合同会社(LLC)設立の手順。メリット・デメリットまで徹底解説

合同会社(LLC)設立の手順。メリット・デメリットまで徹底解説

記事更新日: 2018/11/20

執筆: 高浪健司

会社を設立する際、もっとも多く選ばれているのは株式会社です。しかし、ここ2、3年合同会社(LLC)を選ぶ起業家が増えてきており、その知名度も上昇傾向にあります。

それは株式会社にはないメリットが合同会社にあるから。

そこで今回は、合同会社設立のメリット・デメリットから必要な手順まで、詳しく解説していきます。

合同会社とは

資金を出資したすべての人が会社の経営者となり、有限責任社員として事業展開していくのが、合同会社の特徴です。 

ちなみに、合同会社は2006年5月1日より会社法が施行された際、新たに加わった会社形態ですので、株式会社などのように、以前から存在していたわけではありません。 

ですので、株式会社に比べると、合同会社の社会的知名度は低いと言えます。

しかし「Apple Japan」や「Amazon」など、非常に有名な企業も合同会社として会社を設立していることなどもあり、合同会社の知名度も上昇傾向にあります。おそらくこの先も、合同会社は増加していくものだと予想されます。

合同会社を選ぶ理由(メリット)

前述のとおり、社会的知名度や信頼度が高く、会社設立時にもっとも選ばれている会社形態は株式会社です。株式を利用した資金調達ができるのも株式会社の特徴で、会社の大きな成長を目指すなら株式会社を設立すべきです。

では、あえて合同会社を設立する理由は何なのでしょうか?

1. 経営の柔軟性が高い

合同会社というのは「出資者と経営者が同一である」というのが特徴で、これは会社を経営していくうえで、より柔軟な経営ができるといったメリットがあります。

株式会社では、基本的に「所有と経営の分離」がなされていますので、あくまで経営者は株主の意向を気にして経営を行う必要があります。

一方で合同会社は、株式会社と違って出資者と経営者が同じであるため、何をするにも迅速な意思決定ができるわけです。

また、出資比率に関係なく、利益配分も社員間で自由に決めることができるのも、合同会社ならではです。

2. 決算公告義務がない

年に1度、その年の収益がどのくらいあったのかということを、税務署に報告する義務があります。これは株式会社も合同会社も同様です。しかし、株式会社の場合は税務署への報告に加え、その決算書を公告する義務があります。

一般的に決算公告を掲載するために必要な費用は約6万円です。

一方、合同会社では、決算公告の義務がないので、そういった決算公告に係るコストや手間を削減することができるというのもメリットです。

3. 必要な費用が安い

合同会社として会社を設立する場合は、登録免許税の6万円程度で設立することが可能です。ちなみに株式会社では、登録免許税が15万円、定款承認が5万円の、計20万円程の設立費用が必要となります。

また、前述のとおり、合同会社は決算公告義務がなく、官報掲載費の6万円も必要ありませんので、その分ランニングコストを抑えて会社を運営することができます。

4. 株式会社と税制が変わらない

合同会社も株式会社も、どちらも法人として同じ税制が適用されますので、例えば交際費や通信費、水道光熱費に消耗品費など、法人名義であれば全て経費として認められるため、節税効果にも繋がります。 


このように、株式会社に比べて設立費用が安く、設立後の運営も易しいなどメリットが多いにも関わらず、法人格を得ることができるため、合同会社を選ぶ方が増えているのです。

合同会社のデメリット

合同会社では、上記のようなメリットがありますが、それと同時にデメリットもあります。

1. 知名度が低い

国内において社会的知名度が低いということは、合同会社のデメリットと言えるでしょう。また、株式会社よりも格下だと認識している方もいるので、取引をおこなう際、不利になるケースがありえます。

2. 役員の肩書き

ビジネスをするうえで、意外と大事になってくるのが役員の肩書きです。

合同会社の場合、株式会社のように代表取締役を名乗ることができず、「代表社員」という肩書きになります。

3. 株式を用いた資金調達ができない

合同会社の最大のデメリットは株式を用いた資金調達ができないことです。

株式会社では、株式を対価に資金調達することができます。資金は会社の成長のためのガソリンだといえるので、大きく会社を成長させたいスタートアップ企業はもれなく株式会社を設立することになります。

合同会社設立をおすすめできる人

合同会社設立をおすすめできる人は、会社を大きく成長させる予定がない人です。

具体的には、個人事業主から法人化(法人成り)をする人。

設立費用を抑え、経営の柔軟性を持たせながら法人格を取得することができます。

なお、個人事業の法人化を検討している方は、以下の記事もぜひ参考にしてください。

 

合同会社の設立手続き

では続いて、合同会社を設立する際の手続きの流れを解説します。

合同会社設立完了までの流れを簡単に表すと、下記のような流れになります。

1. 定款の作成

合同会社を設立する際は、はじめに屋号や事業目的など、基本的な項目を決めて定款を作成する必要があります。

定款とは会社の基本的なルールのようなものです。詳しくは以下の記事を参考にしてください。


定款の作成にあたり事前に決める項目は、具体的に下記のような内容となります。

商号(会社名)

すでに使用されている名称は避け、できるだけ多くの人に覚えてもらいやすい商号にするのが好ましいです。

まだ決まっていなければ、こちらの記事を参考にささっと決めてしまいましょう。

 

事業目的

どのような事業を行うのか具体的な事業内容を記入します。

ちなみに、この定款に記載した事業以外は行うことができません。よって、将来のことを想定して事業内容を記入するようにします。

本店所在地

本社にあたる住所を記入します。なお番地まで記載せず、市区町村までを記載するのが一般的です。

自宅やレンタルオフィスの住所にする人がほとんどです。以下の記事で決め方を紹介しています。

 

