合同会社は株式会社とは異なり、社員=株主(経営者)であるために、社員の追加方法が株式会社と比べて全く異なります。
株式会社の場合は、社員との間に雇用契約などを締結すれば社員を追加できますが、合同会社の場合にはまず定款を変更し、さらに法務局で登記申請を行うという、少々複雑な手続きをとらなければいけません。
今回は、合同会社での社員の追加方法について徹底的に解説していきます。
このページの目次
まず、合同会社における社員追加に際して、大前提としてしっかり理解しておくべき事柄があります。
それは、合同会社においては社員が必ず出資をしなければならない、という事です。
これは、合同会社においては社員が出資者であると同時に、経営者でもあるという原則があるためです。
そのため、合同会社に社員を追加するには、以下の2通りの方法のいずれかを採ることになります。
1. 追加される社員が出資をする方法
2. 今いる社員が追加される社員に出資金額の持分を譲り渡す方法
それぞれ、次の章から詳しく解説していきましょう。
合同会社においては、定款に社員に関して記載されているため、社員を追加する場合にはまず定款を変更することになります。
加えて「追加される社員が出資をする」方法を採る場合には、合同会社の資本金の額が変わることを意味するので、それについても同様に定款を変更する必要があります。
定款の変更については、基本的にはすべての社員で決議を行ったのち、すべての社員の同意を得ることで成立します。ただし、定款の変更について、定款の中で別の規定を定めていた場合は、この限りではありません。
この際、「総社員の同意書」を作成しておきましょう。
すべての社員から定款の変更(=社員の追加)が認められたら、次に追加される社員が、合同会社の口座に出資を払い込みます。
この際、払込をした日、払込をした金額、そして払込をした人物が分かる通帳のページなどをコピーしておきます。
もし、追加される社員による出資を現物出資で行う場合には「財産引継書」及び「資本金の額の計上に関する証明書」を作成しておきます。
平たく言うと、前者は社員から合同会社へと現物(財産)が引き渡されたことを証明する書面であり、後者は現物出資をした財産がどの程度の価額なのかを証明する書面です。
社員が追加されて出資金が払い込まれたということは、合同会社の資本金額も変わることを意味します。そのことについて、業務執行役員の過半数の決議をとり決定させます。
この際、「業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面」を作成しておきます。
定款を変更した場合、変更内容が「登記すべき事項」に該当するときは、法務局での登記申請が必要です。
合同会社における社員及び資本金額に関する事項は「登記すべき事項」に該当するので、最後に法務局での登記申請を行います。
登記の完了は申請から1週間~10日程かかります。
社員の追加に際しての法務局での登記申請に必要な書類は以下のとおりです。
なお、追加される社員による出資を現物出資で行った場合には、「出資に係る払込み又は給付があったことを証する書面(通帳のページなどのコピー)」の代わりに「財産引継書」及び「資本金の額の計上に関する証明書」を添付します。
合同会社の社員追加に際して必要な費用は、法務局での登記申請にかかる登録免許税のみです。
追加される社員が出資をする方法をとった場合の登録免許税は、次のとおり計算されます。
合同会社においては、定款に社員に関して記載されているため、社員を追加する場合にはまず定款を変更することになります。
定款の変更については、基本的にはすべての社員で決議を行ったのち、すべての社員の同意を得ることで成立します。ただし、定款の変更について、定款の中で別の規定を定めていた場合は、この限りではありません。
この際、「総社員の同意書」を作成しておきましょう。
次に、今いる社員が追加される社員に出資金額の持分を譲り渡す旨の契約を締結します。この際「持分譲渡契約書」を作成しておきます。
定款を変更した場合、変更内容が「登記すべき事項」に該当するときは、法務局での登記申請が必要です。
合同会社における社員の追加は「登記すべき事項」に該当するので、最後に法務局での登記申請を行います。
社員の追加に際しての法務局での登記申請に必要な書類は以下のとおりです。
こちらの方法の場合は、合同会社の資本金の金額が変わるわけではないので、「出資に係る払込み又は給付があったことを証する書面(通帳のページなどのコピー)」や「業務執行社員の過半数の一致があったことを証する書面」は必要ありません。
合同会社の社員追加に際して必要な費用は、法務局での登記申請にかかる登録免許税のみです。
今いる社員が追加される社員に出資金額の持分を譲り渡す方法をとった場合の登録免許税は、社員追加にかかる登録免許税1万円のみです。
今回は、合同会社において社員を追加したい場合に必要な手続きと費用について、解説してきました。
合同会社では、すべての社員が出資をするという大原則があります。
そのため、社員を追加したい場合には、追加される社員が出資をするか、もしくは今いる社員が追加される社員に出資金額の持分を譲り渡すか、どちらかの方法を採ることになります。
それぞれの手続きの基本的な流れは同じですが、前者の方法の場合は合同会社の出資金の増資という要素も加わるために、それに付随した手続きと費用も必要になる、と解釈しておけば良いでしょう。
なお、合同会社の定款変更における手続きとルール、注意すべき点については、こちらの記事でも詳しく解説していますので、合わせてご参照ください。
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