これから新入社員を迎えるものの、どうやって接していいかわからない…。こんな悩みを抱える上司・先輩社員は多いものです。
新入社員の傾向を理解し上手にフォローすることができれば、信頼関係も構築できるので、早期離職の防止にもなります。
また、上手くコミュニケーションがとれていれば、教育もスムーズに進むので早期戦力になる事も期待できます。
この記事では、「さとり世代」とも揶揄される今どきの新入社員を理解し、新入社員が例年抱えやすい悩みや具体的なフォロー方法、さとり新入社員に適したフォローポイントを紹介しています。
新入社員との付き合い方に不安を抱えている方は、ぜひ参考にしてください。
このページの目次
新入社員との親睦を深めるつもりで誘った飲み会や、叱咤激励のつもりでした発した一言も「時代遅れ」「パワハラ」と言われてしまうなんてことも、最近では良く聞く話。
これは、どちらが良い・悪いという事ではなく、今どきの新入社員の育ってきた世相が上司にあたる人達とではまったく違うので、物の見方や価値観も異なる故に生じてしまう悲しい事象です。
「なんだか面倒だから関わるのはやめよう」と、新入社員を意味不明な宇宙人にカテゴライズしてしまう前に、理解することはとっても大切です。
この章では、これから迎える新入社員の産まれた時代や育ってきた時代、彼らの傾向を整理しておきましょう。
これから入社する新入社員が高卒であれば満18歳、四大卒であれば22歳という年齢です。
2021年度入社となれば、高卒の新入社員は2003年に産まれ、四大卒は1999年に産まれています。(1~2年の浪人や留年も大きな年の差はないので同じ世代と考えてください。)
1999年といえば、ノストラダムスの大予言で地球が滅びるなんて言われていた年で、コギャル文化が進化したヤマンバというファッションが一部若者の間で大流行。NTTドコモから、携帯電話でEメールやインターネットが出来る画期的なIモードサービスが開始された時代です。
そして、2000年代前半は、中国発の新型肺炎SARSが大流行したり、今は亡きマイケルジャクソンも健在でした。当時の人気アイドルはSMAPだったし、イチロー選手がメジャーリーグに行き、その活躍が話題となる…そんな時代でした。
そうそう、AKB48が発足したのは2005年なので2003年産まれの新入社員達はイヤイヤ期の真っ最中だったなんて驚きですね。
「さとり世代」とは「ゆとり世代」から派生した言葉で、もともとインターネット上で使われていた言葉ですが、2013年の流行語大賞にノミネートされたことから一躍有名になりました。
さとりとは「悟り」から来た言葉で、堅実で物欲や恋愛欲などの「欲が無い」という意味から来ています。
また、インターネットでなんでも情報収集できる環境で育ったため、実体験がなくてもインターネットで得た知識のみで全てを悟ったような気になっているという嫌味を含んだ言葉でもあります。
さとり世代が作られた背景には、なんでも手に入る便利な時代に産まれ、不自由な思いをした事がないといったことが挙げられます。
1996~2005年頃生まれの人々が該当するとされる「さとり世代」はまさに新入社員の年代ど真ん中なのです。
さとり世代と呼ばれる人達には以下のような傾向があります。知っているのと知らないのとでは付き合い方も大きく変わるので参考にしてください。
ただし、全ての人に当てはまるわけではないので、あくまで傾向があるというふうにとらえてくださいね!
