業務を行ううえでリソースとタスクのバランスは非常に重要です。
リソースとタスクのバランスに偏りがあると、業務において様々なデメリットが生じる可能性が高くなります。
現状、従業員によって作業量に大きな差があったり、業務に対して属人化してしまっているなどの場合、業務を平準化する必要があるかもしれません。
今回は、業務平準化ができていない場合に生じるデメリットや取り組み事例、さらには実施するための重要なポイントなどまで、業務平準化について詳しく解説していきます。
このページの目次
業務平準化とは、ある特定の従業員や時期に対し、業務量や業務負担が集中してしまうような偏った状態を減らし、可能な限り業務量の均等化を図ることをいいます。
平準化という言葉はもともと、製造業において「様々な種類の製品を均等に生産する(平準化生産)」といった意味で利用されていました。しかし、一般的には業務量が均等された状態を指すことがほとんどです。
特定の従業員にだけ業務量が集中してしまっているなど、リソースと作業量とのバランスが一致していない状況にある場合、企業におけるリソースを最大限活かしきれていないということになります。
また、業務量の平準化ができておらず、従業員に対して業務量に偏りが見られる場合、様々なデメリットをもたらす可能性もあります。
業務平準化は、効率的に業務が遂行できるよう「ムリ・ムダ・ムラ」を排除し、企業の生産性をより向上させるための大切な取り組みの一環ですので、しっかりと理解を深め、企業全体の業績向上を目指しましょう。
前述のとおり、企業において業務平準化ができていない場合、様々なデメリットが生じる可能性がありますが、では、どのようなデメリットが生じてくるのでしょうか。
この章では、業務平準化ができていない場合のデメリットについて解説していきますので、しっかりと確認しておくようにしましょう。
業務に対して属人化している場合、業務プロセスは基本的にすべて担当者へ委ねられます。
担当者がいる場合はスムーズに問題なく業務を遂行していくことができますが、体調不良など何らかの理由で担当者が不在になった場合、他の従業員では仕事の進め方が分からないため、業務効率が大幅に低下します。
特に、ギリギリの人員で稼働している企業の場合は人手が足りなくなるなど、業務に遅れが生じて企業利益に悪影響を及ぼす恐れもあります。
ブラックボックス化とは、特定の仕事に対してインプットとアウトプットは分かっているものの、どのようなプロセスを経て成り立っているのか分からない状態のことをいいます。
業務のブラックボックス化は、特定の業務を限られた担当者に依存してしまっている状態であるため、担当者がいないと業務が完全にストップしてしまい、業務の継続が難しくなります。
業務を遂行するうえで極力ミスは避けたいところではありますが、それでもミスが発生してしまうことも時にはあります。
業務のなかでミスが発生した場合は速やかに報告し、損害が大きくならぬよう正しく対処しなければなりません。
しかし、業務平準化ができておらず属人化している場合、他の従業員の目が届きにくい状況にあるためミスを隠してしまう可能性も考えられます。
業務の偏りによって特定の従業員に業務量が集中してしまっている場合、「自分が休むと業務が滞ってしまい、ほかの人に迷惑がかかる」などと考えるようになってしまい、結果的に有給休暇など、休暇の取得が難しい職場環境に陥ってしまいます。
本来、有給休暇の取得は労働基準法によって定められた正当な権利であるため遠慮することはありませんが、業務が集中していると、思うように休暇が取れないといった状況を作り出してしまう可能性があるのです。
業務平準化ができておらず、タスクとリソースのバランスが崩れている場合、多くのデメリットが生じてくるということが、お分かりいただけたかと思います。
では、これから業務平準化を進めていくうえで、どのような事に気をつければ良いのでしょうか。続いて、業務平準化を進めていくうえでの重要なポイントをご紹介していきます。
業務平準化を行うためには、まず現状の業務量を把握することが重要です。業務のどの部分にどのような問題があり、どれほどの量があるのかなど、業務量調査を行いましょう。
