今年も新入社員が入社してくる季節が来ましたね。
彼らの心理を理解して上手に指導するためにも、今年の新入社員の育った時代背景を確認して価値観や考え方を知っておきましょう。
当記事では、2022年に新卒入社する社員の特徴や取り扱い方を解説します。
嫌われる上司のタイプとやばい新人の事例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
まずは、今年の新入社員が育った時代を振り返ってみましょう。
一度も浪人・留年せず4年制大学を卒業したとして、今年入社した社員が生まれたのは1999年〜早生まれで2000年です。
高卒で入社する人、浪人や留年を経験してる人もいますが、数年程度なら同じ世代だと考えて良いでしょう。
2000年は、当時の内閣総理大臣だった小渕恵三氏が倒れ、森連立内閣が発足した年。
シドニーオリンピックでは高橋尚子選手が金メダルをとり、「Qちゃんフィーバー」で日本中が盛り上がった年に今年の新入社員は誕生しています。
小学校に入学する2006年は、堀江貴文氏と村上世彰氏がインサイダー取引の容疑で逮捕された年です。
いじめ自殺が相次いだことが社会課題になった年でもあるので、新入社員も小学校時代に辛い思いをしたかもしれません。
2008年には秋葉原の歩行者天国にトラックが突っ込み、運転手の男がナイフで通行人を刺して7人も殺害したという事件がありました。
株価はバブル後最安値でリーマンショックが始まり、中国製冷凍餃子から殺虫剤が検出されるなど、良くないニュースが続きます。
リーマンショックで倒産した企業が多かったので、小学校時代に経済的な問題を抱えていた新人がいる可能性もあります。
そして、小学校高学年の時に東日本大震災が起こりました。
大きな出来事だったので、新入社員たちもボランティアに興味をもったり、家族の大切さを再確認したり……と、何らかの影響を受けているでしょう。
新入社員が中学生の頃にはアベノミクスが始まり、2020年のオリンピックが東京で開催されることが決定。
東京オリンピックを楽しみにしていた今年の新人がたくさんいると思いますが、コロナの関係で予定通りにはなりませんでしたね。
アベノミクスの影響で政治への関心が高い新入社員もいると考えられます。
2015年はIS(イスラム過激派組織)が日本人の人質を殺害するというショッキングなニュースがあった年。
海外の情報がリアルタイムに入ってくる時代になったので、世界情勢に興味を持っている若者も増えているのではないでしょうか。
2016年には、アメリカでトランプ大統領が誕生したり、イギリスのEU離脱が決定したりました。
過労自殺した社員が働いていた電通に有罪判決がおりるなど、働き方改革が推進される出来事も新入社員の心に残っているかもしれません。
2019年には令和に改元され、2020年には新型コロナウイルス感染症拡大により自粛生活を余儀なくされます。
大学生活の後半はオンライン授業で友達に会えない日々。
2022年度の新入社員は、コロナ禍での就職活動を経て入社しました。
2022年度に新卒入社する社員は「Z世代」と呼ばれている人達。
Z世代とは、1990年代後半から2000年代に生まれた人のことです。
生まれた時からインターネットがある環境で育ったので、「デジタルネイティブ世代」とも呼ばれています。
世代による価値観の違いを理解すると、指導する際に役立ちます。
次は、新入社員たちが育った環境をもとにして、特徴や傾向を考えてみましょう。
2022年に入社した社員の特徴は、明るい未来を想像できないこと。
暗いニュースが多く超高齢社会の中で育ったため、「これから楽しいことがいっぱいある!」と無邪気にはなれません。
未来に期待を持てないと、モチベーションを上げにくいものです。
「仕事を頑張っても報われないし……」と思っている新入社員がいたら、意欲的に仕事に取り組むための対策があったほうが良いでしょう。
こんな仕組みがあると理想的です。
コロナ禍での社会人デビューなので、対面で同僚や上司に会う機会が少なく、強い不安を抱いている新入社員が多いです。
通常なら内定式で同期に会ったり、面接で会社に出向いた時に雰囲気を肌で感じられますが、オンラインだとそれができません。
初めての経験ばかりなのに誰にも相談できない環境だったら、不安になるのも当然です。
大学時代に思う存分遊べず社会人になったので、複雑な心境を抱いているでしょう。
すでにストレスを抱えた状態で入社して、さらに不安も強いので少しのことで心が折れて退職したくなるかもしれません。
昨年度の新入社員にもいえることですが、コロナ前よりも不安定な精神状態であることは意識しておきましょう。
