定款の作成方法から重要ポイントまで雛形付きで分かりやすく解説!

定款の作成方法から重要ポイントまで雛形付きで分かりやすく解説!

記事更新日: 2021/03/17

執筆: 高浪健司

会社設立の際、必ず作成しなければならない書類のひとつに定款があります。

この定款は会社の憲法のようなもので、作成には会社法など専門知識や作成ルール等を知っておく必要があり、多くの方がつまずくところです。

そこで今回は、定款の作成方法をひな形を交えながら、定款について詳しく解説していきます。

定款の記載事項とは

冒頭でも記述したとおり定款には記載のルールが定められており、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、自由に記載することができる「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つがあります。

ではまず、この「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」が、どういったものなのかを理解していきましょう。

絶対的記載事項(必須)

名称のとおり、絶対的記載事項とは定款を作成するうえで必ず記載しなければならない事項となり、絶対的記載事項として定められている項目は下記のとおりです。

  • 事業目的
  • 会社の商号
  • 会社の本店所在地
  • 会社設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
  • 発起人の氏名または名称および住所
  • 発行可能株式総数

以上が絶対的記載事項として定められている項目で、万が一記載漏れ等あった場合は定款として認められないので注意が必要です。

相対的記載事項(自由)

相対的記載事項では、一般的に下記のような事項が該当します。

  • 株式の譲渡制限に関する定め
  • 取締役等の役員任期の伸長
  • 株主総会招集通知の期間短縮
  • 現物出資
  • 財産引渡
  • 株式の発行数の定め

※この他にも様々な事項が存在します。

相対的記載事項は絶対的記載事項とは違い、必ず記載しなければならないという事項ではありません。

ただし、相対的記載事項は記載があることではじめてその事項の効力が認められるため、相対的記載事項での定めが必要な場合は、必ず記載するようにしましょう。

記載しないとすべて無効になります。

任意的記載事項(自由)

任意的記載事項は、公序良俗や会社法などに反しない範囲であれば、自由に記載することができます。

具体的には下記の事項が任意的記載事項として記載されることが多いです。

  • 事業年度
  • 取締役や監査役などの役員数
  • 株主総会の議長
  • 定期株主総会の招集時期
  • 取締役会の招集者
  • 役員報酬の決め方

※この他にも様々な事項が存在します。

この任意的記載事項は、会社の自主的な定めを記載しておくところで、記載に関してはあくまで任意です。

また、記載しなくても効力が無効になることはありませんが、記載しておくことで会社のルールを明確にし、さらに拘束力を高めるといった効果があります。

このように、定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つの事項があるということを覚えておくと良いでしょう。

なお、株式会社と合同会社とでは記載事項の内容が異なりますので、合同会社の場合は下記のページをご確認ください。

 

定款の作成方法

ここまでで、定款には必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と、必要性に応じて記載する「相対的記載事項」「任意的記載事項」がある。と、いうことが分かりました。

では実際に定款を作成する際、どのように作成していけば良いのでしょうか。

次に定款のひな形を参照しながら確認していきましょう。

〇〇〇〇株式会社 定款

令和 〇 年 〇月 〇〇日 作成
令和 〇 年 〇月 〇〇日 公証人認証
令和 〇 年 〇月 〇〇日 会社設立

定  款

第1章 総 則

(商号)
第1条 当会社は,〇〇〇〇株式会社と称する。

(目的)
第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。
1. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
4. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
5. 前各号に附帯する一切の事業

(本店の所在地)
第3条 当会社は,本店を〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇に置く。

(公告の方法)
第4条 当会社の公告は,官報によって行う。

第2章 株 式

(発行可能株式総数)
第5条 当会社の発行可能株式総数は,〇〇〇株とする。

(株券の不発行)
第6条 当会社の発行する株式については,株券を発行しない。

(株式の譲渡制限)
第7条 当会社の株式を譲渡により取得するには,〇〇〇〇の承認を受けなければならない。

(株主名簿記載事項の記載又は記録の請求)
第8条 
会社の株式取得者が株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求するには,株式取得者とその取得した株式の株主として株主名簿に記載され,若しくは記録された者又はその相続人その他の一般承継人が当会社所定の書式による請求書に署名又は記名押印し,共同して請求しなければならない。

 2 前項の規定にかかわらず,利害関係人の利益を害するおそれがないものとして法務省令に定める場合には,株式取得者が単独で株主名簿記載事項を株主名簿に記載又は記録することを請求することができる。

