TOP > 起業 > 会社設立 > 合同会社の定款変更|手続きとルール、注意すべき点は?
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会社設立時に必ず作成しなければならない書類のひとつに「定款」というものがあります。定款は会社を運営していくための根本的規則をまとめた会社の憲法にあたる重要なものです。
会社はその定款に従って事業を遂行していくわけですが、事業を展開していくなかで時に定款の内容を変更する必要が出てくる場合があります。
定款変更するには、定められたルールに基づいて変更しなければなりません。
そこで今回は、合同会社における定款変更の手続きやルール、注意点などについて、詳しく解説していきます。
このページの目次
事業内容や組織、資本金などが、会社設立時に作成した定款の内容とは異なる状態になる場合は、その変更内容に応じて定款も変更しなければなりません。
定款は会社の憲法にあたり、基本的に全社員の同意に基づいて定められている非常に重要なものであるため、経営者やその他社員が勝手に内容を変更することはできません。
合同会社が定款変更する場合は原則として、全社員で決議を行ったのち、全社員の同意を得ることで定款の変更が認められます。
ただし、原始定款に「定款変更は、社員の○分の○以上の一致をもって決定する」や「代表社員が決定する」など、あらかじめ別段の定めがある場合は、その要件を満たすことによって、定款を変更することができます。
総社員の同意もしくは原始定款で定めた条件を満たし、定款の変更が認められれば、次に決議した内容を記録として残す「同意書」を作成して原始定款と一緒に保管して定款変更は完了となります。
これとは別に原始定款がPDFファイルによる電子定款だった場合ですが、電子署名した元あるデータを編集し書き換えるのではなく、変更のやり方は同じです。
ワードなどで現行定款を作成して印刷し、原始定款と一緒に保管するだけで問題ありません。その際、電子定款で使用した電子署名も入れる必要ありません。
定款には「原始定款」と「現行定款」との2種類があり、原始定款は会社設立時に作成した最初の定款のことで、現行定款は現在効力のある定款のことです。
定款は、内容が変更されるたび原始定款に「現行定款+同意書」がつけ加わっていくということになります。
そのため、新しい定款(現行定款)が完成したからといって、古い定款(原始定款)を破棄しないよう、くれぐれも注意してください。
定款を変更した際、法務局にて変更登記をしなくてはならないのか?といったことも気になるところです。
結論から言うと、定款の変更内容が「登記すべき事項」に該当する場合は法務局での変更登記申請が必要となります。
まず、定款は「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つの事項によって構成されています。
この3事項のうち、合同会社においては最低限「絶対的記載事項」さえ記載してあれば、定款として正式に認められます。
下記は、絶対的記載事項となる項目です。
1. 会社の商号
2. 事業目的
3. 会社の本店所在地
4. 社員(出資者)の氏名及び住所
5. 社員を有限責任社員とする旨
6. 社員の出資の目的とその価額等
上記6項目(絶対的記載事項)については必ず定款に記載しなければならない項目であり、登記すべき事項にも該当します。
また、この他にも相対的記載事項に含まれている「公告方法についての定め」や「増資や減資などによる資本金額の変更」などの一部の事項を変更する場合も変更登記申請が必要です。
つまり、定款を変更する内容が登記すべき事項に該当する場合は、法務局にて変更登記の申請手続きが必要で、特に該当しない場合は変更登記申請は必要ありません。
なお、概ね下記が法務局にて登記されている事項となり、このうち赤文字で表示してある事項は、比較的変更されることの多い事項です。
登記すべき事項に該当しない場合は、定款変更をおこなっても法務局にて変更登記申請を行う必要はありませんので、現行定款として原始定款と一緒に保管しておくだけで問題ありません。
定款変更はどのような場合によく行われているのでしょうか?続いて定款変更で良くある具体的な例をご紹介します。
よくある変更の1つに、目的の変更が挙げられます。
例えば、会社設立時は「運送業」として登記していたが、利益があまり思わしくないため、新たにウェブ製作を行う事業を始めるとします。
運送業とウェブ製作は全く異なる業種であるため、絶対的記載事項の目的の変更にあたりますので、必要定款変更と法務局での登記変更が必要となります。