公告の方法

公告方法を記載します。公告方法は「官報」「電子公告」の2種類ありますが、一般的には「官報へ掲載する方法により行う」と記載することが多いです。

社員および出資

出資する社員の住所と名前、出資額の合計(資本金)を記載します。

なお、合同会社における社員は従業員という意味ではありません。会社に出資した人を社員と呼びます。

責任範囲

合同会社では、社員全員が有限責任社員となります。社員の全員が有限責任社員であることを定款に記載します。

業務執行社員

前述のとおり、合同会社では基本的に出資者全員が経営に参加します。

ただし、定款上では「出資するだけ=社員」「出資と経営両方行う=業務執行社員」の2つに分けることができるので、業務を執行する社員を限定したい時に記載します。

 

代表社員

合同会社の代表社員は、株式会社で言う代表取締役にあたる人です。つまり、代表として業務の執行にあたる社員が、合同会社の代表社員となります。

 

事業年度

事業年度に関しては、特に記載しなくても大丈夫ですが、一般的に「当社の営業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。」などと記載することが多いです。

 

2. 出資金(資本金)の振込み

 社員による出資金額が決まったら、その出資金を銀行に振込みます。銀行に振込む理由としては、会社設立の登記をする際、必要書類として「資本金の払込証明書」が必要となるためです。

ポイント1

社員が複数存在する場合、代表を一人決め、その代表の口座に各々の個人名が明記されるよう入金処理をします。

複数人まとめて振り込んでしまうと、それぞれの名前が残らなくなるため、必ず個別に振り込むようにします。

ポイント2

出資金が振り込まれたことを証明するため、通帳のコピーを取る必要があります。

なお、コピーを取る箇所は「表紙」「銀行名、口座番号、名義人が記載されているページ」「入金の明細が記帳されているページ」の3箇所です。

3. 登記書類の作成

合同会社の設立にあたって、登記申請を行う必要があります。なお、登記の際に必要となる書類は下記のとおりです。

  • 設立登記申請書
  • 定款2部(法務局提出用+社内控え用)
  • 代表社員及び資本金決定書
  • 代表社員の印鑑証明書
  • 代表社員の就任承諾書
  • 資本金の払込み証明書
  • 登記事項を記載した用紙、または登記事項を記載した電磁的記録媒体を収納したメディア(CD-R)
  • 印鑑届出書

このように、必要書類をすべて用意し、法務局へ郵送もしくは直接持ち込むなどして提出します。

不足書類などがあった場合に備えるためにも、なるべく法務局へ出向き、直接提出した方が良いでしょう。

4. 税務署や官公署等に開業の届出

登記が完了した時点で合同会社自体を設立したことになります。しかし、実際に事業を行うにあたり、下記のような様々な届出を都道府県や税務署に対しておこなう必要があります。

税務署へ届出るもの

  • 法人設立届出書
  • 給与支払事務所等の開設届出書
  • 青色申告の承認申請書(強制的ではありません)

都道府県税事務所および市町村役場へ届出るもの

  • 法人設立届出書

日本年金機構へ届出るもの

  • 新規適用届
  • 被扶養者届
  • 被保険者資格取得書


もし従業員などを雇う場合、この他にも雇用保険や労働保険などの手続きが別途必要になりますので、その場合は労働基準監督署やハローワークなどで、手続きを行ってください。

5. 合同会社設立完了

ここまでで合同会社を設立するのに必要な手続きは完了です。

合同会社は株式会社に比べて設立の手続きが簡単で、手続きに必要とされる日数も、順調に進めば1日、長くとも3日程度あればすべてが完了します。

いずれにせよ、手続きをよりスムーズに進めるためには、事前の準備が非常に重要となりますので、何をすべきか、何が必要なのか、をしっかり確認しておきましょう。

合同会社設立にかかる費用

では、実際に合同会社を設立する際、どのくらいの費用が必要なのでしょうか?

合同会社の場合、実質必要となる費用は「定款印紙代」と「登録免許税」の2つのみです。

【合同会社の設立に必要な費用】

さて、ここで注目したいのが、「定款印紙代」です。上の図を見てわかるとおり、「用紙定款(4万円)」か「電子定款(0円)」かによって、費用が4万円も違ってきます。

ただし、実際に自分で電子定款を作成しようとすると、専用のソフトなどが必要となり、結局用紙定款より手間と費用がかかってしまいます。そこで行政書士などの専門家や「会社設立freee」というツールを活用して、電子定款を作成するのがおすすめです。

電子定款の作成については以下の記事で詳しく解説しています。


参考までに、株式会社設立の費用も表にしました。

【株式会社の設立に必要な費用】

このように、合同会社と株式会社では、設立時に必要な費用が約15万円近く差があるということがわかります。

より詳しい合同会社と株式会社の比較は以下の記事で紹介しています。

 

合同会社の設立後にやるべきこと

すべての手続きが完了し、晴れて合同会社を設立することができたら、次に会社名義の法人口座を開設することをおすすめします。

以下の記事では、法人口座開設の方法、おすすめ銀行を紹介しています。


また、会社を経営するにあたり、時として税金面や法律面などで様々なトラブルが発生する場合があります。いざという時のために、行政書士や税理士、社会保険労務士などの専門家を見つけておくと、より安心です。

まとめ

これまで解説してきたとおり、合同会社は株式会社に比べて設立時の費用が安く、手続き自体も比較的簡単にできます。よって、単に会社を設立するという意味では、株式会社よりも合同会社の方がメリットは大きいと言えます。

設立時のハードルが低く、柔軟に会社経営ができるといった、合同会社の特徴を上手く活かし、今後の事業発展に力を注いでください。

画像出典元:pixabay

 

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