近頃さまざまな企業で話題となっているオンボーディングとは、何のことかご存知ですか?
オンボーディングとは、新入社員がスムーズに自社に馴染み、活躍できる環境づくりを行う施策を指します。
今回はオンボーディングのメリット・デメリットを交えて、詳しく解説していきます。
実際に行われた施策もご紹介しますので、自社でも取り入れられる施策があれば積極的に導入してみてください。
このページの目次
オンボーディングとは、自社に新たに入社してくる社員の早期定着・戦力化を促す施策です。
ここではオンボーディングをする目的や重要性、導入の際に人事担当者がしなければならないことについて解説します。
入社したばかりで何もわからない社員に向けて行うオンボーディングは、多くの企業が育成プログラムとして導入しています。
1日でも早く自社の雰囲気に慣れ、組織に溶け込むことで、新入社員のモチベーションやパフォーマンスを最大限に引き出すことが可能です。
欧米ではすでに一般的な育成プログラムとして導入している企業が多いですが、日本ではまだあまり浸透していません。しかしオンボーディングの効果に魅力を感じて、近頃は日本企業でも積極的に導入され始めています。
オンボーディングの目的は「新卒・中途で採用された社員の早期活躍・定着化」です。早く企業に馴染み、成果が出せれば、企業としても社員としても大きなメリットになります。
さらにオンボーディングを行う重要性は次の3つが考えられます。
オンボーディングは、明確なマニュアルと細やかなコミュニケーションが特徴の育成プログラムです。
仕事を覚えるまでの手順がマニュアル化されているためスキルを身に着けやすく、先輩社員の細やかなフォローでより高いパフォーマンスの発揮が期待できます。
また社員自身が活躍できていると感じられれば組織への愛着が湧き、離職率低下も期待できるでしょう。
人事担当者の頭を悩ませる離職率の低下は、採用コストの削減も可能になるため、より高くオンボーディングの効果を感じられます。
オンボーディングの導入で人事担当者がすべき、5つの業務についてご紹介します。
オンボーディングを行う上で1番重要なのは、入念な新入社員の受け入れ準備です。
仕事に必要なツール、社員専用の仕事道具、マニュアルの作成など細やかな準備が必要になります。
受け入れ準備が不十分だと、新入社員も働きづらさを感じてしまうので徹底しておきましょう。
新入社員が入社する前に、教育方針や育成担当者の決定、社員の席の配置など環境の整備が必要です。
特に育成担当者の決定は、オンボーディングの進捗にも関わってきます。新入社員の保有資格や経歴に合わせた担当者の選定を目指しましょう。
離職原因の1つとも言われる職場の人間関係のサポート体制は、人事担当者の急務でもあります。
組織の内部について新入社員に詳しく説明しておき、チーム間の関係性、役割も説明できるといいでしょう。
よりきめ細やかなフォローのために、メンター制度の導入もおすすめです。
人事がすべきことの4つめは、新入社員と組織内の目標をズレなくマッチングさせることです。
部門や部署によって新入社員に求めるスキルや成果は異なるため、社員に求める目標の明確化は早期に行うべきでしょう。
また新入社員も自分に求められていることが分かれば、パフォーマンスを発揮しやすくなるメリットもあります。
オンボーディングの導入で人事がすべきことの最後は、社員へのこまめなフィードバックと目標の細分化です。
こまめなフィードバックは、身についたスキルの振り返りにもなり成長スピードを効率的に高められます。
さらに目標を細分化し、小さな成功体験を積み重ねることによって、より仕事へのモチベーションが向上しやすくなるでしょう。
オンボーディングの導入にはメリットとデメリットがあります。
ここでメリットとデメリットを詳しくご紹介します。
オンボーディングを導入するメリットは次の5つです。
1. 社員の即戦力化
2. チームのパフォーマンス強化
3. 社員のエンゲージメント向上
4. 離職防止
5. 採用コスト削減
1つずつ確認していきましょう。
メリットの1つ目は、オンボーディングの目的でもある社員の即戦力化です。
一般的に新入社員の戦力化は約1年かかると言われています。しかしオンボーディングでは、従来のOJTよりも明確化された育成マニュアルが作成されるため、効率的に新入社員の育成が可能です。
指導する内容や方法が一貫されているため、育成担当者によるサポート体制のばらつきもありません。
これにより新入社員はスキルを身に着けながら活躍ができ、貢献していることが感じられれば、社員自身の承認欲求も満たされるでしょう。
