【雛形つき】合同会社の定款作成方法や注意すべき点を解説

【雛形つき】合同会社の定款作成方法や注意すべき点を解説

記事更新日: 2019/06/07

執筆: 高浪健司

会社を設立する際、様々な書類を作成する必要があり、その作成する書類のひとつに「定款」というものがあります。この定款は、会社設立時に作成する書類のなかでも非常に重要なものとなるため、定款についてしっかりと知っておく必要があります。

 そこで今回は、合同会社を設立する際に作成する定款の作成方法や注意点など、定款について詳しく解説していきます。

定款とは何か


定款とは、根本的規則や運営にあたってのルールなど、その会社の基本的規約をまとめたものです。また、会社法では「会社は自ら定めた定款に従って企業運営を図らねばならない」と、謳われていることから「会社の憲法」とも呼ばれています。

この定款は、冒頭でも記述したとおり、株式会社や合同会社など会社形態に限らず、会社を設立する際には必ず作成しなければならないもので、記載する具体的な内容としては、「会社の商号(名称)、事業内容、本店所在地、社員に関する事項、役員選任に関するルール」などが挙げられます。

なお、合同会社は株式会社に比べて定款に記載すべき事項が少なくいため、比較的簡単に作成することができます。

さらに、株式会社のように公証役場にて定款認証を行う必要がないのも合同会社の特徴です。

定款を作成するならルールを知る必要がある


合同会社における定款は、株式会社と違って株主の構成や機関の設計、株式の譲渡制限など、ややこしい事項を記載する必要がないため、比較的簡単に作成することができます。また、定款の内容についても公序良俗や会社法などに反しない限り、組織構成や利益配分なども自由に定めることが可能です。

しかし、比較的自由に決めることができるとあっても、記載のルールがしっかり定められており、定款の構成として「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」といった、3つの構成によって成り立ちます。

まずは、この絶対的記載事項、相対的記載事項、任意的記載事項について、確認していきましょう。

絶対的記載事項とは

絶対的記載事項はその言葉の如く、必ず定款に記載しなくてはならない事項です。万が一、絶対的記載事項に記載漏れがあったり、何らかの不備が生じていた場合は、定款そのものが無効となってしまうので注意してください。

なお、絶対的記載事項にあたる項目としては、以下の6項目となっています。

1. 会社の商号
2. 事業目的
3. 会社の本店所在地
4. 社員(出資者)の氏名及び住所
5. 社員を有限責任社員とする旨
6. 社員の出資の目的とその価額等

以上の項目が定款における絶対的記載事項です。

合同会社では、最低でもこの絶対的記載事項が記載されていれば定款として認められます。ただし、このうち1項目でも抜けているなどの場合は、前述のとおり定款として無効になるので注意が必要です。

相対的記載事項とは

絶対的記載事項と違って相対的記載事項は必ず記載しなければならない事項ではありませんが、記載がない場合は法的効力が生じません。そのため、たとえ出資者(社員)全員が合意をしたことであっても法的効力が無いため意味がありません。

なお、相対的記載事項においては、以下の内容が主な項目となっています。

1. 業務を執行する社員を定める場合の定め
2. 代表社員を定める場合の定め
3. 利益の配当に関する事項の定め
4. 社員の退社に関する定め
5. 会社の存続期間の定め
6. 解散事由についての定め
7. 解散時の残余財産の分配割合の定め など

相対的記載事項では合同会社の運営をよりスムーズに行うためのルールを記載しておく事項です。もちろん、上記で挙げた事項以外にも記載することは可能なので、自身の会社運営ポリシーに基づいて記載してください。

任意的記載事項とは

任意的記載事項は、会社が任意で定めた事項を記載するもので、法律や公序良俗などに反しない範囲内であれば自由に記載することができる事項です。こうした会社のルールを定款に記載することで、より会社運営が円滑に行なえる効果があります。

なお、任意的記載事項においては、以下の内容が主な項目となっています。

1. 営業年度(決算期)
2. 公告の方法
3. 利益配当の定め
4. 社員の損益分配割合の定め
5. 残余財産分配の定め など

この任意的記載事項は任意ですので、特に記載しなくても定款が無効になることはありません。

以上のように、定款には「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3事項の仕組みで構成されていますので、覚えておくと良いでしょう。

