本幸四郎など)といった屋号として受け継がれているのです。

個人事業主が「屋号」をつける場合の留意点

屋号とは、「商売をするうえで最も大切にしたいもの」であることが基本です。

そして、個人事業主として営む事業を社会的に認知させるために、同一の住所地や近隣に類似の屋号がないことや、商標登録された他者の屋号を侵害しないように気をつけてネーミングすることが大切です。

また、屋号は好きなタイミングで何回でも変更することが可能です。ただし、屋号の変更には得意先や顧客、金融機関からの信用を損なう恐れがあるので、慎重に行いましょう。

屋号の変更だけの場合、税務署への届け出は必要ありませんが、住所が変わる場合は、税務署に「所得税・消費税の納税地の異動に関する届出書」を提出する必要があります。

まとめ

個人事業主が、屋号を設け、これを商号登記しておくと、社会的信用と社会的認知度の向上に役立ちます。また、将来、法人成りをした場合、屋号が商号として保護されていると安心です。

個人事業主として、お客様にとって親しみやすく、覚えやすい屋号なら、ビジネスの成長・発展のチャンスになりますし、自らのモチベーションアップにつながります。

みなさんも、これを機にすばらしいネーミングの屋号をつけてはいかがでしょうか。

画像出典元:写真AC

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