会社設立時に作成する定款の「事業目的」に違反するとどうなる?

会社設立時に作成する定款の「事業目的」に違反するとどうなる?

記事更新日: 2018/11/22

執筆: 小石原誠

会社を設立する際に作成する定款において多くの人が悩みがちなのが「事業目的」の書き方です。

特に初めて起業する起業初心者の場合には、そもそも定款というものを見たことがなかった、という方も多いでしょう。

今回は定款作成時に多くの人が悩む項目のひとつ「事業目的」の書き方や注意点、違反した場合のペナルティーについて解説していきます。

そもそも定款とは何かをざっとおさらい

定款は会社にとっての「法律」

まずはじめに、そもそも定款とは何かをざっとおさらいしておきましょう。

定款とは、会社にとっての法律です。

より具体的には、法人の名称や事業内容、事業目的、本社の所在地、資本金額、事業年度などの根本的なルールを定めたものです。

定款で定める事項は、会社に関する基本的な情報だけではなく取締役会や株式など会社運営の根幹に関わる重要な内容も含まれます。

定款に記載した項目には公的な効力が発生する

定款の作成には、会社のルールを定めてそれを公証役場で認証してもらうことで公的な効力を持たせる、という重要な意味があります。

特に、後述するとおり行政からの許認可や届出が必要になる業務を行う場合には、定款の事業目的にその業務を記載しておく必要があります。

定款について、より詳しくは以下の記事で解説しています。

 

定款における事業目的がなぜ必要か?

何をしている会社なのかを公に明らかにするため

ここから本題に入ります。

事業目的を定款に記載することは、その会社が何をしている会社なのかを公に明らかにすることを意味します。

企業の中には取引先などの信用度を測るために「登記事項証明書」をチェックする企業もあります。会社の定款を閲覧できるのは従業員以外では会社の株主や債権者などに限られますが、登記事項証明書は手続きを行えば誰でも見ることができるからです。

そして定款に記載されている事業目的は登記事項証明書にも記載されています。この時、もし事業目的の記載内容が不十分だと会社の信用に関わるために、事業目的はしっかりと記載することが必要となるのです。

許認可申請の際に必要となるため

先に少し触れたとおり、事業の中には行政機関からの許認可や届出が必要となるものがあります。

この許認可などの申請を行う際には、定款の事業目的としてその事業が記載されていることが必要である場合がほとんどです。

例えば、中古品の売買などを事業として行う場合には「古物商許可申請」を行うことになりますが、この際に提出する定款の事業目的には「古物営業を営む」旨の内容が読み取れる記載が必要となります。

事業目的の書き方や注意点

類似他社の定款や記載例などを参考にする

事業目的を記載することの重要性については理解できたとして、特に初めて起業するという方は、いきなり「事業目的を書きなさい!」といわれても具体的にどのような文を書けばいいのかが分からないという場合がほとんどでしょう。

そういった場合には、まずはホームページなどで公開されている類似他社の定款や税理士等事務所が公開している定款記載例などを参考にしてみましょう。

その中から、自分が行おうとしている事業内容に合わせてピックアップして記載すれば、およそ間違いが少なくなるはずです。

定款における事業目的は、ほとんどの場合「第1章 総則」という章項目の中の第2条に「当会社は、次の事業を営むことを目的とする。」という文から始まり、箇条書きで記載されています。

一番上にメインの事業、それ以降に関連しそうな事業を過不足なく書く

事業目的には、まず一番最初にメインに行う事業を記載するのが一般的です。

例えば、公開されている「トヨタ自動車」の定款の場合、事業目的の一つ目の項目には

「自動車、産業車両、船舶、航空機その他の輸送用機器および宇宙機器ならびにその部分品の製造・販売・賃貸・修理」

と記載されています。

メインに行う事業以降はそれに関連する事業や今後展開していく可能性の高い事業を記載しておきましょう。

例えば「株式会社メルカリ」の事業目的は、実に53項目が記載されています。

中には「え?こんな事業もやっていたっけ?」という内容の項目もあるのですが、少しでもメインの事業に関連していたり、あるいは今後展開していく見込みがある事業ということで記載しているものと考えられます。

定款は作成後でも変更ができますが、定款の変更には取締役会の開催や登記申請といった手順を踏む必要があります。

事業を拡大したりするたびに定款を変更していたのでは時間とお金の無駄遣いになりますから、なるべく後からの変更が少なくなるように、はじめから事業目的は過不足なく記載しておくことが重要です。

ただし、特に少人数あるいは一人でスタートアップを立ち上げるのに、事業目的が30も40もあるのは不自然であり、場合によっては対外的な信用力に欠けると判断されてしまいます。起業する会社の実際の規模感を考慮し「過不足なく」を心がけましょう。

許認可などの申請が必要となる事業は必ず記載する

許認可や届出などが必要となる事業を行う場合には、保健所や警察署などの行政機関に申請を行うことになりますが、この際には定款の提出を求められます。

この時、定款の事業目的には許認可などを申請する事業内容が記載されている必要があります

そのため、許認可などの申請が必要となる事業目的は、税理士等事務所や保健所・警察署などの所管機関のホームページなどに掲載されている文例を確認し、それに沿って間違いのないよう記載してください。

■ 許認可や届出などが必要となる事業の例

  • 飲食店
  • 居酒屋
  • 酒店
  • 旅行代理店
  • リサイクルショップ
  • 美容院
  • マッサージ店
  • 人材派遣

定款記載の事業目的を違反するとどうなる?

ここまで、定款における事業目的の書き方と注意点まで解説してきましたが、では万が一定款に記載した事業目的とは異なる事業を行うと罰則などはあるのでしょうか?

結論からいうと、法的な罰則が与えられることはほとんどないものの、民事的なトラブルが発生した場合などで不利な状況となる可能性があります。

例えば、会社の経営陣が独断で定款に記載されている以外の事業を行った結果、会社及び株主に大きな損失が与えられたとします。

当然、会社の経営陣が責任をとるよう迫られるわけですが、この際に「定款に記載されていない」ことが「会社の経営陣が独断で行った背任行為である」ことの論拠となってしまうのです。

冒頭で「定款に記載した項目には公的な効力が発生する」と説明しましたが、これはすなわち会社が当該事業を行うことを会社自身が公に認めることを意味します。

裏を返せば、事業目的以外の事業を行うことは、会社自身が認めていない勝手な行動ということになるわけです。

まとめ

今回は定款における「事業目的」の書き方や注意点、違反した場合のペナルティーについて解説してきました。

定款の事業目的は公に公開され取引先などにも見られることがあるので、過不足なくしっかり記載しておくことが重要です。

また事業に必要な許認可や届出を申請する際には事業目的にその事業が記載されていることがマストとなるので特に注意が必要となります。

また事業目的にない事業を行うことは民事的なトラブルの際に不利となる場合があるので避けるべきでしょう。

自分で定款作成したくない場合は?

定款の事業目的をつくる際に、類似他社の定款や税理士等事務所が公開している定款記載例などを参考に作ってみても、どうしても内容に自信が持てないということもあると思います。

また、定款の作成に自分のマンパワーをあまり割きたくないこともあるでしょう。

そういった場合には、行政書士や司法書士の力を借りるのが良いです。およそ5万円くらいからの料金で定款の作成への支援を受けることができます。

また、今回ご説明したとおり定款は新たな事業展開の際に事業目的の追記などのために変更を行うこともあります。

そうした場合にも行政書士や司法書士は力になってくれますから、頼れる士業の先生をあらかじめ味方につけておくことも有効だといえます。

画像出典元:PhotoAC, pixabay

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