一昔前のサラリーマンは、終身雇用が約束されており、一度なってしまえば老後まで安泰と言われていましたが、時代は一変しました。
今や、トヨタのような大企業ですら、終身雇用が難しいことを公に発言する時代。しかも長年勤めても給料はたいして上がらず、子どもや家を持つことも難しいという人がたくさんいるのが現実です。
このような状況なので、いっそ脱サラをして、自分のやりたい道を進もう、一発当てようと考える人が増えてきています。
サラリーマンから安定をとったら、そこにはもう魅力らしい魅力は残っていません。脱サラに考えが至るのは、ごく自然な流れであると言えるでしょう。
しかし実のところ、脱サラをした人達はその後どうなっているのでしょうか?
果たしてどのくらいの人が、人生を好転させることに成功しているのでしょうか?
この記事では、脱サラがどのくらい難しいことなのか、どのような人が脱サラに失敗してしまうのか、といった現実を紹介すると共に、脱サラの成功率を高めるための具体的な方法などについて解説していきます。
このページの目次
「脱サラしたいなあ」と考えている人がいちばん知りたいのは、実際に脱サラした人が、その後どのくらいの確率で成功しているか、ということでしょう。
嫌な会社から離れられたとしても、その先に待っているのが夢も希望もないみじめな生活なのだとしたら、人生を賭けて会社を飛び出す気にはとてもなれませんよね。
何をもって「脱サラに成功した」と言えるかを定義するのは難しいことです。
必ずしもサラリーマン時代より稼げるようになることだけが成功ではありませんし、究極的には本人の気分次第でもあります。
しかしざっくり言って、一般的に脱サラの成功率は「3~6%程度」であるとされています。
この数字の出どころは、企業や個人事業主が10年後に存続している率です。
企業も個人事業主も、創業・開業から5年で15%まで減り、10年後には6%、そして20年後にはわずか0.3%しか生き残っていないと言われています。
単純にこの数字を見るだけですと、「結局、ほとんどの人はやっていけない」という結論になってしまいます。
もちろん、これはあくまで一つの企業、一人の個人事業主のビジネスの寿命についてのデータであり、再挑戦して成功した事例などは含まれていません。
ビジネスというものは、何度失敗してもやり直すことが許されていますし、10回の挑戦のうち1回でも当てることができればそれで十分に成功であるとも言われています。
したがって、6%という数字をただ受け取るだけでは本質的ではないとも言えるのですが、いずれにせよ脱サラ後の現実が厳しいことに変わりはないでしょう。
脱サラして独立するとき、もちろん誰もが自分なりに色々なシミュレーションをするものです。
自分の武器は何か、どのような難題が立ちはだかるか、それをどのようにして乗り越えるべきか、といったことを、可能な限り考えて独立に臨むのが普通でしょう。
しかし、それでも10年後の生存率は6%になってしまうのです。
それはつまり、独立前にどれだけ綿密にシミュレーションを立てたとしても、ほぼ間違いなくそれを超える試練が立ちはだかるということであり、ほとんどの人はそれを乗り越えることができずに終わってしまうのだということです。
あなたは今、脱サラをして何かを始めたいと思っているかもしれません。
そのために今、良いことも悪いことも含めて、さまざまな未来を思い描いているかもしれません。
しかし断言しますが、現実は必ずそれ以上にドラマティックなものになります。
その覚悟は、あらかじめ十二分にしておくべきでしょう。
前項で言及した数字を元に言うのであれば、ほとんどの人が脱サラに失敗することになります。
そこから考えると、「脱サラに失敗する人の特徴」とはすなわち「普通の人」ということでしょ? 特別な才能がなかった人が失敗するということでしょ? という発想になってしまうかもしれません。
しかし、もう少し論理的に考察する必要があります。
物事の常として、成功する道は人の数だけ存在しますが、失敗には共通する部分があるものです。
脱サラについても、失敗する人に共通する特徴を括り出すことが可能です。
この項では、そんな特徴のうち代表的なものを3つ、解説していきます。
以下のことをあらかじめ理解しておけば、あなたが脱サラし独立するときに、少なくとも王道的な失敗パターンを回避することができるようになるでしょう。
ビジネスというのは、もちろんお金儲けのためにするものです。
利益を上げることのできないものは、いかなる内容であれ、ビジネスとして成立しているとは言えません。
そういう意味では、お金を第一に考えるのは間違っているわけではありません。
しかし、お金儲けのこと「ばかり」に思考が集中してしまうと、逆にビジネスは悪い方向に転がり落ちてしまいがちです。
その理由として主なものを挙げてみますと、まずお金儲けしか考えていないと、他の成功者の猿真似ばかりに走ってしまい、自分の強みや立ち位置を活かした、オリジナリティのあるチャレンジをしないということが挙げられるでしょう。
たとえば、タピオカが大流行したときに全国に続々と開店したタピオカ店のうち、2021年2月現在も生き残っているのはどれくらいでしょうか?