適切に業務量調査を行うことで、従業員それぞれの業務量を可視化することができ、業務全体における問題点や課題点が見えやすくなります。
業務平準化には、業務マニュアルの作成も効果的です。
業務マニュアルを正しく作成・共有しておけば、業務の属人化を防ぎ、誰もがマニュアルを読めば同一の業務を行うことができるようになります。
かつてはオフィス系ソフトでデータを作成し、紙に印刷された膨大なマニュアル自体が活用しきれていないなどの問題もありましたが、最近では専用のソフトがあり作成に対するハードルもぐっと下がりました。
特に、マニュアル作成ツールは、テンプレートに従って入力するだけ、オンラインで共有できるなど、非常に利便性が高く、業務マニュアルを作成の際にはまず検討してみると良いでしょう。
詳しい資料など無料で確認できるので、こちらもご参照ください。
スモールスタートを意識する。これは業務平準化に限らずビジネス全般に言えることですが、システム導入など新たな取り組みを実施する場合、はじめから大規模に実施してしまうと、かえって失敗のリスクが高まります。
業務平準化を行う場合も、特定のグループや部門に絞って実施するなど、まずは小さい範囲から進めていくことを意識すると良いでしょう。
はじめは小さい範囲からスタートさせ、軌道修正を行いながら徐々に業務平常化の範囲を広げていきましょう。
最終的には組織全体へと範囲を拡大させていくようなイメージで取り組んでいくと失敗のリスクも低く、従業員も変化に対応していくことができるでしょう。
PDCAとは、「Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)」これを1サイクルと考え、一連のサイクルを継続的かつ繰り返し行い、業務を改善していく手法のことです。
このPDCAは、多くの企業でセルフマネジメントメソッドとして採用されているなど、ビジネスパーソンには馴染み深いフレームワークです。
業務平準化においてもPDCAサイクルを継続的に回すことは非常に重要なことで、ひと通り業務平準化を行ったとしても、ある程度時間が経過すれば、また新たに偏りが生じてくる可能性も十分にあり得ます。
平準化が実現された状態を継続的に保つためにも、定期的に業務状況をチェックするようにしましょう。
さて、ここまで業務平準化のデメリットや取り組みを進めるうえでのポイントなどを紹介してきましたが、 業務を平準化させるうえでカギとなるのが「業務の見える化」です。
業務の見える化をすることによって、業務の効率を下げる「3M(ムリ・ムダ・ムラ)」の解消に繋がります。
ムリ | 業務量が多くなり、処理能力以上に負荷がかかっている状態 |
ムダ | ムダな業務やプロセスなどにより、負荷が下回っている状態 |
ムラ | ムリとムラとが混在し、従業員ごとの業務量にバラつきがあり不安定な状態 |
業務の見える化ができてくると、部門ごとにおける仕事量の偏り、特定従業員に対する業務量の偏り、ムダな業務プロセスなど、業務フローにおける非効率な部分が見えてくるはずです。
理想的な業務環境というのは、あくまで「作業量と能力」のバランスが均衡している状態。
これが業務環境がベストですので、業務の見える化をしっかりと実施し、偏りを解消していけるよう丁寧に取り組んでいくことが大切です。
冒頭でも記述したとおり、業務平準化はもともと、製造業において平均化した水準で生産を行う管理方法として用いられてきた言葉です。
なかでも、トヨタ自動車が導入したことでも知られる「ジャスト・イン・タイム」は特に有名で、製造業における生産方式として多くの企業で広く活用されています。
この章では、トヨタ自動車が導入した生産方式の事例として「ジャスト・イン・タイム方式」と、それを実現するために必要な仕組み「かんばん方式」について、それぞれ解説していきます。
ジャスト・イン・タイムとは、生産過程において「必要なものを、必要なときに、必要な量だけ」を供給し、より効率的な生産活動を目的とする方式です。
前工程が後工程へ部品や製品を供給するといった通常の生産方式に対し、一方のジャスト・イン・タイムは、後工程が前工程へ必要な時に必要なだけ部品や製品を取りに行くといった方式で生産が行われます。
