独立や副業によって個人事業主になった場合、屋号付きの銀行口座を開設することができます。
個人の銀行口座のままでも業務内容には影響がない場合もありますが、先々まで考えるとプライベートと事業のお金の収支は分けておいた方が賢明です。
この記事では個人事業主が屋号付きの口座を作るべき3つの理由と、個人事業主におすすめの銀行を紹介します。
このページの目次
屋号付きの口座も扱いとしては法人ではなく個人口座となりますが、口座の名義の前に「屋号」を入れることができます。
「屋号」とは法人の「会社名」にあたるもので、店名や組織の名前を屋号とする場合が多いです。
例えば、ネイルサロンを経営している場合「ネイルサロン○○ ヤマダ ハナコ」という「屋号 + 名前」の口座を開設することができ、取引先や顧客に与える印象が大きく変わる重要なポイントになります。
それでは、個人事業主が屋号付きの口座を作るべき3つの理由を具体的にみていきましょう。
個人事業主として口座を開設するためには、税務署に届出を提出してから銀行に行く必要があります。
つまり屋号付きの口座があるということは、たとえ小さな個人事業であったとしても、覚悟を持ち開業しているという意思表示になります。これは取引先にとって信頼に関する重要な情報になります。
法的な効力があるわけではありませんが、個人事業主として法人と取引する場合には屋号があるに越したことはありません。
個人事業で売上(収入)が発生した場合、確定申告が必要となります。経費として支出をコントロールすることで節税にも繋がりますが、プライベートの口座と個人事業の口座を分けておくと収支を追いやすくなります。
またいずれ経理部を立ち上げたり、税理士を雇ったときにプライベートの支出を開示する心配もありません。クリアな会社が求められている時代ですので、早い段階から分けておく方が良いでしょう。
例えば、アクセサリーを作って販売するなどのBtoCの事業の場合、顧客にとって振込先が個人名義の口座と屋号入りの口座では安心感がまったく異なります。逆に振り込みをする場合にも同じです。
団塊の世代では未だにインターネットに対する疑心も根強くあります。「本当に大丈夫かしら」と思われてしまうと機会ロスにもなりますので、BtoCの場合は必ず屋号付きの口座を用意した方が良いです。
屋号つき銀行口座の開設方法は各銀行により大きく異なります。
個人の口座開設と違い、当日開設ができない場合や、事業所の最寄りの支店でしか開設できない場合もありますので事前によく調べておく必要があります。
この記事では大まかな流れを紹介します。
個人事業を始めるにあたりまず口座を作りたいと思う方もいると思いますが、屋号付きの口座を開設するためには「個人事業の開業・廃業等届出書」、いわゆる開業届を税務署に提出する必要があります。
開業届は国税庁のHPよりダウンロードできます。
「個人事業の開業・廃業等届出書」
当然ですが、税務署に提出した屋号と口座の屋号は同じものになるので慎重に検討しましょう。
屋号付き口座の開設のハードルは銀行によってかなり差があります。事業所からの行きやすさや、主要取引先との手数料など、様々な面から検討した方が良いでしょう。
ただあとでより詳しく説明しますが、まずメガバンクかネットバンクかというのが大きな判断のポイントになります。
例えば、メガバンクは開設のハードルが高く、ネットバンクは比較的開設しやすいという傾向があります。
起業ログでは、屋号付き口座の開設はネットバンクで行うのをおすすめしています。
なぜネットバンクがおすすめなのかはあとで詳しく説明します。
こちらも銀行によって大きく異なりますが、どこで開設する場合にも以下のものは用意しておいた方が賢明です。
1. 開業届の原本 (もしくは控え)
2. 本人確認書類 (免許証、保険証、パスポートなど)
3. 印鑑 (実印登録しているものが必要な場合もあります)
4. 事業所の住所確認ができるもの(公共料金の領収書など)
屋号付き口座の開設のハードルは銀行または支店の裁量によってもことなります。
ネームバリューや主要取引先、通いやすさなど様々な側面から検討すべきですが、今回は開設のハードルが低いと言われている主要銀行を紹介します。
画像出典元:GMOあおぞらネット銀行公式HP
GMOあおぞらネット銀行は、設立1年未満であれば他行宛振込手数料が月20回無料になります。
また、条件を満たせば、即日口座開設可能。バーチャルオフィス並びに携帯電話でも申し込み可能。決算を迎えていなくても口座開設可能であるため、創業期の起業家の方にはぴったりの口座といえるでしょう。