一般的な企業で行われる新入社員の育成は、育成担当者に任せっきりになる企業が多く、サポート体制が不十分になりがちでした。
オンボーディングは企業全体で行う育成プログラムのため、育成担当者、所属部署の人材だけでなく、社内全体で行われます。
企業の将来的なビジョンを社員全員が理解しやすくなるため、新入社員だけでなく既存社員の生産性や結束力の向上も期待できるでしょう。
オンボーディングを行うことで得られるメリットに、新入社員のエンゲージメントの向上が期待できます。
エンゲージメントとは、企業や部署に対する愛着や思い入れのことを指し、仕事に対してポジティブな意欲を持つことです。
海外ではオンボーディングと同様に、エンゲージメントの向上を意識している企業が多いです。
社員の早期戦力化によって企業への貢献を感じ、成果を評価されると仕事へのやりがいを感じやすくなるでしょう。
厚生労働省が発表した2019年雇用動向調査結果の概要を確認すると、収入の低さや定年の他に、次の3つが離職原因とされています。
昨年の調査と比べると男女ともに人間関係が原因の離職が増加傾向にあり、特に女性は労働条件の次に多い離職原因です。
オンボーディングでは、メンター制度や誰にでも相談しやすい環境など積極的なコミュニケーションで新入社員の定着化が期待できます。
新入社員にかかる採用コストは高く、1人前の社員に育成するには100万円以上かかると言われています。
しかし、厚生労働省の調査によれば、入社から半年で1割の新入社員が離職するケースもあり、企業としては大きな損失になりかねません。
オンボーディングの導入で離職率が下げられれば、求人サイトへの広告費や採用担当者の人件費など、多くの採用コストが削減できます。
採用コスト以外にも、新入社員の目覚ましい活躍で事業の発展にもつながるでしょう。
オンボーディングを導入した際に、考えられるデメリットは3つあります。
自社でオンボーディングの導入を検討されている方は、導入前に確認しておきましょう。
オンボーディングのデメリットに、育成コストが必ずかかってしまうことが挙げられます。
新入社員を育成する担当者は、自身の業務のほかにオンボーディングプログラムを実施しなければなりません。
またオンボーディングプログラムを選定、作成など人事担当者の業務も増加するため、導入当初は育成コストが高くなる傾向にあります。
オンボーディングのメリットは、社内全体で一貫した指導マニュアルの整備ができることですが、稀にサポートにバラつきがでてしまいます。
これはマニュアルの選定がうまく出来ていないと起こるデメリットで、現場に混乱が起きる前にマニュアルの見直しが必要です。
ただ定期的にマニュアルをブラッシュアップしておけば、改善できるポイントでもあります。
多くの企業が採用しているメンター制度ですが、社員同士の相性が悪いとカリキュラムが進みにくくなってしまう可能性があります。
メンターのマッチングには、社員同士のパーソナリティを把握し、必要に応じて交代制度や複数人の配置など工夫する必要があるでしょう。
ここで実際にオンボーディングを導入した3社の事例をご紹介します。
取り入れられる点があれば、積極的に採用してみてください。
フリマアプリ「メルカリ」で馴染みのある株式会社メルカリでは、オンライン環境でできるオンボーディングプログラムを導入しています。
オンラインでも効率的にオンボーディングを行うため、社内統一のオンボーディングプログラムを導入しています。
これによりチームや部署による育成のバラつきがなくなり、新入社員全員がスムーズに業務を開始できるようになりました。
また横のつながりを構築するために、オンライン同期飲みやGoogle Meetを利用したメンターランチも定期的に行われています。
日本オラクル株式会社では、新入社員のオンボーディングを全社員の仕事として導入し、成功しています。
新入社員の定着は最初の1カ月で決まると考えられており、営業社員に向けた特別な5週間研修も実施。
さらに「ナビゲーター」と「サクセスマネージャー」2人のメンターを配置し、きめ細やかなサポートが行える環境になっています。
実務的、人事的な相談を誰にすればいいか明確になっているため、新入社員の不安も解消できる事例でしょう。
「ランチワゴン」「ペパボカクテル」などユニークなオンボーディングプログラムを導入しているのがGMOペパボ株式会社です。
新しく入社した人材を歓迎する文化が根付いていて、社内チャンネルに社員が追加されると積極的なコミュニケーションが行われています。
中途社員向けの専用チャンネルもあり、どのポジションの社員も横のつながりが構築しやすく孤独感を感じない配慮がされています。
