近年、新人教育をおこなう際、独自のマニュアルを作成し活用する企業が増えています。
これまで新人教育といえば上司が口頭で教え、それをメモにとって覚えるなどの方法が多かったですが、口頭だと言われたことを忘れたり理解できていなかったりと何かと不効率した。
そこで役に立つのが新人教育マニュアルです。
今回は、新人教育マニュアルの重要性や作り方、さらにはマニュアルを作成する際に便利なサービス紹介など、新人教育マニュアルについて、詳しく解説していきます。
このページの目次
そもそも新人教育を実施する必要はあるのか?といったところですが、新人教育は極めて重要な取り組みのひとつであると言えます。
まず、第一に新人教育を実施する重要性として「社会人としての自覚を持たせる」というところにあります。
特に高校や大学を卒業したばかりの新入社員は学生気分が抜けていないことが多く、会社としてはいつまでも学生気分のままでいられては困ります。
また、社会人ともなると学生時代には多少黙認されていたことも許されなくなるといった厳しい立場におかれます。
そのため、基本的な挨拶や、身だしなみ、さらには責任、ビジネスマナーなど、社会人としての振る舞いをしっかり身につけてもらうための場として、新人教育は非常に重要なのです。
次に「企業理念をしっかり深めてもらう」といったことも新人教育を実施する重要性のひとつです。
企業理念というのは、会社経営に関する根幹にあたる非常に重要な部分であるため、新入社員にもしっかりと理解を深めてもらう必要があります。
企業理念や事業内容などについて理解を深めてもらうことは、今後業務をおこなっていくうえで欠かせません。
さらに「業務に必要な知識・技術を身につけてもらう」ことも重要です。
たとえば電話対応や名刺交換時のルールなど基本的なビジネスマナーもそうですし、会社で働くうえで必要となる知識や技術などもそうです。
新入社員には会社の戦力としていち早く活躍してもらうため、新人教育という場でしっかりと基礎部分を学んでもらうことが重要です。
一口に新人教育といってもやり方は企業によって様々です。なかには先輩たちが口頭で教え、それをメモに取って覚えていくといったスタイルをとる企業もあることでしょう。
しかし、口頭によるメモ書きスタイルというのは、メモの取り忘れや解釈のズレが生じるなど、結果的に上手く伝わっていなかったというケースが多々あります。
そのため、効率よく確実に覚えてもらうには、新人教育マニュアルの存在が欠かせません。
新人教育マニュアルを活用することで「教えるべきこと、教わるべきこと」それぞれが明確となり、無駄なく効率的に進めることができます。
ただし、単にマニュアルを作成すれば良いということではありません。必要事項を簡潔かつ分かりやすく作成することがマニュアル作りにおいて非常に重要となります。
マニュアルに書かれている情報量があまりにも多く煩雑になっていると逆に理解しにくく使いづらいものとなり、マニュアルとして意味がなくなるので注意が必要です。
なお、新人教育マニュアルの作り方としては、まず自社が掲げる理念や行動指針、新人教育の目的や目標などを明確にすることから始めます。
次に新入社員がおこなうべき業務の概要を洗い出し、具体的に必要とされるスキルや能力などを整理してその目標に合わせたカリキュラムを組んでいきます。
この時、新入社員に身につけて欲しいスキルや知識のうち、重要度の高い順にステップ段階方式にカリキュラムを組むと良いでしょう。
もし内容が分かりづらくなりそうな場合、イラストや図表を加えるのも良い方法です。
イラストや図表などの表現が入ると視覚的効果が得られ、内容もより理解しやすくなります。なかには新人教育マニュアルをすべて漫画形式で作成している企業もあります。
そして、一度完成させたマニュアルをそのまま放置しておくのではなく、毎日マニュアルを使いながら、至らない点があれば速やかに改善させるなど、常に最新の状態にしておくことが大切です。
前述のとおり、新人教育マニュアルというのは会社によって形式は様々で、マニュアルに盛り込む内容もそれぞれ異なります。
しかし、それでも盛り込むべきポイントはいくつか共通するものがあります、次に、マニュアルの作成時に盛り込むべきポイントをいくつかご紹介します。