2023年1月よりペイジーの対応も可能となったため、ネット銀行のデメリットであった税金の支払いも可能となります。
GMOあおぞらネット銀行は、顧客目線でのサービス展開に注力している為、手数料を節約したい経営者、業務の効率をアップさせたい経理担当者に優しいサービスとなっています。
これから法人口座開設を検討している方に、おすすめのネットバンキングとなっています。
もっとも開設しやすいと言われているのはネットバンキング大手のPayPay銀行です。
取引手数料も比較的安く最近ではメガバンクにこだわらない方も増えています。
上記2点のみ用意しておけば口座開設することができます。
また自宅から申し込みできるので忙しい方にも向いています。
メガバンクの中では一番開設ハードルが低いと言われているのが三井住友銀行です。
注意点としては「個人事業の開業・廃業等届出書」は控えではなく原本を持っていく必要があります。
こちらはHPに詳細な記載がないため、最寄りの支店で相談する必要があります。
参考:三井住友銀行の店舗一覧
ゆうちょ銀行ではメガバンクで唯一屋号のみで口座開設ができます。
主要銀行では基本的に「屋号 + 本名」という口座名になりますが、ゆうちょ銀行では「屋号」のみの口座名にすることができるのです。顧客や取引先に本名を知られたくないという方にはおすすめです。
ただし、ゆうちょ銀行の場合「振替口座」という特殊な口座となり、以下のようなデメリットもあります。
詳細はゆうちょ銀行各支店にてご相談ください。
参考:ゆうちょ銀行の店舗一覧
初回来店時には本人確認書類と印鑑のみを提出し、後日必要書類を提出する流れになり、やや手間がかかります。
また、みずほ銀行の屋号付き口座は個人口座の扱いとなるため、既に個人口座を持っている場合には開設不可となる場合があります。
三菱UFJ銀行の口座開設は最も提出書類が多いと言われています。筆者は主要取引先の関係で三菱UFJ銀行で開設しました。問題なく開設できたものの、2時間近く銀行で待つことになりました。
ひとつでも忘れてしまうと非常に時間がかかってしまうため、必ず出向く前に以下のリストを確認しておきましょう。
個人事業主が屋号付き口座を作る場合、ネットバンクで口座開設することをおすすめします。
ネットバンクとメガバンクでは主に以下のような違いがあります。
ネットバンク | メガバンク | |
審査 | ゆるめ | 厳しめ |
手数料 | 安い | 高い |
Webでの操作性能 | 操作しやすい | 操作しづらい |
信頼性 | 低い | 高い |
実店舗 | なし | 全国にあり |
ネットバンクの一番のメリットは手数料が安いことです。
他行宛のネットバンキングについて、メガバンクでは1件あたり440円程度の手数料がかかる一方で、ネットバンクは260円程度の手数料ですみます。(3万円以上の振込の場合)
またネットバンクはWebで操作することを前提にしているので、Webの操作性が高いです。家や普段の作業場から振り込み作業を行うことできます。
ネットバンクのデメリットは、信頼性が低い、実店舗がないということです。
とはいえ、屋号付き口座がメガバンクのものでないために取引を断られることも考えづらいですし、基本ネットバンキングを使うのであれば実店舗がないこともそれほどデメリットにはなりません。
そのため、屋号付き口座を作るのであればネットバンクで開設することをおすすめします。
ネットバンクは、先程紹介したPayPay銀行以外だと、楽天銀行や住信SBIネット銀行が有名、かつ人気です。
住信SBIネット銀行では、屋号付き口座開設はできないのですが、口座維持手数料・月額基本料金が一切かかりません。
振込手数料に関しても、業界最低水準の料金なので、屋号付き口座にこだわらないのであれば、おすすめです。
個人事業主が屋号付きの口座を作るべき3つの理由と、おすすめ銀行を紹介しました。
上記のように屋号付き口座を持つメリットは数多くあります。そしてデメリットは管理対象が増えるというくらいでほとんどありません。
口座に関してはひとまずハードルも低く利便性も高いPayPay銀行で開設しておき、取引先が固まって来てからメガバンクも開設という手もあります。
事業がより円滑に進むよう早めに屋号付き口座の開設することをおすすめします。
画像出典元:写真AC、O-DAN
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