そしてもう一つ、お金儲けのことしか考えられない思考回路では、顧客(市場)が何を求めているのか、どうすれば相手の満足を引き出すことができるのか、といった相手主体の発想ができなくなってしまう、ということが挙げられます。
お金というのは、誰かを満足させたあとについてくるものである、という当たり前の段取りが見えなくなってしまいがちなのです。
こういった点から、お金儲けのことばかり考えることは失敗の王道パターンの一つであると言えます。
意気込んで始めたビジネスが、はじめから順調に利益を生み出せればよいのですが、実際にはなかなかそのようにいきません。
最初のうちはどうしても「我慢の時期」があり、その間はまともに利益の出ない中、歯を食いしばって耐えなければならない羽目に陥るものです。
このときに、十分な資金を用意していないと、お金の面での体力が尽きてしまいます。
あなたにどれだけやる気が残っていても、資金がショートしてしまえばビジネスは終わってしまうのです。
資金の準備を怠ることは、あなたの脱サラの成功率を確実に下げることになります。
同様に、あなたのスキルが十分でないまま脱サラするのも問題です。
スキルに不足がある状態で独立してしまうと、前述した「我慢の時期」が長引いてしまい、そのぶんだけ成功率は下がってしまうからです。
「自分はこのスキルを武器にしてやっていく」
「これだけのスキルがあれば、苦しい時期を乗り切ることはできる」
そう思うことのできるだけの力は、事前に備えておくようにしましょう。
脱サラをした時点で、あなたはいったんゼロから人生を再スタートさせることになります。
もちろん細かく言うと、サラリーマン時代の人脈を活かして独立後のビジネスを展開するといった方法論があるため、ゼロからというのは一種の比喩になりますが、少なくともあなたがかつて持っていた肩書きはなくなります。
このことをきちんと自覚できず、サラリーマン時代のプライドを変に残していると、独立した人間がやらなければならない、ドブさらいのような作業に手を出せなくなります。
退屈だけれども必要な作業に対して「こんなことをするために脱サラしたわけじゃない」という発想をしてしまうようでは、ビジネスは上手く回っていかないでしょう。
「どんな風になっても自分は自分だ」というような良い意味でのプライドを持つことは大切ですが、社会的ステータスのようなものに関係したプライドは、脱サラと同時にすべて捨ててしまうことをオススメします。
この項では、脱サラの前にしておくべきこと、すなわち必要な準備について、代表的なところを解説していきます。
読んでいて「そんなの当たり前だろう」と思う人もいるかもしれませんが、その当たり前ができていない人が、意外と多いのが現実なのです。
そのような油断がないか、今一度チェックする意味でも、この項をしっかりと読んでいただければと思います。
脱サラするにあたって、これから自分が戦う分野についての情報収集に励むのは基本です。
会社組織の中にいたときには、ビジネス全体の一部を理解していれば大丈夫でした。
しかし独立すると、かつては知らないままでもよかった全体像を、きちんと把握する必要に迫られることが多くなります。
そのため、独立前と独立後で同じ業種を選んだとしても、独立後に右往左往してしまう可能性は十分にあるのです。
独立した後になってそういったことで迷子にならないよう、事前に独立後の仕事の全体像を把握しておきましょう。
幸い、今の世の中は調べる意思さえあれば大抵のことは調べることができるので、あとは準備に対してどれだけ慎重であるかの勝負になります。
独立するというと、自由に何でもやれるイメージがあります。
もちろん独立後にどのような仕事の仕方をしようが、すべてあなたの自由なわけですが、そこで一つ注意すべきなのは、方向性を絞り込むべきだということです。
何でも自由にやっていいというと、つい「あれもこれも」と色々な方向に手を伸ばしてしまいそうになります。
しかし、そのすべてを成功させるだけの人材も資金も、独立した直後のあなたにはないはずです。
限られたリソースでビジネスを軌道に乗せるためには、あなたが打ち込むことをきちんと絞り込み、一点集中で攻めていくことが必要なのです。
