TwitterやInstagramなどのSNSで手軽に写真を掲載・保存できるようになりましたが、写真は著作権で保護されており、正しく取り扱わないと著作権侵害になるのはご存じでしょうか?
本記事では、著作権とは何か、著作権侵害をしたらどうなるか、著作権を侵害されたときの対処法などをまとめました。
ケース別に分けて、写真の著作権が誰に発生するかも解説しているので、著作権の基本を押さえトラブルを未然に防ぎましょう。
このページの目次
著作権侵害とは、「著作物の作者の権利を侵すこと」です。
本章では、具体的に著作権とはどういうものか、肖像権との違いや著作権を侵害するとどうなるかなどを、解説します。
自身の考え、気持ちなどを表した作品を創造した作者に与えられる権利を著作権と呼びます。
著作権は、作者の権利を守るための制度で「著作法」によって保護されています。
代表的な著作物は以下の通りです。
著作権は、著作者人格権と著作権(財産権)の2つに大別できます。
著作者人格権とは、作品を公表するか決める権利や、作品の内容やタイトルなどを勝手に第三者に変更されないようにする権利のことです。
著作権(財産権)は、作品の利用方法に関する権利です。
この権利は第三者に作品を勝手に利用されないよう、作者を守ることを目的としています。
肖像権とは人物の顔や姿といった「人」に関する権利ですが、著作権は「物」に対して発生する点で大きく異なります。
肖像権とは、勝手に写真を撮られたり、容姿を彫刻や絵などに利用されないよう、個人のプライバシーを守るための権利です。
著作権は「著作権法」によって明確なルールが決められていますが、肖像権は法律によって権利が保護されていません。
著作権侵害とは、他人が作った作品(著作物)を許可なく勝手に使用することです。
著作権侵害をしてしまうと、被害者から訴えられるケースもあります。
次の章で著作権侵害をした場合にどのような罰則を負うか、詳しく説明します。
著作権を侵害した場合、民事責任や刑事責任を負うこととなります。
著作権侵害をしたら、被害者から損害賠償や使用の差し止めなどを求められます。
著作権侵害の罰則は著作権法119条1項で定められており、個人が違反した場合は10年以下の懲役か1,000万円以下の罰金、またはその両方が科せられるおそれがあります。
法人が著作権侵害をしたときは3億円以下の罰金が科せられる可能性もあるので、著作物の取り扱いは十分注意しましょう。
本章では4つのケースに分けて、誰に写真の著作権があるのか確認していきましょう。
自分で撮影した写真は、自分に著作権があります。
自身が投稿した画像を、第三者が自分が撮った写真としてSNSに再投稿するなど、自身の権利を侵害した場合、SNSの運営会社に問い合わせフォームを使って報告しましょう。
トラブルを防ぐには、写真にクレジット(コピーライト)を入れたり、写真に透かしを入れたり、第三者が無断で利用できないようにするのも有効です。
ネットで拾った画像は出典元に著作権があります。
ネットで拾った画像を加工して利用するのは著作権法違反となるため、やってはいけません。
ただし、出展元が加工を許可しているときは、加工は可能です。
著作権法第三十二条で、「出展元を明記し、自分の著作物ではないと分かるようにしておけば、ネットで拾った画像を掲載することは可能」とされています。
出展元が利用範囲を制限していることもあるので、引用する際は出展元に確認して、トラブルに発展するのを防ぎましょう。
「フリー素材=著作権がない」と決まっているわけではありません。
フリー素材を利用する場合は利用規約を読み、どのような範囲で利用すれば著作権侵害にならないかを事前に確認しましょう。
フリー素材といっても、商用利用を禁止していたり、著作権者の許諾が必要だったりと、制限を設けているサイトもあります。
第三者に著作権がある写真を、学校の授業のために資料として掲載することは、著作権者の利益を害さない限り著作権法違反にあたりません。
著作権法第三十五条で、学校の授業のために一定の範囲で利用することが認められているからです。
第三十五条 学校その他の教育機関(営利を目的として設置されているものを除く。)において教育を担任する者及び授業を受ける者は、その授業の過程における利用に供することを目的とする場合には、その必要と認められる限度において、公表された著作物を複製し、若しくは公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。以下この条において同じ。)を行い、又は公表された著作物であつて公衆送信されるものを受信装置を用いて公に伝達することができる。
ただし、当該著作物の種類及び用途並びに当該複製の部数及び当該複製、公衆送信又は伝達の態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。
引用元:著作権法|e-Gov法令検索
写真を利用する際は、次に紹介する点を確認し、法律に違反しないよう注意してください。
フリー素材など、写真を無料・有料でダウンロードできるサイトには利用細則(利用規約)が必ず明記されています。
サイトによって「ブログなど個人での利用や学校の資料としての利用は可」「商用利用が可能」など利用範囲が記載されており、その範囲内での利用であれば著作権侵害にはあたりません。
「個人での利用に限る」と書かれているにもかかわらず、広告用のチラシに利用した場合は著作権侵害にあたるので注意しましょう。
著作権者が利用して良いと記載していれば、利用可能です。
ただし、「〇〇として利用する場合は可」など、どのように利用する方法を制限していることもあるので、利用範囲の確認をしてください。
入試やテスト、検定といった試験問題で写真を利用することは、著作権法第三十五条で認められており、使用にあたって著作権者に許可をとる必要はありません。
著作権を侵害されたときの対処法は、主に以下の2つです。
1つ目は、相手に抗議する方法です。
相手に対し、下記の3つの請求を行えます。
相手が抗議に応じなかったときは、以下に挙げる法的措置をとる場合が多いです。
抗議して話し合いだけで解決すれば良いですが、加害者が著作権侵害を認めないケースもあります。
もし話し合いで決着がつかなければ、次に挙げる法的な措置への移行を検討しましょう。
法的措置をとる際は、手続きが複雑なので弁護士に依頼するケースが多いです。
著作権侵害が疑われるときは、弁護士への相談を検討しましょう。
相談だけなら5,000〜10,000円が相場です。
インターネットで公開されているものは自由に保存し、自由に利用して良いと考えている人は少なくありません。
しかし写真は著作権で保護されており、利用方法によっては著作権法に違反するおそれがあります。
気付かない内に著作権を侵害し、他人の利益や権利を踏みにじっていないか、今回の記事を参考に振り返ってみましょう。
正しい知識を身に付けることで、第三者だけでなく自身の権利を守り、トラブル防止にもつながります。
画像出典元:Pexels、AC写真
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