お坊さんは外車に乗ってる率が高い?年収・仕事内容・収入源を解説

お坊さんは外車に乗ってる率が高い?年収・仕事内容・収入源を解説

記事更新日: 2022/05/09

執筆: 太田繙

お坊さんはよく外車に乗っている…というイメージを持つ方は多いと思います。

しかしお坊さんの平均年収は、年収約535万円程度とそこまで飛び抜けて多い訳ではありません。

この記事では、お坊さんという職業の基礎知識をふまえつつ、統計をもとにお坊さん副業事情や外車を好む理由、給料の内訳について詳しく解説していきます!

「お坊さん」という職業の基礎知識

お坊さんという職業は、一般的な職業と比べて特殊な部分も多いです。

まずはお坊さんという職業の基礎知識を把握しておきましょう。

「お坊さん」「住職」「僧侶」「和尚さん」の違い

お葬式などでお経をあげる人を一般にお坊さんと呼んでいますが、ほかにも住職や僧侶、和尚(おしょう)さんという呼び方も聞くことがあります。

下表に大まかな違いをまとめてみました。

お坊さん 僧侶を総称して指す
僧侶 出家して仏門に入った人を指す
住職(住持職) 僧侶の役職(お寺の代表者)を指す
和尚さん 出家後、修行を積んで一人前と認められた僧侶を指す


出家して仏門に入った人が僧侶(お坊さん)で、そのうちお寺の代表者のことを住職、一人前と認められた高い地位にある僧侶を和尚さんと呼びます。

出家とは一般的な生活から離れ、仏の教えに従い修行の道に進むことです。

僧侶とお坊さんは同じ意味ですが、お坊さんは親しみを込めた呼び方で、僧侶はかしこまった呼び方と区別できます。

一人前と認められた僧侶を和尚さんと呼ぶこともありますが、宗派によっては呼び方が異なり、たとえば、天台宗では「かしょう」、真言宗では「わじょう」です。

最も適切な呼び方は特に決まっていないため、事前に「何とお呼びすれば良いでしょうか」と聞くのが無難かもしれません。

お寺の名前に様を付けて呼んだり、「ご住職」「お坊様」「僧侶様」と呼んだりすることもあります。

お坊さんの昔と今、仕事内容はどう違う?

お坊さんというと、お葬式でお経をあげている姿を思い浮かべる人が多いでしょう。

実は、昔と今ではお坊さんの仕事内容は異なります。

現在のお坊さんの仕事内容は次のとおりです。

現在のお坊さんの仕事内容
・葬儀や法要で読経(供養)をする
・お寺で説法や法話をする
・各種相談に乗る
・そのほか、駐車場や幼稚園の経営をしている場合もある


お坊さんの昔の仕事内容は、現代でいう役所の戸籍係のようなものでした。

江戸時代に、キリシタンではないことの証明をお寺が檀那寺(だんなでら)として行っていたのが、寺請(てらうけ)制度です。

寺請制度ではすべての人が戸籍管理の対象だったので、誰もがいずれかのお寺の檀家(だんか)になる必要がありました。

お寺が戸籍管理をしていた結果、亡くなった時の儀式も行うようになったのです。

現代では寺請制度は廃止されているため、お寺が戸籍を管理しているわけではありませんが、葬儀や法要の際にお坊さんを呼ぶという慣行は続いています。

お坊さんには専門の学校がある

お坊さんになるための専門の学校がいくつかあります。

いわゆる仏教系の学校のことで、宗派の教えや歴史などが学べるのです。

お坊さんになるためには、先生となる僧侶(師僧:しそう)の下で髪を剃り、仏道に帰依する誓いを立てる得度(とくど)と呼ばれる式を行います。

その後、修行を完了させるとお坊さんとして認められるという流れです。

親がお坊さんでなくても師僧を見つけることができ、上記の手順でお坊さんになれます

仏教系の学校では集団で得度式も行われており、師僧の許可を得て師僧のお寺やご縁のあるお寺などでも得度は可能です。

仏教系の学校・学部では、出願にあたって特別な資格は求められていません。

神社とお寺の違い

神社とお寺がどのように違うか気になる人もいるでしょう。

大きな違いは、神社は「神道」、お寺は「仏教」を説く施設という違いです。

神道は日本の神さまを、仏教は仏さまを祀っています。

神社にいる人はお坊さんではなく、神職や神主、宮司と呼ばれることも覚えておきましょう。

そのほかの神社とお寺の違いは下表にまとめました。

宗教施設 神社 お寺
信仰宗教 神道 仏教
信仰対象 神さま 仏さま
宗教家の呼び方 神職
神主
宮司
僧侶(お坊さん)
住職
和尚さん
行事 結婚式など 葬儀など
入り口 鳥居 山門
参拝方法 鈴を鳴らして二拝二拍手一拝 礼と合掌

 

お坊さんの給料・年収はいくら?