言葉遣い、身だしなみ、挨拶、名刺交換、ビジネスメール、電話応対など、ビジネスマナーというのは非常に多くの種類があります。
特に、これまで学生だった新社会人の場合、多くがビジネスマナーにおいて未熟です。
会社としては、いつまでも学生気分が抜けないようでは困りますので、基本的なビジネスマナーについてマニュアルに含めておくと良いでしょう。
また、ビジネスマナーだけではなく、会社組織として働くうえで必要となる“報告・連絡・相談”(ほうれんそう)についても言及すべきです。
会社の経営理念やビジョンについて新入社員たちに理解を深めてもらうことが重要です。
そして、企業が目指す目標に向け、自らがどういった行動を起こしていけば良いのかなど、組織の一員として自覚を促すことも必要です。
入社後に業務内容について細かく説明したところで理解することは難しく、あまり効果的ではありません。マニュアルの段階ではあくまで業務の全体像が把握できるくらいがベストです。
たとえば、会社がどういった流れで世間に価値を提供しているのか、また各部署がどのような役割を果たしているのかなど、会社全体のビジネスモデルが理解できる程度が良いでしょう。
新入社員が成長していくため、日々の仕事のなかで目標を持たせることが大切です。そのため、自分自身で目標を設定し、目標達成に向けて頑張る方法などについて説明しましょう。
また、自分で考えて自ら行動する「主体性」についても言及しておかなければなりません。
主体性は、企業で働くうえで必ず身につけておくべき大切な要素となるため、新人教育マニュアルでは主体性の意味や必要性、重要性などをしっかり説明しておくことが重要です。
入社して間もない時期というは仕事が不慣れなせいもあることから、モチベーションの維持が難しくなることがあります。
モチベーションの低下はストレスに繋がる要因でもあるため、いかにして乗り越えるか、どのようにモチベーションを維持していくのか、そのあたりのポイントを伝えることが重要です。
なお、仕事に対するモチベーションの低下は離職へと繋がります。
現に新入社員の早期離職理由で多いのがモチベーションの維持が難しくなったことによるものですので、ぜひ社会人として活躍する先輩や上司たちが率先して、モチベーションの維持や向上方法を教えてあげてください。
業種問わず、今やほとんどの企業で業務にパソコンが使われています。そのため、基本的な使い方などITスキルについてもレクチャーしておくと良いでしょう。
デジタル社会となった現在でもパソコン操作が不慣れな人もいますので、基本的な操作ぐらいはできるよう、しっかりマニュアルに盛り込んでおくと安心です。
新人教育マニュアルを作成する際、このようにいつくか盛り込んでおくべきポイントがありますので、これらを参考にしつつ、自社の業務内容等に合わせて内容を追加していくと良いでしょう。
なお、新人教育マニュアル作成でもっとも重要なポイントは、マニュアルを見て誰でも明確に理解できるような内容で作成することです。
迂遠な言い回しや曖昧な表現はかえって回りくどく分りづらいものとなるため、実用的ではありません。
新人教育を円滑に進めていくためにはマニュアルの存在は重要です。とはいえ、いざマニュアルを作成しようとすると意外と難しく、作成するのが初めての場合は尚更です。
最近では効率よくマニュアルが作成できるマニュアル作成ツールも提供されているので、そういったサービスを使うのも一つの方法です。
続いて、新人教育マニュアルの作成に使える便利なサービスを4つご紹介します。
tebiki(テビキ)は、誰でも簡単に動画マニュアルが作れ、スタッフの習得度合いを管理できる動画マニュアル作成システム。
製造業・サービス業・IT企業や会計事務所まで、幅広い業種・業界で実績があるのも特徴です。
動画マニュアルは扱えるファイルの種類が多く、また操作性の高さが評判。初心者でも直感的に操作できます。
自動字幕機能や100ヶ国以上の自動翻訳機能も搭載しています。
・直感的に操作できる動画マニュアル作成機能
シーンカット、静止などもかんたんに編集できる
・習熟度をクラウドで管理
誰がマニュアルをみたか、できるようになったかをレポートで管理
・100ヶ国語以上に対応
