新入社員が入社からわずかな期間で離職してしまう早期離職。
近年、新入社員の早期離職を防止するために多くの企業がさまざまな施策を行っています。
採用・育成した社員が早期に離職してしまうと、採用コストや現場の士気が下がるなど企業へのダメージも大きいものです。
今回は新入社員が辞めてしまう理由をランキング形式で紹介します。
新入社員が辞める兆候も解説しているので、離職防止対策に悩んでいるときの参考にしてみてください。
このページの目次
採用した新入社員の研修活動にせわしない4〜6月ですが、研修活動以外にも深刻な課題が新入社員の早期離職です。
近年、新入社員の早期離職の増加により、企業にとっては採用コストなどの損失が高くなっています。
厚生労働省が発表した「新規学卒就職者の離職状況(令和3年10月)」では、就職後3年以内の離職は高卒では36.9%、大卒では31.2%です。
リクルートワークスが行った調査では、入社半年未満で超早期離職する新入社員が約10%と、入社研修から配属直後の離職も見受けられます。
せっかく獲得した優秀な人材を育成し、期待を込めて配属した途端に離職されてしまうと企業にとって大きな損失になりかねません。
学歴や卒業年によって早期離職率は多少異なりますが、新入社員が離職してしまう大きな理由は「業務のミスマッチ」以外にもさまざまな要因が考えられます。
株式会社ビズヒッツが、新卒1年未満で転職経験がある381名を対象に行ったアンケートの結果をまとめてみました。
順位 | 転職理由 | 票数 |
1位 | 人間関係の悪さ | 119 |
2位 | 長時間労働・休日の不満 | 86 |
3位 | 仕事内容が自分に合っていない | 66 |
4位 | 求人内容と違う現実 | 31 |
5位 | 給与が低い | 26 |
6位 | 他の仕事に興味を持った | 24 |
7位 | 残業代・給与の未払いがあった | 23 |
8位 | 勤務地への不満 | 16 |
9位 | 体調不良・怪我 | 14 |
10位 | 成長できない | 12 |
※381名(複数回答あり)
新入社員が辞める理由の第1位は「人間関係の悪さ」でした。
長時間労働や給与の低さなど労働条件への不満も多くありましたが、セクハラや社内のいじめといった、人間関係の悪さがきっかけで転職を意識する新入社員が多いようです。
ここからは具体的な退職理由を一部紹介します。
新入社員が辞める一番の理由は、いじめやハラスメントなど人間関係の悪さに起因しています。
いじめなどがなくても上司や同僚とそりが合わず、人間関係に馴染めなくて辞めた人も。
新入社員のときには、周りの先輩や上司が忙しそうにしていると、質問していいのか悩んで働きにくさを感じてしまうこともあるものです。
人間関係の悪さは新入社員以外の転職理由の上位にもあり、多くの人が悩まされている理由ともいえます。
退職理由として第2位にあがったのが、長時間労働や休日への不満です。
長時間労働による体調不良や残業代の未払い、休みが自由に取得できないことなど労働環境に関する不満が多く寄せられています。
中でも採用面接ではあまり残業がないと聞いていたのに、配属先ではサービス残業が横行していたというケースも。
上司のマネジメント不足による業務量の増加も、早期退職を考える一因となっているようです。
事前に聞いていた仕事内容と配属先の業務とのミスマッチが、退職理由の第3位です。
営業ノルマや、自分の特性にあっていない配属など、実際に業務に携わってから感じる差に自信をなくし、離職を検討する新入社員もいました。
企業側は採用や研修時など、細やかに業務内容を説明しているつもりでも、新入社員にとってはイメージとのギャップが生じている可能性があります。
早期退職理由第4位は、求人内容と実際の業務・配属が違うことです。
会社説明会では事務職と聞いていたのになぜか営業職に配属された、転勤がないと聞いていたのに毎年のようにあるなど、労働条件の食い違いが早期退職につながっています。
自分に合う条件だから入社したと考えている新入社員も多く、企業に悪意がない場合であっても不信感を持たれてしまうことがあるのです。
採用面接などでしっかりと説明していても、給与の低さが早期退職につながってしまうこともあります。
配属されてから業務内容の割に給与が低いと感じる新入社員も多く、同年代の給与と比較して転職を考えることもあるようです。
給与自体に不満を持っていなくとも、実際の業務量に対して報酬が少ないと感じている新入社員が多くいました。