お坊さんの給料や年収事情を示す言葉として「坊主丸儲け」という言葉があります。

坊主丸儲けといわれるのは、宗教法人の公益事業には法人税がかからない(非課税)ことなどが理由です。

坊主丸儲けといわれるのだから、お坊さんの給料や年収は高いことが想定されますが、実際のところはどうなのでしょうか。

結論からいえば、お坊さんの給料や年収は、厚生労働省が行った「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、年収約535万円程度と推測できます。

これは賃金構造基本統計調査における職種分類「宗教家」の集計値であり、僧侶だけでなく次のような職種も含みますので、参考程度としてください。

賃金構造基本統計調査における宗教家
・神職
・僧侶
・住職
・神父
・修道者
・牧師
・宣教師
・布教師
・伝道師
・神主

 

初任給

僧侶(宗教家)の初任給は、お寺の規模や地域によって異なりますが、15万円程度が目安といわれています。

一般的な感覚からすると、少し低めに感じる方が多いでしょう。

令和3年度賃金構造基本統計調査によると、経験年数0年の所定内給与額は次のとおりでした。

39歳以下で見ると、大まかに19万円程度と見ることができます。

年齢階級 所定内給与額
すべての年齢 21.38万円
19歳以下 18.18万円
20歳以上24歳以下 19.80万円
25歳以上29歳以下 19.13万円
30歳以上34歳以下 17.12万円
35歳以上39歳以下 18.33万円
40歳以上44歳以下 34.28万円
45歳以上49歳以下
50歳以上54歳以下
55歳以上59歳以下 16.55万円
60歳以上64歳以下 32.28万円
65歳以上69歳以下
70歳以上

 

規模別でみる給料

お坊さん(宗教家)が勤めるお寺の規模によって、給料はどのように変わるかも見てみましょう。

令和3年賃金構造基本統計調査によると次のとおりでした。

規模階級別 現金給与額 年間賞与額 年収相当額
10人以上計 35.64万円 106.92万円 534.6万円
10~99人 35.95万円 107.33万円 538.7万円
100~999人 35.93万円 117.42万円 548.6万円
1,000人以上 31.94万円 72.09万円 455.4万円


お寺などの規模は給料とあまり関係がない結果となっていますが、大規模なお寺は集計対象人数が少なめでした。

年齢、階級別でみる給料

お坊さん(宗教家)の年齢と給料の関係は次のとおりでした。

お寺の規模とは相関関係が見られませんでしたが、年齢については上がるにつれ給料も上がっています。

年齢階級 現金給与額 年間賞与額 年収相当額
すべての年齢 35.64万円 106.92万円 534.6万円
19歳以下 18.02万円 27.48万円 243.7万円
20歳以上24歳以下 21.06万円 40.78万円 293.5万円
25歳以上29歳以下 25.96万円 107.04万円 418.6万円
30歳以上34歳以下 28.36万円 89.40万円 429.7万円
35歳以上39歳以下 31.51万円 91.02万円 469.1万円
40歳以上44歳以下 33.00万円 108.03万円 504.0万円
45歳以上49歳以下 35.12万円 110.32万円 531.8万円
50歳以上54歳以下 43.89万円 131.62万円 658.3万円
55歳以上59歳以下 53.83万円 148.23万円 794.2万円
60歳以上64歳以下 38.11万円 96.54万円 553.9万円
65歳以上69歳以下 40.77万円 137.35万円 626.6万円
70歳以上 45.92万円 128.03万円 679.1万円

 

お坊さんの主な収入源とは?

お坊さん(宗教家)の給料や年収を紹介してきましたが、その収入源を確認してみましょう。

お坊さんの主な収入源は、葬儀や法事のときに渡されるお布施です。

お坊さんによっては駐車場や幼稚園を経営していたり、サラリーマンとして働いていたりします。

宗教法人とお坊さん個人の財産は明確に区別されているので、宗教法人が、お布施などの収入をお坊さん個人に支給する場合は給与となり、源泉徴収の対象です。

お坊さんに階級やランクってある?