(質権の登録及び信託財産の表示)
第9条 
当会社の株式につき質権の登録又は信託財産の表示を請求するには,当会社所定の請求書に当事者が記名押印して提出しなければならない。その登録又は表示の抹消についても同様とする。

(手数料)
第10条 前2項に定める請求をする場合には,当会社所定の手数料を支払わなければならない。

(株主の住所等の届出)
第11条 当会社の株主及び登録株式質権者又はその法定代理人若しくは代表者は,当会社所定の書式により,その氏名,住所及び印鑑を当会社に届け出なければならない。届出事項に変更が生じた場合における,その事項についても同様とする。

(基準日)
第12条 当会社は,毎事業年度末日の最終株主名簿に記載又は記録された議決権を有する株主をもって,その事業年度に関する定時株主総会において権利行使することができる株主とする。

 2 前項のほか,株主又は登録株式質権者として権利を行使すべき者を確定するため必要があるときは,取締役の決定により,臨時に基準日を定めることができる。ただし,この場合には,その日を2週間前までに公告するものとする。

第3章 株 主 総 会

(招集)
第13条 当会社の定時株主総会は,毎事業年度末日の翌日から3か月以内に招集し,臨時総会は,必要に応じて招集する。

 2 株主総会を招集するには,会日より1週間前までに,各株主に対して招集通知を発するものとする。

(招集権者および議長)
第14条 株主総会の議長は,代表取締役社長がこれにあたる。代表取締役社長に事故があるときは,あらかじめ代表取締役社長の定めた順序により他の取締役がこれに代わる。

(招集手続きの省略)
第15条 株主総会は,株主の全員の同意があるときは,招集手続を経ることなく開催することができる。

(決議)
第16条 株主総会の決議は,法令又は定款に別段の定めがある場合のほか,出席した議決権のある株主の議決権の過半数をもって決する。

会社法第309条第2項に定める決議は,議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,出席した当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行う。

(議決権の代理行使)
第17条 主又はその法定代理人は,当会社の議決権を有する株主又は親族を代理人として,議決権を行使することができる。ただし,この場合には,総会ごとに代理権を証する書面を提出しなければならない。

第4章 取 締 役

(取締役の員数)
第18条 当会社の取締役は〇〇名以上とする。

(取締役の選任)
第19条 当会社の取締役は,株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,その議決権の過半数の決議によって選任する。

② 補欠又は増員により選任された取締役の任期は,前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

(取締役の任期)
第20条 取締役の任期はその選任後○○年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

補欠又は増員により選任された取締役の任期は,前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。

(代表取締役及び社長)
第21条 取締役を2名以上置く場合には,取締役の互選により代表取締役1名を定める。

② 代表取締役は,社長とし,当会社を代表する。
③ 当会社に置く取締役が1名の場合には,その取締役を社長とする。

(報酬等)
第22条 取締役の報酬,賞与その他の職務執行の対価として,当会社から受ける財産上の利益は,株主総会の決議によって定める。

第5章 計 算

(事業年度)
第23条 当会社の事業年度は年1期とし,毎年〇月〇日から翌年〇月〇日までとする。

(剰余金の配当等)
第24条 剰余金の配当は,毎事業年度末日現在における株主名簿に記載又は記録された株主又は登録株式質権者に配当する。

② 剰余金の配当が,その支払の提供の日から満3年を経過しても受領されないときは,当会社はその支払の義務を免れるものとする。

第6章 附 則

(設立に際して出資される財産の最低額)
第25条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は,金〇〇〇万円とする。

(設立後の資本金の額)
第26条 当会社の成立後の資本金の額は,金〇〇〇万円とする。

(最初の事業年度)
第27条 当会社の最初の事業年度は,当会社成立の日から令和〇年〇月〇日までとする。

(設立時の役員)
第28条 当会社の設立時の役員は次の通りとする。
設立時取締役   〇〇〇〇〇〇
住所 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
設立時取締役   〇〇〇〇〇〇
住所 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
設立時取締役   〇〇〇〇〇〇
住所 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