リーマンショックやコロナの影響で社会が大きな打撃を受けた経験をしてるため、安定志向の若者が増えています。
起業ブームが続いているとはいえ、そこまで熱意がある人は一部です。
特に普通の会社員になる人は、安定を重視する傾向があります。
でも、リスクを冒さずにチャレンジできる副業への関心は高いです。
「本職で安定した収入を得て、副業で何かに挑戦したい!」そう考えている新入社員もいるかもしれません。
2018年に副業が解禁され、今は自由に副業を行えるのが普通だと考える時代。
副業を厳しく禁止すると、新入社員の反感を買う恐れがあるので注意しましょう。
副業を禁止するなら、離職を防ぐためにも社員が納得するまで十分な説明も必要です。
今の若者は環境問題にも敏感です。
将来の自分たちに直接関係があるので、自然と持続可能な社会への関心が芽生えるのでしょう。
チャラい外見でも、SDGsを真面目に考えている人が結構います。
他の社会問題に関しても同様で、貧困、格差、人権など、ひと昔の若者は興味を示さなかったことに詳しい人が多いです。
環境に配慮しないちょっとした行動などで「尊敬できない」と思われ、あっという間に信頼が失われてしまうかもしれません。
新入社員たちは、学生時代からSNSが当たり前にある世代で、常に「誰かにいじめられるかも……」という不安を持って育っています。
相手や場所に合わせて、いくつもの顔を使い分けている人が多いです。
「SNSのアカウントの数だけ違う顔がある」といわれているので、新入社員も同様でまったく違う顔を見せるかもしれません。
けれども、相手によって接し方を変えるのが彼らにとっては普通のこと。
そこを無理に変えようとするとトラブルの元になるので、「そういう特徴をもった世代の人達だ」と思っておくほうが良い関係を築けます。
ここからは、2022年の新入社員にやってはいけないNG行動を紹介します。
新入社員には「背中を見て学べ」という教え方をしないほうが良いでしょう。
仕事内容によりますが、基本的にはすべて言葉で伝えたほうが早期離職を防げます。
マニュアルも説明もなしで「いつも俺がやってる通りにやってみろ!」と言われたら、戸惑った新入社員が仕事を辞めたくなるかもしれません。
昔と違ってガッツのある若者は少なく、丁寧に指導しないと仕事へのやる気が低下します。
相手によっては、一から十までひとつひとつ教えたほうが良い場合もあります。
学校でも細かい部分まで配慮されて育ってきた人が多いので、新入社員が嫌な気持ちにならない教え方を工夫しましょう。
コロナの影響でオンライン研修を予定していたり、テレワークを導入している企業も多いのではないでしょうか。
しかし、新入社員は対面で研修や仕事ができないことに不安を感じています。
株式会社学情が2022年に社会人になる学生にインターネットアンケートを実施したところ、入社式や研修はリアルを希望する人が7割を超えました。
仲良しの同期ができず、上司に気軽に質問できない……そんな孤独な環境では仕事を続けるのが難しいものです。
それに、研修がうまくいかないと、業務をなかなか覚えられず一人前になるまでに長い時間がかかってしまいます。
新入社員が安心して働くため、早く独り立ちさせるためにも、他の社員と直接会える機会をつくりましょう。
参考:あさがくナビ
「失敗ばかりすると給料下がるぞ」「いま頑張らないとお前のポジションなくなるよ」などの、不安をあおる言い方はNGです。
のんびりしてる新入社員を見ると、少しは危機感を持ってほしいと思いますよね。
でも、この言い方だと新入社員はますますやる気を失います。
打たれ弱いので、モチベーションを上げたい時は「今回成功したら給料上がるかもな!」のような期待を持たせる言い方にしましょう。
上司や同じチームのメンバーとして新卒社員と関わる時には、彼らが好む接し方にするのがおすすめです。
「なんでこっちが合わせないといけないわけ?」と思いますよね。
でも、最初に良い関係を築いておけば、後々がラクです。
時間が経ってからだと信用されるのは難しいので、早い段階で良い関係を構築しておくことをオススメします。
上司や年上だと立場は上なのですが、上から目線になると新入社員が反発するので気をつけましょう。
今の若い世代はフラットな関係を好みます。
上司だからエライ、年長者の意見に従うべき、といった考え方ではないので、見下されてると感じるとやる気を失います。
「そんなことも知らないの?」とバカにするのではなく、「知らないなら教えるよ」と言えば新入社員をイライラさせません。
求めることは同じでも、いろいろな言い方がありますよね。
「~しとけよ!」と命令するよりも「~しといてくれる?」のほうが与える印象が良いです。