物事に対する熱量や欲は少な目です。感心のあることに情熱は注ぎますが、それ以外の事には基本的には省エネです。
また、恋愛も面倒くさいと考えたり、ブランド品や車といったものにあまり魅力を感じていません。
欲は少な目なので、出世してお金が欲しい、良い企業に勤めたいという社会的ステータスを得る事よりも、自分の時間を大事にします。
自分の時間を犠牲にしてまで、出世をしたいとは考えていません。
便利な環境で育ってきたので、時短できるものや簡素化できるものを選んだり好んだりする傾向があります。
無駄は極力省きたいと考えているので、服装もシンプルで持ち物も少ないミニマリストが多いです。
現実的で合理主義なので、自分自身が疲れてしまうような無理はしません。
自分の能力や限界を把握しているので、限界まで頑張るようなことはありません。また、「努力をすれば報われる」「苦労は美徳」と言った言葉や考え方は通じませんし、信用していません。
物心ついたころからインターネットが身近な存在で、依存気味の人も多いです。わからない事を人に聞くより、ネットで調べるのが当たり前の世代です。
現実的で合理主義なので、インターネットを頼った方が早いとも考えています。
意外や意外、コミュ力は高めです。
日頃からSNSで情報を発信したり、色んな人と気軽にコミュニケーションをとる事に慣れているので、コミュニケーションをとる事は上手な世代です。ただし、深くは関わろうとはしません。
毎年話題になる新入社員ですが、実はこの近年にはじまったことではありません。
上司や先輩社員世代も、入社当時は「今どきの新入社員」として、色んな特徴があり、面白おかしくマスコミに取り上げられました。
さらに遡ってみると、
1973年の新入社員は、
大人しく可愛いが人になつかない『パンダ型』
引用元:公益社団法人日本生産性本部「新入社員の特徴とタイプ」
1977年の新入社員は、
見た目は綺麗で根が生えず、夜のネオンでよみがえる『人工芝型』
引用元:公益社団法人日本生産性本部「新入社員の特徴とタイプ」
などと特徴と共にネーミングされています。
これは、毎年3月に「公益社団法人日本生産性本部」から発表された「新入社員の特徴とタイプ」で、毎年の新入社員の特徴とタイプを社会の様子を表す言葉からネーミングしたものです。※現在は打ち切られています
1970年代入社の新入社員は今や60代で、今の新入社員世代からみればお父さん、もしくはおじいちゃんの年齢。
そのお父さん・おじいちゃん達も、入社当時は「最近の若者は」「何を考えているのかわからない」なんて言われ、パンダや人工芝などと揶揄されていたんです。
つまりは、いつの時代も「今どきの新入社員は…」と、言われ、付き合い方を考察されるのが新入社員の常というわけです。
まったく違う世代の人々を理解するのはなかなか難しいものですが、「自分たちの時代もそうだったな。」と思い出せれば、新入社員をもっと身近に感じることができるようになりませんか?
新入社員を理解して付き合い方を知れば、コミュニケーションもフォローも上手くできるようになります。
その必要性は主に以下が挙げられます。
1. 早期離職の防止
2. 時間とコストの削減
3. 早期戦力化
4. 社内環境が良好になる
5. 社員のモチベーションの向上
では、詳しくみていきましょう。
上手く上司とコミュニケーションがとれないことから、その関係性に悩み、居心地の悪さを感じる新入社員も少なくありません。
業務内容よりも職場環境を大切なポイントとしている若者にとって、職場の雰囲気次第では退職を考えるなんてこともあり得る話です。
早期離職を防ぐ為にも、しっかりと新入社員をフォローし関係性を築いておきましょう。
孤立した新入社員が離職してしまったり異動してしまった場合、「最悪な職場だった!」「上司の感じがすごい悪かった」などといった風評被害が出る恐れもあります。
特に最近はSNSで情報が拡散できる時代ですし、企業の口コミも簡単に投稿する事ができます。
ボタンのかけ違いのような不本意な被害を防ぐ為にも、日ごろから新入社員とコミュニケーションを取るべきです。
新入社員と上手くコミュニケーションがとれていないと、的確な指示やフォローができません。
頼んだ仕事が不十分で、結局自分がやり直す、また一から教えるはめになるなど、時間のロスや残業代などのコストがかかります。
また、前述した早期離職がおこった場合には、その時間とコストは膨大です。
上司や先輩社員の中には新入社員の扱い方がわからず「声をかけずらいから自分でやってしまおう」といった人も少なからずいます。
それでは新入社員も育たず、本末転倒です。
日頃からコミュニケーションをとれていれば、新入社員の得手不得手も理解でき、教育もスムーズにすすみます。その結果、早期戦力として活躍が期待できます。