(発起人の氏名、住所等)
第29条 発起人の氏名,住所及び発起人が設立に際して引き受けた株式数及び設立時発行株式と引換えに払い込む金銭の額は,次のとおりである。
住所 〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇   〇〇株 金〇〇〇万円
住所 〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇   〇〇株 金〇〇〇万円
住所 〇県〇市〇町〇丁目〇番〇号〇〇〇〇
氏名 〇〇〇〇   〇〇株 金〇〇〇万円

(法令の準拠)
第30条 この定款に規定のない事項は,全て会社法その他の法令に従う。

以上,〇〇〇〇株式会社の設立のため,この定款を作成し,発起人が次に記名押印する。

令和〇年〇月〇日
発起人 〇〇〇〇 ㊞
発起人 〇〇〇〇 ㊞
発起人 〇〇〇〇 ㊞


以上が定款のひな形です。

実際に作成する際は、ひな形の中の赤文字部分を自社の実情に合わせて書き直してください。

また、定款の内容は株式会社と合同会社とでは記載すべき事項が異なりますので、合同会社の定款を作成する場合は下記のページをご確認ください。

では次に、上記ひな形をもとに、それぞれ詳しく解説していきます。

自力で作成するのが大変そう...と思った方に

ここまで定款の作成方法についてを説明しましたが、記事を読んでみてやっぱり大変だな、やりたくない...と感じる方もいると思います。

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定款の表紙

定款の表紙には会社の名称と日付を記入します。

会社名を記入する際は(株)や(同)のように略さず、「株式会社」「合同会社」と正式名称で記入してください。

また、定款作成日と公証人認証日、会社設立日とそれぞれ日付を記入しますが、定款作成時に記入する日付は定款作成日のみです。

公証人認証日と会社設立日は、それぞれ手続きが完了した時点で記入することになるので、作成時は空白のままで大丈夫です。

第1章 総則

商号

第1条 当会社は,〇〇〇〇株式会社と称する。

商号とは会社の名称のことです。

会社の名称を記載する際は略すことなく、しっかりと正式名称で記入してください。

株式会社を㈱のように法人形態も略すことはできません。

目的

第2条 当会社は,次の事業を営むことを目的とする。

どのような事業を行う会社なのかを明確に記入するところです。

ここで記載した事業目的以外の事業は行うことはできませんので注意してください。

そのため、将来的に行なう可能性のあるものは、予め記載しておくようにしましょう。

本店の所在地

第3条 当会社は,本店を〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇に置く。

ここでは会社の本店の住所を記入します。

所在地を記入する際は最小行政区画(都道府県・市区)までで構いません。

なお、番地まですべて記入しても構いませんが、番地まで記入すると同一市区内の引越しであっても定款変更が必要となり非常に面倒です。

公告の方法

第4条 当会社の公告は,官報によって行う。

公告は、株主やその他利害関係者に対して会社からのお知らせのことで、公告の方法は下記のように3通りあります。

・国が発行する小冊子「官報」
・時事事項を掲載する「新聞」
・インターネットで公告する「電子公告」

公告の方法に関して記載の義務はありませんが、記載しない場合は自動的に「官報」による公告方法となります。

第2章 株式

発行可能株式総数

第5条 当会社の発行可能株式総数は,〇〇〇株とする。

発行可能株式総数は、発行できる会社の株式数に対して何株まで発行することができるか。と、いった株式数の上限数を記載するところです。

 上限を設定する際は、将来的にどの程度増資するかなどを考慮して決めると良いでしょう。

なお、株式総数の上限は、すでに発行している株式数の4倍と定められています。

株式の譲渡制限

第7条 当会社の株式を譲渡により取得するには,〇〇〇〇の承認を受けなければならない。

株主が保有する株式に関して、株式を他人に譲る行為は特に問題ありません。

しかし、自由に株式が譲渡されてしまうと、会社としては経営がスムーズにいかなくなることが考えられます。

株式の譲渡制限は、会社が許可した人の承認を得なければ株式の譲渡が許されない。という決まりを作るためのものです。

なお、記入の仕方は「代表取締役」と書くのが一般的です。

第4章 取締役

取締役の員数

第18条 当会社の取締役は〇〇名以上とする。

取締役を何人にするのか人数を記載します。

上場企業の場合は3名以上の取締役を置くことが定められていますが、そうでない中小企業では1名いれば大丈夫です。

そのため、取締役は「1名以上」と書くようにすると良いでしょう。