他の仕事に興味を持つことで、早期退職した新入社員もいました。
元々違う仕事に興味を持っていた新入社員が諦めきれずに早期退職するケースもありますが、業務を行った上で違う仕事に興味を持つケースもあります。
志望していた他の企業から、繰り上げ採用の連絡があったため退職した新入社員もいました。
早期退職理由の第7位は、残業代・給与の未払いです。
業績不振により給与の未払いが起きたり、残業代だけでなく出張費も自腹だったりと、企業の将来を不安視して離職しています。
未払い以外にも、残業代がでないから先にタイムカードを押すことを強要されたなど、コンプライアンス違反などの問題もあるようです。
希望勤務地で働けなかったことなど、勤務地への不満によって退職する新入社員もいます。
一部の人には憧れの、海外赴任をきっかけに転職を考える新入社員もいるため、遠方へ配属する場合は、早めに打診をして働くイメージができるか聞いておくといいでしょう。
体調不良や怪我によって働けなくなることで、やむを得ず早期離職する新入社員もいます。
長時間労働が原因で体調不良になってしまった社員もいますが、交通事故など不慮の事故によって働けなくなった新入社員もいました。
早期退職理由第10位は、働き続けても成長できないと感じて退職しています。
人間関係や労働条件に不満はなくても、放置され続けたりスキルアップできない業務内容だったりと、成長が見込めない環境に転職を考え始める新入社員も。
身近に尊敬できる先輩や上司がいないと、自分の将来に不安を感じてしまうのかもしれません。
新入社員が退職を考え始めるときは、さまざまな兆候が見られますが、ここでは新入社員が退職を考え始めたときにみせる3つの兆候について紹介します。
新入社員の身だしなみがいつも以上に整っているときは、退職を考え始めているかもしれません。
すでに転職活動を始めていると、すぐに面接に行けるよう身だしなみを整えることも。
身だしなみ以外にも休憩時間外に私用携帯での電話などが増えている場合も、転職エージェントを利用している可能性があります。
これまで飲み会などに参加していた新入社員が、突然参加しなくなったときは退職する兆候であると考えられます。
同僚とのコミュニケーションも減っているようなら、必要以上に情が湧いて辞めにくくならないよう、必要最低限のコミュニケーションにしている可能性も。
新しい業務を新入社員に教えても関心がない場合、単なるモチベーション低下だけでなく退職を考えているかもしれません。
スキルアップが見込める新しい業務は、新入社員にとっても関心が高いものでしょう。
業務に関する質問をしなくなるなど、これまでの態度と違うようであれば退職を考えている兆候と考えられます。
新入社員の早期離職を防ぐためには、新入社員が感じているミスマッチや不安を取り除く必要があります。
離職の大きな原因である新入社員とのミスマッチを防ぐためには、入社後研修だけでなくキャリアプランの相談会など、定期的に将来をイメージしてもらうことも重要です。
どのような人材になってほしいか、各ポジションで身につけられるスキルを紹介することで、新入社員も業務のイメージがしやすくなります。
これから築きたいキャリアや、自分はこれからどのように行動していけばいいのかなど、明確な目的を持つことで新入社員のモチベーションも高められるでしょう。
社内にメンター制度を導入したり、同期や年齢の近い社員同士でコミュニケーションを取りやすくしたり、メンタルヘルスケアを意識していきましょう。
新入社員は慣れない仕事や新たな環境、コロナ禍でのリモート勤務などで不安を感じやすくなっています。
特に部署内の平均年齢が高い場合には、年齢差が原因で話がしにくく疎外感を感じてしまう可能性も。
新入社員が自発的に相談しやすい環境はもちろん、就業アンケートやストレスチェックなどで新入社員の感じている不安を確認できるようにしてみてください。
新入社員の早期離職は企業にとって大きな損失であり、企業の採用課題の1つです。
離職理由は企業が原因のこともあれば、人間関係や労働環境が合わないなど個人的な要因もあります。
しかし入社半年以内の超早期離職は、業務内容のミスマッチや企業と新入社員との認識のズレである場合が多いものです。
新入社員から早期離職の兆候が見られたときには、事前にメンターやキャリア相談会などでフォローするよう体制を見直してみましょう。
画像出典元:写真AC、O-DAN
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