オンボーディングを導入するためには、わかりやすいマニュアルの作成は外せません。
マニュアル作成ツールは複数のテンプレートが用意されており、初めてマニュアル化する業務も簡単にまとめやすくなっています。
画像や動画の挿入も簡単で、文字だけのマニュアルよりも直感的に理解しやすいでしょう。
また多くのマニュアル作成ツールは、充実したサポート体制が利用できます。
効果的なマニュアル作成講座や、基本的なツール操作の講座の提供など、アフターケアも万全なので安心して利用できるでしょう。
Teachme Bizは、認知度も非常に高い王道のマニュアル作成ツール。小売・飲食・宿泊・製造・ITなど幅広い業種で使われています。
マニュアルの作成だけでなく浸透や改善までサポートする機能があります。
機能性の高さの代わりに料金は月額5万〜30万円とやや高めにはなっています。
・マニュアル作成機能
感覚的な操作で、かんたんにマニュアルをスピーディーに作成
・マニュアル承認機能
マニュアルの公開・更新時の承認フローの設定をして、品質維持を図れる
・トレーニング機能
新人教育のコース作成・配信ができる
初期導入にかかる費用はいずれも50万円で、編集アカウントと閲覧アカウントの数で月額(5万円〜30万円)が変動します。
どのプランでも閲覧回数・マニュアル作成の回数が無制限で利用できます。
詳細は資料をご参照ください。
tebiki(テビキ)は、誰でも簡単に動画マニュアルが作れ、スタッフの習得度合いを管理できるマニュアル作成ツール。
製造業・サービス業・IT企業や会計事務所まで、幅広い業種・業界で実績があるのも特徴です。
動画マニュアルは扱えるファイルの種類が多く、また編集がしやすいと評判。
自動字幕機能や100ヶ国以上の自動翻訳機能も搭載しています。
・直感的に操作できる動画マニュアル作成機能
シーンカット、静止などもかんたんに編集できる
・習熟度をクラウドで管理
誰がマニュアルをみたか、できるようになったかをレポートで管理
・100ヶ国語以上に対応
ボタン1つでマニュアルを自動翻訳
無料トライアルがあります。詳細は資料をご参照ください。
画像出典元:「はたらきかたマニュアル」公式HP
マニュアルの調査・作成委託・クラウド編集・配信という4つのサービスから成る業務マニュアルの総合サービスです。
全ての機能を利用することはもちろん、必要なものだけを個別に契約することも可能なので、自社の課題に合わせたオーダーができる使い勝手のよいサービスです。
多言語化・リライトにも対応。マニュアルの電子化や現場とのミスマッチに悩んでいる会社にうってつけです。
・調査、分析サービス
ワークフローを調査・分析し、マニュアルを精査
・マニュアル作成
HTML化・多言語化・構成設計もお任せ可能
・マニュアル作成エディター
クラウド上でマニュアルを作成できるツール
スタンダードプランは月50,000円。20ユーザー・10マニュアル・10GBストレージの範囲で使用可能です。
無料トライアルすることができるので、まずは自社に合うか確認してから導入することをおすすめします。
画像出典元:「iTutor」公式HP
iTutor(アイチューター)は、高品質なマニュアルを「取込・編集・出力」の簡単3ステップで作成できるツール。
マニュアルの理解度を高めるのに効果的と言われるe-ラーニングコンテンツも、ドラッグ&ドロップの基本操作でスピーディーに作成ができます。時短作業ができ、コスト削減も実現できる優れもの。
・スピーディーな取込
キャプチャーツールの利用で、動画も含む既存のコンテンツを有効に、かつスピーディーに取り込むことができる
・便利な編集ツール
取り込み後のキャプチャーは、操作手順等が自動でコメント化され、編集ツールで自由に加工・編集が可能
・あらゆる用途へ出力
ドキュメント形式、ムービー形式、HTML形式への書き出しが可能
▼ マニュアル作成ツールを詳しく知りたい方はこちらでご覧ください ▼
オンボーディングはスムーズに導入できれば、企業にとって大きなメリットが得られる施策でしょう。
今回の記事をまとめると、このようになります。
ご紹介したオンボーディング導入事例は一部ですが、日本でも多くの企業が導入し始めています。
人事担当者としても離職率の低下や、採用コストの削減などさまざまなメリットがあるので、ぜひ導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
画像出典元:写真AC
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