ボタン1つでマニュアルを自動翻訳
無料トライアルがあります。詳細は資料をご参照ください。
Teachme Bizは、認知度も非常に高い王道のマニュアル作成ツール。小売・飲食・宿泊・製造・ITなど幅広い業種で使われています。
新人教育に適したトレーニング機能があります。
他にもマニュアルの作成だけでなく浸透や改善までサポートする機能など、充実した機能を備えているのが特徴です。
機能性の高さの代わりに料金は月額5万〜30万円とやや高めにはなっています。
・マニュアル作成機能
感覚的な操作で、かんたんにマニュアルをスピーディーに作成
・マニュアル承認機能
マニュアルの公開・更新時の承認フローの設定をして、品質維持を図れる
・トレーニング機能
新人教育のコース作成・配信ができる
初期導入にかかる費用はいずれも30万円で、編集アカウントと閲覧アカウントの数で月額(5万円〜30万円)が変動します。
どのプランでも閲覧回数・マニュアル作成の回数が無制限で利用できます。
詳細は資料をご参照ください。
画像出典元:「はたらきかたマニュアル」公式HP
マニュアルの調査・作成委託・クラウド編集・配信という4つのサービスから成る業務マニュアルの総合サービスです。
全ての機能を利用することはもちろん、必要なものだけを個別に契約することも可能なので、自社の課題に合わせたオーダーができる使い勝手のよいサービスです。
多言語化・リライトにも対応。マニュアルの電子化や現場とのミスマッチに悩んでいる会社にうってつけです。
・調査、分析サービス
ワークフローを調査・分析し、マニュアルを精査
・マニュアル作成
HTML化・多言語化・構成設計もお任せ可能
・マニュアル作成エディター
クラウド上でマニュアルを作成できるツール
スタンダードプランは月50,000円。10ユーザー・5ブック 作成・10GBストレージの範囲で使用可能です。
12か月契約で月払いとなるため、1年間継続して使用する必要があります。
無料トライアルで使用感を確かめてから、自社に合うかどうか判断すると良いでしょう。
画像出典元:「iTutor」公式HP
iTutor(アイチューター)は、高品質なマニュアルを「取込・編集・出力」の簡単3ステップで作成できるツール。
マニュアルの理解度を高めるのに効果的と言われるe-ラーニングコンテンツも、ドラッグ&ドロップの基本操作でスピーディーに作成ができます。時短作業ができ、コスト削減も実現できる優れもの。
・スピーディーな取込
キャプチャーツールの利用で、動画も含む既存のコンテンツを有効に、かつスピーディーに取り込むことができる
・便利な編集ツール
取り込み後のキャプチャーは、操作手順等が自動でコメント化され、さらに盛りだくさんの編集ツールで、自由に加工・編集が可能
・あらゆる用途へ出力
「iTutor」で作成したコンテンツだけで、ドキュメント形式、ムービー形式、HTML形式への書き出しが可能
ソフトをダウンロードするタイプです。
ダウンロード時のライセンス費用と、次年度以降のサポート費用がかかります。
ライセンス費用は25万円〜、サポート費用は37,500円〜/年。
▼ マニュアル作成ツールを詳しく知りたい方はこちらでご覧ください ▼
新人教育の実施は企業にとって非常に重要な取り組みであり、やるかやらないによって会社の将来は大きく変わってきます。
ただ、新人教育といっても会社によってやり方は様々で、なかにはマニュアルを使わないという企業もあることでしょう。
しかし、新人教育をおこなううえでマニュアルを活用することのメリットは大きく、研修後でも繰り返し確認することができるほか、覚えるべきことを聞きそびれてしまうということもありません。
もちろん、一からマニュアルを作成することは時間や労力も必要となるため、決して簡単なことではありませんが、マニュアルの存在は教育する側、受ける側、双方にとって非常に良い効果の得られる重要なツールであると言えます。
ぜひ、新入社員たちが一日でも早く会社組織の一員として活躍できるよう、要点を分かりやすくまとめた質の高いマニュアルを作成してください。
画像出典元:O-DAN
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