合同会社における定款の作成方法


さて、定款は「絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項」の仕組みで成り立っているということが分かったところで、定款のひな形と一緒に実際の作成方法について解説していきます。

なお、合同会社における定款のひな形をワード型式にてご用意致しましたので、下記のリンクよりダウンロードしてお使いください。

※ 合同会社の定款のひな形はコチラ

下記が、合同会社における定款のひな形です。

定  款
第1章 総則
(商号)
第1条 当会社は、合同会社○○○○○○○と称する
(目的)
第2条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1. ○○○○○○○○○○○○○
2. ○○○○○○○○○○○○○
3. 前各号に附帯または関連する一切の業務
(本店の所在地)
第3条 当会社は、本店を○○○○○○○○○○○○○○ に置く。
(公告の方法)
第4条 当会社の公告は、○○○○○○によって行う。

第2章 社員及び出資
(社員の氏名、住所、出資及び責任)
第5条  社員の氏名及び住所、出資の価額並びに責任は次のとおりである。
社員の氏名  ○○○○
社員の住所  ○○○○○○○○○○○○○丁目○番○号
出資の価額  金100万円
責任     有限責任社員
社員の氏名  ○○○○
社員の住所  ○○○○○○○○○○○○○丁目○番○号
出資の価額  金100万円
責任     有限責任社員
(社員の責任)
第6条  当会社の社員の全部を有限責任社員とする。

第3章 業務執行権及び代表権
(業務執行社員)
第7条 当会社の業務は、社員○○○○及び、社員○○○○が執行する。
(代表社員)
第8条  代表社員は業務執行社員の互選をもって、これを定める。

第4章 社員の加入及び退社
(社員の加入)
  第9条  新たに社員を加入させる場合は、総社員の同意によって定款を変更しなければならない。
(任意退社)
第10条  各社員は、事業年度の終了の時において退社をすることができる。
この場合においては、各社員は、2か月前までに会社に退社の予告をしなければならない。
②前項の規定にかかわらず、各社員は、やむを得ない事由があるときは、いつでも退社することができる。
(法定退社)
第11条  各社員は、会社法第607条の規定により、退社する。

第5章 計算
(事業年度)
第12条  当会社の事業年度は毎年〇月〇日から翌年〇月〇日までの年1期とする。
(損益の分配)
第13条 当会社の事業に関する損益分配は、総社員の同意により定める。

第6章 附則
(定款に定めのない次項)
第14条 この定款に定めのない事項は、すべて会社法の規定に従う。
(最初の営業年度)
第15条 当会社の最初の営業年度は、当会社成立の日から令和○○年○月○日までとする。
以上、合同会社○○○○○○○の設立のため、この定款を作成し、社員がこれに記名押印する。
令和〇〇年〇〇月〇〇日
社員  ○○○○ 印 
社員  ○○○○ 印 

以上が、合同会社における定款のひな形です。

もちろん会社によってもそれぞれ内容が異なりますので、これを参考にあなたの会社にあった事項を記載してください。

それでは上記ひな形をもとに、それぞれの項目を詳しく解説していきます。

1. 会社の商号(名称)

会社の商号は、いわゆるあなたの会社の名前です。

なお、定款に社名を記載する際、必ず「合同会社」を入れる必要があり、合同会社と記載する際(同)など、略すことはできません。

2. 目的

会社がどういった事業を行うのかという事業目的を記載します。

なお、原則として定款に記載した事業目的以外のこと行うことは原則としてできませんので、可能であれば将来を見据えて行う可能性がある事業がある場合は予め記載しておくと良いでしょう。

3. 本店の所在地

会社の所在地を記載しますが、本店所在地の記載方法は最少行政区画までと番地までとの2通りが認められています。

例1)東京都中央区日本橋本町(最少行政区画まで)
例2)東京都中央区日本橋本町3丁目3号(番地まで)