また、前工程では引き取られた部品や製品をすぐに生産するのではなく、後工程が指示あった数量分のみ製造を行います。
後工程が「必要なものを」「必要なときに」「必要なだけ」取りに行き、必要な分だけ前工程で製造する。
こうした仕組みをとることによって無駄な在庫を省き、より少ないコストで生産することができるのです。
かんばん方式は、ジャスト・イン・タイム(必要なものを必要な時に必要なだけ生産する)を効率よく実現するためにトヨタ自動車が独自に開発した生産管理方式のひとつです。
かんばん方式の「かんばん」とは作業指示票のことで、商品名や品番、保管場所など部品や製品の情報が詳細に書かれたボードのことです。
なお、このかんばんには「仕掛けかんばん」と「引取りかんばん」の2種類が存在します。
仕掛けかんばん | 前工程に対して生産を指示するためのかんばん |
仕掛けかんばんに記載された指示に基づき、指示された部品や数量のみ生産し、生産が完了したら仕掛けかんばんを付けて置き場におきます。 |
引取りかんばん | 後工程に対して運搬指示をするためのかんばん |
前工程で生産が完了すると仕掛けかんばんが外され、引取りかんばんが取り付けられます。引取りかんばんが取り付けられたら部品の運搬が行われます。 |
このように、後工程と前工程との間で2種類のかんばんを用いて情報のやり取りを行い、生産活動が繰り返し行われます。
こうすることで、無駄な作業や過剰在庫を徹底的に省き、製造ラインにおける業務フローの効率化を実現しているのです。
トヨタ自動車では「ジャスト・イン・タイム」と「かばん方式」。こうした2つの生産方式を適切に組み合わせて活用することでムダを省き、効率的な生産を実現しているのです。
ただし、トヨタ生産方式には向き不向きがあり、すべての企業で有効な方式ではないので注意が必要です。
たとえばルーチンワークの少ない製造ラインや時期によって生産量が大きく変動する製品を扱っている企業などでは、トヨタ生産方式は効果的ではありません。
前項で説明したとおり、業務平準化を実現するためにはいくつか重要なポイントがあり、なかでも重要なのが「業務の見える化」と「業務マニュアルの作成」です。
特に業務マニュアルは、誰が見ても理解できるようなクオリティで作成しなければ意味がなく、ExcelやWord、PowerPointなどを使って作成するのはハードルが高いと言えます。
忙しく働くなか、効率的かつクオリティの高いマニュアルが作成できるマニュアル作成ツールの活用が欠かせません。
この章では、数あるマニュアル作成ツールの中から、オススメできるツールを厳選して紹介していきますので、ぜひ自社にマッチしたマニュアル作成ツールをお選びください。
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特定の業務量に対して従業員ごとに偏りが生じている場合、その偏りを正しく振り分け、業務量を均等にすることを業務平準化といいます。
業務平準化がされておらず、リソースとタスクのバランスに偏りがある状態だと業務効率の悪化や品質低下など様々なデメリットをもたらし、最終的に顧客満足度の低下や離反に繋がるリスクが高まります。
現時点において、従業員によって作業量に大きな違いがある。業務に対して属人化している。定常的な業務での時期によって業務量に偏りやバラつきがある。…特にこうした場合などでは業務の平準化ができていない状態であると言えるため、今一度業務プロセスを見直す必要があるでしょう。
ただし、業務平準化の実現は決して簡単なものではありません。そこにはすべての業務フローを可視化しながら業務プロセスにおけるムダを見つけ、繰り返し改善させていく必要があります。
そのため、業務平準化の考えを取り入れる際は、一気に着手するのではなく、まずは小さい範囲から実行していき、徐々に拡大させていくことをおすすめします。
画像出典元:O-DAN
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