お坊さんに階級やランクがあるか気になったことはありませんか?

実はお坊さんにも階級があるので、確認していきましょう。

お坊さんにも階級がある!

お坊さんの階級は僧階(そうかい)と呼ばれています。

宗派によって階級は異なりますが、たとえば天台宗は次のとおりです。

階級 読み
大僧正 だいそうじょう
権大僧正 ごんだいそうじょう
僧正 そうじょう
権僧正 ごんそうじょう
大僧都 だいそうず
権大僧都 ごんだいそうず
僧都 そうず
少僧都 しょうそうず
権少僧都 ごんしょうそうず
大律師 だいりっし
中律師 ちゅうりっし
律師 りっし
権律師 ごんりっし


年数や功績によって階級が上がり、お坊さんの衣装である袈裟(けさ)の色が変わります。

お坊さんの名前は、「戒名」「法名」という

お坊さんにはもちろん本名がありますが、本名とは別にお坊さんとしての名前である戒名や法名を持っています。

戒名は、一般的に亡くなった後につける名前と考えられることが多いですが、実は仏弟子になった証として与えられる名前です。

お坊さんになろうとして出家するときに授かる名前といえます。

亡くなった後につける場合は、菩提寺の住職から授かるか、菩提寺がない場合には葬儀を取り仕切る僧侶に授けてもらうことが一般的です。

浄土真宗では戒名ではなく法名、日蓮宗では法号と呼びます。

本来、仏教は平等を説くものですが、戒名や法名にはランクがあるのです

ランクによってお布施(戒名料)の金額が高くなる場合がありますが、これもお坊さんの収入源です。

お坊さんが外車に乗る意外な事情

お坊さんはよく外車に乗っているという噂やイメージもありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

外車に乗っているお坊さんは確かにいます

しかし、その理由や背景は意外にも複雑です。

ここでは、お坊さんの外車事情について紹介します。

壇家に良い車で来てほしいといわれる

壇家に「良い車で来てほしい」といわれて外車に乗っているお坊さんもいるのが実情です。

壇家からすると、お坊さんが軽自動車や原付バイクに乗ってくるより、高級車に乗って来るほうが鼻が高いといえます。

壇家とは、簡単にいうと特定のお寺のお客様です。

お寺にとって主な収入源はお布施なので、壇家はそのお寺を経済的に支援することが求められます。

とはいえ、やはりお坊さんが高級車を乗り回すことに悪いイメージを持つ人もいるでしょう。

お坊さん個人がお布施で高級車を乗り回しているとなると、やはり良くは思われません。

その一方で、普段は会社員として働いているお坊さんもいるため、会社員としての給料で高級車を買っているということもありえます。

これまで紹介したように、高級車を購入したくても収入の低さから購入できないお坊さんが多いこともまた事実です。

元々お坊さんは「金銭を蓄えてはならない」

お坊さんが外車に乗っていると良いイメージを持たれないのは、お坊さんは本来、「金銭を蓄えてはならない」こともひとつの要因といえます。

仏教の用語に「煩悩(ぼんのう)」がありますが、煩悩とは欲望のことです。

仏教では煩悩によって苦しみが生じるとされ、執着をコントロールすることが重要とされています。

実際、出家の戒として知られる十戒のなかには、お金を蓄えてはならないという意味の「不捉持生像金銀宝物(ふそくじしょうぞうこんごんほうもつ)」という戒があるのです。

時代と共にお坊さんの在り方も変化している

そもそもお坊さんは、肉を食べることや結婚すること(肉食妻帯)が禁止されていた時代もありました。

しかしこれは、「明治5年(1872年)の太政官布告(現在でいう法律のようなもの)によって許されるようになった」経緯が複数の書物で紹介されています。

このように、時代の流れと共にお坊さんの在り方も変化し、今後も、お坊さんの在り方は変化し続けるでしょう。

まとめ

お坊さんの年収は、一般的な会社員と比べても同等程度といえそうです。

この記事で紹介した年収はお坊さんだけでなく、神父さんや神職さんも含む平均年収であるため、正確な実態を捉えているとは限りません。

そのほかにも、不動産や幼稚園の経営をしているお坊さんがいることも加味しておきましょう。

画像出典元:Pixabay、Unsplash

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