なお、例1のように最少行政区画までの記載にしておくと、同一区内の移転であれば定款の住所変更をする必要がなく、手間が省けるのでオススメです。

4. 公告の方法

ここでは公告を行う際、どのような方法で行うかを記載します。

この公告方法は3つあり「官報公告(国が発行するもの)「日刊新聞公告(経済新聞や朝日新聞など)」「電子公告(ホームページ)」いずれかの方法で公告を行います。

5. 社員及び出資

この項では、会社に出資する社員の名前、および住所を記載します。ちなみに、合同会社における社員とは従業員のことではなく、役員に相当しますので間違えないようにしてください。

なお、合同会社に法人が出資する場合は、会社名と住所を記載します。

6. 社員の責任

合同会社では、社員すべてが有限責任社員であると定められていますが、有限責任社員であることを改めて定款に記載するよう法律で定められています。

7. 業務執行社員

合同会社は原則として会社の出資者(社員)全員で業務を遂行します。しかし、定款で業務執行社員を選出することによって、合同会社であっても出資のみを行うことが可能となります。

8. 代表社員

出資者全員が業務執行社員として代表権を持つのが合同会社の特徴です。ただ、決定権を持つ人が複数存在すると時に業務が曖昧になってしまう場合があります。

そのためもっとも強い決定権を持つ代表社員を業務執行社員の中から1人選出することができます。

なお、上記ひな型では「代表社員は業務執行社員の互選をもって、これを定める」と記載しておりますが、代表権を持つ人を明確に決定しておきたい場合は「業務執行社員○○○○は、会社を代表する」と、記載すると良いでしょう。 

9. 社員の加入

前述のとおり、合同会社における社員は従業員ではなく役員です。そのため、新たに社員を加入させる場合は、その都度定款を変更する必要があります。

10. 任意退社

合同会社では、社員の任期に関して特に定めはなく、やむ得ない事由があるときはいつでも退社することができます。この事項では、社員が退社する際の予告期間を短縮したり、伸ばしたりすることを定めることができます。 

11. 法定退社

法定退社は会社法第607条で定められている事由が生じた場合、合同会社の社員は退社することとなります。

なお、会社法第607条とは以下の内容です。

1. 定款で定めた事由の発生
2. 総社員の同意
3. 死亡
4. 合併(合併により当該法人である社員が消滅する場合に限る)
5. 破産手続開始の決定
6. 解散
7. 後見開始の審判を受けたこと
8. 除名

基本的に、上記の事由が生じた場合は合同会社の社員は退社することになります。

しかし、3、4については相続人や存続会社が持分を承継する旨を定めることが可能で、5、6、7に関しては退社しない旨を定めることも可能となっています。
 

12. 損益の分配

合同会社は出資額の割合に関係なく、社員間で自由に利益配分を決めることができます。なお、会社を1人でおこなっている場合は「当会社の事業に関する損益分配は、代表社員がこれを定める。」と、記載すると良いでしょう。

13. 事業年度

経営成績や財務状態を明らかにするため、会社は一定の期間を事業年度として決めておく必要があります。

多くの会社では事業年度の最終日を3月末、4月1日からを新年度として定めていますが、必ずしも事業年度を4月1日から3月末日にしなければならないということはありません。いつを事業年度にするかはその会社の自由です。

14. 損益の分配

出資比率に応じた損益分配を行わなければならない株式会社や有限会社に対し、合同会社では出資比率に従うことなく社員間で自由に損益を分配することが可能です。

したがって損益を分配する場合は、定款には下記のように記載すると良いでしょう。

1. 社員 東京都中央区日本橋本町3丁目3号
起業 太郎 分配割合 50%
2. 社員 東京都中央区日本橋本町4丁目5号
起業 花子 分配割合 40%

なお株式会社や有限会社と同じように出資比率によって損益を分配する場合は、この条文は必要ありませんので削除してください。

15. 最初の営業年度

最初の営業年度は、会社がいつ設立されていつまでが初年度なのかを明確にするための項目ですが、記載するかしないかについては、どちらでも構いません。

最後に、「以上、合同会社○○○○○○○の設立のため、この定款を作成し、社員がこれに記名押印する。」と記載し、定款の作成日、および各社員が実印を押印して作成完了です。