代表社員もしくは業務執行社員が退任したり、引越しをして住所が変わったりなどの理由で定款変更が行われるケースが多いです。
また、そのほかにも結婚をして苗字が変わるといったケースもあります。いずれも代表社員や業務執行社員の名前や住所が変わった場合は定款変更と登記変更が必要です。
事業が軌道に乗り会社の規模が大きくなるなど、何らかの理由で会社が移転することは良くあることです。
会社の所在地が変わる場合は、定款も変更しなければなりません。
ただし、定款に「本店を東京都中央区に置く」と記載していた場合、中央区内に移転すれば定款の変更は必要ありません。
一方「本店を東京都中央区日本橋本町に置く」としていた場合、日本橋本町以外は移転となるため、定款変更と変更登記が必要です。
定款変更は登記すべき事項に該当しない場合は特に費用がかかることはありません。
定款変更が、登記すべき事項に該当する場合は変更登記申請が必要なので、その場合は法務局での登録免許税がかかります。
なお、法務局での登録免許税は登記区分によって金額が定められており、登記区分による定款変更の費用は下記のとおりです。
定款変更内容 | 登録免許税 |
会社の商号変更 | 3万円 |
事業目的の変更 | 3万円 |
本店及び支店の所在地の変更 ※1 | 3万円 |
資本金の変更 | 3万円 |
代表社員の変更 ※2 | 1万円 |
業務執行社員の変更 ※2 | 1万円 |
代表社員の名前と住所の変更 ※2 | 1万円 |
業務執行社員の名前と住所の変更 ※2 | 1万円 |
※1:移転前と移転後で管轄する法務局が異なる場合、移転前の法務局での申請で3万円、移転先での法務局で3万円、計6万円となります。
※2:登録免許税は基本的に1万円ですが、資本金が1億円を超えている会社の場合は3万円となります。
なお、登記申請は自分でも行えますが、忙しくてなかなか時間が取れないという場合は、司法書士など専門家に依頼するのもひとつの方法です。
その分費用はかかりますが、間違いなくスピーディに対応してくれます。
今では「AI-CON登記」のようにオンライン登記書類作成サービスもあるため、対応登記であれば安く、スピーディに登記することも可能です。
このように選択肢はいくつかあるので、自社に適した方法で申請を行いましょう。
前述のとおり、定款を変更する際、定款に別段の定めがない限り、全社員の同意がなくては定款を変更することはできません。
またその際、全社員が変更を同意したという証となる「同意書」(株式会社では議事録)を作成しなければなりません。
なお、全社員の同意書は下記のように作成すると良いでしょう。
同 意 書
当会社の定款第○条を次のとおり変更する。
記
第 〇 条 当会社は、次の事業を営むことを目的とする。
1. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
2. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
3. 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
総社員は、上記に同意する。
令和○○年○○月○○日
合同会社○○○○○○○○
社 員 ○○ ○○ 実印
社 員 ○○ ○○ 実印
このように、定款変更の際全社員の同意書も作成しなければなりません。また、法務局にて変更登記申請が必要な場合は、現行定款と一緒に同意書も添付しなければなりませんので、忘れないよう注意してください。
また、法務局にて変更登記申請が必要な場合、原則として変更が生じた日から2週間以内に登記申請をする必要があります。万が一申請しなかった場合は代表者に対して100万円以下の過料が課せられる恐れもあるので、くれぐれも注意してください。
会社を設立し、事業を運営していくうえで定款の存在は非常に重要です。
現時点では変わりがなくても、新たに別な事業を始めたり、社員に変更があったりなど、将来的に会社のカタチが変わっていくということも珍しくありません。
特に会社の「組織、事業内容、資本金」などを変える必要がある場合は、定款の変更も必要となるので、定められた手順に従って確実に手続きを進めるようにしてください。
なお、定款変更は会社設立時に作成した定款を単に書き換えるというものでありません。また、定款の変更は手間や費用もかかりますので、変更に向けた準備をしっかり整えたうえで、実施するようにしてください。
画像出典元:O-DAN
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