サラリーマンしながら個人事業主が最強な理由|なる方法や兼業のポイント

サラリーマンしながら個人事業主が最強な理由|なる方法や兼業のポイント

記事更新日: 2022/12/01

執筆: 桜木恵理子

多様な働き方が推奨される近年、さまざまな形態で副業する人が増えてきています。

その中でも、サラリーマン(会社員)をしながら個人事業主を目指す人が増加傾向にあることをご存じですか?

しかし、「サラリーマンをしながら個人事業主として働くメリットやデメリットは?」「どんな手続きが必要?」などと疑問を感じている人も多いでしょう。

この記事では、サラリーマンをしながら個人事業主になることが最強な理由や、個人事業主として兼業する流れを解説していきます。

また、個人事業主になるデメリットや個人事業主に向いていない人も紹介するので、ぜひチェックしてみてください。

個人事業主とは

個人事業主とは、「個人で継続して事業を行なっている人」のことです。

不用品を売って一時的に利益を手にした場合や、パートなどでお店に雇われている場合は、個人事業主にはなれません。

また個人事業主と法人では、手続き面や税金面など様々な違いがありますが、一例として設立をするときに行う手順が異なることが挙げられます。

個人事業主を始めるときは、税務署に「開業届」と呼ばれる書類を提出するだけですが、法人は株主などに出資してもらい、法人としての概要や報酬を決めるなど様々な手続きが必要です。

また、廃業時にも法人の方が手間のかかる手続きを行なわなければいけません。

サラリーマンをしながら事業に挑戦する場合は、個人事業主としての開業から始めてみましょう。

サラリーマン(会社員)をしながら個人事業主が最強なワケ

サラリーマン(会社員)をしながら個人事業主をするのが最強な理由として、以下6つが挙げられます。

  1. 収入が増える
  2. 独立の予行練習ができる
  3. 経費の計上が可能
  4. 最大65万円を控除できる
  5. 損益通算ができる
  6. 赤字を繰り越せる

それぞれのメリットについて解説していきましょう。

1. 収入が増える

個人事業主になれば、サラリーマンとして稼いだお金以外にも収益が発生するので、現状よりも収入を増やすことができます。

収入が増えれば今の生活を豊かにできるうえ、自分の好きなことややりたいことにお金をかけられるでしょう。

2. 独立の予行練習ができる

今後、会社を退職して独立を考えている方は、事業を立ち上げる予行練習ができます

個人事業主として活動するためには、法的な書類の作成や確定申告、さらに収入を立てるためのノウハウなどが必要です。

将来起業を考えているなら、独立に必要な知識やスキルを身につけられるので、必ず将来の役に立つでしょう。

3. 経費の計上が可能

個人事業主になれば、仕事で購入したものを経費として計上することが可能です。

例えば、事業のために用意したパソコンやペンから、自宅で仕事をしている方は電気代やインターネット代など様々な費用を経費にできます。

税金は収入から経費を引いた金額によって決まるので、経費を計上すれば節税に繋がるのです。

4. 最大113万円を控除できる

個人事業主として確定申告をした場合、最大で65万円の控除を受けることができます。

基礎控除額48万円を合わせると、なんと最大113万円の控除を受けられるのです。

控除が多いほど納める税金を少なくできるので、新しく事業を始めたい方は開業届を出して個人事業主になるのがおすすめでしょう。

5. 損益通算ができる

損益通算とは、黒字の所得から赤字の所得を差し引き、所得額を決定することです。

例えば、あるサラリーマンが個人事業主として営んでいる副業で赤字を出してしまったとしましょう。

この場合、会社の給与から副業の赤字を引いた所得額をもとに税金が決定されるので、節税に繋げることができます。

6. 赤字を繰り越せる

個人事業主になれば、事業の赤字を最長3年間繰り越せる「損失申告」ができます

繰り越すということは、翌年以降の黒字から赤字を差し引けるということ。

例として、2022年に50万円の赤字が出てしまい2023年に300万円の黒字になったとしましょう。

2022年に損失申告をしておけば、2023年は250万円(300万円-50万円)が課税対象の所得になるのです。

赤字を繰り越せば課税対象の所得が減るため、支払う税金を少なくすることができます。

サラリーマンをしながら個人事業主になるデメリットは?

