合同会社における業務執行社員とは?責任や役割など徹底解説

合同会社における業務執行社員とは?責任や役割など徹底解説

記事更新日: 2019/01/03

執筆: 高浪健司

合同会社で設置することのできる役員は基本的に「代表社員」と「業務執行社員」の2種類です。

そのうち、代表社員は会社の代表であることを示しますが、一方の業務執行社員というのは、どういった役割を持つ役員なのでしょうか。 

今回は、合同会社の役員のうち「業務執行社員」の責任や役割を詳しく解説していきます。

業務執行社員とは

業務執行社員というのは、合同会社における業務執行権を持った社員のことです。

出資者である株主と業務を執行する経営者とが分離している株式会社に対し、合同会社では出資者(社員)と経営者が同一となっています。

つまり合同会社は基本的に、出資したすべての社員が会社の意思決定権を持つ、業務執行社員にあたります。

しかし、出資者が複数人いる場合などでは、「出資はするけど、経営に関して携わりたくない」というケースや、「経営に関しては、能力が長けている人にすべてを任せたい」などといったケースもあります。

そのような場合、合同会社では複数存在する社員の中から「代表社員」と「業務執行社員」をそれぞれ選任することが可能で、そのことを定款にて定めることで権限をより明確にすることができます。

つまり、定款によって業務執行社員を定めると、業務の執行権を持つのは、業務執行社員に選任された社員のみとなります。

業務執行社員に選任されなかった社員は、出資だけを行い、経営には関わらないということになります。

なお、この業務執行社員は1名に限らず、複数人定めても構いません

 

合同会社における業務執行社員の位置づけ

前述のとおり、合同会社では出資者と経営者が同一人物であり、原則としてすべての社員に業務執行権があります

すべての社員に業務執行権があるとなると、特に複数の社員が存在している場合、意思決定などで、混乱を招く恐れがあります。

そういった混乱を防ぐために、合同会社では「社員・業務執行社員・代表社員」というように、3つの役員にそれぞれ分けることができます。 

この合同会社の「社員・業務執行社員・代表社員」の位置づけとして、分かりやすく株式会社に置き換えると、「社員=株主」「業務執行社員=取締役」「代表社員=代表取締役」という位置づけとなります。

株式会社と合同会社の役員名の比較 

つまり、合同会社の業務執行社員というのは、株式会社でいう取締役に相当する立場であり、それはすなわち経営陣の一員という扱いとなります。よって、当然ながらそれ相応の義務や責任も生じてきます。

では業務執行社員の義務や責任というのは、一体どのようなものがあるのか?ということを次に解説していきますので、しっかりと確認しておいてください。 

業務執行社員の義務と責任とは

さて、前項でも記述したとおり、業務執行社員というのは株式会社でいう取締役に相当する立場なわけですから、取締役同様に業務執行社員としての義務や責任が生じます。

1. 善管注意義務・忠実義務・報告義務

まず善管注意義務ですが、これは会社の取引などにおいて、善良な管理者の注意をもって処理をしなければならないという義務のことです。

また、法律や定款を忠実に守り、会社のために職務を全うする忠実義務も存在します。 

さらに、会社や社員などから職務執行の状況を報告するよう請求があった場合、速やかに職務状況を報告する義務があります。また、職務が終了した後は、遅滞等がないよう経過および結果を報告する義務もあります。

要は、会社・会社の従業員が何か問題を起こしたときには、管理者としての責任が求められるということです。

なお、この報告義務に関しては、定款にて別段で定めることができます。

2. 競業禁止義務

私的に地位を利用し、社員の同意も求めず、自分もしくは第三者のために会社と同種の営業を行なったり、取引することはできません。

また、それと同時に同じ業界の会社の役員等になることもできません。 

3. 利益相反取引の禁止

自分もしくは第三者のために自分が業務執行社員を務める合同会社と取引することは原則できません。

また、業務執行社員の債務を保証することや、その他利益相反取引をすることも禁止されています。

なお、利益相反取引を行う際は、業務執行社員以外の社員において、過半数の承認を受けるか、もしくはあらかじめ定款にて定めておく必要があります。 

4. 損害賠償の責任

業務執行社員が任務を怠ったことが原因で会社に損害が生じた場合、連帯した損害賠償の責任が生じます

また、明らかに悪意もしくは重大な過失があった場合、第三者に生じた損害を賠償する責任も負うことになります。

このように、株式会社に比べ法律などによる制限が緩く、比較的自由に会社経営がおこなえる合同会社ですが、業務執行社員などの役員ともなれば、合同会社といえども法律上の規定は厳しくなります。

業務執行社員を決めるには定款が必要

合同会社において、業務を執行する業務執行社員を定める場合、その事項を定款に記載しなければ、まったくその効力を発生させることはできません。

ちなみに、業務執行社員の他、代表社員を決める際も、それと同様定款に記載する必要があります。

なお、業務執行社員を定める際の定款の記載方法としては、下記のように記載します。

第〇〇条(業務執行社員)

社員起業太郎及び社員起業花子は、業務執行社員とし、当会社の業務を執行するものとする。


代表社員を決める際も定款の記載が必要なので、同じく記載例を載せておきます。

第〇〇条(代表社員)

当会社の代表社員は、起業太郎とする。


定款を提出する際、株式会社は法務局に提出する前、公証役場での認証が必要ですが、合同会社の場合は公証役場での認証は必要ありません

よって、定款の作成が完了すれば証人によるチェックなしで、直接法務局へ提出することになりますので、くれぐれも記載漏れやミス等が無いよう、確実に作成する必要があります。

 

業務執行社員は役員報酬として支給される

業務執行社員は従業員ではなく、役員という扱いとなりますので、一般的な従業員に毎月支払われる給与ではありません。

従業員に支払われる給与というのは、基本給である給料に加え、残業手当や通勤手当、さらには資格保持者などに与えられる職能手当などの給与、それらすべてを含めたものです。

一方の代表社員や業務執行社員など会社の役員に関しては、給与ではなく役員報酬という形で支給されます

この役員報酬というのは、毎年行われる定時社員総会にて決議し、決定されるものであり、その決定された金額を、事前に税務署へ届け出る必要があります

そして、税務署に届け出た金額通りに支給しなければなりません。

なお役員報酬に関しては、給与と比べ税務上において様々な制限がありますので、なんとなく決めることはできません。

 

まとめ

今回は、合同会社の業務執行社員について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。

ここで解説してきたとおり、業務執行社員は株式会社でいう取締役に相当する立場であり、会社の業務執行権を持つ、非常に責任ある役員です。

なお、業務執行社員を選任するのは、複数社員が存在して、スムーズな経営ができない恐れがあるなどの場合などで、そうでない場合は、無理して選任する必要はありません。

ちなみに、合同会社を一人で設立するなど、社員が一人しかいない場合は、自動的に社員兼業務執行社員兼代表社員になります。

いずれにせよ、業務執行社員は経営陣の一員として選任されるわけですから、決してラクな立場ではないということを、知っておいてください。


なお、合同会社設立の手順は以下の記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。

画像出典元:Pexels

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