合同会社を設立するにあたって、資本金の金額をどうするかに悩まれる方が多いです。
法的にはいくらでも問題はない、それこそ資本金を1円にしても大丈夫ではありますが、実際にはある程度の金額を設定しないと様々なデメリットがあります。
今回は、合同会社の資本金に関するルールから適正金額、合同会社設立時にかかるコストまで解説していきます。
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会社を設立する際の資本金については、平成18年4月までは株式会社が1,000万円、合同会社が300万円という最低金額の制限がありました。
しかし会社法が改正されたことにより、現在はこれらの制限は撤廃され、法的には株式会社も合同会社も資本金の金額を1円から設定することが可能となっています。
会社法の縛りでいえば合同会社の資本金は1円から設定可能です。
しかし、許認可が必要な事業を行うにあたっては、下記のとおりある程度の資本金額が必要となるとされています。
・一般建設業:500万円
・特定建設業:2,000万円
・第一種旅行業:3,000万円
・第二種旅行業:700万円
・第三種旅行業:300万円
・地域限定旅行業:100万円
・一般労働者派遣事業:2,000万円×事業所の数
これらは厳密なルールではない一方で、このくらいは準備しておかないと許認可が下りない、という数字です。
これらのような事業を行うようなスタートアップはあまり多くはないかもしれませんが、念のため覚えておくとよいでしょう。
資本金の最低金額が1円であることは、「1円あれば会社を設立できる」ということではありません。
会社設立にあたっては行政機関で各種手続きを行う必要があり、これにはある程度のまとまったお金が必要です。
また、例えば事務所を構えるような場合には、事務所の家賃からデスクやイス、パソコンなどの備品購入、あるいは向こう数か月分の会社運転資金なども必要となります。
これらをひっくるめて考えると、会社設立には資本金を含めて少なく見積もっても数万円、場合によっては数百万円単位のお金を準備しておく必要があります。
法的には資本金額1円から合同会社を設立できるとはいえ、実際に資本金額を1円とすることには様々なデメリットがあるために、現実的とはいえません。
まず第一に、対外的な信用が低くなります。
というのも資本金とは、会社の体力を表す指標であり、かつ出資者が会社運営にどのくらい責任を負うのかを計る指標でもあるからです。
資本金が少ない会社は体力がなく、見方によっては取引を行う相手として責任を果たせないとも見られます。
また、金融機関からの融資を受けづらくなるのもデメリットでしょう。
先に述べたとおり対外的な信用度が低いことはもちろんですが、例えば日本政策金融公庫の融資制度を見ると、そもそも
融資を受けようとする金額の1/10以上は自己資金を確保しておくこと
が要件となっています。
すなわち、100万円の融資を受けたい場合には10万円の資本金が必要ということですから、やはり資本金額1円は現実的ではありません。
先に挙げたようなデメリットを回避するためにも、会社設立時の資本金は300万円とすることが理想とされています。
ですが、最近はフリーランスの延長で法人格を取得することが増えてきており、そういった場合は資本金額が数10万円であることも多いようです。
合同会社全体の平均的な資本金額は50万円から300万円であるとされており、このくらいの金額が適正だといえるでしょう。
合同会社を設立する場合、株式会社のように定款の認証は必要ありませんが、登記所での法人設立登記は必要です。
これにかかる登録免許税は60,000円と決まっています。
なお資本金額の0.7%が60,000円を超える場合にはその金額がかかるとされていますが、これはつまり資本金額がおおよそ858万円以上になるような場合なので、特に初めて会社設立する場合には基本的に60,000円と考えておけばよいでしょう。
登記手続きにかかる費用を抑える場合は自分で手続きをすることになります。
しかし登記手続きを自分で行なう場合、書類作成から役場・法務局への提出など時間も労力も必要です。
貴重な時間をムダにしないためにおすすめなのが、会社設立freeeの登記お任せプランをはじめとした登記代行サービスです。
会社設立freeeのオプションサービスである登記お任せプランを利用すれば、相場の1/3の価格で手続きを一任できます。
会社を設立するにあたっては、登記だけではなく以下のような様々なコストがかかります。
特に起業したての時期は売上が安定しないことも多いために、会社運営が軌道に乗り収支がうまく回転するまで持ちこたえられるよう前もって準備しておくことが必要です。
これらのコストをまかなうことも資本金の大事な役目のひとつですから、しっかりと計画立てておきましょう。
従業員を雇用する場合にはその分の人件費がかかります。
給料だけではなく保険や年金の支出もあることを忘れてはいけません。
事務所を借りる場合には各種初期費用、家賃、光熱水費がかかります。
店舗を運営している場合には金額もある程度大きくなるはずです。
インターネットでウェブページを運営する場合にはレンタルサーバー費用や、ページ運営そのものを委託している場合には委託費などのコストがかかります。
小売業を営む場合には商品等の仕入れ費用が先に必要となります。
また、商品等そのものの費用だけではなく、それらを保管しておくために倉庫などを借りていれば、そのコストも計算に入れておかなければなりません。
税理士や行政書士、司法書士などの士業と顧問契約を結ぶ場合には、その報酬もランニングコストとなります。
契約を締結する前にコスト面から検討しておく必要があります。
これは設立時の話とはちょっと違いますが、最初の事業年度が終わり確定申告を行うと「税金」を納める必要があることは、ぜひ覚えておいてほしいことです。
特に気にしてほしいのは法人税、法人住民税、法人事業税、そして消費税の4つです。
特に、これらのうち法人住民税の「均等割り」と呼ばれる部分(最低7万円)だけは事業が赤字であっても必ず納める義務が生じることを覚えておいてください。
今回は、合同会社の資本金に関するルールから適正金額、合同会社設立時にかかるコストまで解説してきました。
合同会社設立にあたっては、たしかに資本金を1円とすることは可能ですが、実際には様々なデメリットがあるため現実的ではありません。
資本金額については会社設立後にかかるコストなども勘案したうえで、数10万円から300万円くらいに設定するのが適正といえるでしょう。
画像出典元:O-DAN
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