「サラリーマンをしながら個人事業主って最強じゃん!」と思ったかもしれませんが、以下3つのデメリットも押さえておくべきです。

  1. 確定申告に時間がかかる
  2. 失業保険の対象外になる
  3. 働く時間が増える

それぞれのデメリットについて解説します。

1. 確定申告に時間がかかる

確定申告には「白色申告」と「青色申告」がありますが、最大113万円の控除を受けるには青色申告をする必要があります。

しかし、青色申告は控除額が大きいからこそ手間や時間がかかる作業であり、必要書類の取りまとめやデータの集計など煩雑な作業が多いです。

ただ、現在は確定申告のサポートをしてくれる会計ソフトも多く販売されています。

会計ソフトを使うことで帳簿などを自動作成することができるため、導入すればデメリットの解消につながるでしょう。

2. 失業保険の対象外になる

個人事業主として開業したサラリーマンは、会社を辞めたときに失業保険をもらうことはできません

失業保険はその名の通り「失業している人」が対象内なので、退職した後も個人事業主として活動している場合は対象外になるのです。

これは、副業の利益が全く出ていない場合や少ない場合でも、失業保険の受給はできません。

個人事業で利益が出ていない場合は、失業と同時に廃業届を提出して、廃業するのが得策でしょう。

3. 働く時間が増える

今まで会社で働いていた時間以外は自由だった人も、個人事業主になれば副業にかける時間が必要になります。

帰宅後に事業を行なうことや、休みの日も作業に励むことが増えてくるでしょう。

今までの生活とのギャップから、心身ともに負担がかかり、本業への悪影響が出る可能性も考えなければなりません。

本業と個人事業のペース配分が掴めるまでは、健康管理に気を配ることを忘れないようにしましょう。

サラリーマンをしながら個人事業主になるには?