定款の作成には「用紙」と「電子」の2種類ある


会社を設立する際、定款は必ず作成しなければならない重要書類となり、定款の作成方法として「用紙」による作成方法と、PDFを使った「電子」による作成方法(電子定款)との2通りあります。

定款は紙媒体・電子媒体、どちらの方法で作成しても構いませんが、双方の大きな違いとしては提出する際にかかる印紙代です。この印紙代は、紙媒体で作成した場合4万円の費用がかかるのに対し、電子定款で作成して提出した場合は印紙代がかかりません。

つまり、紙媒体で作成するよりも、電子媒体で作成した方が4万円の節約ができるということになります。

しかし、電子定款は作成に多くの手間がかかる他、作成する際には専用の機器が必要になってくるので、結果的に印紙代の4万円よりも高くなってしまう可能性があります。

そのため、すでにそういった専用機器が揃っている人や、どうしても電子定款で作成したいという人等でない限り、おすすめできません。

そもそも定款は何度も作成するものではありませんので、定款を作成する場合は用紙を使った定款をおすすめします。

定款作成時におけるルールと注意点


定款を作成する際の注意点として、まず定款の内容に不備があってはならないということ。

前項でも記述したとおり、株式会社のように複雑な機関設計を持たない合同会社では、定款の記載事項も比較的シンプルで簡単に作成することが可能です。

加えて株式会社では必ず行われる公証役場での定款認証も合同会社では行われず、定款作成後はそのまま法務局へ提出することになります。

それゆえ、一見すると非常に楽なものだと考えがちですが、万が一定款の内容に不備が生じていた場合は無効となり、設立登記が認められない場合があります。

そのため、定款を作成し終わったら今一度誤字脱語や記載漏れなど、内容に問題ないかを必ず確認するようにしてください。チェックは複数人で行うと良いでしょう。

次に、定款が作成できたら下記の図のように、表紙をつけてホチキスで綴じ、各ページの見開き部分に発起人全員の実印を押す。ということを忘れないでください。



なお、表紙には正式な会社名を略すことなく記載し、右下に定款作成日も忘れずに記載してください。会社設立の日付に関しては、設立登記が完了してから記入するようになるので、提出の際は空白のままで大丈夫です。

それともう一点。定款作成後に誤字などを発見した場合、ペンや修正液などを使用して塗りつぶすのは厳禁です。

もし誤字など修正する場合は下記の例ように、まず誤った箇所に二重線を引き、その上に正しい文字を書きます。加えて最終ページに「第〇条中 〇文字削除 〇文字加入」と記載し、訂正印として発起人全員の実印を押します。

訂正したページ

最終ページ
 

このように、定款には作成ルールが決められていますので、しっかりと確認したうえで定款を作成するようにしましよう。

なお、定款は「会社保存用原本」と「登記所提出用謄本」がそれぞれ必要となるので、必ず同じ内容のものを2部作成してください。

定款は、一般的にA4判の用紙に横書きで作成されることが殆どです。

また、定款を手書きで作成する場合は、改変の恐れのある鉛筆を使用するのは禁止されていますので、必ず黒色のボールペン等を使用するようにしてください。

まとめ


今回は、会社を設立する際、必ず作成しなければならない重要な書類「定款」について、合同会社の場合の作成方法や注意点などを中心に詳しくお伝えしてきました。

定款は「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」で成り立っており、このうち絶対的記載事項に関しては、必ず記載しなくてはなりません。

また、合同会社の定款は株式会社に比べて決まり事も少なく、公証役場での定款認証もありませんので比較的簡単に作成することができます。それゆえ、安易なものだと考えてしまいがちですが、決してそうではありません。

冒頭でも記述したとおり、会社法にて「会社は自ら定めた定款に従って企業運営を図らねばならない」 と謳われているように、定款は会社にとっての憲法そのものであり、会社運営に対する基本姿勢を示す重要なものです。

そのため、定款を作成する際は発起人全員で議論し、創業支援のノウハウを持った専門家などからの助言をもらいながら、将来の事業計画を見据えた独自の定款を作成するようにしてください。

画像出典元:O=DAN

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