メディアリンク株式会社 代表取締役社長 松本 淳志
「すべてはお客様の“感動”と“HAPPY”のため。」を掲げているメディアリンク株式会社。
BtoB領域でコミュニケーションにおける課題を解決するシステムを提供しています。
注目を集める完全自社開発のWebチャットツール「sinclo(シンクロ)」や、コロナ禍についてお伺いしました。
プロフィール
はい。2009年に起業し受託開発に取り組んでいました。
設立当初から自社開発を意識していたのですが、「資金調達をせずに自社開発をしていきたい」という想いがありました。
そのため、2011年までは受託開発のみを行い、そこから自社開発にも取り組むようになりました。
起業するのは覚悟が必要ですよね。
統計データでは「10年以内に93%以上が失敗する」というデータが出ています。
資金調達は他人にお金を借りることですよね。そこに対して「覚悟」が持てなかったのです。
「地に足をつけて自分ができる所を積み重ねて行って、雪だるまみたいに事業を大きくしていく」というのが、私が覚悟を持てる経営スタイルでした。
そのため、起業から2年間は受託開発に取り組み資金を貯めました。
私たちが初めて手掛けた自社サービスは、電話を自動化する「IVR」というサービスです。
電話や音声の効率化をするソリューションが得意なんです。
コミュニケーションの効率化や自動化の流れの中で、音声からテキストへの変化がありました。
そのため、電話をする機会は減ってきましたよね。
世の中の流れを鑑みた時に、カスタマーサポートも「電話だけではなくチャットの窓口も必要だ」と考えました。
そこで、2017年にsincloをリリースしました。
sincloは、お客様のWebページ上にチャット画面を設置することで、サイト訪問者とサイト運営者のコミュニケーションを実現する「Webチャットツール」と呼ばれるサービスです。
botによる完全自動対応(無人対応)と、有人対応の両方の機能を兼ね備え、シーン・ニーズに応じてそれらを使い分けることができます。
チャットだけではなく、画面共有や資料共有をシームレスに連携できる機能があります。ブラウザを同期して、ユーザーが閲覧しているページを共有し双方向で操作することができるのです。
また、サイトに掲載していないお手元の資料を、サイト訪問者にドキュメント共有し双方向で操作し合うことも可能です(特許取得済み:特許第6815614号)
また、お客様がマイページ内に表示されている氏名や会員番号といったテキスト情報を、自動で取得することができる「属性値取得」機能を有しています。(特許取得済み:特許第6040388号)
マイページ内にチャットを設置することで、属性情報を自動取得しチャットが来た時に相手が誰かすぐわかります。ユーザーは最初に名前や住所などの個人情報を入力する必要がなく、スムーズにコミュニケーションを取ることができます。
従来のWebサイトでは、フォームからの問い合わせを待つだけでした。しかし、sincloを利用することで、Web上でオンライン接客を行うことができます。
sincloは、先ほど触れたように、botによる自動対応と有人対応の両方を備えたハイブリッド型の運用が可能です。良くある質問は自動応答で省人化・効率化を行い、難易度の高い質問には有人対応で顧客満足度をあげることができます。
こうしたシステムでは、操作を覚えるのが難しかったり、使いこなせなかったりするケースも多くあります。
けれどもsincloは、チャット画面だけではなく管理画面も誰にでもわかりやすい設計です。導入時の初期設定だけではなく、蓄積したデータを基にして分析・改善を行う際にも安心です。
チャットボットの設定を行う際に大切なのが、蓄積されたデータの活用です。
sincloを利用することで、ユーザーとのやり取りを可視化することができます。電話では、録音をしないと音声を残すことができません。音声対応をテキスト化する技術はありますが、いずれも精度は100%ではありません。
音声には聞き間違いがありますが、テキストベースでやり取りを行うチャットなら、聞き間違いが起こらないのも嬉しいポイントです。
元々、コロナ禍に関係なく、事業計画上で2020年は飛躍の年になる予定でした。
本当はやりたかった対面でのイベントや展示会が中止になってしまって、一部投資ができていなんですね。その代わりにウェビナーを週に2回開催しています。
実は、1回目の緊急事態宣言の時には、社内がリモートワークへの移行で忙しくて、お客様に対して適切なアプローチができませんでした。
それでも、お客様が見つけてくださって、問い合わせや契約数が過去最高を記録しました。2回目の緊急事態宣言では、プレスリリースを打ち、必要としている方に情報が届くように動きました。
実は、sincloをリリースした当初から2019年末までは、圧倒的に無人化のニーズが高かったんです。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大によって一気にリモートワークの流れが来ました。店舗を閉めてスタッフを自宅待機とする中で、Webで売上をあげる必要が生まれたのです。しかし、いきなり売上が上がる訳はないんですよね。
そこで、チャットで有人対応を行い接客をするニーズが高まりました。
実際にコロナ禍ではWebチャットそのものが伸びましたが、有人チャットは特に伸びた分野と言えます。
決して順風満帆な訳ではありませんでしたよ。
いくら本に素晴らしい成功体験が書いてあっても、「わかる」と「できる」は違うんですよね。それを理解できずに…そうですね、「成長に伴う成長痛」は沢山ありましたね。特に採用や会社の在り方については、設立当初からかなり考え方が変わりました。
以前は、能力や成果を重視し即戦力の人材を求めていたんです。「何をやる?」や「何ができる?」といった「What」を優先していたんですね。
けれども、それを変えて「なぜやる?(Why)」→「どのようにやる?(How)」→「何をやる?(What)」の順で考えるようになりました。
会社でいうと、「Why」の部分が「我々は仕事を通じて関わる全ての人にHAPPYを与えたい」という所に当たります。お客様の課題を解決するためにも、会社の在り方も採用も「Why」を先にして。そこに共感できる人材を採用するようになりました。
コロナ禍を経験したことによって、意思決定がしやすくなったと思います。
ニューノーマルな時代でも必要とされるものとそうじゃないものの区別が明確になって、「アイディアが今後も伸びるか」がわかりやすくなりました。
これから起業なさる方には、「なぜやるの?(Why)」を大切にして欲しいですね。私も起業する時は「Why」を大切にして起業したんですが、その後はついつい「What」や「How」に寄ってしまいました。
私たちは今、「お客様の課題を解決できる会社になりたい」という思いを抱いて仕事に取り組んでいます。単なるシステム屋さんではなく、コミュニケーションにおける課題を解決できる会社を目指しています。
モノではなくコトを売りたいと、社員一丸となって取り組んでいるのです。
私利私欲やお金儲け以外の「Why」の部分がないと、5年・10年・15年は持たないでしょう。
「なぜやるの?(Why)」を大切にしてください。
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