伝え方を工夫すれば、良い関係が築けるでしょう。
最近は、上司から飲みに誘われることを嫌う新入社員が多いです。
日本生命保険相互会社が2021年に行った調査では、20代の66.1%が「飲みニケーションは不要・どちらかと言えば不要」と答えています。
特に説教や自慢話をされることを嫌うので、極力避けないといけません。
この世代が好むのは、気を遣わなくていい相手と仕事終わりに1~2時間だけサクッと飲みに行くことです。
お酒の席ではなく業務時間内にコミュニケーションをとるよう心がけましょう。
今の若者は褒められないとやる気になりません。
「褒めて育てる」が普通の時代に育ったので、仕事でも頑張りを認めてもらうことを望みます。
新入社員を見ていると、できていない部分に目が向きがちですが、できた部分に注目しましょう。
そうすれば自然と褒め言葉が出てきますよね。
ただし、適当に褒める方法では効果がないので気をつけてください。
大切なのは、褒められた部下が嬉しく感じること。
不本意な出来だったのに褒められると複雑な気持ちになるし、同じセリフを何度も言われると褒められても何とも思わなくなります。
「この人は自分をきちんと見てくれている」と感じさせる褒め方ができるとベストです。
そのために新入社員をよく観察して、各々の長所や頑張っている部分を見つけてあげてください。
面倒に感じるかもしれませんが、人材育成は手間を惜しむとうまくいきません。
前に失敗したことができるようになった、陰ですごく努力していた……そんな部分を褒めてあげましょう。
次は普通なら考えられないことをする”やばい新人”を紹介します。
書類にパンチで穴を空けるよう指示をしても、一向に取りかからない新入社員がいました。
理由を尋ねると「学校で教わっていないから」とのこと。
他にも、用事を頼むと「それは教えてもらっていません」という理由で断る新入社員が結構いるそうです。
何でも与えられる環境で育つと、自分で考えて行動する習慣がつかないのでしょう。
社会人になっても親離れ・子離れできていない親子もいます。
一般的な感覚だと、会社で嫌なことがあったら自分で不満を伝えますよね。
でも、新入社員の親から苦情の電話がかかってくるケースがあるようです。
苦情以外にも遅刻や欠勤の連絡を親がしてる家庭もあるとか。
会社は学校の延長線だと思っているのかもしれません。
SNSは若者の生活の一部。
嫌なことも嬉しいことも、すぐにSNSにアップするのが当たり前になっています。
そのせいか、会社名を出して上司の愚痴を投稿したり、会社の機密情報に関することを投稿する新入社員がいます。
まだ社会人としての自覚が身についてないと、軽率な行動をとってしまうのでしょう。
新入社員には念のため、入社当日にSNSの使い方を指導したほうが良さそうですね。
叱られることに慣れてない新入社員は、間違いを指摘しただけで仕事を辞める可能性があるので気をつけてください。
「これ間違っている!」と少し強い口調で言うと、新人にパワハラ認定される恐れもあります。
厚生労働省が発表した令和2年度内の就職後3年以内の離職率は、新規高卒就職者で36.9%、新規大卒就職者で31.2%です。
3人に1人が3年以内に辞める時代なので、離職率を下げたいなら新入社員が仕事を続けたくなる接し方を心がけましょう。
ひと昔前までは病気や葬式などの理由があっても、仕事を休む際には申し訳なさを感じたもの。
今の新入社員は「デートなので!」「遊びにいくから!」という理由で堂々と休日申請をします。
もちろん全員ではありませんが、「プライベートを優先するのが当たり前」「ワークライフバランスが大事」という意識が強くなってるのは事実です。
ひどいとあっけらかんとした態度で遅刻したり、「ネットサーフィンしてました!」と悪びれる様子もなくサボる人もいます。
あなたの会社の新入社員も似たような行動をするかもしれないので注意しましょう。
ところで、今年2年目の社員が入社した時はどんな感じだったか覚えてますか?
2021年度新入社員の取り扱い方を知りたい方は、こちらの記事を参考にしてくださいね。
新人の教育担当者は、新入社員の価値観や仕事に求めているものを知ることが大切です。
ただ業務を教えればいいわけではないので、新人が不満を持ちにくい関わり方をしましょう。
何年も仕事をしていると新人時代を忘れがちです。
誰でも最初はできないことばかりなので、長い目で見守ってあげてくださいね。
そうすれば新人に余計なプレッシャーをかけずに済み、自分自身のイライラも減らせるでしょう。
画像出典元:O-DAN、写真AC
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