こちらでは、サラリーマンをしながら個人事業主になるまでの流れと、開業後に行うことについて解説します。

個人事業主になるまでの流れ

サラリーマンが個人事業主になるには、以下2つのステップを行いましょう。

step1:開業届を出す
step2:青色申告承認申請書を出す

開業届とは、個人事業主が開業をするときに税務署へ提出する書類のことであり、正式名称は「個人事業の開業・廃業等届出書」です。

開業届は、開業後1ヶ月以内に提出することが推奨されており、氏名や納税地のほか、事業の種類などを記載します。

※開業届は、国税庁のWEBサイトからダウンロード可能です。

国税庁|「個人事業の開業・廃業等届出書」

また、確定申告を青色申告で行う場合は、開業届と共に「青色申告承認申請書」も税務署に提出しましょう。

開業後に行うこと

開業後は、会計ソフトの購入や事業用銀行口座の準備をおすすめします。

会計ソフトを用意しておけば、面倒な確定申告も手軽に済ませられるので、ぜひ検討してみましょう。

事業用の銀行口座を開設することも、経費を自分で計算する個人事業主に欠かせないものです。

事業用の出費とプライベート用の出費を一目で把握するために、専門の銀行口座を開設してみてください。

どうすれば上手くまわる?兼業のポイント

本業のサラリーマンをしながら個人事業主として活動するのは、何かと手間や時間がかかるものです。

兼業を成功させるには、ぜひ以下2つのポイントを押さえてみましょう。

▶︎時間を有効活用する
▶︎モチベーションを保つ

それぞれのポイントについて解説します。

時間を有効活用する

兼業を成し遂げるためには、時間の使い方が非常に重要です。

専業で事業を立ち上げている人に比べて、兼業をしている方は取り組む時間が限られているので、いかに上手く効率的な作業ができるかを意識してみましょう。

時間の有効活用に大切なのは、物事の優先順位を決めることです。

自分の目標までに何をしなければいけないのかを洗い出し、優先順位を決めてスケジュールを立てることで、無駄を省いた作業ができます。

モチベーションを保つ

兼業をするうえで、副業のモチベーションを保つことは必要不可欠です。

モチベーション維持に欠かせないことは「自分の好きなことを事業にする」ことです。

個人事業主を頑張るには、退勤後の飲み会も断り、他の人が休日に楽しく遊んでいるときも作業に励むことが必要になります。

このため、個人事業主をするためのモチベーションが下がってしまえば、「なんでこんなことをしているんだろう」と途中で諦めてしまうかもしれません。

好きなことをベースに、個人事業主を頑張るうえでの目標を決め、成功した自分の姿を具体的に想像すれば、モチベーションの維持・向上につながるでしょう。

こんな人は無理!個人事業主にはなれない人の特徴3つ

個人事業主になれない人の特徴としては、以下の3つです。

  • 会社が副業を禁止している人
  • 人に言われないと行動できない人
  • 計画性がない人

具体的な特徴を解説していきます。

会社が副業を禁止している人

会社が就業規則にて副業を禁止している場合は、個人事業主になるのは避けるべきでしょう。

実は、副業の利益分を自分で確定申告し、住民税の納付を「普通徴収」として選択すれば、副業の所得にかかる住民税は自分で払うことになるので、会社にはバレにくいです。

ただ、副業がバレたときは懲戒処分や普通解雇を受ける場合があります

大きな処分は受けなくても、会社との関係性が悪化すればサラリーマンを続けづらくなるので、開業は辞めておきましょう。

人に言われないと行動できない人

個人事業主は自分1人で様々なことを行なわなければいけないので、人からの指示を受けなければ行動できない人には不向きです。

やりたい副業はどんな作業が必要で、どんなことをすれば成功するのかということは、自分でリサーチしなければいけません。

さらに、開業届や確定申告などの面倒な事務作業もこなす必要があるため、自分で行動できる人が個人事業主として成功できるでしょう。

計画性がない人

計画性がない人は、個人事業主として利益を出すことが難しいです。

1人で事業を行わなければいけないからこそ、何をするのかを明確にし、スケジュール内で効率的に実施する必要があります

例えば、クライアントと契約をした場合は、必ず納期までに納品できるようにスケジュールを組まなければいけません。

納期を守れなければ信用が落ちてしまい、今後仕事を頼まれることがなくなってしまうでしょう。

このように、計画性があるかどうかは、効率的に仕事を完遂するためにはもちろん、仕事が受注できるかにも関わる大切なことです。

サラリーマンをしながら個人事業主になる際の注意点

サラリーマンをしながら個人事業主になる場合の注意点は以下3つです。

  • 確定申告が必要な場合がある
  • 社会保険の手続きは変更しなくても良い
  • 税金は本業と副業の合計収入から決まる

それぞれの注意点を解説します。

確定申告が必要な場合がある

サラリーマンをしながら個人事業主をするなら、確定申告がどんなときに必要なのかを押さえておくべきです。

原則として、副業における所得の合計が20万円を超えたら確定申告をしなければいけません

確定申告は「白色申告」と「青色申告」があり、特典が多いのは青色申告ですが煩雑な作業も必要です。

青色申告については以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

 

社会保険の手続きは変更しなくても良い

サラリーマンが副業として個人事業主をしている場合、社会保険を変更する必要はありません

しかし、会社を退職して個人事業主を本業とする場合は、国民健康保険に加入するなど、社会保険の手続きを変更することもあるので注意しましょう。

税金は本業と副業の合計所得から決まる

副業をしている際の税金は、サラリーマンの所得と個人事業主の所得を合わせた金額から決定されます。

少しでも税金を減らしたい方は、開業し青色申告を選択して多くの控除を受けましょう。

まとめ

サラリーマンが個人事業主になると、以下のようなメリットがあります。

  • 収入が増える
  • 独立の予行練習ができる
  • 経費の計上が可能
  • 最大65万円を控除できる
  • 損益通算ができる
  • 赤字を繰り越せる

個人事業主になるには、税務署に開業届を提出するだけなので、副業をしたい方はぜひ始めてみましょう。

ただし、会社が副業を禁止している場合は、バレたときのリスクが大きいので開業は断念するのが無難です。

画像出典元:Unsplash

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