“裸眼のVR”で新しいバーチャル表現で池袋のカルチャーとコラボレーションするkiwamiの取り組みとは

“裸眼のVR”で新しいバーチャル表現で池袋のカルチャーとコラボレーションするkiwamiの取り組みとは

記事更新日: 2022/03/15

執筆: 編集部

新しい生活様式が広まり、セルフレジや無人コンビニエンスストアなど非接触型のサービスの普及はより一層加速しました。

非接触型のサービス普及により人との直接の接点が少なくなる中で買い物における「顧客体験」をどう実現するのでしょうか。

その「顧客体験」を非接触でも実現する“裸眼のVR”のホログラムサービスを展開する株式会社kiwami(キワミ)(http://kiwaminet.com/)代表の三鴨千早さんと、マネージャーの鈴木祐史さんにお話を伺いました。

労働人口減少の問題を解決する非接触型のコミュニケーションサービスの展開で顧客体験を実現したい

ーーまずは、kiwamiの事業について教えてください。

鈴木祐史さん(以下、鈴木さん):デジタル体験プラットフォームを展開しています。オンラインやオフラインを超えた顧客体験を実現するサービス、イベントやプロモーションでのバーチャルサービス、ニューノーマル時代の新しいインターフェースという3つの大きな軸で事業を展開しています。

もともとは労働人口が減少していくという問題を解決するために、このようなサービスを始めました。一方で労働者が不足しているからと、買い物をする時の接客スタッフも不要、レジも商品棚も不要と省けるだけ省いた結果、巨大で無機質な自動販売機を作ればいいという未来になってしまうのではないかと、危惧していました。

私たちは「買い物」という行為が便利になっていくとしても「顧客体験」は大切にすべきだと考えています。そこでkiwamiではバーチャル技術を活用して、例えば3Dアバターを使った接客をすることで無人でありながら「顧客体験」を実現するサービスを提供しています。

ーー具体的にどんなサービスを展開していますか。

三鴨千早さん(以下、三鴨さん):私たちは“裸眼のVR”を提唱しています。大きくは2つありまして、一つが空中ディスプレイと言われるもので映画の世界のように空中に映像を浮かばせるホログラムです。もう一つは人間の視野角を利用したもので、裸眼でも飛び出たように見えるVRを展開しています。このようにして新しいバーチャル表現によって、実際の人間の代わりにVRの店員さんを作り出すことができると考えています。

これらの技術を活用して具体的に提供しているのは、

  • アバター(VTuber)を活用したプロモーションムービー
  • アバターを活用したブラウザ通話システム(リモート接客)
  • マルチデバイス対応のブラウザ自動応対アプリケーション

 の主に3つになります。

ーーこのようなサービスはどういったところで活用されていますか。

鈴木さん:一つの事例としてイトーヨーカドーさんでは、「イトウくん」や、「ヨーコちゃん」という3Dアバターを作り、プロモーションMovieの制作や、専用タブレットを設置した簡易ブースで応対してくれる仕組みを提供させていただきました。

また、大手クレジットカード会社さんの事例では、ホログラムの技術を使って空中投影された「スクラッチくじ」を削って楽しめるものを提供しました。こちらはクレジットカード利用促進キャンペーンを商業施設内にて実施させていただきました。

他にも等身大にホログラム投影されたタレントやキャラクターと触れ合えるファンイベントにて活用してもらうことなどもありました。

オープンイノベーションラボへの参加で西武池袋本店とのコラボレーションを実現

ーー今回、オープンイノベーションラボに参加した背景を教えてください。

鈴木さん:今お話しさせていただいたように、イベント毎でご利用いただく機会はこれまでもあったのですが、お店に常設するような形でのサービス提供を次の展開として考えていました。

そこで、今回のオープンイノベーションラボは弊社のオフィスを構える地元池袋での開催ということもあって、地元の他の企業様とコラボレーションをすることで新しい取り組みができるのではないかと考え参加させていただくことにしました。

もう一つの理由としては、池袋という街のカルチャーにあります。池袋のカルチャーはアニメやキャラクターが集まり、エンターテインメントを受け入れてもらいやすいです。そういった部分が、私たちのアバターやホログラムのサービスやその実績と親和性が高いなと思いました。

ーーオープンイノベーションラボに参加してよかったことを教えてください

三鴨さん:今回は大手企業様が、参加したスタートアップ企業やベンチャー企業の中から指名するという形だったのですが、私たちは西武池袋本店様よりご指名いただきました。地元企業ということもあって池袋のカルチャーに深い理解があり、それに親和性の高い私たちの取り組みを評価いただいたようです。

私たちのようなスタートアップ企業が自力ではなかなか大手企業様と取り組むのは難しいので、今回のような企画があることでそういった機会をもらえる場になったことはよかったことの一つですね。