新入社員への接し方が良く分からず、苦手意識を持って付き合っていると、自然と相手にも伝わる物です。人間関係は合わせ鏡です。
職場にギスギスした空気が漂うのは、周りにいる従業員への配慮も考えて絶対に避けるべき事象です。
適切適度なコミュニケーションは職場の雰囲気が明るくなり、社内環境も良好になります。
自分の事を理解してくれる、適度な距離感でコミュニケーションをとってくれる上司は、新入社員にとっては、有難く頼もしい存在です。
また、日ごろから新入社員のフォローが出来ていれば、仕事の上でも不安や不透明な部分がなくなります。
わからない事があればすぐに相談ができる環境・関係が整っているという安心感から、失敗を恐れずチャレンジすることができます。
その結果、新入社員の自信にも繋がるので、仕事へのモチベーションが上がります。
そうなると必然的に社内の士気も上がるので、他の従業員へも良い影響が期待できます。
ここからは、例年、新入社員が抱えやすい不安や悩みを取り上げます。
こんなことで?といったこともあるかもしれませんが、社会人経験が長くなるとつい忘れがちな初心でもあります。
見て見ぬふりや軽く受け流すようなことはせずに、悩みや不安を解決できるように心に留めておきましょう。
基本的なビジネスマナーがまったくわからない!といった悩みを抱える新入社員は非常に多くいます。
主に、
などが挙げられます。
入社前に一応、ネットで調べたけど…といった机上の知識は、実践の場ではまったく応用がきかなかったりします。
特に名刺の渡し方については、タイミングも難しく、苦手意識を持つ新入社員も少なくありません。
友達と過ごす事が主だった学生時代とは異なり、上司や先輩、同僚とは社会人としての付き合い方を求められます。
取り巻く人間関係が大きく変わるので、回りと上手くやっていけるのか不安になります。また、上司や先輩と何を話していいかわからずに悩む場面もあります。
上司や先輩社員との距離感を掴むのに試行錯誤する新入社員は多いでしょう。
新入社員には、日々の業務の他にも覚えなければいけないことが沢山あります。それに、社会人としての生活リズムを掴む事にも必死な毎日。
聞きなれない用語や、研修などの流動的なスケジュールにより、「全然、仕事が理解できない!」といった状況に陥ることも。
仕事が出来ないと思うと、「この先この会社でやっていけるのか…」といった不安までも感じ初めます。
企業理念や職場の雰囲気、条件なども理解して入社したはずなのに、思っていたのと何か違う…こういった悩みを抱える新入社員も必ずいます。
入社して実際に自分が働き始めた事で見えてきた、理想と違う一部分にフォーカスしてしまい悩み始めるのです。
やりたい仕事に関わらせてもらえない、残業が多かった、理想とする上司や先輩がいない…など、社内の欠点ばかり気になってしまい、転職したいと考え始める新入社員もいます。
新入社員へ行うフォローは、新入社員が抱える悩みの解決と、企業が懸念する早期離職や、早期戦力化にダイレクトに繋がっています。
企業が行うべき新入社員への具体的なフォロー方法と、その効果を確認しましょう。
多くの企業では、新入社員研修にビジネスマナーのカリキュラムが組み込まれていますが、ベンチャーや中小企業においてはビジネスマナー研修がないといった所もあります。
特に最近のベンチャーでは、若い起業家が率いる会社の社風で、上司・部下といった垣根がなく、かしこまった敬語も必要ないといった場合もあるでしょう。しかし、ビジネスマナーは相手への最低限の思いやりです。この先、充実した社会生活を送る為にも身につけておくべきです。
また、平均年齢層の高い中小企業などにありがちですが、研修がない変わりに先輩上司の「俺の背中を見て覚えろ」的な発想はNGです。
今では非効率な指導方法とされ、教える側に指導力が足りていないと判断されます。これはビジネスマナー以外の業務上の指導にも当てはまりますので注意が必要です。
新入社員研修にビジネスマナーが組み込まれていない場合は、入社早期に時間を設けて、実演やロールプレイングなどを交えて丁寧に指導しましょう。
業務についての悩みは、フォローアップ研修をすることにより解決できます。
フォローアップ研修は初回の研修終了後に一定期間おいて、再度、同じメンバーで研修を行うので、振り返りや研修の効果を実感することができます。
入社直後の研修だけでは聞くだけで終わってしまう場合がほとんどですが、フォローアップ研修は、実務期間を経てから実施するので、高い教育効果が期待できます。
学んだことがどれだけ定着しているかも自覚することが出来ますし、抱えている課題や悩みを仲間と共有することで解決ヒントが得られたりします。
また、研修を行う事で生じる適度な緊張感と仲間から得る刺激で仕事に対するモチベーションを維持・向上する効果もあります。
