現役医学部生がなぜ起業!?〜完全食チョコレートで起業した背景に迫る〜  株式会社SpinLife代表 中村恒星    

現役医学部生がなぜ起業!?〜完全食チョコレートで起業した背景に迫る〜  株式会社SpinLife代表 中村恒星    

記事更新日: 2020/03/11

執筆: 吉田ひかる

最近、NHKや北海道新聞にも取り上げられた引っ張りだこの中村恒星さんをご存知だろうか。

彼は2020年1月に株式会社SpinLifeを起業したばかり。彼がこんなにもメディアに引っ張りだこであることには理由がある。

なんと現役医学部生にして、起業家・研究者という3つの顔を持つのだ。

今回はそんな多才な中村さんに起業の背景を語ってもらった。

プロフィール

中村恒星

北海道大学医学部医学科3年。自身が心臓の難病を患っている経験から、難病患者の支援を志す。ミャンマーでの国際医療ボランティアや島根県隠岐の島での離島医療見学の経験から医療の外側の問題を解決するために活動を開始する。北海道大学では脳腫瘍の研究を行っている。医師・研究者・起業家の3つの側面から医療の課題を解決していく。

現役医学部生で起業したワケ

ー現在、北海道大学医学部3年生ということですが、医学部生にして起業したきっかけは何だったのでしょうか?

医学部に入学した時から「医者としての価値をもっと多くの場所で出せるんじゃないか?」と思っていました。

というのも、医師の方って普通の人が持っていないすごく専門的な知識を持っているんですよね。

例えば、一般の人は「人はなぜ糖尿病になるのか」なんて知らないですよね。

医師は、専門性のある知識を持っているので、より多方面で価値を出していけるのではないか、と感じていました。

そんなことを漠然と考えている時、表皮水疱症という皮膚難病の患者会に出会いました。

表皮水疱症とは、先天性の皮膚難病で皮膚がボロボロとめくれてしまう皮膚難病のことで、この患者さんと出会った時に自分ができることを考えました。

特に、口腔内が荒れていることにより、食事に障害がある患者さんは、慢性的に栄養不足になることが多い点に着目しました。

そして「食べることに障害がある患者さん」に新しい栄養摂取の形を提供するために、完全栄養チョコレート「andew」を開発し、起業しました。

完全食チョコレートとは

ー中村さんが自ら開発した完全食チョコレートとはどのようなものなのでしょうか?

完全食チョコレートは、きな粉やチアシードなど約9種類の素材を独自の配合で混ぜて作った保存・乳化剤不使用のチョコレートです。

このチョコレートは、タンパク質から、ビタミン、ミネラル、微量元素まで人に必要な栄養素がすべて含まれています。

病気で口の中が荒れている人や、飲み込むことが難しい方など、食べることに何らかの制限のある人が食べやすいように工夫しています。

さらにこのチョコレートを通して、患者さんと健常者の溝をなくすということも大きな狙いです。

「患者さんのため」と括ってしまうと、どうしても美味しくないというイメージが先行してしまいます。

また、栄養素だけにこだわるなら薬や栄養剤の方が早いです。

僕の本当の目的は、患者さんにも健常者と同じように食べることを楽しんでもらうということです。

なので、「患者さんのため」というイメージが先行しないオシャレな世界観を表現することや、患者さんと健常者の溝を埋めるという思いを事業を行う上でかなり大切にしています。

そういった世界観を丁寧に表現するために、自社ECサイトを介したD2Cのビジネスモデルにしています。

チョコレートをプロダクトとして選んだ背景

ー患者さんに食べることを楽しんでもらいたいとのことですが、なぜそこでチョコレートを選んだのでしょうか?

チョコレートを選んだ理由は沢山あるのですが(笑)

そもそも自分がチョコレートが好きだったのと、あと3つほど理由がありますね。

1つめは、患者さんのためです。患者さんは、みんなが食べているものと同じものを食べたいと思っています。チョコレートなら一緒に食べるという世界を実現できるのではないかと思いました。

また、形状を変えやすく幅広い人に食べてもらいやすいという点もポイントだと思っています。

2つめは、コミュニティ作りのためです。チョコレートのすごいところは、それに加えて、メッセージ性があってギフト文化があるところです。バレンタインはその文化を顕著に表していると思います。また、世界中で食べられていることや、人間関係の形成の軸になりうるところが大きな魅力です。

3つめは、ビジネス的価値です。やはり経営者としては、ビジネスとしての合理性も考慮しなくてはいけません。

チョコレートは保存期間も長く、全ての食材が均一に融合しているため作りやすさに置いて大きなアドバンテージがあります。

また、形状を変えやすい点、何かの原料になりうる点も、今後のビジネス展開としてやりやすさを感じています。

そういった意味で、経営者としては「患者さんのため」「会社のため」を両立した形でビジネスに落とし込めているという感覚でいます。

 

D2Cビジネスならではの困難

ークラウドファンディングがうまくいっているようですが、このビジネスをやっていく上で不安な点や困難を感じた部分はあるのでしょうか?

経済性を回しながらヘルスケアビジネスをすることが難しいなと感じています。

2年前ほど前にヘルスケア領域でのプラットフォームビジネスを立ち上げ手前まで行いましたが、収益化の目処が全く立たず断念しました。

そこで、マネタイズがシンプルないわゆる「物売り」に転換しました。しかし、やはりD2Cのモデルですので製造の部分で課題があります。

たくさん商品を作りたくても、人材も機器も場所も必要ですし、スーツやメガネなどと違って商品の消費サイクルが短いので、乗り越えていくべき大きな課題だと感じています。

また、完全食チョコレートは世界初であり、自分たちの商品の価格が今後の基準になるので価格設定も慎重に考えています。

 


今後のビジョン

ー2020年1月に登記したばかりとのことですが、今後のビジョンなどがありましたら是非お聞かせください。

3年後の医学部卒業後、医師としての自分と経営者としての自分をどう両立していくかは常に考えています。そこを明確にしないと今何をすべきかが逆算できないので。

あとは、価格ですね。一般的なチョコレートと違い、油脂に安価な植物油脂を使用せず、カカオバター100%にしているので、一般的なチョコレートに比べたら高価格です。今後価格をどこまで落としていけるかは、スケールメリットをどれだけ働かせることができるかがポイントだと思っています。

また、最終的に、病院にいる患者さんと六本木を歩くオシャレ女子が同じものを食べている世界を実現したいと思っていて(笑)。

その他にもこのチョコレートを通して、自分たちの手でどのような世界を実現できるか常に模索しています。

そして、自分たちの想いを皆様に直接お伝えるするために、直近では渋谷のPARCOで2020年4月9日~15日までポップアップストアを開催します。

皆様と自分たちとの交流も大事にしたいと考えているので、気になった方は是非ポップアップストアにお越しいただきたいです。

吉田ひかる

この記事を書いたライター

吉田ひかる

慶應義塾大学経済学部に在学中。いろんな人と出会って話をするのが好き。

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