ある程度実績があったとしても、それを大手企業様に見てもらえる機会というのは単独では難しいところもあるので、この企画は効率的にアピールできる場にもなったと思っています。スタートアップ企業だったとしても、わかりやすい実績があれば十分に大手企業様からお声がかかる可能性は大いにあるなと感じています。私たちに関して言えば、冒頭にお話ししたイトーヨーカドー様との実績が西武池袋本店様には刺さったようでした。

 ーー西武池袋本店との最初の取り組みであるクリスマスプロモーション企画に「HoloVase M」が採用され、どのような反響がありましたか 

鈴木さん:最初の段階で、西武池袋本店様に「ラグジュアリーゾーンでホログラムを使って今までにないことをしたい」という要望をいただきました。

そこで私たちが保有する裸眼VRを活用した独自販促ソリューション「Holo Masterpiece(ホロ・マスターピース)」により、空中投影されたホログラムの高級腕時計の展示を実施することにしました。これによって手に取れる形で展示することが難しいラグジュアリーアイテムを間近で見ることや、実際に触れているかのようにホログラムの商品に触りにいく体験を実現しました。

三鴨さん:実はこのイベントは「まずはお試し」という前提もあったため事前の情報発信を特段行っていなかったのですが、Twitterなどで来場者の方が投稿するなどで口コミが広まり、1日数百人の方に体験いただくという結果になりました。昨年より弊社アバター接客サービス事業で、お取引をさせて頂いている近畿日本ツーリスト様にも興味をお持ちいただきまして、新業態店舗においてもホログラム販促展示サービスを導入頂きました。

ーーその後も、西武池袋本店と新たなお取り組みをしていますよね。

鈴木さん:そうですね、クリスマス企画の結果もあって西武池袋本店様からは2月のバレンタイン企画でもコラボレーションすることをご依頼いただきました。

三鴨さん:この企画ではチョコレートメーカーの人たちから「実演販売をしたい」という要望がありまして、紆余曲折したのですがチョコレート探検家「チョコレートくん」のVRを作りホログラム投影する取り組みをすることになりました。ホログラムで投影された3Dアバターが商品の案内をするという流通業界では世界初の取り組みです。

サイネージやタブレットを置いて、お客様が操作して買い物をしたり、店頭で何かを操作することは今ではよくあることですが、流通業界でホログラムを活用してVRのアバター店員が接客するというのは今までになかったそうです。

新しい技術や置いたことのない機器を店頭に設置するというのは、リスクが多く不特定多数のお客様がやってくるこういった業界ではどうしても消極的になりがちです。しかし、西武池袋本店様は、実現前提で場所も予算の確保も握ってくれており、非常に積極的に取り組んでくださいました。

鈴木さん:今後は西武池袋本店様には、店舗の省力化なども提案していきたいと考えています。

ーー良い結果が出た要因について、どのように分析していますか。

三鴨さん:コロナ禍が後押しになってリモート接客需要が増えたこともあった中で、イトーヨーカドーの取り組みが注目され、それがレガシー企業への広がりの先駆けになったところはあると思います。

実は、アバター店員は年配者との相性がいいのです。人は歳を取っていくと、人の顔色を伺って「失礼なこと言ってないかな」「気分悪くしていないかな」などと考えすぎて、人間の店員とのコミュニケーションに消極的になってしまう悩みが一定あるようです。

その点で、アバター店員だと余計な感情は無く常にニコニコしているため、心理的ハードルが低くなり受け入れやすいのです。

また、タブレットなどとは違ってお客様が操作し続ける必要もなくアバター店員が先導してくれるので使い方に関しても容易です。

こういった点が、西武池袋本店様の客層ともマッチした要因だと私たちは考えています。

池袋×オープンイノベーションラボに参加する意義とこれから

ーーkiwami様の活動拠点である「池袋」は、スタートアップ企業にとってどのような場所でしょうか。

鈴木さん:池袋はアニメや漫画の文化が根付いていてサブカルチャーの聖地だけれど、スタートアップ企業は意外と少ないんですよね。サブカルやエンターテインメントを受け入れる体質はあるのに、もったいないですが、その分可能性を感じますね。

西武池袋本店様のように池袋には老舗の企業もあって、年配者も多く行き交う街です。年配者と若年者が混ざり合う街で、私たちのようなスタートアップ企業がその溝やギャップを埋めていきたいと考えています。

ーーオープンイノベーションラボ2期募集が開始されますが、このプロジェクトにはどのような企業が向いていると思いますか。

三鴨さん:レガシー業界の中で、その産業構造を変えられるようなところが向いている気がしますね。レガシー業界がこれからの時代を生き抜いて成長していくために、若い人に素早くリーチできるようスタートアップを活用するという戦略もあると思います。ある意味で、売り上げに直結できる企業が向いているのではないでしょうか。

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