新入社員が職場の人間関係に悩むことがないように定期的なフォローアップ面談を行いましょう。思っていた職場と違ったと考える新入社員にもこの面談は効果的です。
フォローアップ面談には直属の上司以外の人事部が新入社員と個別に話をする面談と、直属の上司が話を聞くものとがあります。
前者では普段の業務でかかわる事のない第三者との対話なので、新入社員も話がしやすく、本音を引き出しやすいのがポイントです。
話を聞いた人事部も組織全体の課題を掴むことができます。
後者は、新人が抱える不安や不満、課題を上司がダイレクトに把握できることと、新入社員と個別で向き合う時間を作ることにより、信頼関係を築けるメリットがあります。
フォローアップ面談は、新入社員が仕事に慣れ、疑問や不満を抱え込み始める時期が適切です。入社から3ヶ月~1年後に行うのがいいでしょう。
メンター制度は、メンター(先輩)がメンティー(新入社員・後輩)に業務の他にも幅広い支援を行う制度です。
業務の内容や仕事を教える新人教育とは違い、メンティーが抱える悩みを聞きサポートをします。
メンター制度を取り入れれば、メンティーは、悩みを一人で抱え込むこともなくなり、職場に早く馴染むことが出来ます。また、メンターとの信頼関係を築けるといったメリットがあります。
最近では、こうしたメンター制度を導入し、新入社員の早期離職を防いでいます。
新型コロナウイルスの影響で、今年度はオンラインで入社式や新入社員研修を行う企業も増えています。
入社後も暫くはリモート勤務という企業も少なくありません。
コロナ禍で新入社員は主に、
といった悩みを抱えやすくなります。
リモート勤務では新入社員は上司や先輩、同僚などとも直接的なコミュニケーションを図る機会もないので、人間関係が構築できず、孤独を感じてしまいがちです。
また、仕事についても、全体が把握しずらく自分の作業部分しか見えないので、達成感を感じずらくなります。
こういったことを踏まえて、企業は例年以上に新入社員のケアをする必要があります。
リモートで行う研修や面談も新入社員が不安を感じることがないよう、事前にWEB会議ツールについてや進行方法について確認しておきましょう。
そして、新入社員が質問や相談をしやすい環境を整えることは必須です。
チャットツールは積極的に導入し、就業時間内はリアルタイムで繋がれるようにしておきましょう。
ここまでで、具体的なフォロー方法を紹介しましたが、闇雲に実施するだけでは効果は期待できません。
さとり新入社員にはさとり新入社員に適したフォローポイントがあることを踏まえて実施しましょう。
フォローの際は以下の点に注意しましょう。
自分の時間を大切にしているさとり新入社員は、プライベートを詮索されるのを嫌います。
ついつい、コミュニケーションのつもりで聞いてしまいがいですが、相手との関係が構築できていないと、「詮索されている」というマイナスイメージを持たれてしまいます。
入社後しばらくは、休日や就業後の過ごし方といった質問は避けた方が無難です。ただし、自分から話したがるタイプのさとり新入社員には、様子を見ながらこちらが踏み込んでいい領域を探っていきましょう。
ここは、時間をかけて信頼関係を築くのがベストです。本来、コミュ力は高いので、心を開けばプライベートの話も気軽に出来るようになります。
「やる気があればなんでもできる」「根性が足りない」「願えば叶う」などといった具体的根拠のない精神論や根性論は、現実的で合理主義のさとり新入社員の心には響きません。
こちらが熱くなればなるほど、「人生論を押し付けられても…」と、ストレスを感じてしまいます。
アドバイスはもっと具体的に、どういった行動を取るべきなのか、なぜダメだったのかといったように、彼らが頭のなかで整理しイメージできるように伝えましょう。
精神論や根性論が響かないさとり新入社員ですが、成功や成果の達成感を教えることにより、努力して得た結果に喜びを感じるようになります。
また、初めから大きな仕事を任せてしまうと、現実的で合理主義な上に無理はしないので「自分にはできない」と早々に諦めてしまいます。
成功体験を得て自信をつけさせながら、大きな仕事を任せて行くのがポイントです。
毎年入社する色んなタイプの新入社員。もはや、傾向を掴んだりフォローの仕方を模索するのは企業にとって慣例ともいえます。
特に今年度はコロナウイルスの影響で受け入れ体制が例年通りにはいかないといった企業も多く、そのフォローの仕方に課題を感じることでしょう。
新入社員を理解し、上手にフォローするれば早期退職の防止や早期戦力化も期待できます。
この記事が良好な関係を築けるきっかけになれば幸いです。
画像出典元:o-dan
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