取締役の任期

第20条 取締役の任期はその選任後〇〇年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとする。

取締役の任期については原則2年としていますが、株式の譲渡制限を定めている会社に関しては取締役の任期を最長10年まで伸ばすことが可能です。

そのため、定款に記入する際は10年以内とするのがオススメです。

第5章 計算

事業年度

第23条 当会社の事業年度は年1期とし,毎年〇月〇日から翌年〇月〇日までとする。

事業年度は、会社の業績や財務状況を明らかにし、法人税などを納めるために設けられた一定の期間のことで、事業年度は自由に決めることができます。

ただ、末日を2月に設定する場合はうるう年の関係上「2月末日」と記入します。

なお、事業年度は一般的に「4月1日から翌年3月31日まで」とするのが多いです。

第6章 附則

設立に際して出資される財産の最低額

第25条 当会社の設立に際して出資される財産の価額は,金〇〇〇万円とする。

ここには会社設立時の資本金を記載するところですので、資本金額を記入します。

また、事項第26条も同じですので、資本金の額を記入しましょう。

最初の事業年度

第27条 当会社の最初の事業年度は,当会社成立の日から令和〇年〇月〇日までとする。

ここには会社設立日から最初の事業年度末の日付を記入しましょう。

設立時の役員・発起人の氏名、住所等

第28条では、会社の役員となる人の名前と住所を記入し、第29条では、会社発起人の住所・氏名・株式数・払込金額をそれぞれ記入します。

このように第1章から第6章まで記載することでおおよそ定款は完成します。

ただ、前述のとおり定款はその会社の規則やルールなどを記載するものですので、会社の実情に合せて項目を追加したり削除したりするなど各自調整してください。

取締役会を設置している場合

前項で解説してきた定款は取締役会を設置していない場合の定款です。

原状、中小企業では取締役会を設定していない場合がほとんどですが、もし取締役会を設置している場合は、第4章の取締役の部分を「取締役及び取締役会」とし、下記のように記載します。

第4章 取 締 役 及 び 取 締 役 会

(取締役会の設置)
第18条 当会社は取締役会を置く

(取締役の選任)
第19条 当会社の取締役は○○名以上とする。

(監査役の設置および監査役の員数)
第20条 当会社は監査役を置き,その員数は○○名以内とする。

(取締役および監査役の選任)
第21条 当会社の取締役及び監査役は,株主総会において議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し,その議決権の過半数の決議によって選任する。

② 取締役の選任については,累積投票によらないものとする。

(取締役および監査役の任期)
第22条 取締役の任期はその選任後○○年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の終結の時までとし、監査役の任期は,選任後○○年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会の集結の時までとする。

② 補欠又は増員により選任された取締役の任期は,前任者又は他の在任取締役の任期の残存期間と同一とする。
③ 任期満了前に退任した監査役の補欠として選任された監査役の任期は,退任した監査役の任期が満了すべき時までとする。

(取締役会の招集)
第23条 取締役会は,代表取締役社長がこれを招集するものとし,その通知は,各取締役及び各監査役に対して会日の3日前に発するものとする。ただし,緊急の必要があるときは,この期間を短縮することができる。

(代表取締役及び社長)
第24条 当会社は,代表取締役を○○名置き,取締役会の決議により取締役の中からこれを選任する。

② 代表取締役は,社長とし,当会社を代表する。

(報酬等)
第25条 取締役及び監査役の,賞与その他の職務執行の対価として,当会社から受ける財産上の利益は,取締役の分と監査役の分を区別して,株主総会の決議によって定める。


取締役会を設置している会社の場合、取締役・監査役の人数は共に3名以上が必要となり、人数の上限は特にありません。

任期に関しては取締役が2年、監査役は4年というのが原則ですが、前述のとおり、株式の譲渡制限を定めている場合は取締役・監査役共に10年まで伸ばすことが可能なので、定款には最長の10年以内と記載すると良いでしょう。

また、最後の部分「以上,〇〇〇〇株式会社の設立のため,この定款を作成し,発起人が次に記名押印する。」ですが、もし電子定款で作成した場合は、「以上,〇〇〇〇株式会社の設立のため,発起人が,電磁的記録である本定款を作成し,電子署名する。」と、文章を変更しましょう。