独立するということは、古い言い方をするならば、一国一城の主になるということです。
雇用され、与えられた役割を果たしていればよかったサラリーマン時代とは、立場が根本的に変化します。
独立したてのうちは、あなたの仕事は時間労働のような形をとるかもしれません。
しかし遠くないうちに、それを「仕組みで稼ぐ」形に変えていかなくてはいけません。
それが上手く行けば、あなたの役割は重要な意思決定などに限定され、ラットレースのようなビジネスから脱却して豊かになることができるでしょう。
そのような仕組みについて、脱サラする前にある程度考えておくことは大切です。
本当に具体的なところは、実際に独立してみなければわからないものなので、最終的には見切り発車の精神も必要になりますが、事前に考えられる限りの道筋を考え抜いておくことは、成功の可能性を高めるために必ず役に立つことでしょう。
サラリーマンとして働くだけの立場から、独立して自分の力だけで稼ぐ立場へと、一気に飛び移ってしまうのはオススメしません。
脱サラする前に、将来的にやりたい仕事を副業の形でこなしていき、スキルを高めると同時に資金を蓄えていくことが、成功率を上げることに繋がります。
副業が禁止されている会社の場合は仕方がありませんが、そうでない場合には、はやる気持ちを抑えて、まずは副業から始めてみましょう。
会社の看板に頼らずにお金を稼ぐ経験を積めるという点でも、大変有益です。
脱サラして何を始めるかはあなたの希望次第ですが、冷静になって業種・職種ごとの成功率の高さについて考えてみるのも大切です。
あなたが独立に向いているか否かという個性の問題より、あなたのやりたいことが独立に向いているか否かという問題のほうが、場合によってはあなたの人生を大きく左右するからです。
この項では、比較的脱サラの成功率が高い業種・職種を紹介していきます。
ITエンジニアの需要は高まる一方です。昨今は「AI(機械)に仕事を奪われる」という不安説がはびこっていますが、エンジニアはそのAI(機械)を操る仕事なので、むしろますます必要とされていくわけです。
ITエンジニアは、独立しても稼げる職種としては代表的なものです。
自分一人で仕事を受注してもよいですし、フリーランス同士でチームを組んで、何か大きなプロジェクトに参画するのでもよいでしょう。
平均収入も高く、あなたのスキル次第では大きく稼ぐことが可能です。
Webマーケターも独立して大きく稼ぐことが期待できる職種です。
この場合、自分でメディアを立ち上げて運営してもよいですし、どこかの企業の立ち上げたメディアをフリーランスの立場で任される道を選んでもよいでしょう。
Webの世界はまだまだ拡大していくと試算されていますので、案件に困ることはありません。
Webマーケターは数字が命なので、ポートフォリオとして説得力のあるものを用意することは必須です。
独立する前に、後のポートフォリオにする目的で自分のメディアを育てておくと、ビジネスが早めに軌道に乗るでしょう。
イラストレーターやデザイナーが独立に向いているというのは、非常にわかりやすいのではないでしょうか。
ネットを見てみれば、そこかしこにフリーランスのイラストレーターやデザイナーがおり、むしろ彼らは独立しているほうが普通であるかのようです。
あなたが自分のスキルと市場をしっかり吟味したうえで、「これならやっていけるはず」と判断したのであれば、脱サラして独立することをオススメします。
以上、脱サラがどのくらい成功できるものなのか、その率を高めるためにどのようなことに注意すべきなのか、といった点について解説しました。
サラリーマンを辞めて独立するというのは、もちろん大胆なチャレンジです。
しかし、サラリーマン自体に昔ほどの安定感がなくなった現代においては、夢見がちな人間のすること、という揶揄は適切ではなくなっています。
あなたがしっかりと市場を調べ、自分のスキルを磨いたうえで、慎重に事を運ぶのであれば、3~6%という全体の成功率とは関係なく、十分な勝算の中で戦うことができるでしょう。
画像出典元:Pixabay
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