定款作成時のルールとポイント

作成時のポイント

定款の作成の仕方に関して特に決められた形式はありませんが、Wordソフトを使用して作成するのが一般的です。

また、フォントサイズは10.5~12pt、書体は明朝体もしくはゴシック体、用紙はA4普通紙の横書きが最適です。

なお、Wordソフトではなく手書きで作成することも可能ですが、手書きで作成する際は必ず黒のボールペンもしくは黒のペンを使用してください。

シャープペンや鉛筆など簡単に書き直せてしまうものは使用することはできませんので注意してください。

用紙を使わず電子定款でも作成は可能

定款には用紙を使用して提出する方法と、用紙を使わずパソコンで作成したデータをPDFファイルに変換して提出する方法「電子定款」との2通りがあります。

ただ、電子定款は専用の機器をあらかじめ揃えておかなければならず、用紙で作成するよりも遥かに手間や時間、それにコストがかかります。

そのため、特にはじめて定款を作成する場合は、明らかに用紙を使った方が簡単かつスムーズに作成することができます。

電子定款で作成する手間や労力、コストなどを考慮すると、ハッキリ言ってオススメはできません。

ただ定款に関してもっと深堀して勉強したいという人は、電子定款にもチャレンジして良いかと思います。

そうでない人はわざわざ電子定款で作成する必要はありません。

誤字脱字が見つかった場合の訂正方法

定款の作成が完了し、一通り見直した際に誤字脱語が見つかった場合、決められた方法で訂正すれば、わざわざ最初から作り直す必要はありません。

例えば、定款の第3条(本店の所在地)の一部を訂正する必要がある場合は、下記のように訂正します。


このように、訂正箇所に対して二重線を引き、すぐ上の余白部分に正しい文章を書き入れます。

次に、別紙に「第3章 2字削除 1字加筆」というように訂正した内容を記入し、発起人全員の実印を押します。

訂正内容を記載した別紙は定款の最終ページに付け加えれば完了です。

定款の誤字脱語を訂正する際は、このように手順がしっかり定められています。

なお、修正液を使用したり塗り潰ぶしたりする訂正の仕方は禁止されているので絶対にやめましょう。

作成した定款を製本しましょう

定款の作成が完了したらプリントアウトし、すべての書類を綺麗にまとめて製本する必要があります。

なお、製本のやり方に関しても下記のように決まりがあるので、しっかりと確認しておきましょう。


このように、定款を綺麗にまとめて製本していきますが、製本の仕方はホチキス留めで終わらせるか、製本テープを使用するかの2パターンあります。

ホチキス留めか製本テープを使うかはどちらでも構いません。

ただ、ホチキス留めで終わらせる場合は、すべてのページ見開き部分に発起人全員の実印を押す必要があります。

一方製本テープを使う場合は、すべての見開き部分に実印を押す必要がなく、上の図にあるように定款の裏面の製本テープとの境目に発起人全員の実印を押すだけで完了です。

発起人の実印を押す手間や定款自体の見た目等を考慮すると、仕上げは製本テープを使用した方が良いでしょう。

なお、定款は「登記申請用」「公証人役場保存用」「会社保存用原本」それぞれ1部ずつ必要ですので、製本した定款を全部で3部作成しましょう。

このように、定款の作成がすべて完成したら公証人役場にて定款の正当性を公証人に証明してもらう「定款認証」を受け、そして法務局にて設立登記と進んでいきます。

合同会社の場合は公証人による定款認証がありませんので、定款作成後は直接法務局で手続きすることになります。

まとめ

今回は定款の作成方法を中心に、定款について詳しく解説してきました。

ここで解説してきたとおり、定款は会社を設立する際に必ず作成しなくてはならないもので、その会社の規則やルールを定めた非常に重要なものです。

そのため、作成には会社法など専門知識が必要だったり、作成の仕方に関して様々な決まりが定められていたりなど、特にはじめて作成する場合は難しく感じるかもしれません。

しかし、少々難しく感じる定款作成もこの記事を参考にしながら作成していけば、比較的スムーズに作成することができるはずですので、ぜひあなたの会社に合った定款を作成してください。

最後まで読んでいただいた方に

まずは最後まで記事を読んでいただきありがとうございます。

定款作成はできそうでしょうか?ここまで読まれた方であればおそらく完成させることはできると思います。

ただ、創業直後に限らず会社を運営する上で時間は非常に貴重な資産です。

どこにパワーと時間をかけるか、見極めることもとても重要なことです。

時間をムダにしないためにも積極的に既存サービスは活用していきましょう!

 

画像出典元:O-DAN

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